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大臣会見要旨(平成12年10月31日(火) 08:50~09:00 於:院内控室)(外務大臣)最初に第11回日朝国交正常化交渉本会談について申し上げる。昨日の会談では、前回・前々回の会談において、双方の基本的立場を相当しっかりと説明したことを踏まえ、双方の立場の接点を探っていくという作業を始め、さしあたり北朝鮮のいう過去の清算の問題について、真剣でしっかりとした意見交換が行われたと承知している。そのような実質論に立ち入った段階であるので、先方との了解により、対外的には双方で了解した以上の事は言及しないということになった。プレスの関心事ということはわかるが、これ以上のことは話せないということを理解して頂きたい。本日の会談では、昨日の議論を継続していくと聞いているが、交渉ごとであるので見通しについて予断をする事もできない。
いずれにしても政府としては主張すべき事は主張しつつ、粘り強く交渉にあたる。そういう態度で、一歩づつ双方の間の隔たりが埋められるよう努めていきたいというのが現時点での我々の考え方である。(問)日朝についてであるが、途中のことはお話しできないということであるが、合意されるまで発表しないということか。
(外務大臣)一つは交渉中であり、交渉中の問題について発表をその都度することによって、プラスの影響、マイナスの影響が色々あるかと思うが、これは先方との了解のない発表はしないことにするという合意が出来たので、大変恐縮ではあるが発表できない。
(問)今回の第11回交渉の途中だからなのか。
(外務大臣)双方で合意が出来れば、その範囲で発表したいと思っている。
(問)逆に合意できなければ、今回の第11回交渉が終わった段階でも発表しないということか。
(外務大臣)発表しないという合意が出来てしまえば発表できない。交渉は11回で終わる訳ではないと思うから、更に交渉が続いていくというのであれば、それは発表しないという合意が出来れば、その合意を守ることが次の交渉への大事なベースとなると思う。
(問)具体的な中身についてはともかく、交渉自体は良い方向に進展していると考えて良いのか、それとも余り進んでいないのか。
(外務大臣)それについても話さないことにしている。真剣な議論が続いているということは申し上げる。
この正常化交渉については、プレスの方には冒頭申しあげたように、非常に関心の多いことということは自分(大臣)も承知している。この交渉を進めるために是非協力頂きたい。国連における我が国の核廃絶決議案
(外務大臣)我が国の核廃絶決議案の国連総会第一委員会における審議について申し上げる。我が国が今月13日に国連総会第一委員会に提出した新たな核廃絶決議案(これは核兵器の全面的廃絶への道程)は、同委員会において最終的審議が行われており、一両日中に投票が行われる予定である。1994年以降、我が国は毎年、究極的核廃絶決議を提出してきたが、本年のNPT運用検討会議の結果を踏まえ、今回核廃絶に向けた斬新的且つ現実的なアプローチに則り全面的核廃絶に至るまでの具体的道筋を示した決議案を提出したことはご案内の通りである。この決議案は本年5月のNPT運用検討会議の成果を確認するとともに、更に前向きな核軍縮措置及び核不拡散の要素を含んでおり、従来の決議に比べてかなり踏み込んだ内容となっている。我が国はこのような決議案を核兵器国を含めた国際社会の支持を得られるように関係国と協議を重ねて今日までやってきた。出来るだけ多くの支持を得て、採択されるよう期待をし、また現地において努力が続けられているところである。
大臣のロシア訪問
(問)ロシアに向かうにあたって平和条約交渉の締結への意気込みを伺いたい。
(外務大臣)これまで日ロ間では2000年という期限をお互いに頭に入れて一生懸命やっているわけである。もう一つは自分(大臣)がロシアから帰ってきて10日後には日ロ首脳会談が恐らくブルネイで行われる可能性が非常に高いと思うので、そうしたことを考えれば何をやるべきか自分(大臣)として良く知っているつもりである。真剣にこの2000年合意を目指して議論をしていきたいと思っている。
外務大臣会見記録 (平成12年10月27日(金)午前 於:本省会見室)(外務大臣)本日の閣議において、パラオ共和国ナカムラ大統領及び令夫人が、11月11日(土)から15日(水)までわが国を訪問され、11日から14日まで公式実務訪問賓客として滞在されることとが了解された。
