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報道官会見要旨 (平成10年6月30日(火)17:00~ 於 会見室)(問)ブラッセルで行われている朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)大使級会合について何か連絡は入っているか。
(報道官)今のところまだない。この前の会見でも申し上げたが、KEDOのプロジェクト推進を当方としても大変重視している。今回の大使級会合を通じて全体の額、費用の分担について目途がつくことを期待している。29、30両日の会合でまだ2日目が残っており、会合の状況はまだ聞いていない。
(問)本日朝の大臣会見の際、KEDOに対する協力の意思を表明するためにあえてドル建てでの表明をし、10億ドルを上回らないとの趣旨の発言をしている。今後同じような形が続けば、為替変動で国民の税金が何百億と動きかねないと思う。今後もドルベースで表明していくのか、それともこれは例外的なことなのか。
(報道官)この前から申し上げているように、KEDOのプロジェクト全体の所要額は52億ドル、それがある程度圧縮されるかもしれないという問題がある。韓国が7割ぐらいは負担する、日本も意味ある財政負担をと言ってきた。そういう意味での日本の意思表明として大臣が10億ドルと言われた。これらをベースに今まさにブラッセルで話し合いが行われているところである。今日のこの状況においていま申し上げたような背景を踏まえて、「日本として10億ドルを超えない範囲内で」と言っているわけで、今朝大臣も「将来ずっと先となると為替レートは想定しにくいから」と言っておられる。いずれにしても為替にかかわらず、ドルベースでこれだけ協力しようとの意思を大臣として表明されたものと理解している。
(問)北朝鮮に対する経済制裁について米韓で話し合うとされるが、日本はこれに加わるのか。
(報道官)特に日本に加わって欲しいという要請があるという事実はない。米韓両国の実務者協議が開催されるということだが、特にわが国からの出席は要請されているわけではない。他方、日米韓3カ国の間では朝鮮半島情勢について外務大臣レベル、事務レベル等いろいろな形で情報・意見交換を行ってきているし、今後とも適切な形で適時に情報・意見交換を行っていきたいと考えている。
(問)3カ国でずっとやっていたからこそ、経済制裁解除という重要な時になぜ日本が外されているのか、その辺如何。
(報道官)必ずしも外されているとは考えていない。今「経済制裁」ということで米韓の間で話題になっているわけで、わが国と北朝鮮との経済関係で見れば、日本は米国のように制裁を課している状況ではない。そういう意味では状況が違うということもある。繰り返しになるが、米国との間、あるいは韓国との間、あるいは米韓事務レベル等でいろいろ情報・意見交換を緊密に行っているので、そうした延長の中で本件についても情報交換を行っていきたいと思っている。
(問)わが国の立場、姿勢としては北朝鮮に対する経済制裁解除をどう見るか。
(報道官)米韓の間でもこの問題についてやり取りがあったわけだが、韓国が言っているのも、米国に対し直ちに北朝鮮制裁の緩和を求めるという趣旨ではなく、この制裁はいずれにせよ米国が独自に行っているものであり、緩和の是非についても米国が判断する問題であるとの前提の下に、米国が仮に対北朝鮮経済政策乃至制裁を善処したり解除したりする決定を行う場合には、韓国はこれには反対しないということであると理解している。この米韓の話し合いが今後どう進展していくかをわが国は注視していきたいと考えている。
(問)北朝鮮はジュネーブ合意の実行が遅れていると非難していたが、(米韓協議は)それに対応するようなものか。
(報道官)その点について自分(報道官)は今答える立場にない。
(問)米韓の話し合いに日本が割り込むのはいかがという意見もあるかもしれないが、先ほど話に出た10億ドルは現在の為替レートで1400億円以上となり、わが国は貢献を求められ、話し合いは後から教えるから入らなくともよいという形では、納税者としていかがなものかという声も出ると思うが如何。
(報道官)そういう声が出るかもしれないというご指摘はそうかもしれないが、今までのところそういう声が出ているとは承知していない。それから今米国の考え方、韓国の考え方を説明したが、今回は実務者協議ということで、米韓両国がどういう考え方で臨むかも当方としては米韓との接触を通じて聞いてきているところである。また、先ほど申し上げたように、わが国が米国のように経済制裁を課している状況ではないので、経済制裁という問題に限って言えば、ちょっと状況が違う。さはさりながら、韓国は北朝鮮との関係を重視しており、金大中大統領の対北朝鮮政策もある中で、この辺の話がどう推移していくかについて当方としても引き続き関心をもって見守っていきたいと考えている。
(問)では少なくともこれまで密接な情報交換が行われてきたから今後とも情報は得られるであろうということか。
(報道官)いろいろな接触の機会を通じて情報・意見交換は行われると思う。
(問)カンボディアの高官が「選挙費用が足りない」と国連に求めているとの報道があるが、これについては如何。
(報道官)その報道自体の事実関係は必ずしも承知していない。カンボディアの選挙実施に当たってわが国も300万ドルの投票箱などの寄付等かなりの支援を行ってきた。欧州連合(EIJ)その他関係国もそれぞれいろいろな支援を行ってきた。さらにどういうところが足りないのか詳細は把握していないので、今コメントすることは差し控えたい。ただ、わが国にしても、あるいは関係国にしてもカンボディアの選挙がスムーズに実施されることを重視していろいろな形での支援を行っているところであり、わが国からは7月中旬から8月初めには選挙監視団の派遣も行う。こうした協力を通じて選挙がスムーズに実施されることを期待しているところである。
(問)エストラーダ・フィリピン大統領が就任するが、フィリピンはこれまで比較的アジア経済危機の渦からちょっと離れている感じもあった。しかしここにきて経済危機の様相を深めているとの報道があるが、フィリピンの状況についてわが国はどう見ているか。
(報道官)フィリピンもアジア経済危機の影響をある程度受けている。今回の選挙を通じてエストラーダ大統領が本日就任した。ご指摘のような状況を踏まえ、ラモス前政権の下で達成された政治的安定、経済改革路線が新政権にも引き継がれることを期待している。そういう意味でエストラーダ新大統領の下でのフィリピンに対しても、ラモス前政権に対するのと同様に国造り、就中民主主義の確立及び経済再建努力を可能な限り支援していきたいと考えている。
報道官会見要旨 (平成10年6月26日(金)15:45~ 於 会見室)(問)カンボディアで選挙がスタートしたが、これまでのところ順調と見ているか。
(報道官)ほぼ順調と言えると思う。7月26日の選挙に向けた選挙運動が6月25日から7月24日まで行われる。政党登録を行った39の政党が選挙戦に入った。有権者登録は5月18日から6月18日まで行われ、全有権者の98.3%に相当する540万人が登録を終了した。ちなみにわが国からは30人の国際監視要員が派遣されることになっている。
政党登録、有権者登録等の準備状況は概ね順調に進展していると思う。今月20日に行われたASEANトロイカ、フレンズ・オブ・カンボディアの会合でも概ね順調な進展と評価されたが、いくつか残された問題も指摘されている。例えば、マスメディアへの各政党の公平なアクセスなどがあり、トロイカ、フレンズ・オブ・カンボディアの会合の参加国もこうした問題についてカンボディアの前向きな対応を慫慂していくことになった。そうしたことも含めて、わが国としても今後の展開を注視し、かつ折りに触れてカンボディアに対し引き続き前向きな対処をしていくよう慫慂していく考えである。(問)わが国の選挙監視団はいつから、どこで、どの様な活動を行うのか。
(報道官)いつからか、いま手元にないが、終わるのは8月初めまでで、わが国の選挙監視団は国連の調整の下で国際監視団の一員として行動する。選挙監視をした後、国際監視団としての評価を行うことになっている。それが終わるまでカンボディアに滞在する。地域的にはいろいろ分散して行くことになると思う。
(問)監視団長が元統合幕僚会議議長の西元氏で、元ユニフォームの方がこうした活動の団長になるのは初めてと思うが、今回西元氏が選ばれた理由如何。
(報道官)ご本人がぜひこうした活動に参加したいと希望したと承知している。背景としては、カンボディアで最初に選挙が行われたときに国連の平和維持活動(PKO)に自衛隊が参加したこともあって、本人の希望もあり、団長をお願いするのが適当との判断に至ったものと理解している。
(問)自民党の佐藤孝行議員が訪韓して会談しているが、自主規制をめぐり韓国側からあまり積極的な反応を得ていないようだが、その評価と今後の見通しは。
