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日本とカタールの経済関係強化に関する共同声明
(仮訳)

平成21年11月19日

正文(英語)はこちら

 2009年11月19日、日本側、直嶋正行日本国経済産業大臣、武正公一日本国外務副大臣と、カタール側、アブドッラー・ビン・ハマド・アル・アティーヤ・カタール国副首相兼エネルギー工業大臣は、東京において日・カタール合同経済委員会第四回会合を開催した。同会合の結果は以下のとおり。

  1. 双方は、今般、アブドッラー・ビン・ハマド・アル・アティーヤ閣下の訪日の機会に、日・カタール合同経済委員会第四回会合が開催されたことを歓迎した。
  2. 双方は、2009年5月のシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ皇太子殿下の公式訪日が、二国間の経済関係の強化が進展していることを強調したとの認識で一致した。
  3. 双方は、2006年11月に日・カタール合同経済委員会第1回会合において設置された三つの作業部会(エネルギー作業部会、ビジネス環境整備・投資作業部会及び総括作業部会)において、これまで幅広い分野において議論を重ねてきたことを歓迎した。かかる3つの作業部会は、両国の経済関係強化のため重要な役割を果たしてきている。
  4. 双方は、合同経済委員会及びその三つの作業部会を、積極的かつ継続的に進めていくとの共通の意思を強調した。
  5. 双方は、本年12月に東京で第1回日アラブ経済フォーラムが開催されることを歓迎した。同フォーラムでは、閣僚会合、ビジネス会合を行い、双方は、同フォーラムの成功に向け、積極的に協力及び貢献していくとの認識を共有した。
  6. 双方は、石油とLNGを含む天然ガスの両国関係における重要性を再確認し、エネルギー市場において重要な役割をもつカタールと、カタールにとっての最初のLNG購入国であり、かつ世界最大のLNG輸入国である日本との互恵的な関係に基づき、エネルギー分野で二国間協力を更に促進することの重要性を認識した。  日本側は、カタールは引き続き日本を含む世界に対するこれら天然資源の信頼できる供給国であり、LNG生産能力を拡大しているカタールがエネルギー市場で担う役割は今後一層重要になるとの認識を表明した。一方、カタール側は、石油及びLNGを含む天然ガスを日本を含む世界に対し受け入れ可能な価格と条件のもとに安定的に供給し続ける意図を表明した。

     双方は、市場の安定性を強化するために、市場の透明性と適切な需給バランスが重要であるとの見解を共有し、2009年4月に日本とカタールの共催の下、東京で開催された第三回アジア・エネルギー産消国閣僚会合の議長総括で示された産消協力を具体化する意図を確認した。これに関連し、カタールは来年1月に日本が派遣する新エネルギー・省エネルギーに関連する官民ミッションを歓迎する意向を示した。

     双方は、エネルギー価格の不安定性はエネルギーの産出国及び消費国の双方にとって望ましくないとの見解を共有した。また、双方は、エネルギー価格の安定につながる市場の透明性の向上のため、共同石油データ・イニシアティブ(JODI)のさらなる発展の必要性を確認した。

     日本側は、東新潟港でのQ-Flexの受入実績を報告した。また、各港湾でのカタールからの大型LNG船(Q-Flex及びQ-Max)の受入れのための各港での準備状況を報告するとともに、LNGタンカーを活用した淡水輸送プロジェクトの進捗を報告した。さらに、日本側は、カタールからのLNG輸送の更なる改善・拡充のために、迅速に適切な措置を継続する意思を表明した。カタール側はこうした日本側の努力を評価した。

     双方は、両国のエネルギー関係者の交流・理解を深めるという目的のため、エネルギーの需給、利用技術等について情報交換を行う「日カタール・エネルギー技術・経済合同ワークショップ」が2月にドーハで、また今月東京で開催されたことを歓迎した。また、将来のクリーンエネルギー供給、エネルギー源の多様化による国際エネルギー市場の安定に大きく寄与する手段として、天然ガス液体燃料化(GTL)技術推進の重要性を再確認した。

     双方は、エネルギー分野における上流及び下流部門を含めた双方向の投資活動を活性化させることに関する具体的案件について、引き続き適切なチャネルを通じて協議を継続していくことを再確認した。
  7. 双方は、これまでの作業部会で作成したビジネス環境整備のためのアクションプランに基づき、両国のより良いビジネス環境創設に向けて積極的な取組を継続する強い意思を確認した。双方は、二国間の経済関係の強化のため、金融、品質管理、科学研究、中小企業等の幅広い分野において、二国間で議論を進めることを確認した。双方は、共同科学研究・開発の発展に関与するよう民間部門を促すことの重要性を強調した。
  8. 日本側は、2010年春に予定されているカタール航空の成田空港への運航開始を歓迎した。双方は、船舶又は航空機を国際運輸に運用することに係る所得に対する二重課税の回避について、また、両国の航空企業による航空業務について、それぞれ公文の交換を行ったことを歓迎しつつ、両国間の更なる人的交流、物流の拡大及び運輸の効率化が促進されることに対する期待を表明した。
  9. 双方は、資金洗浄、テロ資金及び犯罪に関する取り調べ支援における情報交換を促進するため、資金情報の分野における枠組み文書への署名を行ったことを歓迎した。
  10. 双方は、両国間の相互の投資機会を拡大することの重要性を強調し、二国間投資協定交渉について、可能な限り早期に第1回会合を開催することの必要性を強調した。
  11. 双方は、二国間投資協定及び現在交渉中の日・GCC(湾岸協力理事会)自由貿易協定が、日本とカタール及び日本とGCC諸国全体との経済・ビジネス関係の一層の強化に資することが期待されていることを確認し、両協定の早期締結の重要性を共有した。
  12. 日本側は、日本において開発されている環境性能に優れたリージョナルジェットの広範な利用が環境問題解決のために著しく貢献することを強調した。カタール側は、本プロジェクトに対し、関心を示した。
  13. 双方は、二国間経済関係の強化の方法について合同経済委員会の枠組みにおいて引き続き議論することの重要性を再確認し、各作業部会における議論を踏まえつつ、可能な限り早期に合同経済委員会第五回会合を開催することを決定した。
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