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アジア欧州会合(ASEM)第6回外相会合
2004年4月17―18日、アイルランド、キルデア
議長声明(仮訳)




アジア欧州会合第6回外相会合(ASEM・FMM6)は、2004年4月17―18日、アイルランドのキルデアで開催された。会合には、アジア側10か国、欧州側15か国の外相及び欧州委員会対外関係担当委員が出席した。ブライアン・カーウェン・アイルランド外相が議長を務めた。

外相は、アジア欧州協力枠組み2000(AECF2000)の中で記されているASEM首脳会合の原則に従い、様々な共通の関心事項について包括的で有意義な議論を行った。

「効果的な多国間主義に基づき如何に国際秩序を維持することが出来るか」という大きなテーマの下で、外相は、テロリズム、紛争予防、国連の中心的役割、朝鮮半島、アフガニスタン、イラク、中東和平プロセス及び大量破壊兵器の不拡散について意見を交換した。外相は、異なる形をとるグローバル化の影響、世界貿易機関の枠組みで行われている交渉、持続可能な世界規模の開発を確保する必要性、文化と文明の間の対話、及び国際的な公衆衛生についても議論し、特に以下のとおり合意した。

多国間主義
外相は、強化された多国間主義に基づき世界秩序を如何に維持するかにつき議論した。外相は、脅威と課題に効果的に立ち向かうために、強力な国連システムが必要であることに合意した。外相は、別途、多国間主義に関するASEM宣言に合意した。(別添参照)。

大量破壊兵器の不拡散
外相は、前回のバリ島でのASEM第5回外相会合で合意された大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散防止に関するASEM政治宣言を想起した。外相は、大量破壊兵器の拡散が主要な国際的脅威であり、国際社会による適切かつ断固たる対応が必要であることを再確認した。外相は、多国間枠組、輸出管理及び国際協力が促進されるべきであることに合意した。外相は、輸出管理が平和目的のための物質、機材及び技術に関する協力と支援を妨げるべきではないことに合意した。外相は、この分野における国連の強化された役割への支持を表明し、大量破壊兵器の拡散防止を目指す具体的措置を履行する必要があることを強調した。

テロリズム
外相は、あらゆる形態のテロリズムが依然として世界の安定に対する深刻な脅威であることを強調した。外相は、先般のマドリードにおける爆弾事件と人命の喪失、及び他のあらゆる場所での最近のテロ攻撃を一致して非難した。外相は、テロリズムと闘うための全体的な戦略を強化し、反テロリズム協力を進めることを目指して欧州連合が最近採択した措置について議論し、留意した。外相は、欧州連合がテロリズムとの闘いにおいて第三国と効果的かつ実際的な協力を確保するという意図を再確認したことを歓迎した。

外相は、テロリズムは連帯と集団行動によってのみ打ち破られることに留意し、あらゆる形態のテロリズムと闘うために、テロリズムの根本原因に速やかに対処することを含め、その手段と能力の範囲内で出来る限りのことを行うことを誓った。外相は、国連の重要な役割を強調し、全ての国連安全保障理事会決議と、国連テロ関連防止条約及び議定書への普遍的な参加と完全な履行を確保するために取り組むことに合意した。外相は、テロリズムとの闘いにおける全ての行動は、国連憲章の規定及び国連安全保障理事会決議1373(2001)で定められた義務に従ってとられなければならないことを認識した。

外相は、特に以下の重要分野における地域的な協力を追求し、強化する必要があることに合意した。
  • テロリストによる資金源その他の経済的資源へのアクセスを減じる。
  • 国際交通の安全を保護し、効果的な国境管理制度を確保する。
  • テロリズムへの支援と参加を助長する要因に取り組む。
  • 法執行機関の能力構築を強化する。
外相は、2003年9月に北京で開催された反テロリズムに関するASEMセミナーの結果を歓迎し、承認した。外相は、2004年10月にドイツで開かれる次回セミナーへの期待を表明した。

外相は、法の支配を尊重しつつ、テロリスト組織の資金源に対して引き続き強い行動がとられねばならないことに合意し、テロリズムの資金に対して闘いを強化するために、この重要な課題についてASEMの中で議論を続けることを求めた。外相は、2003年10月30―31日にドイツで開催された資金洗浄との闘いに関するASEMセミナーの結果を歓迎した。外相は、ASEMの反資金洗浄事業への支持を再確認した。

