中東

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オルメルト・イスラエル首相の訪日(概要と評価)

平成20年2月28日

1.概要

(1)エフード・オルメルト・イスラエル首相は、2月25日(月曜日)から28日(木曜日)まで、公式実務訪問賓客として夫人と共にイスラエル首相としては11年ぶりに来日し、天皇陛下との御会見、福田総理との首脳会談及び総理主催夕食会に出席した。また、高村外務大臣、石破防衛大臣、小泉元総理大臣、麻生元外務大臣他の表敬を受けたほか、日本記者クラブで記者会見を行った。

(2)二国間関係強化と中東和平に向けた協力を柱として、両国間では初めてとなる共同声明を発表した。

(3)首脳会談等では、二国間関係の他、中東和平や地域情勢につき率直な協議が行われた。
 二国間関係では、先方より、EPAの可能性を含む経済関係強化への期待が表明され、特に、開発研究(R&D)分野における協力推進について高い期待が表明された(滞在中、日産の電気自動車工場を視察)。
 中東和平については、オルメルト首相より、2008年中に基本的な合意が達成できるようパレスチナ側と協議を継続する旨決意が表明された。また、日本の建設的な役割への評価、特に、「平和と繁栄の回廊」構想への評価が示された。
 我が方からは、オルメルト首相に対し、東エルサレムを含む西岸での住宅建設への懸念を表明するとともに、ガザ地区の人道状況悪化の回避のための努力を要請した。
 オルメルト首相より、イランの核開発や中東における北朝鮮の核拡散活動に対する懸念が表明された。

(4)また、今般訪日にあたっては、イスラエルからビジネス・ミッションが同行し、日本・イスラエル合同ビジネス・フォーラムが開催された他、日本側経済界との個別の懇談も行われた。

2.評価

(1)中東和平が重要な局面を迎える中、11年ぶりのイスラエル首相の訪日であり、二国間関係の強化と中東和平に関する協力を2本柱とする初の共同声明を発出したことは重要な成果であった。

(2)今回オルメルト首相が特に重視したのは、日本との経済関係の強化であった。オルメルト首相の海外訪問では初めてとなるビジネス・ミッション同行や経済関係強化のための共同作業部会設置への合意等、今後の関係強化の布石を打つことが出来た。

(3)中東和平に関して、東エルサレムを含む西岸の住宅建設やガザ情勢について、イスラエルに対して懸念を表明し、働きかけを行ったことは、国際的な世論の大勢と軌を一にするものであり、イスラエルとの関係を強化しつつも言うべきことは言うとの姿勢を示すことができた。

(4)なお、我が国が推進している「平和と繁栄の回廊」構想については、その実現のためには人・物の移動制限の緩和等、イスラエル側による積極的な協力が不可欠であるところ、首脳レベルで本件構想への協力を働きかけ、改めて全面的に協力するとのコミットメントを得るとともに、4者協議閣僚級会合を早期に開催することで一致した。今後、このモメンタムを維持し、構想の早期具体化に向け取り組んでいく必要がある。

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