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報道官会見要旨 (平成10年7月28日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)昨日の次官会見でARFの途中経過の話があったが、ARFが終了したので一言申し上げたい。
今次ARFでは、特にインド、パキスタンの核実験及びそれが地域の安全保障に与える影響について、26日の非公式夕食会、27日の本会合の場において活発な議論が行われた。インドが参加している場ではあったが、この問題がアジア太平洋地域の安全保障に重大な影響を及ぼすという意見が大部分を占め、その結果、会議終了後に発表された議長声明の中で、「インド、パキスタンの核実験に対する懸念(GRAVE CONCERN)と強い遺憾(STRONGLY DEPLORE)」を表明するとともに、国連安保理決議を想起しつつ今後の核不拡散問題への具体的対応、核軍縮への努力などが盛り込まれることとなった。これにより、これまでG8、国連安保理等の場で合意されてきた本件に関する具体的考え方が、ARFの場でも確認されたと言え、これは今回のARFの大きな成果と言えると思う。
アジア経済について、小渕大臣から次期内閣が景気回復のため不退転の決意で望むとの表明がなされたことに関し、各国より歓迎の意が示され、議長声明にも盛り込まれた。また、日本経済の回復が地域全体の経済によい影響を与えるという意見が多く出され、日本に対する期待の強さがうかがえた。
そのほかカンボディア情勢、ミャンマー、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を含む朝鮮半島などについて活発な議論が行われ、地域の重要問題について積極的に議論し行動していくARFの役割が徐々に定着しつつあるという感じがする。
小渕大臣が夕食会のみとはいえARF会合に出席されたことを、各国は「日本がARFおよびASEANを重視している表れ」として高く評価していた。同時に、大臣がアジア経済、日本の景気回復、核実験問題について発言され、全体の議論をリードしたことについても、各国は強く印象づけられたものと感じる。(問)カンボディアのフンシンペック党が今回の選挙は公正に行われていなかったのではないかとの声明を発表しているが、日本政府としての選挙への評価如何。
(報道官)カンボディアの選挙を監視していた合同国際選挙監視団(JIOG)が、投票前の24日に、選挙プロセスについて「政治的脅迫と若干の問題は認められるものの、全体として自由公正な選挙が行われる条件が存在する」旨の声明を発表した。また投票後の28日午前0時(現地時間)に声明を発表し、今回の選挙について「投開票日の模様は、カンボディア国民の意思が信頼できる形で反映される程度に自由かつ公正であった」との認識を示している。
わが国としてもこの国際選挙監視団と見解を同じくするものであり、カンボディア国民の手により今回の選挙が成功裡に実施されたと思い、それを歓迎している。
他方、ご指摘のようにフンシンペック党が本日、「選挙結果を承認し受け入れることを拒否する」という趣旨のプレスリリースを発表している。我々としては、国際選挙監視団の声明に表れているように、今回の選挙は成功裡に実施されたものと思っている。まだ正式な開票結果が発表されていない状況にあるため、選挙結果自体についてコメントするのは尚早かと思うが、我が方としてはすべての政党がカンボディア国民が成し遂げた今回の選挙結果を真摯に受け止めて、国民和解の精神に基づき、政治的安定と民主的政権の樹立のために相互に協力することを強く希望するものである。(問)フンシンペック党の声明を見ると、相互協力とか安定に向けた動きを期待するのは難しい状況になって来ているように思うが、その点の判断如何。
(報道官)選挙の結果自体をまず見る必要があると思う。その選挙結果を基に、今後のカンボディアの政治的プロセスをどうしていくかについて、関係政党間のやり取りが展開されていくと思われるので、まず結果を見たいと思っている。
繰り返しになるが、選挙に至る過程について自由公正な選挙を行える条件が全体として存在するという状況の下に選挙が行われたと思うし、また、わが方監視員も参加の国際選挙監視団は実際に投票及び開票の状況を見ていた結果として、カンボディア国民の意思が信頼できる形で反映される程度に、自由かつ公正な選挙が行われたと考えている。(問)ニューヨークのKEDO会合の状況如何。
(報道官)2日間の会議の1日目が終わり、2日目の会議が行われるという状況で、真剣な話し合いが行われている。まだ協議が続いている状況なので、今の段階で「どういう結果になる」と述べるのは早いかと思うが、我が方としては今回の会合を通じて、今まで理事会メンバーの間で軽水炉経費負担問題について合意に達しようという機運がだいぶ高まってきたところなので、このモメンタムを失わないためにも、実質合意が達成できるよう鋭意努力しているところである。
(問)先週の報道官会見で出た日印2国間対話はその後どうなっているか。
(報道官)マニラで高村政務次官とインドのジャスワント・シン国家計画委員会副委員長との会談が現在行われつつある。その前の26日に、小渕大臣がマニラのARF非公式夕食会に先だって、同副委員長と立ち話をした。その際は時間も限られていたため、この機会に高村政務次官との間で会談をすることが望ましいとして会談をセットした。会談の結果を聞くにはまだ早すぎるが、我々としてはインドとの間でも色々な対話を進めていくことが必要と思って、会談をセットしたし、今後も色々機会にインドと話をしていく必要はあると考えている。
(問)中国の国防白書に台湾海峡を軍事同盟の範囲に入れることは中国の主権に反するとの記述があるが、コメント如何。
(報道官)中国の国防白書が発表されたのは今回が初めてである。95年11月に軍備管理軍縮白書というのを公表したが、国防政策自体について包括的にまとめた国防白書を公表するのは今回が初めてである。我が国としてこれまでも日中安保対話などの機会を通じて中国側と安全保障面での対話を重ねてきたし、その過程で「中国の国防政策についての透明性を向上することが望ましい」と累次指摘してきた経緯がある。そういう意味で、今回中国が初めて包括的な国防白書を発表したことは、透明性向上に向けた一定の努力として評価できると考えており、今後とも中国の国防政策における更なる透明性の向上を日中間の対話の機会を通じて促していきたいと思っている。
ご指摘の部分については、国防白書の中に「台湾海峡をいかなる軍事同盟の範囲内に含めることも、中国の主権に対する侵犯、干渉である」という記述が見られる。日米安保条約について直接言及しているわけではない。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)において台湾がいかに扱われるかについて、中国が強い関心を示していることはご承知の通りである。
政府としては、ある事態がガイドラインにおける「周辺事態」に該当するか否かは、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するものであり、周辺事態が生起する地域をあらかじめ特定しあるいは地理的に一概に画することはできない。このような意味において、周辺事態とは、地理的概念ではなく、事態の性質に着目した概念であることを中国側に説明してきた。今後とも必要に応じてこのような考えを中国側に説明していく考えである。(問)小渕外相のARF出席について、ASEAN重視姿勢が評価されたという点に関して、具体的な発言を行ったのはだれか。
(報道官)今回大臣のARF出席の機会に、ARFメンバー国の外務大臣と2国間の会談をいくつか行った。その中で、「大臣が自民党総裁に選ばれて大変時間の制約もあるところに来られたことを評価する」というような趣旨の発言があった。あとは会議の中の議論なので、具体的にどの国の代表がどういう発言をしたと全部申し上げるのはどうかと思うが、一連のやり取りの中でそういう雰囲気が感じ取られたということである。帰国後に大臣自身もそういった趣旨のことを発言されたと記憶している。
報道官会見要旨 (平成10年7月24日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)タジキスタンで殉職された秋野政務官について昨晩発表したとおり御遺体の搬送日程と経路が確定した。日本時間の本日午後2時過ぎにダジキスタンのドゥシャンべを出発し、現在カザフスタンのアルマティに向かっているところである。在ロシア大使館の河東公使他がドゥシャンべから同行し、空港では西村欧亜局長、三橋駐カザフスタン大使他が出迎える。西村局長はこの後アルマティからソウルを経由で御遺体の搬送に同行する。