(報道官)佐藤議員が訪韓し24、25両日の滞在中に金大中大統領、朴定洙外交通商部長官、海洋水産部長官、関係国会議員らと意見交換した。大統領との会談を含め、共通の話題として、できれば秋の金大中大統領の訪日までに漁業問題にめどをつけるべく、双方が努力していくことが話されたと聞いている。同時に、佐藤議員は「この問題の解決のために日韓双方の努力が重要である、海洋法の新時代に入るに当たって資源管理を重視すべきである。」と言われた。また、日本は栽培漁業についての成果があるので、韓国側が希望するのであれば、その分野でのノウハウを提供する用意があるとも言われたと聞いている。自主規制措置の再開については、目下韓国側で真剣、かつ最終的に検討しているとの由である。私どもとしては韓国側が早く決定することを期待している。
(問)漁業交渉が7月2日に開かれるとの韓国側の報道があるが、確認できるか。
(報道官)まだ確認できる状況ではない。次の交渉の日程を決めるべく調整中であるということで、まだ7月2日に決まったという状況ではないと聞いている。
(問)自主規制措置の再開について韓国側が真剣に、最終的に検討しているということだが、これはどういう形で伝えられたのか。
(報道官)佐藤議員がむこうに行かれ、大日本水産会会長も同行したが、一行が先方の政府および関係国会議員等の関係者と話し合いをされた一連の会談の中で、そういう話しが出たと理解している。
(問)クリントン大統領訪中の意義と日本への影響についてどう見るか。
(報道官)クリントン大統領は西安から入り、これからあちこち回るわけだが、前回の会見でも言ったように、今回のクリントン大統領の訪中は最近見られた米中関係の進展を受けている。今回の訪中によって良好で安定的な米中関係が築かれることは、アジア太平洋地域あるいは世界の平和と安定にとって重要な要素であり、わが国としては米中両国が緊密な対話を通じて安定的な関係を維持していくことはもとより希望しているところである。米中、日中、日米の日、米、中の3カ国の関係がゼロサム・ゲームでなく相互に補強し合っていくことが望ましいと考えているので、そのような観点からも今回のクリントン大統領の訪中を通じて築かれる良好で安定的な米中関係は重要なものと考えている。
(問)北朝鮮の潜水艇の中から乗組員の遺体が見つかったとの報道がある。この関連で何か新しい情報は。
(報道官)韓国軍が北朝鮮の潜水艇を引き揚げたところ、9人の死体が発見されたという。韓国軍の調査の結果、遺留品としてAK小銃1丁、ロケット砲1門、機関銃1丁、拳銃1丁、手流弾2個などが残っていた。韓国側は「これらのことから見ても本件は対韓国工作のための浸透作戦であることが明白である。」と発表していると承知している。また、「本件は明白な休戦協定違反であり、浸透挑発行為である。」とも言っている。以上を踏まえ、本日国防部長官による対北朝鮮声明が発表され、その中で、「今回の潜水艇事件は休戦協定違反であり明確な挑発行為である。北朝鮮側に対し納得のいく説明を求める。本件事件に関連する者の処罰等の対応を求める。またこのような問題を議論するために国連軍司令部と北朝鮮軍との将官級協議の開催を求める。」との声明が発表された。
今回の事件は96年9月の北朝鮮潜水艦侵入事件同様、朝鮮半島における緊張緩和の重要性を改めてわれわれに認識させる事件であると考えている。北朝鮮側が韓国政府の要請に対し真剣かつ誠実に対応するよう要請したい。また、わが国としては、朝鮮半島における平和と安定のためには南北対話の進展と南北関係の改善が重要であると考えている。このような観点からわが国としては今後とも韓国などと緊密に連絡しつつ、事態の推移を注視していくとともに、朝鮮半島の平和と安定のために韓国をはじめとする関係諸国と緊密に連携していく考えである。(問)昨日は朝鮮戦争が始まった日であったが、こうした日の前後に起きた背景については如何。
(報道官)推測はいろいろ可能とは思うが、推測で物を申し上げてもどうかと思う。例えば北朝鮮の意図がどうであったかなどを自分(報道官)がこの場で推測してもどうかと思うので、それ以上に申し上げることは差し控えたい。
(問)韓国の財界要人が北朝鮮を訪問し、共同開発などの話しをしている一方でこうした事件が起きているが、南北の現在の良い方向へ向けての流れが止まってしまう、あるいは逆流が生じる恐れはないと見ているのか。
(報道官)断言することは難しいが、今回の事件の経過を見てみると、韓国の軍も含めた当局はまず船を引き揚げ、調査した上で北朝鮮に納得のいく説明を求める、関係者の処罰等の対応を求める、国連軍司令部と北朝鮮軍との将官級の協議の開催を求めると、事件が発生した途端に非常に強烈な反応をするといったことでなく、一つのステップを経て今のような声明を出すに至っている。我々としては北側が韓国政府の要請に真剣かつ誠実に対応することを願っている。逆流していかないためにも、真剣かつ誠実な対応があることが望ましいと考えている。
(問)ソウルの日韓安保対話の状況は如何。
(報道官)もう終わったころかと思うがまだ具体的な中身は聞いていない。今回は外務省と防衛庁の当局者が一緒になって先方のそれぞれのカウンターパートと一緒に行う初めての対話ということについては意味があると考える。
(問)KEDOが近づいているが、資金拠出額は日本政府の考えている方向で達成できそうか。
(報道官)そういう方向にいくことを切に望んでいる。大使級会合は何回かあり、いろいろな話し合いが行われてきたが、為替の変動をも念頭に全体の額をもう少し圧縮できるのではないかという話しと、各国の経費負担との両面がある。KEDOのプロジェクトは大変重要と思っているわけで、関係各国の関心も高く、今回のブリュッセルでの大使級会合でこれらの問題にめどがつくことを強く願っている状況である。
(問)この問題での日本と韓国の立場は例えば共同戦線を張るといったところまではいっていないか。
(報道官)関係者が一生懸命議論をして、経費負担などで何とか合意できる立場を求めてやってきた。これからも話しが行われる状況なので具体的にどの国とどの国の立場がどうこうといま申し上げるのは差し控えたい。
報道官会見要旨 (平成10年6月23日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)イスラエル政府は21日の閣議でエルサレム市から西側の地域(67年以前からのイスラエル領域)を同市へ併合し、更にエルサレム市西岸地域を含む同市領域外の北、南、東側地域を包括的エルサレム市地域として計画建設の権限などを付与する計画を承認したと伝えられる。これにつき我が国としてはイスラエル政府がエルサレム地域拡大計画を承認したことを大変遺憾と考えている。イスラエル・パレスチナ間の交渉進展に向けた両当事者の誠実な努力を求めた我が国としてはイスラエル政府によるこの計画の承認は、現在重要な局面にある和平プロセスに悪影響を与えるものであり、好ましくないと考えている。本件につき我が国としてはイスラエル政府の今後の対応を注視していきたいと思っている。
(問)イスラエル政府に対して何らかの形で遺憾の意を伝えることはしているのか。
(報道官)時差の関係で実際に伝えたかどうか承知していないが伝えつつあると思う。
(問)現地で伝えるのか。
(報道官)現地でも何らかの形で伝えることになると思う。
(問)東京では伝えないのか。
(報道官)そこまでは承知していない。
(報道官)第16回日・ASEANフォーラムが6月25日及び26日にハノイで開催される。我が国よりは原口外務審議官他が出席し、ASEAN9ヶ国(インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ヴェトナム、ラオス、ミャンマー)の外務次官級の代表と協議を行う。今回は現在直面している経済危機の現状と今後の取り組みが議論の焦点となる。また、昨年12月の日・ASEAN首脳会議のフォローアップが行われるとともに、地域の主要な政治・安全保障問題等についても議論する予定である。
このフォーラムは77年以来日・ASEANで交互に開催されており、ASEAN側の開催地はASEAN対日調整国となっている。今回が16回目であり、対日調整国であるヴェトナムのハノイで開催される。
このフォーラムは政治・安全保障を含む政策対話及び日・ASEAN間における経済、経済協力、文化交流等について基本的方向付けを事務レベルで行うことを目的としている。(問)日・ASEANフォーラムの場でインド、パキスタンの核実験、カシミール、非核地帯の問題などもテーマとして話し合われるのか。
(報道官)フォーラムには政治・安全保障対話のテーマがあり、さらにARFの問題についても触れるので、それらの問題が話し合われることもあり得るかもしれない。ただ、議題の数が非常に多い会議であり、安全保障問題自体についてどれだけ時間をかけ、突っ込んだ議論ができるかは他の議題とのバランスもあるかと思う。
(問)これらの問題はむしろARFの方で話し合われる問題という形になるのか。
