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付属文書J IYCC対応状況報告書からの抜粋


 本付属文書は、「Y2K:影響の程度および原子力とY2K」全文と「Y2Kへの対応:国際的対応状況」からの抜粋を含むものである。

Y2K:影響の程度
ブルース・W・マッコネル
国際Y2K協力センター所長(注1)1999年9月22日(Day 100)

 世界が年末に近付くに連れて、公益責任者は、単純な予告を考慮すべきである。Y2Kに起因する日常生活への影響は複雑で、一時的なものよりむしろ、慢性的なものになろう。

インフラは崩壊しない

 Y2Kの特徴は第一に、不確実性である。各団体のY2K対応に関する信頼できる公開情報(修正および機器管理計画に関する詳細を含む)へのニーズは週ごとに高まっている。残念ながら、重要な地球規模のインフラへのY2K問題の影響への現時点における公的予測は単純化の傾向がある。(注2)Y2Kが重要インフラに対していかなる影響を及ぼすか知っている者はいないが、市民および公益機関のY2K問題に対しての適切な対応準備を保証する責任者は、表面をも内面をも精査し、Y2Kによる誤作動の実際に意味することを理解しなければならない。
 現代生活は、電気通信と電力という2つのインフラに依存している。「電話が通じていれば」および「電力がまだ通じていれば」ということは、Y2K対応の言葉の2つも最も一般的な前置きである。事実、電気通信および電力においては、そのような「2元的」な(オンかオフかといった)サービスの中断は極めて可能性が低い。音声およびデ-タ-通信を開始、完了する、また発電および電力供給の核となるシステムは、日付けの影響を受けないためY2K問題をほとんど免れる。少なくとも、これらの核となるシステムは、重複する部分が多いため、Y2K問題に十分な抵抗力がある。(注3)年明けの最初の数時間、照明および電話は、引き続き平常通り機能することはほぼ確実である。

誤りが拡がれば混乱を引き起こす

 よくある誤認は、Y2K問題は新年に入るや否や、地域に限定されたのサービス停止を引き起こすのではないかという考え方である。この考え方は、一つにはY2Kを第一にテクノロジ-上の問題と見なすことに起因する。このような考え方はテクノロジーの故障は、どこでも地域限定で発生するという見方を強調する。現実には、最も深刻なY2Kリスクは地域に限定されたテクノロジーの故障ではなく、共に現代社会を機能させ、効率的にしている電子機器、手続き、人員、および団体間の連携に機能低下をきたすことである。

 電子機器、自動通話管理システム、さらには顧客サービスエージェント、故障対応業者およびユーザーを含む電気通信システムは、その象徴的なものである。通話の停止のリスクは最小限度にとどめられるが、同システムの電子的な部分は料金勘定および管理システムにおいてすでに分かっているY2Kの問題点を含んでいる。修正していない料金勘定システムは、「料金未納」の警告等、過った明細書の作成につながる。修正していない管理システムは日付けの誤った故障報告を受領することになり、修理の遅延や誤ったネットワーク状況に関する情報を流すことにつながる。これらの弱点のいずれも電気通信網の「停止」の原因とはならない。しかし両方の場合において、手動でその問題を解決することが要求される。例えば、未納警告はサービス・オーダーの停止を引き起こし、顧客サービスエージェントによる処理が必要となる。同様に、誤ったトラブルの警告が発せられた場合、保守要員による手動での日付け変更が必要となる。両方の場合、これらの問題発生量が、電話会社の対応能力を超えた場合、処理されない残務が発生する。これにより不満な加入者からの電話の殺到より、会社の能力をさらに縛ることになる。この状態が複合的に重なると、電気通信のシステムの機能全体が--すなわちサービスのレベルが--数日から数週間にわたって低下する。
 発電および電力供給においても、トラブル発生の場合同様な経過を辿ることが予想される。遠隔端末装置が未修正の場合、各地域における電圧の状態および通常の(すなわちY2Kに起因するものではない)回路短絡に関する誤った日付けの情報が中央の制御システムに送信される。これらの制御システムは誤った判断および状況に関する情報を発生または受信し、状況の人的判断または手動操作への切り替えの要請を行う者が出て来る。そういった問題の発生件数および要員のそのような状況への対応の受け入れ態勢によって、ネットワーク防御機能の停止を含むネットワーク機能が不安定になる。ここで再び、「機能停止」は一時的ではなく、より慢性的であるように思われ、問題がシステムの対応能力を超えて複合的に増加するため、長期化する。