外相は、最近の地域的なイニシアチブ、特にASEAN地域フォーラム(ARF)及びASEAN+3の枠組みでのイニシアチブと、2004年2月にバリ島で開催されたテロ対策閣僚会議の結果を評価した。

外相は、全ての反テロ対策は、人権と基本的自由の尊重を含む国連憲章及び国際法の原則に基づく枠組みの中でとられる必要があることを強調した。外相は、テロリズム対策の分野での、ASEM参加国間の全ての協力を歓迎した。

朝鮮半島
外相は、第2回六者会合の前向きな結果を歓迎し、全体会合の準備のための作業部会を設置し第3回会合を6月末までに開催しようとする関係国の努力を支持し、次回会合が更なる実質的進展を見ることへの期待を表明した。

外相は、朝鮮半島と地域全体の平和と安定の維持のために、関係各者による朝鮮半島の非核化へ向けたコミットメント、及び、相互尊重と平等な立場での協議の精神に基づき、対話を通じて核問題を平和裡に解決することに向けた関係各者によるコミットメントへの支持を再確認した。外相は関係各者に対し、引き続き、核問題に取り組むため調整された措置をとると共に、全ての関連する懸念に取り組むことを慫慂した。ASEM外相は、適当な方法でこのプロセスに寄与する意思があることを再確認した。

外相は、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の間の対話と協力の進展に満足の意をもって留意し、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の間の更なる対話と協力への支持を確認した。

イラク
ASEM外相は、出来るだけ早くイラク国民へ主権を返還することへの支持を表明した。外相は、悪化しつつあるイラクの治安状況に関して議論し、暴力の激増を嘆いた。外相は、このような暴力が全てのイラクの機構に対する秩序ある主権の委譲を妨げていることに留意した。外相は、民間人の生命の喪失と人質事件によるものを含め、現在生じている人々の苦痛に対し深い懸念を表明した。外相は、責任者達に対し、残る全ての人質を直ちに無事に解放し、今後このような活動を止めることを要求した。外相は、全ての者に対し、民間人の犠牲及び財産への被害、特に宗教的、文化的史跡に対する被害を避けるよう求めた。外相は、イラクにおいて国際的な人権及び人道法を完全に尊重する必要があることを強調した。

外相は、包括的な方法で全ての当事者を関与させた、イラクの主権の回復に向けた政治プロセスの重要性を強調した。この文脈で、外相は、国連事務総長特使ラフダル・ブラヒミ氏のイラク訪問を歓迎し、政治移行プロセス、特に6月30日の暫定政権への主権委譲及び2005年1月末前の国民議会選挙の実施における、より直接的な国連の役割を強く支持した。

外相は、イラクの復興と復旧を支援するための国際的な協力の重要性も強調した。

中東和平プロセス
外相は、中東和平プロセスの情勢について検討した。外相は、存続可能で隣接する主権独立のパレスチナ国家が、認められた安全な国境の中で、イスラエルと隣同士で平和裡に存在する結果を生むこととなる、当事者間で交渉され合意される二国家解決策に対する外相達のコミットメントを強調した。外相は、「ロード・マップ」がそのような結果を達成するための唯一の道を示していることに合意した。

外相は、国境及び難民問題を含む最終的な地位の問題は、安全保障理事会決議242及び338に従って当事者間の交渉を通じて解決されねばならず、予断されてはならないことを強調した。

外相は、両当事者に対し、これ以上遅滞させることなく和平プロセス交渉を再開するよう求めた。

外相は、報復的な暴力の悪循環が続くことに懸念を表明した。外相は、昨日のイスラエル軍によるハマスの指導者アブデル・アジズ・アル・ランティーシ氏の暗殺及びその前にあった自爆攻撃を非難した。外相は、このような暴力を直ちに停止することを求めると共に、イスラエル政府に対し、超法規的殺害は国際法に反することを想起させた。外相は、両当事者に対し、これ以上の暴力行為を控えることを促した。

外相は、パレスチナ占領地区における人道状況への取り組みが緊急且つ継続的に必要であることを指摘し、ASEM参加国がこの点で引き続き貢献する用意があることを強調した。

WTO-ドーハ開発アジェンダ
外相は、現在ジュネーブで行われているドーハ交渉に進展が見られることを、満足の意をもって留意した。外相は、公正で均衡のとれた成果に達するために、WTO加盟国が積極的に交渉に取り組む必要性を強調した。