(報道官)政治・安全保障問題で関心があることと言えばインド、パキスタンの核実験の問題があり得ると思うが、ARFの会合は7月末で、それに至る過程でいろいろ議論があり得るかと思う。出席者の関心の所在によって取り上げられることもあり得よう。自分(報道官)が理解している限りでは、地域・国際問題を扱うところでインド、パキスタンの核実験という形で議題に乗ってはいない。他方、政治・安全保障対話のテーマの中では出てくるかもしれない。
(問)以前の会見の際に、ARFの場にインド、パキスタンの代表の出席を求めて話し合うことについて前向きに考えたいとしていたが、その後出席を求める件はどうなっているか。
(報道官)インドはASEANのダイアログパートナーであり、ARFには出席している。インド、パキスタンの核実験が東南アジアを含め東アジア地域に与える影響にかんがみても、パキスタンが何らかの形でARFの議論に参加することが望ましいのではないかと考え、関係国と意見交換をしている状況である。ただ、なかなかこの問題についてのコンセンサスを得るのが難しい状況もある。いま引き続き関係国との間で話し合いを行っているところであり、その結果が出たところでわが国としての最終的な対応を決定したいと考えている。
(問)「パキスタンの出席を求めることが望ましい、関係国と意見調整中だがコンセンサスを得るのは難しい」ということだが、わが国としてはぜひ出席してほしいが関係国の中で反対している国があるということか。
(報道官)関係国の中にはインドもある。コンセンサスで決めるということになるとなかなか難しいかもしれないということだ。
(問)フォーラムに出席する日本側のほかのメンバーは。
(報道官)外務省から経済協力局の目賀田政策課長、アジア局の佐藤地域政策課長ほか、通産省からは久澤通商政策局南東アジア大洋州課市場専門官、農水省から大梧経済局国際部貿易関税課国際専門官のほか、ASEANセンターの恩田事務局長、入澤総務部長らである。在ハノイ大使館の館員も出席する。
(問)北朝鮮の潜水艦が韓国の沿岸で発見されたことについて外務省としてのコメント如何。
(報道官)色々なことが伝えられているが、今までに我々が把握しているのはこの潜水艇を韓国海軍艦艇が東海(トンヘ)海軍基地へ曳航してきたということが一つ。そして本日3時の韓国軍合同参謀本部の記者会見によると、東海港内の港へ曳航予定であったが3時現在外海において潜水艇を曳航する作業は中断した。理由は船体の大部分が水中にあるために引き上げる必要があるということである。船体が沈んでいる理由は船体中に水が大量に入ったか、或いはバルブ機能が故障したためと考えられる。現在韓国海軍が水中に引き上げる方法を検討中であると発表したと理解している。
他方、北朝鮮の平壌放送は本日の午後3時過ぎに北朝鮮の潜水艇が故障のため遭難したと報じているようである。潜水艇は機動力を失った状態で海流と風に流され航路を見失って遭難したものと見られ、現在北朝鮮の当該機関は遭難した船と船員を捜索していると報じている旨承知している。韓国政府としては、今回発見された潜水艇が北朝鮮のものであること。(当該潜水艇は)6人乗りの70トンクラスのユーゴ級潜水艇ということを確認した。そして乗員数については依然不明である。韓国政府としては潜水艇の基地到着次第調査を行い、その結果に基づき今後の対応を決めるものと理解しているが、これから引き上げるという状況のもとではそれ以上の事実関係は解らない状況と思われる。我が国としては韓国などと緊密に連絡をしつつ今後とも事態の推移を注しいていく考えである。(問)この事件に伴い北朝鮮の陸上部隊、艦艇、航空機の動きに変化が見られているのか。
(報道官)今現在特に聞いていない。他方、本日板門店で将官級対話が開催されたようであるが、この問題についてどのようなやり取りがあったのかは未だ聞いていない。
(問)昨日の事務次官の会見でインドネシアに対するコメ支援を「できるだけ早く行いたい」旨言っていたが、状況はどうか。
(報道官)55万トンのコメ支援の決定を行った。本日朝、政府米50万トンの貸し付け契約が食糧庁とインドネシア食糧調達庁との間で署名された。貸し付けに当たって必要な海上輸送費を支援するために、わが国として109.9億円の緊急無償援助を先日成立した補正予算から支出することとし、本日の閣議で緊急無償援助の供与を承認した。また、国内輸送経費として必要な50億円も補正予算から支援することになった。
これ以外に無償資金協力による約5万トンのコメ支援を本日の閣議で決定した。5万トンの内訳は、世界食糧計画(WFP)を通じて約4万トン(国際市場からタイ米を調達)、2国間で約1万トン。本日そのための書簡交換を4万トン分をローマで、1万トン分をジャカルタで行うことになっている。
これらのインドネシアに対する食糧支援によって、現在の経済危機により影響を受けているインドネシア国民の食糧不足が緩和され、社会的な安定につながることを期待している次第である。(問)第一船がインドネシアに着くのはいつか。
(報道官)政府米50万トンの貸し付け分、および2国間の約1万トンについては、これからインドネシア側による傭船契約の締結などの作業の進捗状況によるが、順調にいけば、8月下旬にも第一船が到着するものと考えている。
WFPを通じた約4万トンの支援に関しては、タイ米等の調達・輸送等に約2カ月かかる見込みであり、早ければ8月末に到着することになる。(問)近く米中首脳会談が行われるが、日本政府はこれについてどの様な期待と関心を持っているか。
(報道官)米中関係がクリントン大統領の訪中によって新たな発展のモメンタムを得ることは、日本としても歓迎すべきことと考えている。米中間にはいろいろ紆余曲折があったが、最近米中関係の改善の兆しが見られ、今回のクリントン大統領の訪中によってさらに将来に向けての米中関係の発展のモメンタムが築かれること自体、日本と米国と中国の関係がいわゆるゼロサム・ゲームでなく、お互いに補強し合うような関係になることが望ましいと思っているところから、そういう意味で歓迎しているということである。
報道官会見要旨 (平成10年6月19日(金)17:00~ 於 会見室)
開発協力に関する国際シンポジウム・新開発戦略に関する東京会議について(冒頭発言)
(報道官)「開発協力に関する国際シンポジウム」が6月22日に国連大学で開催される。テーマは「21世紀をめざしたグローバル・パートナーシップ-国際機関を通じた新たな開発戦略」である。主催は外務省と国連大学、後援読売新聞社。議長は小和田国連大使が務める。出席者はカルロス・マガリーニョスUNIDO事務局長、キャロル・ベラミー・UNICEF事務局長、ラフィディーン・アハマッドUNDP副総裁ら関係国際機関の幹部ほか関係国の方々が予定されている。
「新開発戦略に関する東京会議」は6月23、24日新高輪プリンス・ホテルで開かれる。出席者はほぼ「国際シンポジウム」とだぶっている。「国際シンポジウム」が一般公開のシンポジウムであるのに対して、「東京会議」は会議自体がクローズドセッション。ただし、「東京会議」は会議の結果を国連文書として配布する予定であり、国連における議論につながるものとなっている。会議では関係者の間で議論を深め、新開発戦略の普遍化を目指す。その場合、一つのポイントとして新開発戦略を実践していくときにアフリカが重要な場となるが、今回の議論を今年秋に予定しているTICAD-Ⅱ(第2回アフリカ開発会議)につなげることを考えている次第である。
背景について若干述べれば、国連改革という場合、安保理改革、財政改革、開発改革の各分野でバランスの取れた改革が必要だが、わが国は開発分野でイニシアティヴを取ってきており、93年の東京サミット以来、新たな開発戦略を主唱、そうした議論の中でDACにおいて新開発戦略が採択された。この新開発戦略では、わが国がイニシャチブを取って数度にわたり会議が開催され、昨年7月には「開発に関する沖縄会議」を開催し、「開発に関する沖縄宣言」をまとめた。国連の方ではアナン事務総長が昨年に改革案を発表した。以上のような流れを受けて、今回の公開シンポジウムにおいて21世紀における開発のあり方について考え、議論を通じてわが国一般におけるこの問題についての理解を深めることを狙いとしている。(報道官)このたび「国際公務員への道」という広報ビデオを作成した。企画は外務省で、UNDP東京事務所、国連プロジェクト・サービス機関UNOPSの東京駐在事務所、UNHCR日本・韓国事務所、国連大学高等研究課、ユニセフ駐日代表事務所の協力を得て作製した。
背景を申し上げれば、日本の国連分担金が97年現在で15.65%。国連関係機関(国連のあらゆる機関)における職員総数1万8000人の中で、邦人国際公務員は474人、比率は2.6%という状況である。また、国連が発表している「国連事務局における各国の望ましい職員数」によると、96年6月30日現在で日本は202人から273人の数が望ましいとされている。職員数は全体で2514人だが、邦人職員の実際の数は108人にとどまっている。