 電気通信および電力の両者の場合、各問題の発生源およびその原因の修正を行うことは時間を要するものと思われ、さらに供給者の能力を酷使することになる。日付け移行から数日間、能力--すなわち熟練した要員および時間--の不足が経営者の第1の克服すべき課題である。

金融においては人員が最大のリスク源である

 金融分野(銀行、証券および保険)はY2K対応が最も進んだ分野であると異義なく認められている。この分野のシステムは日付けに大きく依存するため、このことは結構なことである。この分野においては、未修正のシステムは、電気通信および電力分野における場合と同様の顧客サービス上のの過負荷および煩雑な管理情報を引き起こす恐れがある。しかし、この分野のシステムの対応が高いレベルに達していることから、金融分野に起こりうるY2K問題発生源は異なるものと思われる。

 顧客の行動によっては電気通信および電力分野におけるY2K問題が複雑化する恐れがある一方、(注4)金融分野においては顧客の信用が平常通りの営業継続に不可欠である。国際金融ネットワークは電子的に連結された各金融機関、中央銀行、規制および運営手続き、および企業や国家等の顧客により構成されている。金融ネットワークは流動性、すなわち国境を超えての障害のない資金の電子的流動が原動力となっている。

 これから来るべき数週間、国際金融市場に参加する者(個人、企業、経済)はY2Kリスク軽減する努力を行うことになる。Y2Kリスクが高いと思われる国における自らの危険度を評価する際に、投資家は信用引き締めまたは投資削減によりリスク軽減を図ることができる。このような反応を回避するために、より多くの国家が、自国に投資している人達に対して、信頼できるY2K対応情報を公開している。(注5) 国際的資金の流れにおける変化および遅延の影響を受けやすい、よりぜい弱な経済圏においては、この種の透明度が上昇しなければならない。

 事実関係の公表による信用引き上げの努力にもかかわらず、一部の個人および団体は、自ら認識されるリスクを減らしている。特定の経済圏への参加度合いを現象したり、または物資や資本のストックを増加するというこれらの行動は、共に実施すれば、流動性を疎外し、国際金融システムの機能を低下させることになる。市場は、年末の流動性が減少することをすでに見越して、年末の資本コストを上昇させている。さらに、国際金融界は適切な国際的流動性を確保するために努力している。(注6)

 このような効果の程度は、ほとんど全面的に、リスクに対する一般社会の認識および状況は統制されているという意識の程度によるものである。一般社会に対してY2Kへの適切な対応を奨励することは、これからの100日間の最大の努力課題であり、この目的を達成する唯一の道は、一般社会に対して、何がなされてきたか、いかに準備するか、何が予想されるかに関して通常の方法で正直に情報を伝えることである。

政府が中心である

 人々は、社会福祉給付、警察による保護および国防に関しては政府の制度に依存している。これらのシステムの対応準備は、一般社会のがこれらにどの程度の状態で機能するかに対する期待度同様に、大きく異なる。最低でも、各地方自治体および中央政府はそれぞれの社会に対して各システムがどの程度の状態で機能するかについて情報を伝え、各危機管理計画について概ね説明すべきである。誤作動が、軍指令、統括および警告システムおよび消防、警察の緊急システムを含む保健および公安に直ちに影響を及ぼすシステムに対して、政府は特段の責任を有している。最も重要な政府のシステムに関しては、停止は許されない。(注7)