そして昨23日、河東公使はドゥシャンべで、秋野政務官の御遺体の検分、確認を行うとともに、国連関係者及びナザーロフ・ダジキスタン外相と会談を行った。
ナザーロフ外相との会談では、河東公使より、秋野政務官の殺害は日本で大きな衝撃を呼んでおり、有数の国際関係専門家として日本にとっての大きな損失であり、日本政府及び日本国民は、一刻も早く犯人が発見され、厳重な処罰が下されることを願っている旨を述べた。ナザーロフ外相からは、今回の惨事に関する深い弔意と哀悼の意が表されるとともにアジモフ副首相が委員長となり、反政府側のサンギーノフ代表が副委員長となる調査委員会を22日に設立し、今回の事件の調査にあたることとなったとの説明があった。(報道官)パキスタンの核実験による国際社会からの経済制裁の影響により、従来より困難な状況にあったパキスタンの国際収支バランスが深刻化し、同国が外貨準備不足による債務不履行となる可能性も含め、深刻な事態となっている。我が国としては、パキスタン経済がこれ以上悪化した場合、南アジアの不安定化を招き、核・ミサイル関連物質・技術の拡散をもたらす可能性等を考慮し、パキスタンに対し、IMF融資を前向きに検討するため、核不拡散分野における前向きな対応を求めるべく働きかけを行ってきた。
今般、パキスタンより、核実験のモラトリアムを実施すること及び核関連物質・技術の第三国またはその他の主体への移転を行わないことを確認する旨のゴーハル・アユーブ・カーン=パキスタン外相発小渕外務大臣宛書簡が接到した。我が国としては、出来ればCTBTへの無条件署名までパキスタン側がコミットすることが望ましいと考えていたが、これにはなお検討に時間を要する由であり、他方、同書簡から、パキスタンの核不拡散分野へ取り組む一定の姿勢が伺えることを判断し、パキスタンの現下の経済情勢にも鑑み、IMFによる次回の対パキスタン融資については、我が国として前向きに対応する方針を決めた。また、我が国からは他のG8諸国に対しても同調を求めるべく働きかけを行っているところである。
我が国としてはパキスタンには引き続き核不拡散分野での進展を求めるべく働きかけを行う考えであり、パキスタンがこのような国際社会の懸念を真摯に受け止め、CTBT、NPTへの即時、無条件の参加を含む核不拡散分野での更なる前進を示すことを強く求めていきたいと考えている。(問)カーン外相の小渕外相あて書簡はいつ届いたのか。次回IMF融資の内容はどのようなものか。
(報道官)7月21日に在イスラマバード日本大使館を通じてわが方に伝えられた。IMF理事会の対パキスタン融資状況は、昨年IMFがパキスタン政府と今後3年間にわたる総額約16億ドルの融資プログラムで合意、現在までにそのうち4億ドルが実施され、かなりの融資が残っている。次回の融資内容はIMFが今後検討していくという状況にある。
(問)融資を行うのはIMFで、わが国はそれに反対しないということか。
(報道官)前向きに対応するということである。
(問)パキスタンに働きかけていくと言ったが、わが国独自の経済協力の停止を含めた経済制裁を全面的に解除できる条件とはどういうものになるか。
(報道官)今回のIMF融資については先ほど申し上げた状況の下でとりあえずIMF融資に限って認めるということで、対パキスタン措置全体の緩和ではない。経済協力面での措置の緩和を考えていくに当たっては、従来申し上げているように核実験停止、核兵器等の開発・配備の停止、包括的核実験禁止条約(CTBT)の無条件署名、核拡散防止条約(NPT)への無条件加入などが必要と考えている。こうした面での今後のパキスタンの対応ぶりを見て考えていくということである。
(問)印パの根深い対立を考えるとパキスタン1国にそれらを求めてもなかなか受け入れ難いところがあろう。インドとセットで働きかけをすることが必要と思うが、今後のインドに対する働きかけとしてどういったことが行われるのか。
(報道官)IMFの融資ということで言えば、いま問題になっているのは対パキスタンであり、インドについて同様の、火急の問題が生じているわけではない。他方、インドとの間でいろいろな対話を続けていく必要はあるかと思う。近く東南アジア諸国連合(ASEAN)の地域フォーラム(ARF)が開かれる。これに外務大臣が出席できるかどうかまだ決定が下されていないが、ARFの場にはインド外相も出席するため、日印2国間の話し合いが行われる可能性はかなりあるのではないか、というより、2国間会談をセットする方向でいま調整しているところである。関連で言えば、印パ間の対話も必要であり、今月29日から31日にコロンボで行われる南アジア地域協力連合(SAARC)の会合で印パ首脳会談が行われるのではないかとの観測があるように、印パの対話も進んでいくことを期待している状況である。
(問)確認だが、今回のIMF融資に日本政府が前向きになるということは、核実験を受けて出された官房長官談話の中にある措置には直接関係しないと理解してよろしいか。
(報道官)官房長官談話では「国際開発金融機関による対パキスタン融資には慎重に対応する」ということだ。IMFは国際開発金融機関そのものには含まれない。その後、主要8カ国(G8)外相会議の際の声明では「インドおよびパキスタン並びに核実験を行うであろうほかの国々に対して世界銀行およびその他国際金融金融機関による融資の検討に向けて取り組むよう努力する」とうたっている。付け加えれば、G8外相会議の声明の中ではいま申し上げた部分の前に「われわれはインドおよびパキスタン両国政府の行為をもって両国国民に苦痛を与えるつもりはない」との下りがある。パキスタンがいま非常に苦しい経済状況にあることを考えると、わが国としてもパキスタン経済の崩壊を看過できない。パキスタン経済救済のために緊急避難的措置を取る必要がある。それにカーン・パキスタン外相からの書簡に示されているようなことが確認できたこととを勘案の上、IMF融資に前向きの対応をした。
(問)日本政府として独自に打ち出された措置の緩和ではないということか。
(報道官)そういうことではないと考えてよい。
(問)緩和するための条件をいろいろ挙げたが、最低限どれを満たせば緩和を検討する対象になるのか。
(報道官)直接答えるのはなかなか難しいが、いずれも重要である。CTBTの無条件締結が仮にあるとすれば、それは前向きな一歩として歓迎できるということだと思う。ただ、そこから後がどうなるかはほかにもいろいろな要素があり、何が重要で何が重要でないというようなことはなかなか申し上げるのは難しい状況がある。
(問)パキスタンに対する「緊急避難的措置」の確認だが、パキスタンのいまの外貨準備高や対外債務の返済期限がくることなどを考えると、IMFの予定している融資だけではギャップを埋められないのではないかとの見方もある。その場合、ほかの世界銀行とかアジア開発銀行(ADB)など国際開発金融機関から融資しなければならないといった議論が出た場合、日本としてはどう対処するのか。
(報道官)後半の部分はまだ仮定の議論になるのでいま申し上げるのはどうかと思う。IMFの次回パキスタン融資がどういうふうになるか、それ自体まだIMF理事会でいつ取り上げるかも未定である。現在のパキスタンの状況をIMFとしてもう少しよく調べて、その上で考えていくプロセスがあるのではないかと思う。質問はさらにその先の問題になるので、いまの時点では推測して申し上げるのは適当ではないと思う。
(問)私の解釈が間違っていたら指摘してほしいが、外務省の方々はIMFはODAとは関係ないという言い方をする。世銀とかADBからお金が出るのはどうかというときには、ODAをどうするかという話と無関係ではないと思う。先ほどの核開発をどうするかとか条約をどうするかという話と無関係ではないと思う。仮定の話ではなく日本としての外交方針に絡む話ではないかと思うが如何。
(報道官)世銀とかADBということであれば、国際開発金融機関による対パキスタン融資については慎重に対応するという官房長官談話の範中に入る話である。わが国自身のODAについてはODA大綱との関係もあって、新規無償協力の停止、新規円借款の停止を決めたが、これと同じような考え方で国際開発金融機関による対パキスタン融資については慎重に対応するということがあるので、そこは仮定の問題で申し上げにくいが、仮に世銀といった話になってくると、まさに言われて問題が出てくるかと思う。
(問)確認だが、世銀とかADBをどうするかについて日本として態度をどうするかはODAをどうするかという話とは直接関係ないということか。
(報道官)そういうことを申し上げているのではなく、ODA大綱もあり、わが国自身の出している援助について一定の方針を出したわけで、それと同じ様な発想から世銀、ADBの融資についても慎重に対応するということがある。慎重に対応するということを具体的にどうしていくかを考えるに当たっては、核不拡散問題についてのパキスタンのいろいろな対応ぶりを頭にいれてやっていく必要があるのではないかということを申し上げているわけである。
