29日、午後2時から約1時間30分、日韓中首脳会議への出席のため韓国(済州島)を訪問中の鳩山総理は、李明博(イ・ミョンバク)大統領と会談を行ったところ、概要以下のとおり。会談は、前半を少人数会合、後半を全体会合として行われた。
1.少人数会合
(1)冒頭
- 冒頭、鳩山総理から、今次日韓中サミット開催に係る李明博大統領のリーダーシップに敬意を表しつつ、日韓中サミットの成功に向けて緊密に協力することを確認した。
(2)哨戒艦沈没事案・北朝鮮情勢
- 李明博大統領から、今朝(29日朝)鳩山総理一行が国立大田(テジョン)顕忠院で哨戒艦沈没事案による犠牲者への献花を行ってもらったことに謝意表明があるとともに、先般の調査結果の後、日本政府が迅速に韓国を支持してくれたことに改めて感謝したい旨述べた。
- これに対して、鳩山総理から、46名の犠牲者及びその家族の方々に改めてお悔やみを申し上げたい、本件については、李明博大統領が一貫して大変冷静かつ見事な指導力で対応されていることに敬意を表する、また、北朝鮮によるこのような軍事的な挑発行為は許し難いものであり、日本は国際社会とともに北朝鮮を 強く非難するとともに、貴国を強く支持する旨述べた。
- また、鳩山総理から、日本政府の対応ぶりとして、昨28日の貨物検査法の成立を説明した上で、1)カネの流れという観点から、北朝鮮向けの送金・現金持ち出しの規制強化、2)モノの流れという観点から、迂回輸出入の防止のための対応強化を行うことについて説明した。李明博大統領から、日本政府が対北朝鮮措置 を迅速に講じてくれたことは、今後国際社会として協力を図っていく中で非常に大きな意味がある、感謝したい旨述べた。
- 李明博大統領から、最近の韓露電話首脳会談でのやり取り及び昨日(28日)の温家宝総理との会談について詳細な説明があった。
- 国連安保理での対応を含め今後の対応ぶりに当たっては、日韓、日韓米で引き続き緊密に連携していくことで一致した。
(3)日韓二国間関係
- 鳩山総理から、日韓関係の絆を強化していくことは大事であり、日本は過去を正確に見つつ、反省すべきは反省し、次の100年に向けた未来志向的な関係を作るためにも積極的に努力したい旨述べた。
- これに対して、李明博大統領から、日韓両国は、今年を契機にして未来に向かって新しい協力関係を切り開いていくべきである、そういう中で互いにできることを行っていく環境を作っていく、首脳間の信頼関係があるこのような時こそやるべきことを様々やっていくことができると考えている旨発言があった。
- なお、普天間飛行場移設問題に関する日米合意について、李明博大統領から、現下の北東アジア情勢が大変難しく、予断を許さない中で、鳩山総理が大局的な見地に立って良い判断をされたことを高く評価したい旨述べた。
2.全体会合
(1)冒頭
- 冒頭、鳩山総理から、自分(総理)が提唱している東アジア共同体の構築に向け、東アジアにおいて基本的価値を共有する日韓両国は基軸となるべき存在である述べ、両首脳は、緊密に協力していくことを確認した。
(2)日韓EPA・日韓経済関係
- 両首脳は、日韓EPAについて、交渉再開に向けたハイレベルの事前協議を行うことで一致した。また、AEO(認定事業者)制度の相互承認についての協議開始で一致した。さらに、日韓原子力協定について、協定の早期締結に向けて努力することを確認した。
(3)文化交流
- 両首脳は、東アジアの地域協力の発展に向けて、日韓間の人物交流を含めた文化交流が極めて重要であるとの認識を共有し、両国間で緊密に協力していくことを確認した(第3期日韓文化交流会議の立ち上げ(メンバー:下記リスト)につき一致)。
(4)グローバルな日韓協力
- 両首脳は、日韓関係は、もはや二国間関係のみならず、国際社会全体において協力を推進していくべき「グローバルな関係」であることを改めて確認しつつ、G20、核セキュリティ、核軍縮・不拡散等多岐にわたる分野で日韓協力を推進していくことで一致した。
- 核セキュリティについて、李明博大統領から、韓国が次回核セキュリティ・サミットを開催することになっており、日本とも協力していきたい旨述べたのに対して、鳩山総理から、韓国による同サミットの開催を高く評価し、日本としても必要な貢献を行っていきたい旨述べた。また、核軍縮・不拡散について、両首脳 は、NPT運用検討会議で、最終文書に合意できたことを歓迎しつつ、この分野においても日韓間で協力を推進していくことで一致した。
第3期日韓文化交流会議(メンバー)
1.日本側メンバー
- (1)委員長
- 川口 清史(かわぐち きよふみ)学校法人立命館総長・立命館大学長
- (2)委員(10名)(50音順、敬称略)
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有川 節夫(ありかわ せつお)九州大学総長【研究者】
市川 森一(いちかわ しんいち)作家、脚本家【ドラマ】
小倉 紀蔵(おぐら きぞう)京都大学准教授【研究者】
川淵 三郎(かわぶち さぶろう)日本サッカー協会名誉会長【スポーツ】
木村 典子(きむら のりこ)日韓舞台芸術コーディネーター【演劇】
倉本 裕基(くらもと ゆうき)作曲家、ピアニスト【音楽】
小針 進(こはり すすむ)静岡県立大学教授【研究者】
辻原 登(つじはら のぼる)作家、東海大学文学部教授【文学】
寺脇 研(てらわき けん)映画評論家、京都造形芸術大学教授【映画】
山村 浩二(やまむら こうじ)アニメーション作家、東京藝術大学教授【アニメーション】 - (3)事務局長
- 内田 富夫(うちだ とみお)日韓文化交流基金理事長
2.韓国側メンバー
- (1)委員長
- 鄭求宗(チョン・グジョン) 東西大学国際学部教授兼日本研究センター所長
- (2)委員
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鞠守鎬(グク・スホ)ディディ舞踏団長【舞踏】
金亨駿(キム・ヒョンジュン)ダインフィルム代表【映画】
南宮演(ナムグン・ヨン)音楽家、Studio FAT代表【音楽】
朴晟源(パク・ソンウォン)韓国芸術総合大学美術院造形芸術科副教授【美術】
朴銓烈(パク・ジョンリョル)中央大学日語日文学科教授【学術】
孫正禹(ソン・ジョンウ)韓国演劇演出家協会会長【演劇】
鄭起泳(チョン・ギヨン)NEOWIZ GAMES副社長【ゲーム】
鄭梨賢(チョン・イヒョン)小説家【文学】
崔鍾日(チェ・ジョンイル)韓国アニメーション制作者協会会長【アニメーション】
崔泰枝(チェ・テジ)国立バレエ団長【舞踏】 - (3)事務局長
- 李康民(イ・ガンミン)漢陽大学教授