連結されたインフラはその影響を発信する

 各重要インフラは、電子機器、手続き、組織、人員の連結された関係が一体となったものであり、機能低下の影響を受けやすい。例えば航空管制システムは、安全第一で運用されている。安全保障の一つの方法は、詳細な手動バックアップ手続きを確立し、その内容を周知徹底することである。しかし手動操作は航空機間の間隔をより大きくとる必要があり、便数を削減し、通常より多い航空機が地上待機を余儀なくされる。ほとんどの路線において新年の土日の便数は少ないと予想されるが、手動操作が平日にまでずれ込んだ場合、便数が少なくなり、旅客および物資輸送に遅延が生じる。さらに、各地で通常より多い航空機を地上で駐機を余儀なくされることによる空港の混雑につながり、さらなる便の遅延の原因となる。こういった状態は余分の人員による管理が必要となる。

 今日の供給網は、広範にわたる複雑な国際コンピューター・ネットワークである。海運分野においては、港湾または船舶の機能低下も、同様の未処理残務および遅延の原因となる。この分野固有の問題に加えて、海運業者はあらたな乗務員を港湾に派遣するのに航空会社に依存している。航空会社の輸送力が低下すると、船舶も定時運航が確保できなくなる可能性がある。(注8)

 他の不確定要素が、混乱に拍車をかける恐れがある。「修正済み」とされたシステムでのY2K問題の見落とし、Y2K修正作業そのものの誤り、Y2Kの影響を真似たコンピューターウィルス、さらに未試験の危機管理計画は、復旧作業を予想より遅らせることになりかねない。人々は最後まで個人的な対策をとらないことが予想され、日付け移行前におよび地域に限定された不足を引き起こすことになりかねない。(注9)これらの慢性的な効果に加えて、短期的な深刻な非常事態の危険性がある。しかし、この危険性は日々存在している。環境を害する毒物の流出、産業事故、ダムの故障、政治的不安定、および戦争は常に地球上の生活を混乱に陥れている。Y2Kを、そういった混乱を防御するテクノロジーおよび各組織の対応能力の両方にとって、危険性を増す原因であると見ている人がいる。他方で、日付け移行期間の用心および意識が、このリスク増加を補うものと主張している人もいる。(注10)

 単純で地域に限定された停止以上のトラブルの図式が浮かび上がってきた。発生すると予測できることは、インフラの機能低下および消費者マインドの落ち込みにの複合より能力が低下することによる商業の失速に拍車が掛かることである。影響を受けたインフラまたはその期間の観点で失速が大幅である程度まで、収支がギリギリの企業および経済圏の活動は被害を受け、その投資家の保有有価証券も影響を受けることになる。こうした種々の相互作用の影響の大きさはその性格上予想できず、計画立案者は、日常生活の混乱がより広範で長期化することに対応できる必要がある。Y2K以外の要素によって発生する恐れのある機能低下は、一つのインフラから他のインフラへと連鎖的に拡がる恐れがある。(注11)

我々の取り組みは無駄ではない

 幸い、数億ドルの資金が、システム修正、試験、さらにはシステム停止の場合の計画立案およびその計画の試験に投入されてきた。この取り組みは、特に試験を行った場合において、Y2Kの影響を著しく減ずるものである。しかし、修正、計画、試験以上のものがある。Y2Kの取り組みがおこなわれてきた得意の方法は、インフラの復旧能力をさらに改善することとなった。Y2Kにより、自らのシステムと利害がいかに相互接続しているかを理解している世界中の人々の前例のないネットワークを構築する結果となった。情報共有および集団的行動のためのこれらのパートナーシップは、立てにも横にもつながっている。(注12)
 地球規模のY2Kチームが日付け移行中およびその後にも対応態勢にあり、情報共有、相互支援および援助ができる態勢になる。