持続可能な開発
外相は、グローバル・コミュニティー全体の利益のための持続可能な開発の達成は、欧州連合とアジアの間の対話と協力にとって相当の余地がある分野であることに合意した。開発援助の主要援助国であるASEM参加国は、貿易及び経済協力促進のために地域統合の利益を利用した経験も踏まえ、特に最貧国の恩恵のために、ミレニアム開発目標の達成を支持するべく、その役割を果たすべきである。

文化と文明の対話
外相は、文化と文明に関する対話が国際の平和と安定の重要な一部であることに合意した。外相は、2003年12月に開催された文化と文明に関する北京会議を歓迎し、会議で採択されたガイドラインを再確認した。外相は、2005年に次回のASEM文化と文明に関する会議を主催するというフランスの提案、及び2004年にマレーシアが開催する準備会議を歓迎した。外相は、ユネスコでの文化多様性条約の草案準備の進捗を歓迎した。

外相は、対話の進展を目指してASEM参加国によってとられたイニシアチブの成功に留意し、また、より深い文化間の理解を育むために一層の行動が必要なことにも合意した。アジア欧州財団(ASEF)の枠組みで行われるものを含め、文化間の対話は、対話と相互理解の向上のための環境に資するであろう。イニシアチブは、例えば、ASEM参加国において世論に影響を与えることが出来ると見られる精選された知識層、シンク・タンク、宗教指導者を対象として検討されるべきである。外相は、全ての参加国に対し異なる信仰間の交流の環境醸成に寄与するよう促すことに合意した。

外相は、特にアジア欧州間の高等教育の協力と交流を強化する必要があることに合意し、2003年11月に日本のつくば市で開催されたASEM教育交流シンポジウムの結果とフォローアップ措置を歓迎した。外相は、ASEM・DUOフェローシップ・プログラムの成果に満足の意を表明し、より多くのASEM参加国がこのプログラムに寄与するよう求めた。

アジア欧州財団(ASEF)
外相は、ASEFの将来の戦略と長期的な財政の安定に関して更なる選択肢とシナリオを提案するため、ASEF理事会とASEM高級実務者に提出されるコンサルタント調査(欧州委員会からの資金提供による)に留意した。この調査を含む全ての利用可能な資料を踏まえ、外相はASEF理事会に対し、ASEFの将来に関する提案をASEM高級実務者会合に提出し、ハノイ首脳会合への提出前に検討と承認を求めるよう要請した。

国際的な公衆衛生
外相は、HIV/エイズ、SARS及び鳥インフルエンザのような感染症対策を継続する決意を再確認した。外相は、疾病の発生と将来の同様の脅威を効果的に封じ込めるためには、政府、地域社会及び経済界の間での、より緊密な協力が重要であることを認識した。

外相は、国際的な伝染病が公衆衛生、経済及び国家の安全に及ぼす脅威を認識した。外相は、国際的な伝染病の抑制を目指した協力、特に、緊急公衆衛生管理に関するASEMセミナーを歓迎し、ASEM高級実務者会合と調整国に対し、国際的な伝染病の抑制に関する専門家会議を含め、この分野での具体的なイニシアチブの策定を指示した。特に、外相は、国連エイズ特別総会の際に発出された政治宣言の履行への決意を再確認した。

移民
外相は、人の密輸その他の違法な移民によってもたらされる、人間の生命と尊厳に対する脅威に立ち向かうため、移民問題に関する協力を強化する必要があること、及び、そのような移民の根本原因を探り、合法移民の受け入れ社会への円滑な統合を確かにする必要があることを認識した。

ASEM新規参加問題
外相は、ASEM新規参加問題について掘り下げた議論を行い、進展が見られたと結論付けた。外相は、高級実務者会合に対し、進展を見守り、適当な段階で報告を行うよう指示した。

ミャンマー
外相は、5月17日に国民会議を開催するというミャンマー政府の決定を、国民和解プロセスにおける肯定的な進展として歓迎した。外相は、民主化及び国民和解のプロセスを支援する国連事務総長特使ラザリ・イスマイル氏による努力を引き続き支持することを誓った。外相は、ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者パウロ・セルジオ・ピネイロ氏による国連人権委員会に対する2004年3月26日の報告に留意し、ミャンマー当局がピネイロ氏の次回の訪問に原則的に合意したとの同氏の確認を歓迎した。

外相は、ミャンマー政府のバンコク・プロセスへの参加に留意した。外相は、未だに残っているアウン・サン・スー・チー女史及びNLDに課された制限を速やかに解除することへの期待を表明した。外相は、ASEM参加国が、国民和解を実現させようとするミャンマー政府の努力に対し、人道支援を含めて支援を行う用意があること、及び、民主化と国民和解に向けたロード・マップの下での具体的な進展に応じるべく役割を果たす用意があることに留意した。