(報道官)朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)理事会メンバー即ち、日本、韓国、米国、EU及び事務局の大使級会合は、7月27日月曜日、28日火曜日の両日、ニューヨークのKEDO事務局に於いて開催される予定である。
この会合には、我が方から高橋雅二大使、韓国からチャン・ソンソプ大使、米国からポール・クリーヴランド大使、EUからジャン=ピエール・レング大使、事務局からデュセー・アンダーソン事務局長がそれぞれ出席する予定である。
この会合では、軽水炉プロジェクトの経費負担問題等につき話し合われる予定である。(問)今回の会合で合意がなければ日本として応じられないとの政府見解があったが、日程が決まったということは合意の見通しができたということか。
(報道官)KEDOの軽水炉の経費負担問題は前回の会合で総額は大体めどがついた。それをどのように負担し合うかがまだ残っている。この話し合いは非常に難しいが、解決に向けたモメンタムが出てきているので、そのモメンタムを失わないように私どもとしては何とか実質合意を達成すべく最大限の努力をしたいと思っている。見通しについては相手もある交渉ごとでもあるので、これ以上に結果を予断することは差し控えたいと思う。私どもとしては何とか実質合意を目指すために努力したい。
(問)ARF、PMCへの出席がまだ決定が下されていないことだが、総裁選も終わって日も迫っているが。
(報道官)今日中には決まると思う。
(問)外相によるASEAN域内と域外の対話がPMCの趣旨だろうと思うが、日本政府として結果的にそうした状況を満たし得ない場合、日本の対アジア外交にどの様な影響があると考えるか。
(報道官)大臣自身も今朝の会見で言われたように、できることならぜひ行きたいという気持ちはお持ちのようだ。ただ、総裁選があった状況でどうするかということは今日中に決めないといけないところである。ただ、仮定の問題なのでお答しにくいが、仮に大臣が出席できない場合は残念であるが、他方、外務大臣に代わるしかるべく方が行かれることになると思うので、やむを得ない状況の下で外務大臣に代わられる方がほかの国々の外務大臣と対話をされることについては、ほかの国々の理解は得られることを期待している。
(問)小渕外相が新総裁になって外務省として外務大臣が総裁になるといろいろ仕事の面でやりやすくなるのか。
(報道官)外務大臣がなられた場合、そうでない方がなられた場合の比較としてどうかとなるとなかなかコメントしがたい。私どもは小渕大臣にお仕えしているわけで、よく存じ上げている方だから、そういう意味で小渕大臣が新総裁になられてこれから仕事をいかれるに当たって、例えば外交の問題等についていままで積まれてきたご経験、ご見識などを利用させていただくことについては、言われたような意味で、外務省として仕事がやり易い面はあるかと思う。それ以上詳細にコメントするのは控えたい。まだ首班指名のプロセスも残っている。
報道官会見要旨 (平成10年7月21日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)アブバカール・ナイジェリア新元首が7月20日午後9時、民主化の継続・推進のために民政移管プロセスの具体的な新日程を発表するとともに、すべての政治犯を釈放し、表現・集会の自由を保障する等の発表を行った。このような発表により人権尊重の意思を一層明確にしたことをわが国として歓迎する。
わが国はこれまでもナイジェリアの軍事政権に対し、人権および民主主義を最大限に尊重するとともに、平和的かつ早期に民主化に向けて施策を講じるよう求めてきたが、今後、民政移管が今回発表された新たな日程に沿って平和的、民主的かつ円滑に完了することを強く希望するものである。
なお、民政移管への新しい日程は、そもそも本年10月1日に完了することを目指してきたが、6月8日のアバチャ前元首の急死を受けて民政移管のプロセスを円滑に進めるために約8カ月延長することとなったものである。(問)ナイジェリアにおける前元首の急死、新元首の就任など一連の動きはわが国の政府承認に触れるか。
(報道官)わが国としての政策について直接に影響を及ぼすものではない。わが国は93年11月のナイジェリア・クーデター以降、民主的な政治運営が行われていない状況を憂慮し、94年3月以降、新規経済援助の原則停止を維持しつつ民政移管プロセス、人権侵害問題の改善状況を注視してきた。今後の民政移管が新たな日程に沿って平和的、民主的かつ円滑に完了することを強く希望するとの立場から、今後の展開を注視していくということである。(質問者は)「政府承認」と言ったが、わが国の大使館は存在しており、そのことに影響を与えることはない。
(問)カンボディアにおける総選挙が迫ってきたが、これまでの状況の評価及び選挙監視団の活動計画等に関する現状如何。
(報道官)今回のカンボディアの総選挙は93年の国連カンボディア暫定統治機構(UNTAC)管理下での選挙に比べ、全般的に選挙妨害行為は少なく、選挙準備は順調に進められてきたと認識している。他方、18日にカンボディア国家選挙管理委員会(NEC)の発表として、17日にポル・ポト派の元拠点アンロンベン付近で選挙準備中の選挙管理関係者がポル・ポト派と見られる武装勢力に襲われて死傷者を出したと報じられたが、いままで順調と認識していたこともあり、そうした事件が発生したことは極めて残念である。残る選挙期間中、選挙関係者が安全に職務を遂行できるよう、カンボディアの治安当局が安全対策に万全を期すよう強く望んでいる。
わが国の選挙監視員についてだが、派遣地域は東部のプレイ・ヴェン、スヴァイ・リエン両州、プノンペン及び周辺のカンダル州、南部のタケオ州が予定されている。これらの州はいずれも治安状況が良好で、ポル・ポト派の活動がほとんどない地域である。わが国の選挙監視員はこれから活動に入るが、監視団の西本団長も18日に現地で記者の質問に対し「安全対策については、国連も在カンボディア大使館も最大限の努力をしてくれている。また治安対策についてはカンボディアの治安当局の努力を信頼している」と述べたと承知している。こうした状況を踏まえて、わが国の監視員を含めた選挙監視員の活動が円滑に行われることを期待し、引き続き現地の治安情勢を注視しつつ、国連、選挙監視員派遣各国とも協力し、カンボディア治安当局に対し安全確保面でしかるべく働きかけていきたいと考えている。(問)これまで日本政府が願っていた自由で公正な選挙は無事に達成できそうか。
(報道官)全体として言えば、自由公正な選挙に向けて進んできていると申し上げてよいかと思う。
(問)朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の大使級協議が延期になったと聞いているがその背景及び見通如何。
(報道官)7月中旬に次回大使級会合を開催することを目途として関係国、関係者の日程を調整してきたが、各理事会メンバーの都合や国内調整もあり、中旬開催は困難となった。現在なるべく早く開催すべく引き続き日程を調整しているところである。
(問)関係国の都合とは米国の都合という意味か。
(報道官)米国も含めていろいろな関係国がある。具体的な関係者の日程調整というとき、ある国の関係者はここからここまでの時期はアベイラブルだが、ほかの国の関係者はアベイラブルでないなどの要素があり、いろいろな点も含め、現在、鋭意調整の努力をしているところである。
(問)経費負担に関し、日韓が米国にも軽水炉費用負担を求めていると聞いている。米国の方からも重油供給の費用を日本に助けてくれとの声があったとの報道があるが、これに対し、わが国は受け入れられないという方針を採っていると理解してよろしいか。
(報道官)先日も述べたが、前回の大使級会合で総額は46億ドル程度で目途がついた。具体的な負担額はまだ全てが埋まっていない状況である。我が国としては米国にもできれば軽水炉で何らかの役割を果たして欲しいという気持ちはある。他方、米国は重油供与のための資金確保で議会との関係もあり、苦労しているという状況がある。こうした状況で引き続き調整努力をしているが、私どもの立場から述べれば、やはり軽水炉の費用負担がまず一日も早く決まることを期待し、そのための調整を続けている状況である。
(問)重油供給の費用負担については応じられないと理解してよろしいか。
(報道官)自分(報道官)が述べたのは、まず軽水炉について目途をつけることが重要であり、そのための努力を続けているところであるということである。
