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第13回日・EU定期首脳協議
(概要と評価)


平成16年6月23日


I.概要

 小泉総理は、22日(火)、東京(総理官邸)において、EU(欧州連合)議長国であるアイルランドのアハーン首相、欧州委員会のプローディ委員長との間で、第13回日・EU定期首脳協議(ワーキング・ディナーを含む。(注))を行ったところ、概要以下のとおり(我が方より、中川経済産業大臣、杉浦内閣官房副長官他が、EU側より、ラミー貿易担当欧州委員他が出席)。
(注)日・EU関係の強化を目的として1991年の日・EC共同宣言において年1回の開催につき合意されたものであり、日本、欧州交互に開催。前回は昨年5月にギリシャ(EU議長国(当時))のアテネにおいて開催。
 今回の定期首脳協議においては、共同プレス・ステートメントに加え、日・EU双方が重視する「軍縮・不拡散」「双方向投資促進」「アジアにおける知的財産権保護」「情報通信技術」の4分野における文書を発出(英文はこちら)。また、共同記者会見において、2005年の「日・EU市民交流年」のロゴマークを発表。

1.日・EU関係

 EU拡大、欧州憲法条約採択後初の日・EU首脳協議であることを踏まえ、今後の日・EU関係につき議論。両首脳は、「日・EU協力のための行動計画」の実施状況に満足し、2005年の「日・EU市民交流年」の成功のための協力に合意。
 小泉総理より、EU拡大に祝意を表明。アハーン首相より、EUにとっては、日本は戦略的パートナーであり、従来からの経済面での協力に加え、今後特に国際社会の平和・安全保障に関する協力を強化していくことを重視している旨発言。また、プローディ委員長より、これまでの日・EU関係は自然に共通戦略を持つことができるものであったが、今後はより一層目に見える関係にすべく大胆に取り組んでいきたい旨発言。
 これまでの日・EU協力の具体例としてアフガニスタン、西バルカン、スリランカが挙げられ、今後その他の分野においても日・EU協力を引き続き促進していきたい旨見解が一致。

2.イラク

 国連安保理決議1546の採択は大きな前進である旨改めて確認。
 プローディ委員長より、EUを挙げてイラク再建支援を行うこと、及び国連の強い関与を支援することで一致している、また、軍隊を派遣するかどうかは各国の判断であるが、部隊派遣に関する各国の判断の違いが、EU内部の連帯を妨げるものではない旨強調。
 なお、小泉総理より、先般のG8サミットの際、ヤワル・イラク大統領より、自衛隊はイラク現地で一番歓迎されており、是非滞在を続けて欲しい旨自分(小泉総理)に対して述べてきたことを披露したところ、アハーン首相より、自分(アハーン首相)はその場に居合わせたが、大統領の発言を聞いて、大変に感銘を受けた、自衛隊がいかにイラクで役割を果たすことが期待されているか分かった旨発言。

3.大量破壊兵器等の軍縮・不拡散

 軍縮・不拡散の分野において、日・EUの政策は、内容・アプローチ双方において共通する点が多く、相互協力を進めることによって、軍縮・不拡散に関する共通の目標を達する上でより大きな効果を得ることが期待できることから、大量破壊兵器の不拡散に加え、軍縮や通常兵器をも対象とした「大量破壊兵器等の軍縮・不拡散についての共同宣言」を発出。
 プローディ委員長より、日本とEUは特に本分野において共通の見解を持っており、そのような日本と本件分野で共同宣言を発出することができることは喜ばしい旨発言。

4.テロとの闘い

 3月のマドリードでのテロ事件を受けて、EUにおいてもテロ対策調整官が設置されるなどテロ対策が進んでおり、日・EUテロ対策協議の早期開催に合意。

5.日・EU経済関係

(1) 日・EU経済:プローディ委員長より、日本経済の着実な回復に祝意を表明し、老齢化等の新たな課題に取り組んでいくためにも、日・EUが引き続き改革を進めていく必要ありと発言。小泉総理より、日本としても改革を継続し成長を確固たるものにしていきたい旨発言。

(2) 投資促進:プローディ委員長より、日・EU間の直接投資は拡大しているが、投資環境の更なる整備が必要である旨述べ、小泉総理よりは、欧州における会計基準、環境規制等を含め、日・EUの規制当局間の対話を進めていきたい旨述べた。

(3) 知的財産権:小泉総理より、知的財産保護の問題は日・EU共通の課題であり、今回共同イニシアティブに合意した旨述べ、ラミー委員より、今後の経済において知的財産の保護は益々重要である旨発言。

(4) ガリレオ(衛星航行システム):プローディ委員長より、日本の参加は日・EU協力にとって象徴的な重要性がある旨述べ、小泉総理より、EU側の考えは承知しているが、今後話は続けていきたい旨発言。

(5) 税関協力協定及び科学技術協定:今後早期締結に向け協力していくことで一致。

6.WTO

 7月の枠組み合意に向けて努力することについて一致。ラミー委員より、日・EUが自然に協力していける分野であり、農業について類似の立場を有する日本とEUが、必要な改革は進めつつ、協力していくことが重要と述べた。小泉総理より、日・EUでは置かれた状況が異なる面もあるが、協力していくことが重要と述べ、中川経産大臣よりも、7月合意に向けて、非農産品(NAMA)やシンガポール・イシューも含め協力できる分野では協力する旨発言。

7.環境

(1) 環境:小泉総理より、経済と環境を両立させるためには科学技術が重要、G8サミットでも合意した3Rについても推進していきたい旨述べた。

(2) 気候変動:京都議定書の発効に向けて双方の努力を確認。アハーン首相より、ロシアへの働きかけとともに、2013年以降の気候変動問題についても協力していきたい旨述べた。

8.ASEM

 アジアと欧州の地域間対話の重要性について一致。小泉総理より、越で開催されるASEM第5回首脳会合(ASEM5)は是非とも成功させる必要がある旨述べたのに対し、プローディ委員長より同感である旨応答。更に、アハーン首相より、EU側はASEMプロセスにコミットしており、拡大問題が障害となることなきよう、ASEM5の成功に向けてともに協力して欲しい旨述べた。小泉総理よりは、ASEM5の成功に向け協力していきたいと述べた。


II.評価

1. 今回は、EU拡大、欧州憲法条約採択後初の日・EU定期首脳協議であり、日本と拡大EUとのパートナーシップを首脳間で再確認する上で時宜を得たものとなった。

2. イラク、北朝鮮等国際情勢が変動する中で、日・EU共通の課題につき日・EU首脳が共通の認識であるとの立場をアピールできたことは、国際社会における日・EU関係の存在感を示す上で有意義。
 特に、4分野で独立文書を発出できたことは効果的。EUとの間で軍縮・不拡散についての共同宣言を発出することができたことにより、不拡散面における我が国外交を進める上で有意義。また、経済的に互いに重要な利害関係者である日・EU間で、民間(BDRT等)の要望をも踏まえつつ、投資促進、アジアにおける知的財産権保護、情報通信技術等について具体的な協力の枠組みを打ち出せたことは成果。今後はこれらを実施していくことが重要。

3. 今回は、10月末に退任するプローディ委員長にとって任期中最後の日・EU定期首脳協議であったが、同委員長がこの5年間の日・EU定期首脳協議を振り返って、日・EU関係は今ほど良好かつ強固であることを自分は知らない、と述べたことが象徴しているとおり、経済関係のみならず、国際社会の平和と安全保障に関する戦略的パートナーとしての日・EU関係の成熟度を印象づけた。



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