わが国の国際社会への人的貢献を高めることを目的に、昨年「邦人国際公務員の増強のための懇談会」を開催して各界の有識者の意見を聞いた。その結果の報告書が昨年11月に外務大臣に提出された。その報告書の提言の中で、邦人公務員増強のための施策の一つとして「国際機関人事センター」が中心となって国際機関職員に関する広報、情報提供手段の拡充が挙げられた。この提言を受けて、国際公務員になるための方法を分かりやすく説明するビデオを作ろうということで作業を進めていたところ、このたび完成した次第である。内容は国際公務員になりたい人がどのような手続きを取り、どうすれば世界中の応募者の中から選ばれることができるかを、分かりやすく説明したものである。このビデオは国際機関人事センターで見ることができるほか、希望に応じ大学、シンクタンク等の団体に貸し出す予定である。
斉藤駐米大使の金融システム改革についてのテレビ・インタビュー発言
(問)斉藤駐米大使が米国のテレビ・インタビューで、新しい金融システム改革の中で日本の銀行のいくつかは倒産するといった趣旨の発言をしているが、具体的にどんな話をし、外務省としてこれをどう受けとめているか。
(報道官)自分(報道官)の聞いているところでは、斉藤大使のインタビューでの発言は一昨日の橋本総理の談話、松永蔵相の談話を受けたものである。蔵相談話の中でも不良債権問題への対処という項目の下で、金融機関の早急なリストラということを言われている。いわゆる護送船団行政から脱却して金融政策の再構築および金融機関のリストラに取り組むということも言われている。このような趣旨を一般論として述べたものと聞いている。特定の金融機関を念頭に置いて発言したものではないと聞いている。
(問)大蔵省がこれに反論文書を出すそうだが、外務省から大蔵省へ何か発言の趣旨を直接伝えているのか。
(報道官)反論文書というものは私はいまのところ特に聞いていない。
報道官会見要旨 (平成10年6月16日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)小渕外務大臣は、日本人伯移住90周年記念式典等に出席するとともに、伯国政府要人と会談するため、6月20日(土)から21日(日)まで伯を訪問する。また、伯訪問途次、NYに立ち寄り、アナン国連事務総長と会談を行う予定である。アナン国連事務総長とは、国際問題、特に核軍縮・核不拡散問題等についての意見交換を行う。アナン国連事務総長とはNY時間19日午後に会談を行う。
その後20日、大臣はサンパウロに入り、右からロランジアに赴き、パラナ州伯日本移民90周年祭に参加する。その際に、カルドーゾ伯大統領と会う機会がある。
また、パラナ州知事主催昼食会に日伯議連の中山幹事長、川村議員、藤村議員と一緒に出席され、その後サンパウロに向かって、日本よりの式典参加慶祝使節団歓迎会に出席される。日本からは多数の参加者があるが、特に高知県、福井県、香川県からそれぞれ知事が参加されることとなっている。
21日(日)においては、午前中、開拓戦没者慰霊碑の献花をなされた後、伯日本移民90年祭記念式典に参加し、その後ランプレイヤー伯外務大臣との日伯外相会談を行う。会談においては、二国間関係及び国際問題(核軍縮、核不拡散問題を含む)について話し合うこととなっている。また、昼は、サンパウロ州知事主催昼食会に出席した後、サントス市へ向かい、同市において日本移民伯上陸記念碑除幕式に出席する。このサントス市の海岸に笠戸丸という船(791人という日本からの移民を乗せて同市に上陸したのは1908年6月18日ということである)がある。その時の移民の一人として当時一歳で上陸した女性の方が未だご存命ということであるので、この方にも大臣が会われる機会があると思う。
大臣はその日の晩にサンパウロを発つこととなっている。因みに、現在伯全土にいる日系人の数は130万人を越えると言われている。(報道官)今朝ほど官房長官の方から、コソヴォの関係でユーゴスラヴィア連邦及びセルビア政府に対する在外資金の凍結及び新規投資の停止を決定した旨の発表が行われたが、念のため若干本件についてのバックグラウンドを説明することとしたい。
セルビア共和国コソヴォにおけるセルビア共和国当局と独立を求めるアルバニア人住民との間の緊張関係が続いており、本年2月末以降、銃撃戦等により多数の死者が生じている。
このような事態を重視して、米、英、独、仏、伊、露からなるコンタクト・グループが3月9日に武器禁輸等の措置を実施した訳である。また、本年3月末には紛争の拡大を懸念して国連安保理としても武器禁輸を決議した。その後、国際社会から両当事者に対話を呼びかけていた訳であるが、対話に向けての動きが見られないことから、4月29日のコンタクト・グループ会合で新ユーゴ政府の在外資金の凍結及び新規投資の停止が決定された その後5月8日のロンドンにおけるG8外相会合において、今申し上げたコンタクト・グループの決定に従って、米、英、仏、独、伊及び加が制裁実施を表明した。我が国は、コンタクト・グループの決定を支持するとともに、我が国として如何なる措置が可能か検討する旨を表明した次第である。
その後、一時新ユーゴ大統領とコソヴォ・アルバニア人指導者との会談が実現し、対話が開始されたので、一旦このコンタクト・グループで決定された新規投資の停止措置の実施を欧米主要国が見合わせて、また、在外資金の凍結についても具体的な措置を取ってこなかった訳であるが、5月末からの急激な情勢悪化というものがあり、これが当局側の武力行使に起因しているということもあるので、今月12日までに多くの欧米諸国が先程申し上げた在外資金の凍結及び新規投資の停止を実施することを決定した。
ご承知の通り、先週12日にロンドンで行われたG8外相会合の際に、コンタクト・グループの外相会合も行われ、我が国及び加はコンタクト・グループのメンバーではないが、その会合の場には出席した次第であり、以上の経緯を踏まえて本日の措置を取るに至ったという次第である。(問)新ユーゴに対する制裁に日本が加わる必然性とその効果をどう見込んでいるのか。
(報道官)日本がこの制裁に加わる最大の理由はコソヴォ情勢が単に新ユーゴ国内にとどまらず、バルカン地域ひいては欧州地域全体の不安定化につながりかねない問題であり、国際社会が一致団結して対処すべき問題であると考えているからである。先程申し上げた経緯を踏まえて、国連安保理の場においても紛争の拡大防止のために何ができるか検討しているところであるが、コンタクト・グループを通じて色々議論されてきた結果、主要な先進民主主義諸国がこのような措置を取ることが必要であるとの判断に達した訳である。
我が国としても、これら諸国と協調の下に制裁を実施することによって国際的な努力に貢献し、新ユーゴ及びセルビア共和国に対し、国際社会としてのより強い政治的メッセージを伝え、対話を通じての政治的解決を促す必要があると考えている次第である。
実体的な効果についてであるが、経済的な効果はそれほど大きくないと思う。新規投資と言っても今は投資は行われていない。そういう状況であるので、今まであったものが投資の面で無くなるというものではない。在外資金の凍結については、これは東京にある新ユーゴ大使館の口座、同国中央銀行の口座のうち、大使館の通常の外交活動に必要なものは対象外となるので、実際に影響を受ける金額はそれ程大きなものではない。(問)凍結対象の資産はどれくらいあるか。
(報道官)具体的な金額は把握していないが、今申し上げた通り、大使館の口座及び中央銀行の口座というものがあると思われるが、そこにある金額はそれほど大きなものではないということは申し上げることが出来ると思う。
(問)使うことのできる法令関係というのは外為法か。
(報道官)然り。外為法は改正が行われた次第であるが、国連決議の下における経済制裁措置ということでは、かつての例で申し上げれば、イラク、リビア、アンゴラに対するものがあったが、本年4月から施行された改正外為法の下で、国連決議によらないものであっても、場合によってはこういった経済制裁を行い得ることになったものである。従って、改正外為法による制裁が行われる最初のケースである。
(問)インド、パキスタンの核実験の際、日本、米国は経済制裁に踏み切ったが、欧州諸国は英、仏を中心に経済制裁まで踏み込まない慎重論の方が大勢を占めた次第であるが、一方コソヴォではこれらの国々が先頭に立って経済制裁を押し進めており、判断の分かれるところかと思うが、この辺をどう見ているか。
(報道官)インド、パキスタンの場合、いかにして両国に有効なメッセージを伝えるかについては、それぞれの国の立場に差異があったことは事実である。我が国の場合には核兵器をめぐる国民感情というものが存在しており、現在まで機能してきた核不拡散体制を堅持していくことが非常に重要であり、印パ両国の核実験に対して何もしないことが誤ったシグナルを与えることになってはいけないとの考慮から、援助の凍結を含む措置を取った次第である。他の国が必ずしもそうした判断をとらなかったことは事実である。