報道官会見要旨 (平成10年7月17日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)最近のミャンマー情勢について外報官談話を発表したので、右につきご報告申し上げる。
ミャンマーでは、6月23日、国民民主連盟(NLD)が、90年総選挙の結果に基づく国会召集を期限付きで求める内容の書簡をミャンマー政府に対し発出して以来、スー・チー女史自宅前にて治安警察とNLD党員との間でもめごとが発生した他、スー・チー女史の地方への移動が制限される等、政府とNLDとの間で緊張が高まっており、我が国はこうした情勢を懸念している。
我が国は、ミャンマー政府とスー・チー女史を含むNLDの対話が重要と認識しており、また、寛容と自制をもって状況の改善に向け双方が努力することを強く希望する。
なお、我が国は、ミャンマーの民主化と人権の状況に従来より強い関心を有しており、あらゆる機会をとらえミャンマー政府に対し、政治活動の自由の保障、適正な法手続きの確保、大学の再開等民主化や人権状況の改善を促してきているところである。
この関連で一言付け加えると、最近、タイ、フィリピン等の一部のASEAN諸国が、ミャンマーを念頭にASEANとして域内国の諸問題に柔軟に関与していく政策を打ち出していることに我が国は関心を有している。このいわゆる柔軟関与政策については、その内容やASEAN各国の反応について充分見極めていく必要があるが、このような動きが我が国が従来より主張しているミャンマーの民主化、人権状況の改善に繋がることを期待しており、こうした動きを歓迎するものである。(問)ASEANで柔軟関与政策の動きが出ていることを日本として前向きに評価するということか。
(報道官)そういう動きは我が国が従来より希望しかつ主張し、呼びかけているミャンマーの民主化、人権状況の改善につながるのではないかということを期待している。そういう意味でこの柔軟関与政策といわれる動きを歓迎するということである。ただ、柔軟関与政策自体については、基本的にはASEAN諸国の間で、ASEAN自身が決めることであり、ASEAN諸国の間でまだ色々な議論とか意見があり得るかと思われるので、今後のASEANの中での議論を注目していきたいと考えている。
(問)ミャンマーの状況に対する強い関心ということだが、これは現地の大使等を通じてミャンマー政府には伝達しているのか。
(報道官)今まで様々な機会を通じて伝えてきている。最近の例を挙げれば、5月下旬に原口外務審議官がバーミンガム・サミットの説明に赴いた際、総理親書をもって民主化促進、人権状況改善等についての我が国の関心を伝えた。また、6月以降も様々な機会に伝えている。例えば、7月3日には朝海駐ミャンマー大使が食糧増産援助交換公文署名式の際に、エイベル国家平和発展評議会(SPDC)議長府付大臣およびキン・マウン・ウィン外務副大臣に対し、「NLD関係者の移動制限措置に関し懸念をもって注視している」と申し入れている。また、7月7日には朝海大使はマウン・マウン・キン副首相に対し、スー・チー女史の地方移動を当局が妨害したと伝えられている事実に言及しつつ、政府の柔軟な対応につき申し入れを行っている。
(問)食糧増産援助等人道的側面から行っている援助がミャンマーの混乱で継続実施が困難になるといった見込みもあるのか。
(報道官)食糧増産援助については、この前も申し上げた通り、いわゆる「ベーシック・ヒューマン・ニーズ」の分野でミャンマーの努力を支援していくことが必要であるとの判断から行っている訳であるが、以前から申し上げている通り、こうした分野での援助を行うとともに、民主化と人権状況についての我が方の強い関心を折あるごとに伝えてきている次第であり、先述したASEANの一部の動きなどもある訳であり、こうしたものが相まって何らかの効果が出てくることを期待している次第である。
(問)ASEANの国と日本が協調して働きかけていきたいということか。
(報道官)ASEAN全体ということには、まだ至っていない。タイなど一部の国が柔軟関与政策を打ち出している。まだASEANの中でも色々議論があると思われ、ASEAN全体としてどうこうと言うのはまだ時期尚早であると思われるので、そういう意味もあって、ASEANの中での本件についての議論がどうなっていくか、ASEAN自身がどういう方向を取っていくかということについても、関心を持ちつつ我が国として色々話していきたいと思っている状況である。
(問)野党が一貫して主張している90年の総選挙の結果を早期に実施し、国会を召集せよという考えに関しての日本政府立場如何。
(報道官)先程から申し上げているように、民主化の促進、人権状況の改善が望ましいということを言ってきている。国会の召集ということについて、いついつまでとは自分(報道官)の方からは言っていない。但し、そういう主張をしているスー・チー女史に代表されるNLDとミャンマー政府との間で対話が必要であり、右を再開するよう寛容と自制をもって状況の改善に向け双方が努力することが望ましいという趣旨をこれまでも伝えており、これからも伝えていく所存である。
(問)国会の召集自体は望ましいと見ているのか、それとも望ましくないと考えているのか。
(報道官)そこまで踏み込んだコメントはしていない。今言ったような意味で、長い間途切れているミャンマー政府とスー・チー女史を含むNLDとの対話というものが再開されることが重要であるということを発言した訳である。
(問)民主化のためには国会を開くことは基礎的な条件と思われるがその辺は如何。
(報道官)民主化が一般論として望ましい、政治活動の自由が望ましい等色々な要素がある訳であるが、右を含めて、ミャンマー国内でスー・チー女史に代表されるNLDと政府との間でいつも対立するのではなくて、色々話し合いを行っていくことがまず必要だということを慫慂してきた次第である。
(問)現地大使館の人や日本から行った人でスー・チー書記長に最近会ったのは何時か。またどの様な話をしたのか。
(報道官)何月何日という最近の資料は今手元に持っていないが、在ミャンマー大使も折に触れて会っていると理解している。
(問)国会が開かれていないという状態は外交的に見てあるいはその国の状態に照らして日本政府として理解できる現象と見ているわけか。
(報道官)理解しているとは申し上げていない。対話が必要であり望ましいと言っている。国会が開かれていない状況が理解できるとか、何月何日までに開かれるべきであるというところまで踏み込んだ立場を表明していることはない。
(問)民主化を考える上で(国会が)あってもなくてもどっちでもいいということか。
(報道官)そういうことは申し上げていない。
(問)(いま聞いたことを)日本政府内できちんと検討してみたことがないということか。
(報道官)検討してみたことがないということはないと思うが、それについて我が国として特定の方向を出して、(我が国の)立場を表明するかどうかというのは別問題だと思う。
(問)援助を出す、出さないと判断する場合に民主化の問題を当然考えていくとして、民主化の状況を評価する場合に国会を開くか開かないかというのは判断基準の外にあるわけか。
(報道官)必ずしもそうとは限らない。総選挙の結果に基づいて民政移管、国会召集が目標としてあり、その方向に向かってミャンマーが進んでいくこと自体は望ましいと言える。だが、現実の問題としてNLDとミャンマー政府との間での色々なやり取りがあり、いま緊張が高まっている状況下で、一つは民主化の促進と人権状況の改善を従来より強い関心を有し、それから先述した分野の政治活動の自由の保障とか、適正法整備の確保、大学の再開などを通じて民主化や人権状況の改善に向かって進んで行くことが望ましいと言ってきた訳であるが、それ以上に具体的に両者の間で争点となっている国会の再開等にまで我が国が立ち入って言うかどうかは、別の問題である。
(問)日付けはともかくとして国会は召集すべきだ、民政移管を急ぐべきだということは伝えてあるのか。
(報道官)ミャンマーの民主化と人権状況の改善に強い関心を有していることを引き続き伝えてきている。
(問)今報道官は国会召集と民政移管に向かって進むことが望ましいと言われたが、これは日本政府の基本的な考え方か。
(報道官)民主化という場合にいろいろなプロセスがあり、国会の召集もあるかと思うが、我が国が直接ミャンマー側と接触する際に具体的に例示しているのは、政治活動の自由の保障とか適正な法整備の確保、大学の再開などの面で進歩がみられることが望ましいというということで、そうした観点からそれらを促してきた次第である。
(問)参院選が終わって5日が経過したが、外務省では海外の反響を集めて分析していると思われるが、今回の場合、米国の対日経済政策批判が(自民党の)敗因に起因しているという点を含め、特異な点、傾向等があればまとめて教えてほしい。
