欧州を中心とする東西関係

外 交 青 書

わが外交の近況

 

1990年版(第34号)

 

 

外務省

 

1990年版外交青書の刊行にあたって

 

 この1年の間に、国際情勢は誰もが予想しなかった速さで急激に変化いたしました。ソ連や東欧諸国の改革の動き、米ソ関係を中心とする東西関係の変化、イラクによるクウェイト侵攻、さらには保護主義の高まりと自由貿易体制の強化のための努力などは、戦後の国際秩序の構造そのものに重大な変化を与えるものであります。

 このような歴史的転換期に当たって、国際秩序の主要な担い手のーつとなったわが国の責任と役割はますます大きくなっております。

 国際的な相互依存関係も深まり、内政と外交の一体化が進んでいる中にあって、国の外交政策は国民生活とますますかかわり合いを深めております。また、わが国と国際社会との接点において国民お一人お一人が果たされる役割もますます大きなものになっております。

 その意味で、わが国が国際的な責任を果たすために積極的な外交を推進するに当たっては、国民の皆様のご理解とご協力がますます必要となっております。

 ここに刊行いたします外交青書が、国際情勢と国の外交活動に対する国民の皆様のご理解を深めるための一助となれば、幸いに存じます。

1990年10月

外務大臣 中山 太郎

 

本書の構成

 

 本書は、わが国の国際情勢に対する認識及びわが国が行ってきた外交活動の概要について、1989年8月から90年7月までの期間を中心にとりまとめたものである。本書は全4章から成り、さらに資料、付表、年表等を収録している。

 第1章では、この1年間の国際社会の変化の概観とわが国の外交課題について記述している。第2章では、新しい国際秩序を構築するに際して世界が直面している課題とその克服のためにわが国が果たすべき役割についてテーマ別に説明している。第3章では、世界の各地域における情勢の推移とわが国の外交活動について記述している。第4章では、わが国の外交を支える外交体制について説明している。

目 次

第1章 国際社会の変化とわが国の外交課題

第1節 戦後の国際秩序の構造的変化

第2節 わが国の外交課題

第2章 新しい国際秩序の構築のための課題とわが国の役割

第1節 国際政治・安全保障面の動向と平和のための協力

第2節 国際経済・科学技術面の動向と繁栄のための協力

第3節 地球的規模の問題への対応

第4節 国連等の国際機関の役割とわが国の協力

第5節 国際社会と日本

第3章 各地域情勢及びわが国との関係

第1節 アジア・大洋州

第2節 北米

第3節 欧州

第4節 ソ連

第5節 中南米

第6節 中近東

第7節 アフリカ

第4章 外交体制

I 資料

1. 国会における内閣総理大臣及び外務大臣の演説

2. わが国の行った主要演説等

3. 日本国政府が締結し、1989年8月~90年7月の間に発効した主な二国間及び多数国間条約・国際条約

4. 日本国政府が関与した主要な共同コミュニケ等

5. 国際文化交流行動計画(骨子)

II 付表

III 年表

IV 外務省機構図