影響は対応および環境によって緩和される

 これらすべての熱心な取り組みに加えて、Y2Kによる潜在的被害は対応および環境という2つの環境的要素によって緩和される。対応とは、「必要は発明の母」という格言があるように、なすことである。人々は、例外的で苦難の多い状況において貯えに依存し、Y2Kによる緊急事態において必要または指導により駆り立てられた場合は、そうするであろう。危機に対応する能力の向上は環境によって補強される。環境とは一般的な日常生活である。ほとんどの社会において、重要なインフラの機能の変化は一般的なもので、時折停止することは想定され生活はそのまま継続する。

 確かに、例外がカギとなる。例えば多くの米国人は、電力会社が新年に電力供給を保証しないことを聞いた場合に不安になる。しかしながら、誰かが電力供給が保障されている日などないことを指摘すると、その懸念は毎日の環境の中に組み入れられる。米国においては、現金自動支払い機(ATM)の約2パーセントが毎日、定期点検または故障のために停止している。Y2Kによる停止が日常生活の環境に組み入れられる限りにおいては、対応、および平静を保つ可能性は高くなる。

政策および計画の結果

 影響が短期的であるよりも慢性的--すなわち広範で長期にわたる場合は6つの行動が提案される。

 1. 各組織は、日付け移行期間の予想されるサービスのレベルおよび要員に関して情 報公開すべきである。(注13)
 2. 各分野は、情報共有および部分的、一時的に混乱した部分を孤立させることによ りトラブルが他のインフラへ拡大を防止する態勢を整えるべきである。
 3. 重要なサービス提供者は、日付け移行時およびその後の一定期間顧客サービスお よびマネージメントスタッフの配置を拡大すべきである。
 4. 各Y2K危機管理センターは、数日間ではなく数週間にわたって操業する計画を立 てるべきである。
 5. 公益期間は、あらゆる事態を想定した明確な計画を立てるべきである。
 6. 政府および他の投資家は、より複雑な影響想定に基づいて各国の対応状況に関す る不確定要素へ過剰反応しないようにすべきであり、むしろ自らの国際的パートナー の長期的成功を促進する計画を立てるべきである。

地球規模の危機管理計画

 最初に新千年紀への移行を経験するNPPはロシア東部(グリニッジ標準時プラス12時間)のものであり、続いて日本および韓国(GMTプラス9時間)、中国および台湾(GMTプラス8時間)の順で、米国西部(GMTマイナス8時間)が、日付け移行を経験する最後の地域となる。各国政府および各原発は、新千年紀への移行監視を行うことになる。例えばエレクトリシテ・ド・フランスは、日付け移行時に通常の2倍の職員を勤務に就かせる。

 IAEAは、各加盟国での日付け移行の後に連絡を確認するという、通常に比べてより厳重な警告および非常事態通告システムを取る。さらに経済協力開発機構(OECD)の原子力エネルギ-機関および米国原子力規制委員会はY2K早期警告システム(YEWS) http://www.nrc.gov/IP/Y2K/yewsfaq.htm YEWSは原子力規制を行う当局者に対して、日付け移行時における原子力施設運転状況、各地のケーブル地下敷設網の安定状況および電気通信の状況に関する情報共有をできるようにした。これまでに33カ国がYEWSの取り組みに参加した。参加各国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギーブラジル、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、イスラエル、日本、リトアニア、韓国、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スロバニア、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、英国および、YEWS活動の中心的役割を果たすことになる米国を含む。

追加情報

 残念ながら、原子力エネルギ-分野におけるY2K対応状況に関する公開情報はどちらかというと限られている。有益な情報源は、経済協力開発機構(OECD)の原子力エネルギ-機関(NEA)(http://www.nea.fr)、IAEAのワールドアトム http://www.iaea.org/worldatom/program/y2k/ 等である。各国のサイトはロシア連邦 http://hp.x-atom.ru/year200 インドhttp://www.dae.gov.in/y2kdae.htm フランス http://www.edf.fr/html/fr/an_2000/index.html 米国原子力規制委員会(NRC) http://nrc.go
 より一般的な原子力安全情報は国際原子力安全センター(INSC)http://www.insc.anl.gov/plantsへアクセスされたし。



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