(報道官)色々な反応があるので、整理された形で申し上げられるかどうか必ずしも自信はないが、全体として事実の問題という範囲で言えば、今回の選挙結果、国民の不満とか期待感が出てきたと訳であるが、海外の論調を見る場合に、そうした国民の不満、期待感が我が国の経済運営の問題に焦点が当てられて見られているということが一つの共通のテーマだった。
国民のそういう関心が経済運営の問題に当てられていることをそれぞれのメディアが色々な表現の仕方で報道しているという状況かと思われる。そういう観点から、基本的には、我が国が例えば金融システムの再活性化であるとか、内需拡大のための景気刺激策というような方策をなるべく早く取って日本経済が回復することが望ましいとか、その関連で日本の今の状況においてそれに相応しいリーダーシップが必要ではないかとの観点から色々なコメントがなされている状況かと思われる。
それ以上の個々のメディアがどう言っているか、今資料を手元に持ち合わせていないが、全体の状況を申し上げれば以上の通りである。(問)外務省としての分析は来週にでも配っていただくとして、特異な、つまり外国の日本に対する要求とか発言が敗因に数えられているのはあまり例がないと思われるが、右についての考え方如何。
(報道官)外国の日本に対する要求が敗因になったと、そういう指摘が一部にあるかもしれないが、基本的には先ほども申し上げたようなこと、即ち日本経済が今難しい状況にあり、一日も早くそこから脱却したいという国民の希望が今回の選挙の結果の一つの背景になっているという指摘であると思う。日本経済が今日の厳しい状況を一日も早く脱却してもらいたいという意味での強い期待感が外国にもある訳であり、それが重なっている面もあるかもしれないが、外国の注文があるから、こういう結果になったとの分析がそれほど支配的だとの印象は自分(報道官)は受けていない。
(問)支配的とは言っていない。特異なものとして目立つのではないかと聞いている。
(報道官)そういう分析もあるかもしれないが、自分(報道官)は今申し上げたようなことを自分(報道官)のとらえ方としている。
(問)シアヌーク国王がカンボディアの和平に関連して、再び東京での国際会議を開催し、そこで小火器削減を話し合っては如何と提言しているようだが、右に対する日本政府の考え方如何。
(報道官)結論から言えば、いまの段階で報道されているようなカンボディア和平の総仕上げの会議を我が国が検討している事実はない。総選挙がこれから行われる訳であり、当面の関心事は総選挙が円滑に行われ、自由公正な選挙が実施される事である。そのための選挙監視団の方々が本日出発した。
(問)来週東京で日韓漁業交渉が開かれるが、過去2回の交渉の結果、双方はどこまで歩み寄ったのか、また、どこで問題が生じているのか、今次交渉の焦点はどこになるかを教えてほしい。
(報道官)7月23、24の両日東京で実務者協議が開催される。前回(7月2、3日)韓国で行われた協議までの経過を申し上げれば、取り上げられている問題というのは資源管理、暫定水域の範囲、操業実績の考え方等であり、まだ色々議論すべき問題が残っている。
日本側の基本姿勢というのは、日韓とも国連海洋法条約の加盟国であり、新しい漁業の国際体制の中でどのような新しい体制を作っていくのかを念頭に話をしているところである。双方の主張にはまだ開きがあるが、引き続き来週の協議等を通じて、早くこの問題が解決するように努力している次第である。それ以上の細かい話については、今交渉中のところなので差し控えさせていただきたい。
その間に7月14日に韓国の関係議員が2人来日し、小渕外相とも昼食をともにして話し合った。その際に我が方の佐藤孝行、玉沢徳一郎両議員が同席したが、この問題に関心を有する両国の国会議員の間でも接触が行われている状況である。
報道官会見要旨 (平成10年7月14日(金)17:05~ 於 会見室)(報道官)ブラジルが7月13日、核不拡散条約(NPT)及び包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准し、大統領が署名した。わが国はこの動きを歓迎し、高く評価するものである。なお、小渕外務大臣が先般ブラジルを訪問した際に、本件につき働きかけを行った経緯がある。
NPTは国際的核不拡散秩序の中心的柱である。批准書の寄託というプロセスがあるが、ブラジルの批准により締約国数は187となり、主な未締約国はインド、パキスタン、イスラエルのみとなった。わが国としてはこれらの諸国が可及的速やかにNPTに加入するよう強く希望する。今回のブラジルの批准はNPT体制の普遍性を高め、その堅持・強化に大きく資するものと考える。
また、CTBTは核兵器のない世界に向けた歴史的一歩となる条約である。この条約がすべての国の署名・締約を得ることを引き続き強く期待している。特に、本条約に反対の立場を表明している国が、この条約を早期に締結し、本条約が早期に発効することを強く希望する。
一つ付け加えれば、豪州が7月9日にCTBTを批准しており、今回のブラジルの批准によりCTBT批准国は16となった。(問)核保有5大国のCTBT批准状況は如何。
(報道官)批准した国が英国、フランス。未批准国が米国、ロシア、中国である。
(問)非核国の批准も重要だが、より重要なことは核大国の批准である。核大国の批准の予定の見込み如何。また未批准の国々へのわが国の働きかけ如何。
(報道官)まさに指摘のような点がある。先般のロンドンにおけるG8外相会合の時にも、CTBTの発効を確保するためすべての国々に速やかな署名および批准を呼びかけ、G8の未批准国政府はできるだけ早期に条約批准を行う決意をすることを歓迎するとの文言が声明に入った。わが国も、特に指摘の重要な関係国が1日も早く批准することが必要との観点から、同会合においてその重要性を強調した経緯がある。引き続き呼びかけの努力を続けていきたいと考えている。
(報道官)平成9年の海外渡航者数は1680万人と過去最高の水準に達した。そうした中で海外で事件、事故に巻き込まれる日本人の数も、在外公館が知り得たものだけで15,344人と過去最高を記録した。
そこで外務省は、7月21日(火)から27日(月)までを「海外安全週間」として、海外での事件、事故などのトラブルに旅行者が巻き込まれないよう、注意を呼びかけるキャンペーンを行う。「海外安全週間」は平成5年度より年1回実施しており、今回が6回目となる。その目的は国民に対し、広く集中的に海外での安全意識の普及、啓発を図ることである。
今年度の「海外安全週間」は夏の旅行シーズンに合わせて実施し、イメージ・キャラクターとして、有名な元テニス・プレーヤーの伊達公子さんを起用した。伊達さんの世界的な知名度、豊富な海外経験、スポーツ・ウーマンとしてのさわやかなキャラクターに期待しての起用である。初日の21日に内藤領事移住部長より、このキャンペーンのための「海外安全週間」のたすきを伊達さんに授与する。
21日から24日にかけて、有楽町、名古屋、福岡、札幌の4旅券事務所と東京、大阪の2つのシティー・エアターミナルでキャンペーンを行い、海外における安全について呼びかける。また、21日と26日には街頭イベントを西銀座デパート・イベントスペースにて行い、海外安全クイズを実施するなどして海外における安全を呼びかける。
伊達さんは21日に東京シティー・エアターミナルで行うキャンペーンおよび西銀座デパートのイベントスペースでの街頭イベントに参加していただくことになっている。
報道官会見要旨 (平成10年7月10日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)ちょうど1週間前の会見でアビオラ元ナイジェリア大統領候補が釈放される動きになっていることについて「民主化プロセスに意義を持つ」と歓迎する旨申し上げたが、その後、ナイジェリア政府よりアビオラ氏が7月7日に急死した旨発表された。わが国としてはナイジェリアにおける民主化プロセスが重要な段階を迎えているときに同氏が急死されたことは極めて残念に思うものであり、心より追悼の意を表するものである。
わが国はこれまでナイジェリアの軍事政権に対し人権および民主主義を最大限尊重するとともに、平和的かつ早期に民主化に向けて施策を講じるよう求めてきた。ナイジェリアにおける民主化がアビオラ元候補の急死を乗り越えて進展し、民政移管プロセスが平和的、民主的かつ早期に完了することを強く希望している次第である。
ナイジェリアにおいて、アビオラ氏の急死を契機にラゴス州イケジャ地区をはじめとする南西部地域において、アビオラ氏支持者に一般市民も加わった暴動が発生し、数十人の死傷者が出ていると伝えられる。ナイジェリアに対しては6月11日に海外危険情報危険度1「注意喚起」を発出していたが、この最近の情勢にかんがみ、本日7月10日をもって南西部地域ラゴス州、オグ州、オヨ州に対し危険度3「渡航延期勧告」を発出し、その他の地域については危険度2「観光旅行延期勧告」を発出した。(問)ロンドンで行われていた核問題についてのタスクフォース会合が終了したようだが内容について報告は入っているか。