ナカムラ大統領は、わが国滞在中、天皇皇后両陛下との御会見及び宮中午餐、更に森総理との首脳会談等が予定されている。
今回の訪日は、わが国とパラオ共和国との親善関係を一段と深めるものとして政府は心から歓迎したいと思う。また、わが国と太平洋島嶼国とのパートナーシップを一層増進させる観点から、極めて有意義なことと考えている。
また、太平洋等諸国との関係については、11月1日(水)にキリバス共和国にて行われる第12回南太平洋フォーラム(SPF)域外国対話へ、わが国代表として浅野政務次官を派遣することと致したい。
わが国は、本年4月にSPF加盟国・地域の首脳・閣僚を招いて、「太平洋・島サミット」を開催し、積極的な対太平洋島嶼国外交を展開してきた。SPF加盟国・地域は、このようなわが国の対太平洋島嶼国重視の姿勢を高く評価しており、今次域外国対話に、わが国から浅野政務次官が出席することは、わが国とSPFとの友好協力関係の一層の増進を図る上で有意義なことであると考える。ハタミ・イラン大統領の訪日
(外務大臣)】既に閣議決定している通り、今月31日よりハタミ・イラン大統領が訪日されることになっている。1日のハタミ大統領と森総理との首脳会談には、自分(大臣)も同席したいと考えているが、また、日程が許せば、ハタミ大統領を短時間でも表敬したいと考えている。また、同大統領は国会演説を行う方向で調整中であると我々は聞いている。
今次訪日に際し、ハタミ大統領に対しては、同大統領が進める改革・民主化路線に対する支持をあらためて表明する考えである。ご承知の通り、ハタミ大統領は文明間の対話を提唱されており、この文明間の対話に関しては、色々と意見交換が行われるものと考えている。何れにせよ、イラン革命後、初のイラン大統領による訪日であり、両国関係の新しいページを開くものとして、(今次訪日は)大変意義深いものであると考えている。日朝国交正常化交渉
(外務大臣)先般申し上げたとおり、今月30日、31日、第11回日朝国交正常化交渉本会議が北京で開催される。25日に行われた日米韓外相会談において、従来より対北朝鮮政策の遂行にあたって、緊密な連絡をとってきている日米韓3カ国が、オルブライト米国国務長官訪朝の直後にソウルに集まり、そういったタイミングをとらえて、3カ国の外相会談が開かれ、オルブライト長官から直接説明を聞く機会を得た。本会談では、今後の対北朝鮮政策に関して、3カ国の外相は、忌憚のない意見交換を行った。
朝鮮半島情勢については、ご承知の通り、南北首脳会談後も南北間の対話と交流が進んでおり、また、米朝関係は、オルブライト長官の訪朝やあり得べく米国大統領の訪朝に向けて、動きが少しずつではあるが、進んでいるように思われる。こうしたかつてなかった新しい潮流が生まれてきていることを踏まえ、政府として、この軌道に乗り始めた国交正常化交渉に良い影響を与えるものであると考えている。
今回の会談において、今回及び前回の日朝交渉を通じて、双方の立場が明確になってきたことを踏まえて、双方の立場の接点を見出すための作業を行っていく考えである。交渉毎であるので、見通し等について予断を以て申し上げることは出来ないが、政府としては、主張すべきは主張しつつ、粘り強く交渉に当たるということにより、一歩ずつ双方の間の隔たり、現在ではかなり大きな隔たりがある訳であるが、この隔たりを埋めていくこととしたいと考えている。(問)日朝交渉について、かねてより大臣は今次交渉から実質的な交渉に入ることを期待しているい旨発言されているが、今回実質的な交渉というのは、どういう点に絞った交渉にしたいとお考えか。
(外務大臣)先程申し上げたとおり、とにかく接点を見つけることが何より大事だと思う。そのために時間をかけることになるだろうと思う。これもどのくらいの時間がかかるかということについては、先方の考えもあることもあり、自分(大臣)からここで予断を以て申し上げることはできないが、今までは、寧ろそれぞれの主張というものがテーブルに載った訳であるが、これからは、その中から接点を見つけていくという作業になるだろう。ただ、その接点を見つける作業がどのくらいの時間がかかるか、どのくらいの難易度があるかということについては、今回の交渉において段々やり方とか考えていく必要があると思う。
(問)接点ということでいうと、前回の交渉において、日本側から、過去の韓国との国交正常化の際の経済協力という方式を紹介するという話があったが、これが接点を見出す一つのきっかけになるとお考えか。
