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平成19年11月19日
11月19日(月曜日)、「日本・アラブ対話フォーラム」第5回会合が、エジプト・アレキサンドリアにて開催されたところ、概要以下の通り。
日本・アラブ対話フォーラムは、2003年に、日本とアラブ諸国との対話を強化することを目的として、日本、エジプト、サウジアラビアの3カ国の間で設立された有識者会合で、今年で第5回を迎えた。前回会合まで座長を務めた故橋本龍太郎元総理に替わり、今般会合から中山太郎元外相が座長を務め、それに伴い日本側メンバーも交替した(出席者リスト(参考)のとおり)。
会合では、政治、経済、文化の3分野について率直な意見交換が行われた。
主に、パレスチナ問題、イラク、アフガニスタン情勢、イランの核問題、テロリズムについて議論された。
パレスチナ問題の解決が、地域の平和と安定にとって重要であること、イスラエル・パレスチナの二国家共存こそが唯一の解決策であり、それに向けた道筋をどのように立てるかが重要であること、その観点から、米国アナポリスで開催される国際会議の成功が必要であることが確認された。また、「平和と繁栄の回廊」構想など、我が国の和平実現に向けた取組が評価された。
イラクについては、領土的一体性がイラク人自身によって実現されることが重要であるという認識が確認された。また、アフガニスタン情勢に関し、日本の政治的、外交的役割に期待する旨の発言があった。
イランの核問題については、核拡散、イランと西側の緊張の高まりに関する深刻な懸念がある旨の発言があった。
日本とアラブの経済関係は発展しており、金融センターとしての成長をみせる湾岸地域、改革に成功し経済発展しているエジプトとの関係拡大の可能性があるとの認識で一致した、他方、現状は、双方向的な投資活動は限定的であるとの指摘もあり、また、エネルギー分野に限られない重層的な関係を築くべきである、との問題意識が共有された。
日本がアラブ諸国の経済発展に協力する上で、今後は人間開発が重要であるという見方が強調され、また、新エネ、バイオテクノロジー、原子力技術等、様々な分野で日本から学ぶべき点があるという指摘があった。
グローバリゼーションの時代において、固有の文化を維持しつつ発展するための方途を探ることがアラブ諸国にとって重要である、この点、かつて明治維新、第二次大戦敗戦後の復興と2度に亘る成長を成し遂げ、西洋化せずに近代化に成功した日本に学ぶべき点は多いという旨の発言があった。
文化交流、観光、学術研究を活性化し、また、既存の枠組みを使った日本研究、アラブ研究をより促進すること、日本・エジプト科学技術大学のようなプロジェクトの実現に向けて双方が協力することが重要である旨の発言があった。
さらに、文化遺産の保護は重要であり、バーミヤン遺跡破壊のような行為は許されないものであるとの認識で一致した。
次回の第6回会合はサウジアラビアで開催され、具体的な時期と場所については今後調整されることとなった。
【日本】
(1)中山太郎 元外務大臣
(2)佐々木幹夫 日本貿易会会長(三菱商事会長)
(3)山内昌之 東京大学教授
(4)須藤隆也 国際問題研究所 軍縮不拡散促進センター所長
【エジプト】
(1)イスマイール・セラゲッディーン・アレキサンドリア図書館長
(2)ハーテム・カランシャーウィー元経済問題担当首相特別顧問
(3)アブドゥルモネイム・サウーディ・日本・エジプト合同委員会エジプト側議長
(4)ファルーク・イスマイール元カイロ大学学長、日本帰国留学生会名誉会長
(5)ワヒーブ・エル・ミニアーウィ元駐日大使(1988~1993年駐在)
【サウジアラビア】
(1)アブドゥル・ラフマン・アルザーメル諮問評議会議員
(2)アブドゥル・アジーズ・ビン・ムハンマド・アル・トワイジェリ諮問評議会議員
(3)マーゼン・ビン・アブドゥル・ラージク諮問評議会議員
(4)シュジャア・アルバイダーニ外務省議会担当局長
(5)ジャミル・マフムード・ムルダッド外務省イスラム担当局長