(報道官)今回の会合はG8諸国およびアルゼンチン、ブラジル、ウクライナ、オーストラリア、オーストリア、中国(本国から軍縮研究所長)、フィリピン(在英大使館員)から高級事務レベル(SOM)が参加した。今回の会合はわが国が提案して開かれることになった会合であるが、タスクフォースということで、交渉したり、その場で何か新しいことを決定するということではなく、G8外相会議の結果について実務的な観点から意見・情報交換を行うことを主たる目的とするものである。
内容的には核実験、核爆発についての議論もあったが、インド、パキスタンに包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名をさせるにはどうしたら良いか、あるいはその見通しなどを話し合った。この関連で、印パに核不拡散に積極的に対応させるためにはほかの国の軍縮努力が必要であるとの意見も出された。その関係では英国がトライデント搭載の核弾頭削減を発表したしたことにつき、わが方の代表から「この時期の削減発表は非常に重要である。核兵器保有国のこうした積極的な姿勢が印パに対してもよい影響を与える。」という点を指摘した。また、印パの核兵器化の阻止、核兵器ミサイルの配備中止、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約への早期参加についていろいろ議論、意見交換があった。
もう一つ大きな問題は印パ間の緊張緩和問題であった。会合では両国間の信頼醸成のために何ができるかを討議したが、インドはカシミール問題を中心とする印パ対立を国際化するのに反対、パキスタンはむしろ国際化したいと考えており、本件を第3者が仲介するのはなかなかデリケートで難しいとした議論もあった。他方、政府レベルの信頼醸成は難しいが例えば民間の識者とか政府、民間の両方が入った形でのセミナーといったものを開催してはどうかという意見もあった。わが国からは、日本が計画している「核軍縮のための緊急行動会議」を8月末にも第1回会合を東京で開きたいと考えている旨紹介した。第3者による印パ間の仲介は難しいが、緊張緩和の観点から重要なのは、今月後半に開かれる南アジア地域協力機構(SAARC)首脳会合の場に印パ首脳が出席する予定があり、この場で首脳の出会いを契機として両国間の対話の深化を働きかけることだとの意見も出された。
今後もこのタスクフォースは議論を続けていくが、次の会合は10月に引き続き英国を議長に開くことが予定されている。(問)次の会合場所はロンドンか。
(報道官)場所は特定されていないが、英国が議長なのでロンドンの可能性は高いと思う。
(問)キリエンコ首相がテレビの会見で、訪日目的の中に領土問題は入っていないと言っていたがそのとおりか。
(報道官)国防や外交問題は大統領が中心になってやっており、ロシア連邦首相としてのキリエンコ首相の職責は基本的には内政、特に経済政策担当となっている。そういうことから今回のキリエンコ首相の訪日の際に中心的な話題となるのは、わが国のロシア改革路線への支持、日ロ経済関係の強化、橋本・エリツィン・プランの進捗状況のレビューなどとなると思われ、平和条約交渉が中心話題となるとは考えていない。今回は日ロ経済関係が中心になると予想されるが、一連の会談の中で日ロ関係全般についていろいろ話される中に何らかの形で平和条約交渉について触れられることはあると思っている。
(問)朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の資金負担の関係で日本と韓国が共同して米国に対し経費負担の申し入れを行う報道があったが如何。
(報道官)6月29、30日にブリュッセルで大使級会合が終了したときに申し上げたが、全体の軽水炉プロジェクト所要額が約46億ドル、このうち韓国が70%ぐらい、日本が10億ドル相当ということだが、欧州連合(EU)からも従来の立場からの表明があり、米国は重油の供給で精いっぱいということで、46億ドルの全部が埋まるに至っていない。その部分をどうするかで関係国間で連絡を取り合っている状況である。できれば米国にも軽水炉の部分も何らかの貢献をしてもらえれば望ましいと思っており、13日頃開かれる次の大使級会合に向けて、せっかく合意に向けた機運が強まっているので、何とかモメンタムを失わずにめどがつけられるよう努力しているところである。
(問)既に米国に対して重油以外の拠出を申し入れたのか。
(報道官)日米間のいろいろな接触の機会を通じてKEDOに関しお互いの立場、問題意識を伝え合っている状況であると理解している。
(問)来週、インドネシアのギナンジャール調整大臣が来日するが、外務省側はだれか会う予定があるか、またインドネシアの債務問題についてはどういう議論を進める予定か。
(報道官)ギナンジャール大臣は12日から15日まで来日する予定である。一つには民間債務問題で民間金融関係者と話し合い、また、日本の政府関係者とも話しがしたいとのことである。日本の政府関係者ということで大蔵省他との話し合いについては、いまその調整が行われているものと承知しているが、わが省も大臣をはじめとして日程を調整しているところである。政府関係者との話し合いで何を取り上げるかということだが、一般的に言ってわが国の対インドネシア経済支援のあり方で意見交換が行われるのではないかと考えている。
(問)インドネシア政府は40億から60億ドルの緊急支援を要請しているということであるが、日本政府はいままでその要請は来ていないとしているが、その後もそういった要請は来ていないのか。
(報道官)インドネシアと国際通貨基金(IMF)との間で6月25日に第2次補足覚書という形で新たな合意ができた。その中でインドネシアの輸出不調や資本流出により40億ないし60億ドルの国際収支ギャップがあり、その支援が追加的に必要であるとの報告があった訳だが、現在この支援をどうするかについてがIMFとして種々検討中と承知している。IMFはこれを検討していくに当たって日本を含める関係国とのやり取りを進めていると理解しているが、IMFから日本に対して具体的な額を示しつつ、これだけ支援してほしいというような個別具体的な要請ないし打診があったとは承知していない。
(問)インド洋ミナミマグロの調査漁獲について豪、NZやNGO等から批判、反対の声が出ているが、日本政府はそうした声にどう対応ないし説明するのか。
(報道官)わが方の立場と豪、NZの立場の違いから言えば、わが国は「資源状況は回復しつつある」との立場をずっと取ってきている一方で豪、NZは「資源状況が悪く、回復しつつあるというのは不確実」というもので、この3者の間で統一された見解が得られていない。ミナミマグロ保存委員会(CCSBT)では昨年から本年にかけて数回にわたり資源評価をめぐり議論してきたが、意見対立から本年の総漁獲可能量および国別漁獲割当量が合意できない状況にある。
他方、わが国は資源評価に関する見解の差を縮小するために、新たな漁獲データが必要不可欠と主張しており、このため95年からCCSBTの場で調査漁獲計画案を提案してきたが、豪州、NZはこれに賛成していない。話し合いを続けてきたが、わが国は今年5月以降、具体的な調査漁獲計画案を作ってその実施につき豪州、NZの合意を得た上で両国も参加した形で調査漁獲を行うべく協議してきたが、現在までのところコンセンサスを得るに至っていない。他方、調査をするためには夏季に調査する必要があり、時期が差し迫ってこの時期を逃せばさらに1年間待たざるを得ない状況から、この調査計画を独自の判断で実施することを決定した次第である。また、この調査を実施するに当たって、ここ数カ月にわたり調査内容につき豪、NZの意見も聞いてきたわけで、これらの意見も反映する形で調査を行おうとしている状況である。資源状況についての客観的な評価に基づいて3国間で協議していく必要があり、そのためには科学的な材料が必要との見地から調査漁獲を行おうとしているわけで、そういう意味ではCCSBTが今後も客観的な根拠の上に機能できるように、との観点でこうした計画を実施していこうとしているわけである。
因みに以上申し上げたことは豪、NZにも逐次説明している。(問)調査の名の下に実質的には商業捕獲ではないかとの見方もあるが、これをどう説明するか。
(報道官)そこは見方の相違というか、ミナミマグロ保存条約第3条に「目的」というものがあり、「目的は資源の保存および最適利用を確保する」となっており、資源の利用がそもそもの理由である。資源の最適利用を実現するに当たっては捕獲して客観的な状況を調べていく必要があるという観点から調査を行うということで、商業的な捕獲とは自ずから違うと考えている。