コソヴォについても、日本から遠いといえば遠いところだが、実際に今起きている状況というものは、非常に憂うべき状態であり、このようなことが続いていくことはやはり国際社会にとって好ましくないという観点から、自分達もこの制裁措置に参加することとした次第である。(問)NATOはコソヴォの近くで空軍演習を計画し、空爆もありうべしとの圧力をかけているようだが、日本はこうしたNATOの動きも支持するのか。
(報道官)今我が国が参加しているのは経済制裁である。先週12日に行われたコンタクト・グループの会合でにおいては、コンタクト・グループとしての立場というものが表明された訳であるが、右立場というのは、先ず経済的制裁措置をとっていくことが必要であるとともに、ベオグラード当局に対して早急に取るべき幾つかの措置を呼びかけ、その措置の履行振りを先ず見るというものである。そのような措置が遅滞なく実施されなかった場合に、国連安保理決議に基づく措置を含む追加的な措置が取られようということであり、まだこのような措置の実施ぶりというのを先ず見て判断することになっている訳である。
我が国としても経済制裁に参加したからといって、NATOによる武力行使自体について我が国の立場を表しているわけではない。もしそのような事態が起きるということであれば、非常に残念なことではあるが、やはり国連安保理の決議に基づいて、(制裁措置が)行われることが望ましいのではないかと考えている。(問)欧米諸国はユーゴからの航空便の停止措置も出していたと思うが、日本がそれを取り上げなかったのは定期便がないからか。
(報道官)今定期便がないこともあり、本日(制裁措置実施を)決めた段階では取り上げていない。正確に申し上げれば、新ユーゴとの間で航空協定は締結されていない、ユーゴ航空機の定期便の乗り入れもない、また、ここ数年ユーゴからのチャーター機の乗り入れ実績もないという状況であるが、主要欧米諸国はユーゴ航空機の乗り入れ禁止措置を準備するといっているが、我が国としてどのような対応をすべきかについては、今後のコソヴォ情勢の展開及び欧米主要諸国の検討状況も見守りつつ検討していきたいと思っている。
(問)印パ核実験等諸々のことで最近話題に上らなかったが、韓国との漁業協定交渉はどうなっているのか。現状と見通し如何。
(報道官)先般、韓国の朴定洙外交通商部長官が来日したときにも話題に上ったが、この交渉がなるべく早く再開して解決にもって行きたいとの気持ちを日韓双方とも持っている次第である。その過程で取り組むべき問題があるが、今色々な形で韓国側との連絡を取り合って第2回目の交渉をセットするための調整の努力を続けている状況である。
(問)特に2回目の交渉をセットする作業が暗礁に乗り上げているといった状況はないのか。
(報道官)暗礁に乗り上げている状況ではないと思う。でも調整を要する問題は存在していることもあり、調整の努力を続けている状況である。
(問)日韓双方が金大中大統領の秋の来日までに妥結したいということは分かっているが、ちょっと遅れ気味ではないのか。
(報道官)双方とも出来ればなるべく早く解決したいという気持ちは持っている。しかしながら、同時にお互い相手のあることであり、予めいつまでという期限を設定するということはなかなか難しいという事情はあるが、そのような観点から、4月から再開した政府間交渉を続けるために今色々な調整努力を鋭意行っている状況である。
(問)期日の設定が難しいというが、秋までに(解決する)というのは外相間で認識が一致しているのではないのか。
(報道官)出来ればなるべく早く本問題が解決することが望ましい訳であり、その意味で、金大中大統領が秋に来られるということが一つの節目になるということはご指摘の通りである。
それと同時に、両国間で調整すべき問題は残っている訳であり、先般、朴定洙長官が訪日された時の小渕外相との会談においても、小渕外相から「双方の努力でよい新協定を作成したい。新協定は特に資源管理を重視したものとしたい。韓国側の自主規制措置停止について再考を求めたい」旨の発言をされた。これに対して朴長官の方から「韓国としても交渉の円満な妥結が重要と考える。基本的考えとして両国関係の利益のみならず両国関係全体の利益も重視している。政府のみならず業界や政治レベルの交流が重要である」と述べられた。
以上のような話し合いを受けて、両国の関係者の間でいま連絡を取りつつ引き続き努力を続けている。(問)外相の話は前に発表されたから知っているが、今は水産業界を中心にというか水産庁を通じるような交渉には未だ至っていないのか。
(報道官)韓国の代表と日本の代表とが会議場を設定して2回目の交渉をするという段階には至っていない。今2回目の交渉に持っていくべく、色々なレベルで連絡を取り合っている状況である。
(問)資源確保のための2回目の実務交渉に至れない理由如何。
(報道官)それぞれの関係者の利害が色々存在しており、例えば、日本の漁業関係者の立場から見れば、韓国の自主規制措置を停止しているという状況がが一つの障害となっていることはあると思う。そうした問題についても双方で連絡を取り合っている状況とご理解頂きたい。
報道官会見要旨 (平成10年6月9日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)3月31日にEUの第5次拡大に関する加盟交渉が開始され、EU15カ国とポーランド、チェコ、ハンガリー、エストニア、スロベニア及びサイプラスの6加盟申請国との交渉が始まった。我が国とハンガリーとの経済関係の強化という観点から、ハンガリーのEU加盟政策の現状、ハンガリーのEU加盟が日・ハンガリー経済関係に与える影響等について二国間の協議を行うことは意味があるとの観点により、「EU加盟に関する日・ハンガリー協議」が6月15日(月)ブダペストにおいて開催される。
今回の協議には、日本側から飯村外務省欧亜局審議官を団長として、外務省および通商産業省の関係者が、ハンガリー側から外務省、大蔵省、商工省ほかの関係者がそれぞれ出席する予定である。中東欧諸国のEU加盟について当該国と二国間の協議をすることは初めての例である。その背景の一つとしては日本の対中東欧投資の内7、8割がハンガリーを対象としているという事情もある。(報道官)川奈におけるにおける日露首脳会談の際にも話題が出ていたが、今般、モスクワにおける総理写真展開会式出席のため、橋本久美子総理夫人は6月10日(水)から14日(日)までロシアを訪問する予定である。
この訪露は、本年4月、川奈における日露首脳会談の際、ナイーナ・エリツィン大統領夫人から招待を受けて実現するものである。
総理写真展は6月11日の開会式から25日まで、モスクワ市内トレチャコフ美術館において開催され、開会式にはナイーナ・エリツィン大統領夫人等の出席が予定されている。(問)北朝鮮が第3次日本人配偶者の故郷訪問を取り消したが、そう判断した理由をどう見ているか。今後の日本の対北朝鮮政策、例えば食糧支援、軽水炉建設問題などにどのように影響すると考えるか。
(報道官)まず、本日の朝鮮赤十字中央委員会スポークスマンの談話であるが、このような談話が発表されたことは報道で承知している。ただ、この発表以上の詳細な事情については何ら連絡は来ていない。そうした前提で申し上げるが、日本人配偶者の故郷訪問は、北朝鮮に渡航して以来、わが国の強い要請にも関わらず長年にわたり故郷訪問の機会のなかった日本人配偶者本人の意思を尊重し、人道的見地より行うとの趣旨のものである。
わが方としてはこのような趣旨を踏まえて、いわゆる国籍離脱者の問題を含め、その実施に伴う諸問題につき建設的に解決すべく、これまで北朝鮮側との連絡調整を行ってきたところ、本日伝えられる北朝鮮の発表は残念である。
いま申し上げた通り、北朝鮮側の発表以上の詳細な事情は承知していないが、わが方としては可能な限り早急に第3回以降の故郷訪問が実施できることを希望しており、北朝鮮側の協力を得たいと考えている。
また、先週の北朝鮮側の拉致疑惑に関する発表と、本日の日本人配偶者の故郷訪問に関する発表との関係について、確たる回答をするだけの材料はないが、北朝鮮側が最近、日朝関係に対するわが方の対応に批判的な見解を累次にわたって明らかにしてきている状況にはある。日朝国交正常化交渉の再開や対北朝鮮食糧支援の問題を含め、日朝関係への対処については北朝鮮の一層の開放・透明性の促進、北朝鮮の建設的対応を得ての段階的な関係の前進、関係国間の意思疎通の一層の強化という3つの観点を踏まえて、わが方として適切に対処していきたいと考えている。率直に言って、今般の北朝鮮側の一連の対応によってわが国から前向きの対応を期待することは当面困難になったと考えている。(問)「前向きな対応」とは具体的には何を指しているのか。コメ支援の問題も含まれるのか。
(報道官)いま申し上げた北朝鮮の一層の開放・透明性の促進とか北朝鮮の建設的な対応を得ての段階的な関係の前進、関係国間の意思疎通の一層の強化という観点から対処していく対象はわが国と北朝鮮との関係全般であるが、その中に国交正常化交渉の再開や、対北朝鮮食糧支援の問題も含まれるということである。
(問)確認だが、「残念である」という発言が報道官の口から出たということは、北朝鮮赤十字スポークスマンが言明した「自発的に申請を取り下げた」という表現は信じ難いと考えているということか。
