昭和57年版「わが外交の近況」の刊行にあたって
不安定化の様相を示す東西関係,世界各地で頻発する紛争,保護主義の圧力が増大する世界経済等,我が国を取り巻く情勢には依然として厳しいものがあります。
このような状況において,最近の主要国首脳会議の例を見るまでもなく,世界各国では,今日自由世界第2位の経済力を有し,現に世界の諸情勢に少なからざる影響を及ぼすに至っている我が国が,世界の平和と安定のためにいかなる貢献と役割を果たし,また,果たそうとしているのかに多大の期待と関心を抱いています。
我が国としては,単にこのような諸外国の期待に対応していくという受身の姿勢ではなく,時には苦痛と犠牲を伴うことも覚悟の上で,自ら世界の平和と繁栄のために積極的に貢献していくという姿勢が必要であると考えます。
また,国際社会における相互依存関係が深まった今日,諸外国における事象及びこれに対する我が国の対応は,直ちに国民生活の隅々に影響を及ぼし,外交と内政は,相互に密接に関連する状況がとみに強くなっています。こうした中で,国民一人一人が我が国社会の国際化について,改めてその認識を新たにし,諸外国との摩擦を最小限にとどめ,真の相互理解に基づいた友好関係を築いていく努力を怠ってはなりません。
国際情勢が多難な折,平和外交に徹する我が国は,全国民の英知を結集して世界の平和と安定への進路を積極的に切り開いていかねばなりません。本書が,国民各位の我が外交に対する御理解を得る一助となれば幸いです。
昭和57年9月
外務大臣 櫻 内 義 雄
本書は,世界の情勢と我が国が行った外交活動の概要を1981年1月から82年3月に至る期間を中心に取りまとめたものである。本書は,第1部総説,第2部各説及び第3部資料編から成り,資料編には資料,統計類及び年表を収録している。
第1部総説では,第1章において我が外交の基本的課題について述べ,第2章では1981年を中心とした世界の主要な動きを概観し,更に,第3章では同時期において我が国が行った主要な外交努力を説明している。
第2部各説では,まず世界の諸地域ないし諸国の情勢及び我が国とこれらの諸地域・国との関係について述べ,次に我が国の関係する重要な国際的問題について事項別に具体的に説明している。
第1部 総説
第2部 各説
第1章 各国の情勢及び我が国とこれら諸国との関係
第2章 国際経済関係
第3章 経済協力の現況
第4章 国連における活動とその他の国際協力
第5章 文化交流及び報道・広報活動
第6章 邦人の渡航と保護・援助
第7章 その他の活動
第3部 資料編