(問)民間の漁業者が自分達で燃料代等を負担し捕りに行っていると理解しているが、そうなれば期間中に出来る限り多く捕って元を取りたいと思うのは当然であると思われるが、そこで客観性うんぬんに疑問がわくのは当然だと思うが如何。
(報道官)今回の調査捕獲で際限なく捕るという話しではもとよりない。先ほど申し上げたように総漁獲可能量で合意が得られず、国別割当量も決定できない。日本の割当量は89年から現在まで6065トン、今回の調査漁獲は6065トンに加えて最大限で1400トンに限っている。ちなみに国別割当量についてはまだコンセンサスが得られていないが、豪、NZも既に操業を始めている。
(問)調査にかかる費用は国からの補助があるのか、それとも現地で捕獲する民間業者の全部自前なのか。
(報道官)この調査の結果漁獲したものからの収益は調査目的に使う。細かい費用負担については必ずしもすべての状況を手元に持ち合わせてはいない。
報道官会見要旨 (平成10年7月7日(火)17:00~ 於 会見室)(問)マレーシアが円借款の再開を要請してきたとの報道があるが確認願いたい。
(報道官)要請は来ている。具体的に申し上げると若干さかのぼるが4月にマレーシアの留学生プログラムに対する円借款要請が来た。5月に小渕外相がマレーシアを訪問した際、「留学生事業に対する円借款は総合経済対策の一環として特別金利0.75%を適用する」と発表した。融資対象となるプログラムの内容を今までの経験に照らしてさらに内容の濃いものにするにはどうしたらよいか、いま検討しているところである。これが確定してはじめて必要融資総額が決まる。また、対日留学生プログラムに対する円借款とは別に、マレーシアからそのほかの円借款についても関心が示されている。ただ具体的な要請内容が必ずしも明らかになっていないので、マレーシア政府に照会中である。
(問)マレーシアは一旦円借款を断った経緯があったと思うが、また関心を示してきた背景をどう見ているか。
(報道官)留学生の問題は総合経済対策の時にも問題になった。アジアの経済、通貨困難の状況の下で、日本に来ている留学生の生活も苦しくなったという背景があり要請があった。やはり日本の援助が必要であるとの判断だと思う。そのほかの円借款は、内容をもう少し精査し、どういうものが必要なのかをもう少し聞く必要があるので、いまこれ以上詳しくコメントできない。
(問)我が国としては円借款に応じる体勢にあると理解してよいか。
(報道官)まず留学生の方は応じる前提で、かつ特別金利0.75%で内容を充実したものとすべくいま話をしている。もう一つの要請は内容を調べ、それから考えていくということである。
(問)留学生プログラムは一旦途切れたのか、継続していたものを金利を引き下げたということか。
(報道官)留学生プログラムには色々あり、これまでの実績で申し上げるとマレーシアには1992年度から「高等教育借款基金計画」の事業名の下で330人を対象に約55億円を供与した。また、新規留学生250人の渡航費2学年で計500人の経費として424万ドルを供与している。いままた新しい話について検討しているところである。
(問)イランに対して米国が経済制裁を加え、日本も経済協力に慎重な姿勢が続いている。このところパイプラインの関係等で関心が高まっている。日本の対イラン経済協力の姿勢はこれまでと変わってきているところがあるのか。
(報道官)特に変わってきていることはないと思う。イランのカブル第4ダムに対する第2期分以降の円借款があるが、これについてはODA4原則や、イランと国際社会の関係を勘案し、供与の時期について慎重に検討しているところである。この状況は変わりはない。
(問)国際社会との関係を見ているということだが、いわゆるテロ疑惑の払拭が一つの条件になるということか。
(報道官)いろいろな要素を見つつ引き続き慎重に検討している状況である。
(問)現在のところ対イラン経済協力が近い将来動きだす見込みは全くないということか。
(報道官)特に近い将来に具体的な動きがあるとは承知していない。他方、ハタミ政権になってイランとの間でいろいろなレベルでの政治対話を進めていこうという意味で、例えば4月に高村政務次官がイランを訪問した。経済協力について特に近く具体的な動きが予想されているとは承知していない。
(問)昨日のアジア女性基金の償い金に関する次官会見の報道の中で、既に償い金以外の使途の検討が始まっていると伝えられている。実際に償い金以外に何らかの活用をしようとの検討が既に始まっているのか。
(報道官)韓国政府が支援金を支給している状況の下でどうするかという問題がある。いままでのところアジア女性基金事業について何らかの新たな方針が決定されたということはない。基金は従来から元慰安婦個人の意思を尊重するとの基本方針の下で、基金の事業を受け取りたいとの意思を示す元慰安婦がいれば事業を実施する考えであり、このような方針に現在のところ変更はないものと承知している。同時に、韓国政府による支援金支給が行われている状況の下で、基金として今後いかなる対応を行うべきか、現在の償い金支給という事業形態の継続を含め、さまざまな観点から検討を行っているところであるが、いまだ方針は定まっていないと承知している。
(問)秋に予定される金大中大統領の訪日までに何らかの絵を描くといった道筋なのか。
(報道官)金大中大統領が秋に来られるときにどのようなことが取り上げられるかはまだ決まっていない。他方、元慰安婦の問題については、既に相当高齢であることにも鑑みて、政府としても日本側の真摯な気持ちを表すアジア女性基金の事業を今後どの様な形で進めることが適当か、アジア女性基金の関係者とも十分協議し、その上で韓国側とも話し合っていきたいと考えている。
(問)「関係者とも十分協議し」とは昨日の次官の会見でも出たが、この協議は既に始まっているのか、これから始めるのか。
(報道官)問題意識はあるところなので、基金の関係者といろいろ相談していくところとご理解していただければよろしいと思う。
報道官会見要旨 (平成10年7月3日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)中国では6月中旬以降、南部6省(福建省、安徽省、江西省、湖北省、湖南省、広東省)・1自治区(広西壮族自治区)において、大規模な洪水災害が発生し、中国政府によれば、死者526人、被災者5,676万8千人、倒壊家屋136万4千戸という甚大な被害が生じている。
このような状況の下、中国政府は救援活動を本格化し、自ら被災者の救援活動に当たるとともに、我が国政府に対し、緊急援助を要請した。
そこで我が国政府としては、本日この洪水災害に対して、70万ドルの資金援助及び総額約2,952万円相当の物資援助(浄水器、医薬品・医療器材)からなる緊急援助を行うことを決定した。なお、70万ドルの資金援助は、今申し上げた物資の上海以降の現地への輸送費及び食品や衣服等を送るのに充てることになる。
政府としては、今回の洪水被害の甚大さ及び中国との友好関係に鑑み、人道上の観点から緊急援助を行うことにしたものである。(報道官)2日、アナン国連事務総長は、訪問中のナイジェリアにおける記者会見において、同国の軍事政権(アブバカール元首及び暫定統治評議会)が政治犯全員の釈放に同意した旨発表した。釈放される政治犯には、アビオラ元大統領候補も含まれると見られており、我が国は、今般のアナン事務総長による発表は、ナイジェリアにおける民主化プロセスの進展に大きな意義をもつものとして歓迎するものである。
我が国は、これまでもナイジェリアの軍事政権に対し、人権及び民主主義を最大限に尊重するとともに、平和的且つ早期に民主化に向けて施策を講ずるよう求めてきたが、今般、アナン事務総長によって発表された残された政治犯釈放が今後速やかに実現され、民政移管プロセスが平和的、民主的、且つ早期に実施されることを強く希望するものである。(問)ナイジェリアの政治犯釈放によって日本の対ナイジェリア政策は具体的に変わるのか。
(報道官)我が国は、ナイジェリアの軍事政権に対して民主化に向けた政策を講じるよう求めてきたが、こうした政治犯の釈放等を通じて民政移管プロセスが進むことを期待している。若干さかのぼると、6月8日にアバチャ前国家元首兼国軍最高司令官が急死し、6月9日にアブバカール前国軍参謀長が元首に就任し、10日に施政方針演説を行い7月7日までの1ヶ月間を服喪期間とするとともに、民政移管のプロセスの継続を約束した。その後オバサンジョ元国家元首等多数の政治犯の釈放、国際社会との対話を実施してきたが、今申し上げたアビオラ元大統領候補等の釈放が残っていたが、こうした人々も釈放するということで、この数週間の動きはかなり積極的なものがあり、8月1日には大統領選挙が予定されており(予定通り実施できるか否かという問題もあるが)、10月1日には民政移管が行われることとなっている。