(報道官)本日の発表以上の詳細な事情がわからないので、そこは判断し難い。報道によれば在朝日本人女性の方々が自らの故郷訪問の申請を取り消されたという。本当にそのような事実があったのかどうかの問題はあるが、そうした発表があったことは残念であると申し上げているわけである。
(問)今後、拉致疑惑の解明、日本人配偶者の一時帰国を実現するために北朝鮮側の協力を得ることががなかなか難しくなったと思うが、日本側としてはどのようにしてこれらの問題の前進を得ようというのか。
(報道官)拉致疑惑については、先週の金曜日(5日)に自分(報道官)がここで記者会見していたころ、北朝鮮の方から在北京日本大使館に連絡があったが、その際にわが方から拉致疑惑の問題について「北朝鮮側の対応は遺憾である。本件はわが国国民の生命の安全に関わる重要な問題であり、引き続き北朝鮮側の真剣かつ誠実な対応を求めたい」と応答した。私どもは今後とも粘り強く北朝鮮の真剣な対応を求めていきたいと考えている。そのためにどういう方法が一番効果的であるかは、さらによく考えていく必要があると思う。また、日本人配偶者の問題については人道上の見地から行うということでやってきた。わが方としては可能な限り早急に第3回以降の故郷訪問が実施できるよう希望しているわけで、実施を希望していることには変わりがないので、北朝鮮側の協力を得たいと考えている。今後このような点について北朝鮮側とどの様な連絡を取り合っていくかはもう少し検討を要するかと思う。
(問)昨日(8日)の事務次官の会見でも質問が出ていたが、改めて伺いたい。日朝国交正常化交渉は無条件で再開しようということで合意している。一方、拉致疑惑についての北朝鮮発表は「遺憾である」、今回の日本人配偶者の故郷訪問取り下げ発表も「残念である」等等で、「前向きの対応は困難になった」と発言されたがこの辺の整合性は如何。
(報道官)北朝鮮との国交正常化交渉の再開自体について、私どもが条件をつけているということではない。他方、国交正常化交渉を進めていくに当たって日本と北朝鮮との間に存在する拉致疑惑などいろいろな問題についての前進が図られることは、日朝関係の改善を図る上で重要な要素となっていることは事実である。拉致疑惑についての今回の発表のような北朝鮮側の態度、日本に対する批判的な見解を累次にわたり明らかにしてきている状況を考えると、わが国としてこのような状況においてわが方から前向きの対応をしていくことはなかなか困難になってきていると考えているということだ。次官会見でも発言があったと思うが、そういう状況で(日朝交渉を)再開してもすぐ壁に突き当たってしまう可能性が高いのではないかと考える。
(問)北京の大使館を通じて本件についての連絡は来ていないのか。
(報道官)まだ来ていないと聞いている。
(問)北朝鮮に対する3つの立場の中で、3点目に韓国との足並みに触れたが、韓国は米韓首脳会談で北朝鮮の制裁解除に言及するなど、日本より前向きな姿勢、北朝鮮との関係改善を目指す姿勢にきているのではないか、これに対して日本はだいぶ開きが出てきたと思われるがどうか。
(報道官)日本と北朝鮮の間には特有の問題がある。拉致疑惑の問題は日本国民の生命と安全に関わる問題であり、これを重視することは国民感情からも出ている問題だ。日本人配偶者の問題も第3回故郷訪問を実施すべく北朝鮮といろいろ話し合いをしてきたわけである。人道的見地の重視からこの懸案問題と、いわゆる国籍離脱者の問題についても、建設的に解決するための方策を北朝鮮側と話し合ってきた。わが方としてはこうした努力をしており、それに対して北朝鮮側から本日の発表のような反論があったということは、繰り返しになるが、残念であると考えている。
(問)大臣は先日10億ドルの数字を挙げてKEDOへの拠出を言明されたが朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の枠組みの中にある核開発の凍結は枠組み通りにいくという確信はあるのか。
(報道官)KEDOの問題自体はわが国の安全保障に直結する、北朝鮮の核兵器開発を阻むためのもっとも現実的かつ効果的な枠組みとして機能していると考えている。従って、KEDOの事業を着実に進めることによって北朝鮮に核兵器開発の口実を与えないようにすることが重要であると考えており、わが国としてKEDOの意義にかんがみ、今後ともKEDOの事業に積極的に取り組んでいく所存である。大臣が国会で言われたのも、いま言ったような観点から、わが国として積極的に取り組んでいく、そのために経費の問題についても関係国間で早急に調整が行われることを期待しているという観点から言われたと理解している。
(問)KEDOに積極的に取り組むのは結構だが、実際に効果があるのかどうか、現在のところ北朝鮮の姿勢に変更はないのかどうか。また、KEDOが順調に活動していくためには資金の枠組みの確立が大事だと思うが、月末の大使級協議ではその方向が見いだせるのか。
(報道官)北朝鮮のKEDOに関する対応ぶり、使用済み核燃料の処理等の問題については、いろいろ伝えられているが、全般として見れば米朝の枠組み合意に反することはまだ行われていない。基本的に枠組み合意に基づいたKEDOの活動は進んでいると承知している。他方、KEDOの活動を軌道に乗せていくためには経費負担の問題を解決し結論を出すことが大事だ。従って、先だっても関係国の大使級会合があったし、6月29、30日にもブリュッセルで会合があるが、新たな経費見積額で合意がみられ、できれば経費問題の話し合いも決着させたいと考えている。そうしたことを通じてKEDOの活動が順調に進んでいくようにしていきたいと考えている。
(問)先に取り上げられたミャンマーでの麻薬代替作物のための援助問題は正式に実施が決定されたのか。
(報道官)党との関係は整理されて政府の判断で実施してよいということになり、実施への手順を進めているところと理解している。
(問)核軍縮のために、核開発の能力を持ちながら核兵器を持たない道を選んだ国との横の連絡という大臣の構想については、先般の報道官会見では事務当局に下り検討を始めたということだが、現在までのところの検討状況如何。
(報道官)いろいろな角度から検討していると申し上げるのが正確だと思う。まず、G8外相会合において、今般のインド、パキスタンの核実験が国際的な核不拡散体制に与えた影響にかんがみて、現在の危機をいかにして最も効果的に乗り越えることができるかについて、他のG8諸国とも緊密に連絡を取りつつ検討している状況である。G8の中にも非核兵器国があり、今回の会合の際に意見交換を行う機会があるかと思う。それ以外の非核兵器国との関係も、今後考えていく必要があると思うので、そのための具体的な方法をどうしたらよいかについては、G8諸国とも緊密に連絡を取りつつ考えていきたいという状況だ。まだ結論的なことを申し上げる状況にはないと思う。
報道官会見要旨 (平成10年6月5日(金)17:05~ 於 会見室)(報道官)本日朝鮮中央通信は、朝鮮赤十字会中央委員会スポークスマンが、日本側よりかねてより要請していた行方不明者に関する安否調査について、「遺憾にも、日本側が探している不明者10人は1人も捜し出せなかった。日本側が送ってきた資料で指摘された人物は現在朝鮮人民共和国領内には存在せず、過去にわが国に入国したことも、一時滞在したこともないことが最終的に判明した」との声明を発したと報じた。これについて一言述べたい。
朝鮮赤十字会中央委員会スポークスマンの声明として、今述べたようなことが言われたということは承知している。北朝鮮による拉致の疑いがある事件については、捜査当局において総合的に検討した結果、拉致の疑いが持たれている事件は7件10人であると判断している。このような判断に基づいて、政府としてはわが国国民の生命の安全に関わる重要な問題であるとの認識に立ち、従来より北朝鮮側に対しこの問題をしっかりと取り上げてきている次第である。
今回の北朝鮮の対応は極めて不誠実であり、遺憾である。政府としては今後とも引き続き、本件はわが国国民の生命の安全に関わる重要な問題であるとの認識に立ち、本件について北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求めていく考えである。(報道官)6月8日(月)から10日(水)まで、ニューヨークで国連麻薬特別総会が開催され、高村政務次官が出席する。
この特別総会には高村政務次官を団長として、総理の指示により関口警察庁長官も出席する。同特別総会においては、21世紀に向けての国際的な薬物乱用防止戦略の指針としての文書が採択される予定である。
わが国自身の取り組みとして「薬物乱用防止5カ年戦略」があるが、わが国としては、この戦略をはじめとする取り組み、その中でも最近、第3次覚醒剤乱用期が来ているといわれ、中高校生を含む青少年にも覚醒剤の使用が増えてきている状況を踏まえ、覚醒剤対策や青少年対策等の重要性についての考え方を表明する。
