18日(水曜日)から21日(土曜日)まで,東日本大震災の被災地訪問を目的としてラモス=ホルタ東ティモール大統領が来日したところ,概要以下のとおり。同大統領には,ゴンサルベス経済開発大臣及びカルロス外務副大臣の2閣僚を含む8名が同行した。
1.訪日日程
- 1月18日(水曜日)
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- 午前:
- 来日
- 午後:
- トヨタ訪問(愛知県豊田市)
- 19日(木曜日)
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- 午前:
- 富士通訪問
東ティモール議連との懇談
日・東ティモール首脳会談 - 午後:
- 緒方JICA理事長との懇談
NHK訪問
経団連訪問 等
- 20日(金曜日)
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- 終日:
- 被災地(宮城県仙台市,名取市)訪問
- 21日(土曜日)
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- 未明:
- 帰国
2.個別行事
(1)日・東ティモール首脳会談
野田総理は,東日本大震災に際しての東ティモールの支援及び今回の被災地訪問に謝意を表明するとともに,東ティモールがこれまで進めてきた国づくりの成果を評価した上で,引き続き,経済協力,人材育成支援,民主的選挙支援等を通じて,同国の国づくりを支援していきたい旨を述べた。
ラモス=ホルタ大統領からは,東日本大震災に対するお見舞いと共に,日本がこの苦難を必ず乗り越えることを信じている旨述べ,これまでの日本の支援に対する謝意が表明された。また,本年の外交関係樹立10周年の機会に,野田総理を始め日本政府高官に東ティモールを訪問していただきたい旨の招待があった。
(2)東ティモール議連との懇談
議連から,代表を務めるツルネン・マルテイ参議院議員,顧問を務める江田五月参議院議員,事務局長を務める大野元裕参議院議員など10名が出席。ラモス=ホルタ大統領から,東ティモールの国づくりの成果に触れつつ,日本のこれまでの支援に謝意が表明されるとともに,本年東ティモールで予定される記念行事の機会に,議連メンバーに東ティモールを訪問していただきたい旨の招待があった。
(3)被災地訪問
ア 宮城県仙台市
甚大な津波被害を受けた荒浜小学校を視察し,慰霊碑に献花を行った。また,過去に東アジア青少年大交流計画(JENESYS)により東ティモールの青少年が訪問したことがある仙台東高校において講演を行い,生徒と交流したほか,奥山仙台市長との懇談,特別養護老人ホーム「杜の里」の視察等を行った。
イ 宮城県名取市
愛島東部団地仮設住宅を訪問して住民との懇談を行ったほか,佐々木名取市長との懇談を行った。
(4)民間企業訪問
愛知県豊田市のトヨタ自動車を訪問し,生産工場で自動車の生産過程を視察したほか,トヨタ会館で自動車生産過程や最先端ロボットの展示を視察し,同社幹部と意見交換を行った。また,東京においては,富士通幹部や経団連幹部との間で,東ティモールの経済開発,同国に対する経済支援等について意見交換を行ったほか,NHKを訪問し,スタジオ視察,インタビュー,松本会長との懇談を行った。
3.評価
- (1)今回の訪日は,これまで東ティモールの国づくりを一貫して支援してきた日本への恩返しとして,東日本大震災の被災者を直接激励したいというラモス=ホルタ大統領自身の強い思いから実現したもの。
- (2)21世紀最初の独立国である東ティモールの国づくりの歩みは,平和構築の成功例の一つであり,特に本年は,大統領選挙(3月)及び国民議会選挙(6月)が予定され,年末にはUNMIT(国連東ティモール統合ミッション)の撤収も検討される等,この10年の成果が試される重要な年。この機会に,大統領から日本のこれまでの支援に謝意が表明され,今後の国づくりを日本としても全面的に後押ししていくことを首脳間で確認できたことは,非常に有意義であった。
- (3)また,本年は日・東ティモール外交関係樹立10周年でもあり,年初に大統領が訪日し,強く希望する被災地の若者との交流や高齢者のお見舞いが実現したことは,大統領の気さくな人柄も相まって,両国の友情の絆を確認する好機となった。