ASEMの将来
外相は、欧州とアジアの対話と協力のための独特の手段であるASEMプロセスへのコミットメントを再確認した。参加国は、出席者のレベルの高さがASEMで行われている対話と協力の持つ主要な特徴であることに合意した。この観点から、参加国間でより円滑な調整を図るためには、共通の関心を持つ少数の重要な国際的かつ地球規模の問題に絞った議題が不可欠である。

外相は、2003年11月13―14日にローマで開催された非公式なブレインストーミングの高級実務者会合での議論と、4月16日の高級実務者会合の結論に留意し、ASEMの運営改革に関する高級実務者の提案に合意した。改革の目的は、ASEMプロセスが焦点を維持し、一層円滑な情報の流れによって支えられることを確保することである。外相は、ASEMの作業方法、ASEM情報ボードに関する概念ペーパー、及びASEMロゴの使用に関するガイドライン(別添)に関する高級実務者の提案を承認した。外相は、高級実務者に対し、これらの提案の効果的な履行を開始するよう指示した。

アジアと欧州のより緊密な経済パートなシップのためのタスクフォース
外相は、アジアと欧州の間のより緊密な経済パートナーシップのためのタスクフォースが現在行っている作業に関心を持って留意した。外相は、アジア債券市場の深化と強化において欧州が如何に協力できるかという内容を含め、タスクフォースの提案を受け取ることに期待を示した。外相は、ASEM参加国がASEM第5回首脳会合に提出される最終報告をフォローアップするための適当な措置及び提案を考慮できるよう、タスクフォースに対し、ASEM財務大臣会合(2004年7月6日、ブリュッセル)及びASEM経済閣僚会合(2004年9月16日―17日、ロッテルダム)での検討のために、その作業の現状に関するブリーフィングを行うよう要請した。

2004年4月16―17日のASEM高級実務者会合の勧告
外相は、2004年4月16日にキルデアで開催された高級実務者会合により提出された以下の勧告を承認した。
  • 鉄のシルクロードに関するASEMシンポジウム(2004年6月17―18日、韓国、ソウル)
  • 都市部の森林に関するASEMワークショップ(2004年10月、中国、蘇州)
現在検討中である新しいイニシアチブに関し、外相は、以下のものに関する最新の情報に留意した。
  • ASEM海洋イニシアチブ(フィリピン)
  • クリーン技術に関する欧州アジア科学技術協力ASEMワークショップ(2004年9月22日―24日、ベトナム、ハノイ)
外相は、インドネシアのバリ島で開催された前回の外相会合(FMM5)(2003年7月22日―24日)以降に開催された閣僚会合、即ち、環境大臣会合(2003年10月12―13日、イタリア、レッチェ)及びASEM文化と文明に関する会議(2003年12月3―4日、北京)の議長声明に留意した。外相は、ASEM農業協力ハイレベル会合(2003年11月12日、北京)で発出された議長声明にも留意した。外相は、これらの会合が適当な分野、今回の場合は環境、農業及び文化面での協力の分野において、地球規模の課題に多国間レベルで取り組む上でASEMが持つ価値を示すものであることに合意した。

ハノイにおけるASEM第5回首脳会合
外相は、2004年10月8―9日にハノイで開催されるASEM第5回首脳会合に向け、提案中の話題リスト及び「より緊密なASEM経済パートナーシップ」に関する宣言案を含めた準備作業に対し、満足の意をもって留意した。外相は、ASEM第5回首脳会合の主題である「アジア欧州パートナーシップの更なる再活性化と実質化」について意見交換を行い、完全に合意した。外相は、首脳会合が、平等、公平及び相互利益に基づく国際関係を発展させる上での多国間の取り組みに効果的に寄与し、ASEMにおける経済的相互作用を二つの地域が持つ潜在力に相応しい高いレベルまで向上させ、また、文化的な多様性の中に統合を強化しようとするASEMの試みに対し、更なる弾みを与えることを強く確信した。外相は、首脳会合に全首脳が出席することはASEM協力への参加国の固いコミットメントを反映するものであり、その重要性を強調した。外相は、首脳会合の準備を行うため、9月にハノイでASEM高級実務者会合を開催することに合意した。

第7回外相会合
外相は、2005年5月に日本の京都でASEM第7回外相会合を主催するという日本の提案を歓迎した。

アイルランド、キルデア
2004年4月18日、

別添


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