我が国としては、先ずはこうしたスケジュールがあるナイジェリアの民政移管が平和的民主的かつ早期に完了されることを強く希望している。そのような状況を見つつ我が国としての政策というものを引き続き考えていくことになるかと思う。(報道官)我が国と国連及びGCA(「アフリカのためのグローバル連合」)は、本年10月19日~21日に「第2回アフリカ開発会議」を東京で共催する。
この会合はサブ・サハラ・アフリカ諸国が自助努力(オーナーシップ)によって、又、域外諸国との協力(パートナーシップ)を通じて、平和と安定の中に生活の向上と経済の発展を推進することを支援することを目的としている。サブ・サハラ・アフリカ諸国は、一人当たりGNPが一日一ドル以下の国も多いが、近年では、経済改革努力の結果、年率実質5%前後のGNP成長率を達成している国もサブ・サハラ・アフリカ47ヶ国中、約20ヶ国(96、97年)ある。TICADIIの開催を通じて、こうしたアフリカ諸国の開発努力を支援していきたいと考えている。
この10月の会合では、「行動計画」というものを纏めることを考えている。即ち、日本及びアジアの国造りの経験も参考として、特に教育、保健等を通じた人造り、女性の社会参画、農業、民間セクター支援というようなものを重点的に議論の上、「行動計画」を纏める予定である。
また、この会合では、いわゆるガヴァナンス(良い統治)、紛争予防、戦後復興といった問題についても議論することを考えている。「行動計画」を策定するために、昨秋の東京準備会合を経て、これまでに2回の準備委員会(本年3月セネガル(ダカール)、6月ジンバブエ(ハラレ))が開かれ、本会合まであと1回9月にエティオピアのアディス・アベバで準備会合を開くこととしている。
この会合には、アフリカ諸国の他、アジア諸国、欧米諸国及び国際機関画賛課する予定である。なお、ご記憶かと思われるが、第1回アフリカ開発会議は1993年10月に開かれ、そこでの討議内容が1996年に策定されたOECDの新開発戦略に結実したという経緯がある。
本会合の準備を行うために、外務省内に「第2回アフリカ開発会議」事務局が開設されたところ、その陣容は以下の通り。
TICADII担当特命全権大使 片倉邦雄大使 事務局長 天江喜七郎中近東アフリカ局長 事務局長代理 石川薫中近東アフリカ局参事官 事務次長 西村篤子アフリカ一課長 同 太田清和アフリカ二課長 TICADII準備室長 大村昌弘中近東アフリカ局企画官 (問)サブ・サハラからは何カ国参加されるのか。その中にスーダンは入っているか。
(報道官)アフリカからは47ヶ国が参加する。また、スーダンが入っていないのは、そもそもサブ・サハラ・アフリカの中にスーダンが入らないということであるかと思うが、本質問に関しては、補足的にお伝えすることがあれば別途お応えすることとしたい。
(本質問に関連して、以下の内容を霞クラブに貼り出した。 記
サブ・サハラ・アフリカの国の数について
本日の報道官記者会見で出た、サブ・サハラ・アフリカにスーダンが含まれているかとの点については次の通りです。
「サブ・サハラ・アフリカ」は、エジプト、スーダン、チュニジア等の北アフリカを除く47ヶ国とされる例が多く見られます。その意味で、スーダンは含まれません。
他方、TICADIIについては、いわゆる南南協力との観点から北アフリカ諸国も参加見込みですが、現時点では具体的参加国は未定です。)(問)準備会合がエチオピアで開かれるとのことであるが、エリトリア紛争との関係で(開催は)可能なのか。
(報道官)もともとエチオピアを予定しており、9月7、8両日に開かれることとなっている。エリトリアとの関係という問題もあるが、情勢の展開を見てエチオピアで開くことができると判断している。
(問)事務次官が以前の会見で、今年初めに予定されていた小渕大臣のアフリカ訪問が国会日程の関係で中止になったことを受けて、できるだけ早く(アフリカに)行っていただきたい、大臣自身もその意向である旨発言されたと記憶しているが、アフリカ訪問はこのTICADIIの前か、或いは後にできるだけ早く訪問されると考えてよろしきや。
(報道官)柳井外務事務次官からも申し上げた通り、今年初めの歴訪が中止になった訳であり、なるべく早く行っていただきたいとの希望を持っているが、今のところ、具体的に何時大臣にアフリカに行っていただくという、目途がついている状況には至っていない。
(問)大臣のアフリカ訪問の日程だが、外務省首脳はTICADIIの会議前は無理だろうと発言していたが、まだ会議前に歴訪する可能性は残されているのか。
(報道官)先ほど申し上げたように、いまの時点で大臣にこの時期であればアフリカに行っていただけるという目途がついているという状況にはない。
(問)それはなぜか。
(報道官)色々な外交日程及び国内日程等との兼ね合いを見つつ、何時であれば行っていただけるかという検討を引き続き続けているが、今の時点で目途がたっているという状況にはないということだ。
(問)そもそも外務大臣がアフリカ諸国を訪問しようと計画した狙いは何だったのか。
(報道官)アフリカ諸国との友好関係を深め、TICADI、TICADIIとの関係でアフリカとの対話を深めていくということもあるが、たまたま今年の初めに予定していたものが実現ができないということで、その後どういう日程であれば調整が可能であるということを色々検討してきている次第であるが、今のところ残念ながら「この時期であれば」という目途がついていない状況である。
(問)平林大使がニューデリーの地元経済団体での講演で、カシミール問題の仲介をするのかとの質問に「ノー」と言ったと伝えられているが、実際はどのように述べたのか。
(報道官)実際のやり取りであるが、在インド大使館に確かめたところ、平林大使が2日、インド商工会議所連盟で日印関係全般に関する講演を行い、講演後の質疑応答の中でこの質問が出たようであるが、大使はその質問が出たときに「答はノー、否である」と言われて、その後具体的な説明を行おうとしたが、司会者が「講演会では政治的問題を質疑応答するのは適当ではない」として、そこで遮ってしまったという話だ。それ以上の答を遮られたというのが事実関係としての事情である。
我が国の立場を申し上げれば、恐らく平林大使も「仲介をするのかどうか」という質問に対しては「答はノー」と言った後で、いまから自分(報道官)が申し上げることを言おうとされていたと思う。即ち、我が国としては、先般のG8外相コミュニケでも述べられているように、インド及びパキスタンがカシミール問題を含む両国間の緊張の根元的原因に対応するために、直接対話を再開するよう強く求めるとの立場を取っている。同じくG8外相会議で小渕外相が発言されたのは、インド、パキスタン両国が2国間対話の適当な場所を求めるのであれば、東京を提供する用意があるとの立場であり、右立場については何ら変わりはない。(問)6月29、30日にブリュッセルで開かれたKEDO大使級協議で経費の枠組み、分担額が決まることを強く期待するという話を何回か伺っているが、今回の会合の結果についてどのように評価するか。
(報道官)まだ完全には決まっていない。ただし、経費の見積額全体の規模がどうなるかという話とそれをどう分担するかという二つの話のうち、経費の見積額については、(まだ正式に決まった訳ではないが)かつては51.785億ドルと言われていたのが、その後韓国におけるウオンの大幅下落等を踏まえより現実的な額に圧縮できるのではないかということで話し合ってきたが、46億ドルという方向で落ちつく見込みとなってきている。その面ではある程度進展があったと思う。 他方、全体が46億ドルとして、それをどう負担するかということであるが、これは今回の会合で最終的に全て纏まった訳ではない。韓国が軽水炉プロジェクトの70%を負担する、日本が10億ドル相当の円を貢献する、欧州連合(EU)が向こう5年間にわたり計7500万ECUの貢献を行うとの従来の立場を維持している。米国は重油の供給で精いっぱいであるとのことで、まだ46億ドル全てがが埋まるという状況にはなっていない。ただ今回理事会メンバーの中で合意に向けての機運がかなり強まってきているため、そのモメンタムを失わないためにも次回の大使級協議を7月中旬、13日ごろに開催することとなっている。そこで目途がつくことを希望している次第である。
(問)確認だが、従来「韓国7割、日本2割」と言っていたものが日本は10億ドルとし、「10億ドルまでは負担する」という姿勢に変えたということか。
(報道官)10億ドル相当の円を貢献するということである。因みに日本がいままで言ってきたのは、「意味ある財政的役割を果たす」ということであり、その数値として10億ドルと言った訳である。
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