平成20年12月3日
11月29日から12月2日の間、「モンテレー合意実施レビューのための開発資金国際会議フォローアップ会合」が、150以上の国・機関の参加を得て、カタール国ドーハにて開催された。また、この会合に先立ち、28日には国連及びカタールの共催により、金融危機における開発資金確保に関する非公式会合が開催された。
これら諸会合には、我が国代表として御法川信英(みのりかわのぶひで)外務大臣政務官が出席した。
(1)開発資金国際会議フォローアップ会合
(イ)ハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニ・カタール国首長を議長に迎え、各国・機関の首脳・閣僚級等の代表がステートメントを行い、2002年以降のモンテレー合意の実施状況や開発資金をめぐる諸課題についてそれぞれ見解を披露した。
30日にステートメント(英文)を行った御法川政務官は、金融危機の中にあってもMDGs達成に向けた取組を後退させてはならないと述べ、既存のコミットメントを着実に実施していく必要性を訴えるとともに、我が国としてTICADIVと北海道洞爺湖サミットのフォローアップを着実に実施していくこと、国際金融機関とも協力して金融危機の影響を受ける国々を積極的に支援していくことを表明した。また、途上国自身のオーナーシップ、幅広い資金確保を目指した全員参加型の協力等の重要性を強調した。
(ロ)成果文書については、約3ヶ月にわたる交渉の結果、モンテレー合意の主要6分野( 1)国内資金の動員、2)海外直接投資及び他の民間資金フロー、3)国際貿易、4)資金・技術協力、5)対外債務、6)国際金融システム等)、開発資金の新たな課題(金融危機、気候変動等)を網羅した文書が、会合最終日の2日に採択された。同文書の主要なポイントは別紙のとおり。
(ハ)会期中、モンテレー合意の主要6分野のそれぞれをテーマとする分科会が開催された。30日に実施された第2分科会(海外直接投資及び他の民間資金フロー)においては、JICAが発表を行い、民間資金フローの減少が見込まれる金融危機下、民間資金の更なる動員のためにODAが果たす触媒としての役割の重要性を指摘した。
(2)非公式会合(11月28日)
25を超える国・機関の首脳、閣僚級(我が国は御法川政務官)の指導者が出席し、金融危機への対応と持続可能な開発に対する援助の継続、国際金融機関の改革等について意見交換を行った。
本会合の開催を主導した潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、貧困の削減にとって重要な新興国・途上国の成長を維持するためには国際的に協調して対応することが必要であると述べるとともに、ODA資金の流れに下落があってはならないと訴え、この点について参加者の共通認識が醸成された。御法川政務官からは、現下の金融危機から途上国を救うための手法を議論するのみならず、それを個別具体的かつ現実的に実施していくことが重要であり、また、急務である旨指摘した。また、各国から、インド、ムンバイにおける連続テロ事件に対する非難の声が寄せられた。会合は約4時間にわたり、終了時に議長サマリーが発出された。
(1)今次会合は、先進国及び途上国の幅広い参加を得て、モンテレー合意を実施するため具体的に行動し、世界的なパートナーシップと連帯の精神の下で開発資金に関する課題に対処していくとの決意を新たにする有益な機会となった。我が国からは御法川外務大臣政務官が出席し、我が国が引き続き開発問題にコミットしていくことを表明し、開発資金に関する取組における我が国の存在感を示すことができた。また、御法川政務官は、ブルキナファソ、ネパール、スリランカ、ルワンダ、カタール、米国との二国間会談及びアルジェリアとの立ち話を行った。
(2)2日に採択された成果文書において、モンテレー合意が再確認され、特に、ミレニアム開発目標等の達成に向けた開発資金の動員及びその効果的な活用の重要性に加え、自由、平和と安全、人権の尊重、法の支配、ジェンダーの平等、民主的な社会、民間資金、援助国と被援助国の責任の共有等の重要性について改めて見解が共有されたことは有意義であった。また、各国のODAコミットメント達成の重要性が再確認されると共に、援助や債務救済における新興国の役割の重要性が確認された。更に、我が国は、人間の安全保障の理念に裏打ちされた人間中心の開発、個人及びコミュニティの能力強化といった考え方や、北海道洞爺湖サミットの成果、援助効果向上のためには各国の事情への配慮が必要であること、平和構築支援の重要性等を提案し、成果文書に反映された。