外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 人権・人道
人権・人道

D.第12条(児童の意見の尊重)

(a)児童の意見の尊重への考慮

121.第1回政府報告パラグラフ61・62参照。

(b)立法その他の措置

学校

122.学校において児童生徒に対し、懲戒を行う際には、当該児童生徒等から事情や意見をよく聞く機会を持つなど児童生徒等の個々の状況に十分留意し、その措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果を持つものとなるよう配慮することについて、教育委員会等に指導してきたところである。一方、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するための制度である出席停止は、児童生徒の権利・義務に直接関わる処分であることから、その適用については適正な手続を踏むことが重要であり、従来から通知において当該児童生徒や保護者の弁明を聴く機会をもつことが望ましいこと、文書の交付により行うことが適当であることなど指導してきたところである。
 また、文部科学省では、第151回通常国会において、学校教育法を改正し、出席停止制度について、要件及び手続の明確化並びに出席停止期間中の児童生徒の学習の学習支援等について規定したところである。

矯正施設

123.少年鑑別所では、資質の鑑別の際に、少年の鑑別の妥当性確保の観点から、必要に応じ、得られた資料を少年に説明し、少年に自由に意見を述べさせ、これをもとに面接を進めている。少年院では、少年から処遇又は一身上の事情に関する申立をきくため、院長は随時在院者に面接するよう努めなければならないとされており(少年院処遇規則第4条)、行刑施設でもその施設の措置や一身上の事情について少年が申立を行いたいと願い出た場合は面接を実施することとされている(監獄法施行規則第9条)。また、これら施設の長が行うもののほか、矯正施設においては、職員が少年との日々の接触の中で日常生活や処遇の内容について少年の意見を聴取することが実務上行われている。

大学

124.パラグラフ55.参照。

施設入所等

125.児童福祉法(第26条)及びこれに基づく政令により、児童の意見が尊重されるよう、以下のような措置が採られている。

(1)都道府県知事(又はその権限の委任を受けた児童相談所)が施設入所等を決定するに当たり、児童若しくはその保護者の意向が当該措置と一致しないときは、法律・医学等の専門家が参加する都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないこと。

(2)施設入所等に際し、児童の意向を尊重するべきことを明文の規定に置いたこと。

 さらに、施設生活においては、

(1)2000年6月より施行された社会福祉法に基づき、利用者からの苦情解決に係る社会福祉事業の経営者の努力義務を規定するとともに、都道府県が社会福祉協議会に運営適正化委員会を設置し、利用者からの苦情の相談に応じ、苦情の解決の斡旋等を行う仕組みを設けることとし、

(2)児童福祉施設については、児童福祉施設最低基準を改正し、2000年9月から、施設は入所児童等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない等とした。

児童相談所における措置等

126.児童相談所が児童に対して児童福祉法に基づく措置を採る場合や解除する場合には、児童及び保護者の意向を確認することを児童福祉法第27条第8項で定めている。

(c)司法上及び行政上の手続において児童の意見を聴取される機会等

司法上の手続

127.司法上の手続に関して、我が国では、一般的に、自らが裁判の当事者又は利害関係人となる場合には、自己の意見を述べる機会が保障されている。
 しかし、人事訴訟、身分関係の発生、変更、消滅に関する家事審判及び家事調停の各手続においては、事理弁識能力を欠く未成年者は法定代理人を通じて手続上の行為をしなければならず、また、民事訴訟(人事訴訟を除く。)、行政訴訟及び民事調停の各手続においては、未成年者(20歳未満)は法定代理人を通じて手続上の行為をしなければならない。