このほか、わが国は国連麻薬統制計画(UNDCP)の活動支援のため、97年度より任意に500万ドルを拠出し麻薬関連の各種セミナーも行ってきた。最近の例では、会見でも紹介したが、今年3月31日と4月1日にミャンマーの首都ヤンゴンにおいてわが国政府、ミャンマー政府、UNDCPの共催でケシの代替作物開発に関する麻薬セミナーを開催した経緯がある。このようなわが国の国際協力の取り組みについても考え方を表明する予定である。(問)総理が国会でこの問題の解決を北朝鮮の最高指導者に向かって呼びかけたが、今回の声明はそれに対する返事と受け止めるか。
また、北朝鮮がこうした判断を下した背景、理由についてはどの様に考えるか。(報道官)事実関係としては、指摘の通り4月30日の衆院本会議における質疑の際に、総理がこの拉致疑惑について「わが国国民の生命と安全に関わる重要な問題であるとの認識に立って、従来から北朝鮮側の真剣な対応を求めてきたが、今後とも北朝鮮の真剣な対応を粘り強く求め、問題の解決に最大限の努力を払う決意である」と言われた。その後、特に北朝鮮側からのこれに対する反応がなかったが、本日北朝鮮赤十字中央委員会スポークスマンの声明として上記の内容が述べられた。
なお、この北朝鮮赤十字中央委員会の声明に先立って、北朝鮮側から私どもの方に事前に連絡があったということはない。従って、どういう背景で、どういう考慮で声明が行われたかについての説明はない。従って、現時点でその背景等を憶測するのは難しい。
いずれにしても、この問題についての北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求めていく基本的な立場には、いささかの変更もない。また、北朝鮮赤十字会中央委員会スポークスマンの声明がこうしたものだからといって、これで話が終わってしまうということではない。(問)事前連絡がなかったということだが、事後連絡もないのか。
(報道官)今のところそういう連絡があったとは聞いていない。
(問)改めてその内容について、きちんとした外交ルートで照会する考えはあるのか。
(報道官)きちんとした外交ルートというのは(日朝間に)存在しないが、コミュニケーションは保っていく必要がある。今後どういう手だてでやっていくかはこれから検討していく。
(問)いずれにせよ何らかの形で問い合わせするのか。
(報道官)先ほど述べたように、これで話が終わったというわけにはいかない。本件について我々の立場を伝え、北朝鮮側の対応を求めるプロセスは続ける必要があると考えている。
(問)確認だが、日本政府としては、北朝鮮側の拉致は事実ではなかったという説明は受け入れ難いものであるという認識か。
(報道官)(北朝鮮の対応は)極めて不誠実であり遺憾であると受け止めている。
(問)ほかの国の捜査機関、政府が捜査を行い、こういった声明を出してくればそれを尊重するのが通例だが、今回の北朝鮮の場合に、極めて遺憾であると日本政府が言うのは、捜査当局は極めて強い証拠を持っていると解釈してよいか。
(報道官)日本の捜査当局において色々な情報を基に総合的に検討した結果、拉致の疑いが持たれている事件が7件10人であると判断しているわけである。それに対する回答としては、繰り返すが、不誠実であり遺憾であると考えている。
(問)去年の夏ぐらいから日朝国交正常化交渉をやろうといってながら持ち越しになっている。そうした流れを損なうような対応だと思うが、この回答が今後の関係に及ぼす影響をどのように評価するか。
(報道官)国交正常化交渉については、わが国は従来より無条件で再開する用意があるといってきたが、拉致疑惑問題について前進が見られることが日朝関係の改善をはかる上で重要な要素である。
本日の声明はそういう意味では遺憾なものであり、「この話は終わったから次へ」とは言う訳にはいかないと述べている。(問)この問題は北朝鮮に対する食糧等の人道援助実施の検討の際にも一つの材料となってきていたと思う。今後北朝鮮のこうした態度が続けば人道援助が必要とされても障害となる可能性があるのか。
(報道官)先ほど述べたことの繰り返しになるが、この拉致疑惑問題についての前進が見られることは、日朝関係の改善を図る上で重要な要素であると考えている。
(問)この時点で真剣な対応を求めていくとは、具体的にはどういうことか。再調査とか調査内容を明らかにせよというような内容か。
(報道官)具体的にどういうことが考えられるかは今まさに真剣に検討しているところである。現時点でどういうことかを述べるのはまだ早いかと思う。
いずれにせよ繰り返しているように、今後とも北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求めていく必要があると考えている。いかなる方途を通じてやるかは、先ほど出たばかりの声明なので、いま検討しているところである。(問)北朝鮮は米朝枠組み合意以降、日本に対しても早く関係改善をと言ってきたが、北朝鮮の対日姿勢が何らかの政策決定によって変わったということはないか。
(報道官)いまの時点で推測を述べるのは控えたい。
(問)KEDOの枠組みで重油供給のための資金に米国は苦慮しており、わが国ともかなりやり取りがあったようだが、現況と見通し如何。
(報道官)今月1日から2日にニューヨークで、KEDOの関係国の大使級会合が行われ、わが国からは高橋大使が参加した。今回の会合でKEDOの経費が昨年11月当時の見積では51.785億ドル、その後韓国のウォン価の大幅下落などを踏まえ、より現実的な額に見直すことを話し合った。すなわち経費がもっと圧縮できるのではないかということである。現実的な額に見直すことでは合意したが、まだ具体的な経費の見積額および理事会メンバーの経費負担については合意に至っていない。
次の大使級会合が6月29日から30日にブリュッセルで開催される予定である。それまでに各理事会メンバー間で連絡を取り合い、次の大使級会合で新たな経費見積額につき合意し、できればさらにメンバー間の経費負担の話し合いも決着させたいと考えている。(問)今朝の会見で大臣は、核開発の能力を持っていると見られながら非核の道を選んだ主要国の集まりを呼びかけたい、できれば今日中にも事務当局に下ろしたいとの趣旨の話をしたが、この件で大臣から指示はあったのか。
(報道官)大臣から指示があった。まさに事務当局で今後どの様な考えをどの様に実現していくかを検討中である。P5の会合が終わり、次に12日にG8の会合がある。それを控えて大臣が会見でも触れられたカナダともいろいろ連絡を取り合っていくわけで、その過程で大臣の言われたようなアイディアについても相談していくことになると思う。
また、カナダは非核兵器国としてこの問題に非常に熱心に取り組んできた国の一つであるが、それ以外に自分で核を開発しようとすればできると考えられていたけれども自らの国の方針としてそれはしないと決め、その立場から不拡散問題に強い関心を有している国として、例えばブラジルのような国もある。こうした国々とも協力しつつ核不拡散体制の強化などの問題についてどういう手当が考えられるか、これから色々相談していくということである。(問)めどとしては、例えば12日のG8までに何らかの電話連絡といったものをやるとか、そうしためどみたいなものは出ているのか。
(報道官)G8以外の国、先ほど一例としてブラジルが出たが、そういうほかの関係国と何らかの形で連絡を取ることは有り得る。これから相談していって段々に取り組んでいくプロセスになると思う。
(問)例えば12日までに可能な範囲で電話会議みたいなものをやっておき、可及的速やかに一堂に会する場を作るといったプロセスか。
(報道官)その辺をどうするかということをまさに検討中である。ただ、先ほど申し上げたような意味での関係国との連絡を近いうちに取っていくことは有り得ると思う。
(問)もう既に調整にかかっているのか。
(報道官)まずどういう所とどういうふうに連絡を取っていくかというような心積もりが必要であり、それをいま検討しているところである。
報道官会見要旨 (平成10年6月2日(火)17:05~ 於 会見室)
インドネシア情勢(海外危険情報緩和、経済ミッションの派遣等)
(報道官)先程の官房長官の記者会見で発表があったが、インドネシアに対する海外危険情報を先月28日に危険度4(家族等退避勧告)から危険度3(渡航延期勧告)に緩和したわけであるが、さらにその後現地での状況が、依然として流動的な面はあるものの引き続き政治的緊張が緩和する方向にあり、各地が更に落ち着きを取り戻しつつあることから、危険度3からさらに危険度2(観光旅行延期勧告)にした。また、バリ島に関しては危険度1(注意喚起)に緩和した次第である。
また、インドネシア情勢が一定の落ち着きを取り戻したことを踏まえ、インドネシアの経済情勢および経済改革の具体的な内容等につき、インドネシア政府関係者等より直接話を聞くために、また現地の邦人企業の関係者と意見交換をするために、藪中外務省アジア局審議官を団長とする実務者のミッションを明3日より3日間の日程でインドネシアに派遣することとした。このミッションには、大蔵省、通商産業省、農林水産省の関係者も同行する予定となっている。(問)実務ミッションでは、インドネシアへの経済協力案件についてどの様な話をするのか。コメ支援といった具体的な話を行うのか。
