外務本省

松本外務副大臣の第47回ミュンヘン安全保障会議出席(概要)

平成23年2月7日

(写真)松本外務副大臣の第47回ミュンヘン安全保障会議出席


2月4日(金曜日)から6日(日曜日)まで、松本外務副大臣は、ドイツ・ミュンヘンで開催された第47回ミュンヘン安全保障会議に出席したところ、概要は以下のとおり。

1.第47回ミュンヘン安全保障会議

(1)今回の会議は、3日間で合計7つのセッションに、メルケル独首相、キャメロン英首相、クリントン米国務長官、パン・ギムン国連事務総長、イワノフ露副首相、ラスムセンNATO事務総長、カルザイ・アフガニスタン大統領等の参加を得て、金融危機の影響、欧州安全保障、核軍縮・不拡散、サイバー・セキュリティ、エジプト・チュニジア情勢、アフガニスタン問題等のテーマにつき活発な議論が行われた。

(2)本年の会議は、特に会議のマージンにおいて、米ロ間の新START条約批准書の交換が行われたことが注目を集めた。新START条約は核軍縮上の大きな動きであり、唯一の被爆国として、核のない世界を目指す我が国にとっても歓迎すべきことである。本会議において、クリントン米国務長官より米ロ間において新START条約の批准書が交換される旨言及されたことを受け、松本副大臣より、同条約が発効したことを歓迎、両国政府の努力を高く評価するとともに、その他の核兵器保有国の参加を呼びかけ、我が国としても引き続き「核兵器のない世界」に向けて一層の主導的役割を果たしていく考えであることを発言した。

(3)また、最近エジプト、チュニジア等のアラブ世界の各地において続けて発生している大規模デモについて、会議の議論が集中した。このような動きに対してどう対応すべきかとの問題提起については、多くの指導者から、国際社会はエジプト国民の民意を最大限尊重すべきであるとの意思が表明されたほか、人々の正当な期待にそれぞれの体制側が応えるように促すべきではないか、選挙を実施することだけが民主主義というわけではなく少数派の権利の尊重、報道の自由も重要な民主主義の要素である等の指摘がなされた。

(4)一方、今回の会議では、世界金融危機やサイバー・セキュリティなどこれまでの同会議では取り上げられることのなかった新しい安全保障への脅威が議題として取り上げられ、各国より外相、国防相だけでなく、財務相や内務相も出席し、活発な議論が行われた。金融危機がもたらした影響として、各国が国防費削減を余儀なくされているとの指摘があり、安易な国防費の削減が各地域の安定におよぼす影響について警鐘が鳴らされた。

2.会議における我が国の対応

 松本外務副大臣は、「グローバルレベル及び地域レベルにおける安全保障問題」のセッションにおいて、東アジアの安全保障環境や我が国の安全保障政策について発言を行った。その中で、成長センターとしてのアジアの重要性と不安定性を説明し、欧州諸国に対して欧州とアジア太平洋地域の安全保障は不可分であることを訴えるスピーチを行った。これに対し、ヴェスターヴェレ独外相より、副大臣の発言を評価しつつ、欧州としてもアジアの状況を常に意識すべきであるとして、北朝鮮の問題等も国連で取り上げられれば考えるが、普段から考えておくべき問題であると述べた。また、我が国のアフガニスタン支援、軍縮分野における多大な貢献に感謝する旨の応答を行った。また、数名の有識者より、今後もミュンヘン会議においてアジアを議題に取り上げるべきである旨の意見が聞かれた。

3.要人との会談

 松本副大臣は、滞在中、メノン・インド国家安全保障顧問、ホイヤー・ドイツ外務省国務大臣、テオ・チーヒン・シンガポール副首相兼国防相、ルジェロ米アフガニスタン・パキスタン担当特使と会談を行ったほか、レセプションの機会等に多くの各国要人と立ち話を行った。
 インドのメノン国家安全保障顧問との間の会談においては、二国間関係について協議するとともに、国連安保理改革においてG4において協力し、今会期中に具体的成果を得られるよう目指していくことで意見が一致した。
 ドイツのホイヤー外務省国務大臣とは、本年、日独交流150周年にあたることから、あらゆるレベルでの交流を促進していくことで意見が一致した。また、日EU・EPAの交渉開始に向けて、双方で努力していこうと松本副大臣が述べたのに対し、先方は自由な貿易の構築に向けて協力していきたいと述べた。国連安保理改革については、G4で今会期中に具体的成果が得られるよう協力を行っていくことで意見が一致した。
 シンガポールのテオ・チーヒン副首相兼国防相とは、拡大ASEAN国防相会合における二国間の防衛協力・交流について協力を強化していくことで意見が一致した。また、我が国が東アジアにおいて重要な役割を果たすことを期待する旨述べるとともに、我が国の安保理常任理事国入りを支持する旨表明した。更に海上の安全保障について、協力していくことで意見が一致した。
 米国のルジェロ特使との会談では、米側より、我が国のこれまでのアフガニスタン支援に関する関与を評価するとともに、オバマ大統領の昨年の見直しにあるとおり、今後は軍事的取組みから外交・政治的取組みが重要になる、アフガニスタンの将来について、日米の間で緊密に連携していきたい旨述べた。これに対し、副大臣より、50億ドルのコミット及び昨年補正予算において5.4億ドルを計上したことを紹介した。両者は今後も連携しながら更に関与を続けていくことで一致した。

4.ヤングリーダーズ会合への出席

 また、松本副大臣は、同会議に並行して開催されているドイツの財団主催で欧州・中東諸国の若手有識者約30名で構成されるヤングリーダーズ会合に出席し、北朝鮮問題を含む東アジアの安全保障環境について説明するとともに、それに対する我が国の政策について、先般発表された新しい防衛大綱や日米協力の強化について説明した。ヤングリーダーズ側よりは、中国情勢および日中関係の現状、核に対する我が国の立場について質問が出された。

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