外務本省

世界金融・経済危機と開発への影響に関する国連ハイレベル会合
(概要と評価)

平成21年6月26日

1.概要

 6月24日から26日までの間、世界金融・経済危機と開発への影響に関する国連ハイレベル会合が、150以上の国・機関の参加を得て、ニューヨークの国連本部において開催された。同会合には、我が国代表として御法川信英外務大臣政務官が出席した。

(1)全体会合
 多くの首脳、閣僚級を含む各国の代表がステートメントを行い、今般の世界金融・経済危機の影響、今後とるべき対応策等につきそれぞれの見解を訴えた。
 25日にステートメント(骨子)(英文)を行った御法川政務官は、世界金融・経済危機により深刻な影響を受けている途上国の脆弱層の生命、生活、尊厳を守るためには分野横断的な包括的取組を行う人間の安全保障のアプローチが重要であることを指摘すると共に、ドナー諸国は、危機の状況にあっても、既存のコミットメントを着実かつ迅速に実施し、MDGs達成に向けた歩みを後退させてはならないことを指摘しつつ、我が国の財政措置やアジア及びアフリカへの支援策を紹介した。また、途上国自身のオーナーシップ、幅広い資金確保を目指した全員参加型の協力の重要性を強調した。

(2)成果文書
 成果文書については、約3か月にわたる交渉の結果、今般の世界金融・経済危機対策、国際金融機関改革、今後の具体的活動等について記載した文書が、会合最終日の26日に採択された。(同文書の主要なポイント

(3)分科会
 会期中、1)国際金融経済システム及び構造の改革・強化に関する継続的な国際的議論における国連と加盟国の役割、2)危機の開発への影響緩和のための協調・協力活動及び適切な措置、3)危機の現在と将来の影響、4)危機への対応における国連開発システムの貢献、の4つの議題についてそれぞれ分科会が開催され、加盟国、関係国際機関、NGO等が出席して意見交換を行った。

2.評価

(1)今次会合は、本年4月のロンドン・サミット(第2回金融・世界経済に関する首脳会合)から間もないタイミングで、途上国を含む多くの国が参加する国連の場において、世界金融・経済危機を巡る状況や国連が果たすべき役割を再確認すると共に、先進国と途上国が一丸となって今後の危機対応策を講じていくことを確認する有意義な機会となった。

(2)26日に採択された成果文書においては、我が国の強い主張により、国連の主要文書としては、2005年の世界首脳会合の成果文書以来、初めて人間の安全保障(human security)という文言が記載された(パラ3)。成果文書交渉を通じ、我が国は、アジア通貨・金融危機に際し、保健、教育、社会保障などの開発途上国の弱者・社会セクターが最大の打撃を受けたことから、この面での努力が不可欠であるという教訓を得た旨を繰り返し主張し、その結果、危機の人間、社会的側面及び対策が強調された内容になった(成果文書に、human development(パラ9,20,21)、human and social impacts(パラ11,18,21)、human consequences(パラ7)、people-centred development(パラ21)、vulnerable people (populations) (パラ3,4,10)等が入った)。

(3)なお、会合の合間に、御法川政務官は、バングラデシュ、スリランカ、オーストリア、モロッコの閣僚と二国間会談を行った。

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