 少年審判手続・刑事訴訟手続に関して、

(1)被告人等としての意見表明
 少年審判については、審判期日には、少年及び保護者を呼び出さなければならないとされているとともに(少年審判規則第25条第2項)、審判期日を付添人に通知しなければならないこととされたことから(同規則第28条第5項)、少年、保護者及び付添人は、審判の席において、裁判長の許可を得て、意見を述べることができるほか(同規則第30条)、裁判長は、審判の席には、少年の親族、教員その他相当と認める者の在席を許すことができるとされ(同規則第29条)、審判は懇切を旨として和やかに行うこととされている(少年法第22条第1項)ことから、少年、保護者等が自由な雰囲気の中で意見を陳述することができるような配慮がなされている。また、少年等に意見を陳述する機会が与えられていることを前提として、少年等の陳述要旨の調書への記載に関する規定(同規則第12条、第33条第2項第4号、第5号)等が置かれており、児童の意見聴取の機会は与えられている。なお、我が国では、少年が罪を犯した場合には、少年法等により、すべての事件について、保護手続を行う家庭裁判所により保護処分が適当か否か検討されるが、犯行時14歳以上の少年に係る死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件を犯した者で、刑事処分に付するのが相当と判断された場合には、刑事手続に移行する。そして、刑事手続においても、刑事訴訟法に基づき、冒頭手続で被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならないとされ、証拠調べが終わった後、被告人及び弁護人は、意見を陳述することができるとされている。また、被告人が任意に供述する場合には、裁判長はいつでも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができるとされている。

(2)被害者としての意見陳述
 少年審判においては、2000年に少年法の一部が改正され、家庭裁判所は、犯罪少年又は触法少年に係る事件の被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹から、被害に関する心情その他の事件に関する意見の陳述の申出があるときは、自らこれを聴取し、又は家庭裁判所調査官に命じてこれを聴取させるものとすることとされた(少年法第9条の2)。
 また、刑事訴訟手続においては、2000年に刑事訴訟法の一部が改正され、裁判所は、被害者又はその法定代理人(被害者が死亡した場合においては、その配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹)から、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、公判期日において、その意見を陳述させるものとすることとされた(刑事訴訟法第292条の2)。

矯正施設に収容された少年

128.矯正施設に収容された少年について、その少年に影響を与える手続を行う際にその少年の意見を聴取する機会の付与については、第1回政府報告パラグラフ71に述べたとおりであるが、更に懲戒及び懲罰の際の手続について詳細に述べれば、以下のとおりである。
 少年院において懲戒を行う場合及び行刑施設において懲罰を行う場合には、少年院では、少年院法第15条に基づいて定めた院内規則に基づき、行刑施設では法務大臣訓令に基づいて、あらかじめ、本人に規律違反行為の容疑事実を告げた上、事情聴取の過程で少年から事情を聞き,懲戒又は懲罰について審査する場に少年を出席させて弁解の機会を与え、少年が出席しない場合にはその者の弁解を記載した書面を提出させることとしており、弁解の機会を十分に与えている。

(d)児童が意思決定過程に参加する権利を有する機関及び機会についての情報

129.近年、国民に広く関わりを持つ政策立案に当たっては、例えば各種審議会等が調査審議の過程で広く国民の意見の公募を行ったり、内閣総理大臣あてに電子メール、ファックス等による意見表明の機会が常時用意されるなど、国民から直接意見を聴取する機会を設けることがしばしば行われており、児童も国民の一部として、こうした意見表明の機会に積極的に参加することが期待されている。
 児童に直接関係のある政策分野においても、児童は重要な利害関係者の一部であり、そうした政策の立案には児童も参加させるべきであるとの認識は、政策立案に携わる公務員の間で浸透しつつある。

130.学習指導要領では、小・中・高等学校段階において、学級活動・ホームルーム活動(学級を単位として、学級の生活の充実と向上等に資する活動として、児童生徒が話し合い、協力して学級内の組織作りや仕事の分担処理等の活動を行うもの)や児童会活動・生徒会活動(学校の全児童生徒をもって組織する児童会・生徒会において、学校生活の充実と向上に資する活動を行うもの)を実施することを定めており、各学校において児童生徒が意思決定に参加している。

(e)児童関連の専門家に対する児童の意思表明を促すための研修

131.パラグラフ44.から52.参照。

(f)世論、協議及び陳情の評価から得られた児童の意見の法律、政治、司法決定への反映

132.児童福祉施設最低基準(省令)において、児童福祉施設は、処遇に関する入所している者又はその保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付ける窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないと規定されている。

133.ストックホルムで開催された第1回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議において、日本からの児童ポルノの発信や、日本人による海外での児童買春が批判されたことなど、国内外からの児童買春、児童ポルノを規制すべきであるとの声の高まりを受け、児童の権利に関する条約の精神を踏まえ、より一層児童の保護を図るために児童買春・児童ポルノ法が制定された。

BACK / FORWARD / 目次

外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省