(報道官)まず経済情勢、経済改革の具体的な内容を聞いて、それから考えていくということだと思うが、経済協力案件は実施途次のものもあり、これらのものについての話も入るかと思う。例えば、藪中アジア局審議官をヘッドとすると申し上げたが、堂道経済協力局参事官もメンバーの中に入っている。
(問)政府関係者は具体的にどういう人たちか。
(報道官)いまアポイントメント取り付け中であり、先方のアベイラビリティの問題もあると思う。なるべく責任のある当局者ということで、いま鋭意アポイントメントの取り付けに努力中である。
(問)外務省のインドネシア緊急対策本部はなくなったのか。
(報道官)1日をもってオペレーションルームにおける対策本部はなくなった。
(問)事務次官を本部長とした対策本部も解散したのか。
(報道官)然り。同日解散し、通常の形態に戻ったということだ。
(問)インドネシアに対する医薬品援助等の実際の活動は再開されているのか。
(報道官)医薬品、医療器具の支援は3月6日に決まった10.2億円分については、第1次分が既に全国の医療病院に入り、第2次分はしばらく港が封鎖されていたので出荷を見合わせていたが、港が開かれれば運ばれる状況である。3月27日に決定された医薬品援助、粉ミルク支援30億円の方は、抗生物質、解熱鎮痛剤、ビタミン等を生産する原料が6月初旬の発注を目指して入札手続きを進めていたが、ご承知の事情で滞っていた。その手続きは近く再開されるものと思う。粉ミルクの第1次分は配備済み、第2次分も入札手続きを進めていたが中断、これも近く再開される状況にあると理解している。
(問)即ち止まっていたものはまだ再開されていないが、近く再開されるということか。また、港の状況は出荷可能な状況となったのか。
(報道官)その通り。まだ入札手続きなどが残っている。港の状況については後で確認する。
(注:後刻、6月6日(土)に出荷、17日(水)ジャカルタ到着の予定である旨の貼り出しを行った。)
包括的核実験禁止条約(CTBT)国際監視制度入門技術研修の開催について
(報道官)CTBTの国際監視制度入門技術研修が6月8日から12日まで東京において開催されることとなった。これを主催するのはCTBT機関準備委員会暫定技術事務局である。この国際監視制度について簡単に申し上げると、包括的核実験禁止条約の検証のために、世界中に4種類の監視施設を設置するということである。最初が地震学的監視施設、これは世界の中に主要な観測所を50カ所、補助的な観測所を120カ所設置するものである。日本では例えば地震の探知で有名な松代がある。
第2の種類は放射性核種監視施設、これは大気中に浮いている放射性核種を測定する観測所で、世界に80カ所設置することになっている。それから水中音波監視施設、これが11カ所、もう一つは微気圧振動監視施設、これを世界に60カ所設置する。
これら世界の様々な場所にある観測所からの情報というのは衛星を通じてウィーンにある国際データ・センターに伝えられる。と同時にこの国際データ・センターは条約の締約国の政府との衛星でリンクしている。観測データというものを国際データ・センターに集めてそこで分析をするということだが、今申し上げたように様々な場所に観測所を作っているため、そこで実際に観測にあたる技術の専門家や施設の管理者のために、施設の運営に必要な基本的知識を伝授することが必要なわけである。このような基本的知識の習得を目的として今回研修を開催するわけで、東南アジア、太平洋および極東地域から32名の研修員の参加が見込まれている。
この研修開催にあたっては,JICA国際総合協力研修所、気象庁、日本気象協会及び日本原子力研究所が研修施設の提供等の協力を行っている。また、日本人専門家も講師として参加するが、その中に元気象庁長官で地震学の権威である末廣外務省参与も参加することとなっている。
インド・パキスタンの核実験に対する反応(P5外相会合、我が国による国連決議案)
(問)国連常任理事国(P5)外相会合が4日ジュネーブで行われると中国側の発表で出ているが、日本政府としてこれに向けて何らかのメッセージを伝えるのか。またこういうメッセージをP5に発表してもらいたいという考えはお持ちか。
(報道官)国連常任理事国の会合だから日本は参加できないが、その前に米国など主要参加国と協議して日本の立場をなるべく伝えていきたいと考えている。日本の立場の基本は、インド、パキスタンの核実験という事実を踏まえて、その意味合いを考えるとやはり基本的に重要なこととして核不拡散体制を堅持することが必要である。また、インド、パキスタンの緊張緩和のために国際社会としていろいろなことを考えていくべきだと思っている。このような点を米国など主要国に伝えていきたいと考えている。
(問)P5は核保有国でもあるが、核拡散防止条約(NPT)第6条に規定されている核軍縮義務についてこれら各国に改めて問題を提起する考えはあるか。
(報道官)わが国として核軍縮にも関心がある。我が国は国連に究極的核廃絶に関する決議案を出してきたこともあり、その面での関心がある。他方、いまのインド、パキスタンの核実験から生じている当面の問題との関連で考えれば、先ほど申し上げたような核不拡散体制の堅持と印パ間の緊張緩和の重要性が特に重要な2点と考えている次第である。
(問)関心はあるがこの場では核保有国側の核軍縮義務を求めることはしないということか。
(報道官)必ずしも求めることはしないと申し上げているわけではない。現在の問題に取り組んでいくに当たって、国際社会として重点を置いていくべきポイントとして、不拡散体制の堅持と印パ間の緊張緩和に重点を置かれるだろうと申し上げている。
(問)その際の「不拡散体制の堅持」とは何を意味するのか。
(報道官)私どもの立場としては、例えばインド、パキスタンが両方ともNPT、包括的核実験禁止条約(CTBT)に無条件で加盟することを言っているわけだし、両国の今回の核実験を通じて核不拡散体制の基盤自体が脅かされかねない状況にあるので、NPT体制、核不拡散体制を国際社会として守っていくことが必要であるとのメッセージをP5にも伝えたいと思っているわけである。
(問)この関連で日本の決議案について先程の官房長官の記者会見で官房長官は、「どうもはかばかしくない」といった趣旨の発言があったと聞いているが、昨日の事務次官の会見では「拙速を避けじっくりと」(とりまとめたい)と言っている。だがあまり時間がかかってもせっかくの決議等を提出した意味が失われるのではないかと思われるが、採択の見通しを改めて伺いたい。
(報道官)ニューヨークでは週明けから常任理事国を含む各安保理メンバー国と本件決議案につき鋭意協議を行っているところである。関係国の中にはいまだ本国に請訓中であり、本国からの回答が届いていないという国もあり、いま引き続き連絡を取りつつ調整を行おうとしているところである。従って、いまの状況で採択の具体的な見通し、いつになりそうかといったことはまだ明らかにできる段階にはない。同時に、P5の会合などもあるので、そういう状況も踏まえて引き続き関係国間で鋭意話し合っていきたいと思っている次第である。
(問)わが国として提案したのは採択されるであろうと自信をもって出したのか。
(報道官)いろいろ各国の複雑な利害が絡む問題であるので、なかなか難しい点もあるが、もとよりわが国としてはぜひ採択にもっていきたいと思いつつ努力している。
(問)現在のところ見通しは難しいとの話だが、改めて採択にもっていける可能性はどうか。
(報道官)採択にもっていくべく最大限の努力をしているところである。
(問)ロシアの金融情勢が悪化に対しG7が協調して支援していこうとの発言が外国の首脳からも出ているようだが、いま現在、日本政府に対してロシア政府はどう説明しているのか、具体的な要請は行っているのか。また要請がきているとすれば具体的にどう協力を進める考えか。
(報道官)先週からのロシア市場の混乱について注目しているが、いままでのところロシアあるいは他のところから緊急融資等の支援の要請があったとは承知していない。いずれにせよわが国はロシア政府が進めている経済改革路線を支持しており、今回の金融市場の情勢にもロシア政府が適切に対処し、改革が継続されることを期待している。しかしいままでのところ特に具体的な支援の動きあるいは支援の要請がわが国にきているとは承知していない。
(問)日本のポジションとしてはロシア政府が適切に対処してほしいということか。例えばクリントン大統領が国際通貨基金(IMF)を通じた国際機関の融資について発言しているが、そのような発言は考えていないのか。
(報道官)今後そのような動きがあり得るかもしれない。いま申し上げたのはいままでの段階での話である。
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