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人権・人道

IV.市民的権利及び自由(第7条、8条、13~17条及び37条(a))

A.氏名及び国籍(第7条)

出生の登録

134.第1回政府報告パラグラフ72、73参照。

出生届

135.出生届は、出生の日から14日以内にしなければならず(戸籍法第49条)、第1次的に父又は母に対して届出義務を課し、これらの者が届出をすることができない場合には、2次的に、(イ)同居者、(ロ)出産に立ち会った医師、助産婦又はその他の者の順に届出義務を課している。さらにこれらの届出義務者が届出をすることができない場合には、その者以外の法定代理人も届出をすることができる(同法第52条)。これらの出生届によって、日本国民たる子は戸籍に記載されることになる。
 また、届出をすべき者が届出をしない場合には市町村長は当該者に催告をし、その後においても届出しない場合又はできない場合には,市町村長が職権で戸籍に記載する(同法第44条)。
 さらに、正当な理由がなくこの期間内に届出をしない届出義務者は、3万円以下の過料に処せられることとなっている(同法第120条)。
 なお、外国人であっても、日本国内で出生した場合には戸籍法が適用され、上記届出義務が生じる。

児童の出生登録に関わる職員への適切な訓練

136.出生登録をすることによって初めて、様々な社会保障制度の恩恵に浴することができることとなるなど、その必要性については、国民には、既に十分周知されていると思われるが、母子手帳を始め、様々な媒体を通して、さらに周知を図っているところである。戸籍法第3条には、戸籍事務を管掌する市町村長に対する法務局・地方法務局の長の関与が規定されており、当該関与の一形態として、市町村の戸籍事務担当者に対する研修や現地指導等を行っている。

出生登録に含まれる児童の身元に係る構成要素

137.出生登録に含まれる児童の身元に係る構成要素として、嫡出子の場合では、氏名・生年月日・父母の氏名・父母との続柄・出生地・出生届出人等がある。
 非嫡出子の場合では、上記のうち、父に関する情報は記録されないが、父からの任意の認知届出又は子からの裁判認知確定による認知届出がされた場合には、父の情報を記録する。

非嫡出子の地位

138.非嫡出子も、法律上の親との間で、扶養の権利及び義務並びに第一順位の相続権など、民法が親子関係について定める権利及び義務を有している。
 もっとも、我が国の民法等の中には、嫡出子と非嫡出子との間で、次のような差異が設けられている。

(1)嫡出子は、原則として、懐胎時における母の夫の子と推定されるのに対し、非嫡出子はそのような推定はなく、法律上の父は認知により認めれる(民法第772条、第779条)。

(2)嫡出子は、父母の共通の氏を称するのに対し、非嫡出子は、母の氏を称する(同法第790条)。

(3)相続人中に嫡出子と非嫡出子がある場合には、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1である(同法第900条第4号但書)。

(4)出生届には、嫡出子、非嫡出子の別が記載され、戸籍には、嫡出子は「長男」「長女」等と記載されるのに対し、非嫡出子は「男」「女」と記載される(戸籍法第13条、第49条第2項)。

 以上の差異は、次の理由によるものであり、不合理な差別ではない。

(1)父を確定する方法の差異は、嫡出子は、母の婚姻中に懐胎したものであって、母の夫の子である蓋然性が高いのに対し、非嫡出子は、特定の男性の子である蓋然性が高いということができないという差異によるものであって、これは、子の父母が婚姻関係にあったかどうかにより必然的に生ずるものである。

(2)子が称する氏の差異も、我が国では、夫婦は共通の氏を称するものとされていることから、嫡出子である子の父母は共通の氏を称しているのに対し、非嫡出子の父母は共通の氏を称していないという差異によるものであって、これも、子の父母が婚姻関係にあるかどうかにより必然的に生ずるものである。

(3)相続分についての差異は、法律上の婚姻により成立する夫婦とその間の子からなる家族を保護する目的で設けられたものであり、不合理な差別ではない。

(4)戸籍上の取り扱いの差異は、戸籍が私法上の身分関係を正確に登録・公証することを目的としているものであることから、法律的な事実に基づく区別をそのまま記載しているものであって、やはり不合理な差別ではない。

児童の親を知る権利及び親により養育される権利

139.第1回政府報告パラグラフ76から79参照。
 我が国の戸籍には、氏名、出生の年月日、実父母の氏名、実父母との続柄等が記載されているので(戸籍法第13条)、戸籍の謄抄本によってこれを確認することが可能であるところ、戸籍の謄抄本の交付請求について、特に年齢による制限を設けていない。

児童の国籍を取得する権利の確保等

140.我が国の国籍法は、出生による日本国籍の取得について、原則として父母両系血統主義を採用し、出生の時に父又は母が日本国民であるときは日本国民になると規定している(国籍法第2条第1号)。しかし、この主義を貫くと、我が国で出生した子が無国籍となる場合も生じうることから、これを防止するため、補充的に出生地主義を採り、子が日本で生まれた場合で、出生のとき父母がともに知れないとき、又は父母が国籍を有しないときは子は日本国民になるとされている(国籍法第2条第3号)。この措置によっても、限られた範囲で、なお、無国籍を生ずる場合があり得るが、国籍法第8条第4号により、日本で生まれ、かつ、出生の時から3年以上日本に住所を有するものについては、帰化許可条件のうち、能力条件及び生計条件を免除するとともに、住所条件も緩和し、帰化によって日本国籍を取得することができるものとしている(第1回政府報告パラグラフ75参照。)。
 また、子が婚姻中の子であるか否かにかかわらず、出生時に日本国民との間に法律上の親子関係があれば、子は出生によって日本国籍を取得する(同第2条第2号)。
 亡命申請者及び難民の子の日本国籍の取得については、親の所属する国の国籍法が血統主義を採る場合であると、出生地主義を採る場合であるとにかかわらず、日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有するものについては、国籍法第8条第4号により帰化許可条件のうち、能力条件及び生計条件を免除するとともに、住所条件も緩和された条件で帰化によって日本国籍を取得することが可能であり、日本国籍の取得が極めて容易になっている。

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