(外務大臣)必ずしもそれをモデルにするかどうかは別として、色々なやり方があるということであると思う。
(問)(今回の交渉で)その点について更に踏み込んだ議論が行われるかどうか承知しているか。
(外務大臣)まだ解らない。
(問)先般の米朝協議及び日米韓3カ国外相会談は、今回の交渉にどのような影響を与えるのか。
(外務大臣)北朝鮮の国際社会への関与、或いは逆に言えば、国際社会の北朝鮮に対する関与が進んでいく、これは米朝ばかりではなくて、EUの北朝鮮への関与も進んでいくかも知れない、そういう一つの大きな流れというものが出来てくるということは、それだけ我々に様々な情報が入ってくるようになる、そういう意味で、我々とすれば、全く情報が無い相手と交渉するよりは、はるかにメリットがあると思う。
(問)本日の閣議で、大臣より先般の日米韓の3カ国外相会談の報告を行われたと思うが、それに関連して他の閣僚から何か発言は行われたのか。
(外務大臣)無かった。
中川官房長官の辞任について
(問)中川官房長官が更迭されることとなったが、右についての大臣のお考え伺いたい。
(外務大臣)勿論報道では自分(大臣)も十分承知しているが、まだ正式な事態になっているわけではないので、本件に関するコメントは差し控えたい。
(問)更迭の理由の一つに、拉致疑惑を巡る総理の発言についての対応振りが党内で指摘されているようであるが、右については、先般大臣からも官房長官の発言に尽きると話されていたが、大臣のお考えを伺いたい。
(外務大臣)内閣として一つの考え方というか、一つの対応について(官房長官のところに情報が集まって)官房長官のところで調整し、まとめて、官房長官から発表される訳であるので、自分(大臣)からは前回官房長官の発表が一つの内閣の姿勢であると申し上げた。
その後総理と官房長官との間で、若干の調整が行われ、発表振りを訂正されたが、大筋においては、本来官房長官が発表するということでいいのではないかと自分(大臣)は思っている。勿論先程申し上げたとおり、総理との間の調整結果についても官房長官が発表されるので、そういうことでいいのではないかと思う。
外務大臣会見記録 (平成12年10月24日(火)9:25~9:43 於:本省会見室)(外務大臣)閣議においてコソボ市町村議会選挙に対する民主化支援問題、無償援助について了承を得た。政府は、今月28日、ユーゴスラビアのコソボに於いて実施される市町村議会選挙の公正かつ円滑な実施を支援するため、選挙を管理、実施する欧州安全保障協力機構(OSCE)に対して104万1千ドルの緊急援助を行うことを本日決定した。今回の選挙はコソボに民主的な民族社会を確立するために極めて重要な一歩となる訳であり、このことは、この夏の九州・沖縄サミットにおいてもG8の共通の認識でもある。今回の選挙は、今後のコソボの和平を占う重要な選挙と言えるわけである。我が国はこの様な選挙の重要性に鑑み、バルカン地域に知見を有する専門家を2名OSCEに派遣しており、それと併せて今般の財政的支援として選挙の運営に関する支援として無償援助を決定したものである。
オルブライト米国国務長官の北朝鮮訪問
(外務大臣)昨日からオルブライト米国国務長官が北朝鮮を訪問している。同長官の訪朝は米国の閣僚として史上初の訪朝として画期的なものであって、日本政府としてこの様な進展は心から歓迎している。今次訪朝は、米朝関係を大きく改善するものであり、その成功は日朝関係にも良い影響を与えるものと期待している。また、同長官より訪朝の直前ピョンヤンに向かう機中より電話を戴いた。その際に我が方の関心について改めて説明した。それに対し同長官は、我が国の懸念を十分に念頭に入れ対応すると言っていた。今次訪朝の詳細については未だ接していないが、実りの多い訪朝となるものと大いに期待している。
日米韓外相会談
(外務大臣)オルブライト米国国務長官の訪朝の直後、25日、日米韓外相会談が開催される予定となっている。私(大臣)としては、国会等で了承を得られれば日帰りにて訪韓し、本件会談に出席したいと考えている。オルブライト国務長官の訪朝の成果についてはその際に直接伺えるものと考えている。その日米韓外相会談は従来より、対北朝鮮政策の遂行にあったて緊密に連携をとりあっている日・米・韓3カ国が最近の南北関係や米朝関係の劇的な前進があり、特にオルブライト長官の訪朝直後という時期をとらえて、閣僚レベルで協議をもって、同長官の訪朝の報告を直接受けると共に、今後の対北朝鮮政策に関して突っ込んだ意見交換を行うものであり、極めて重要な会議と認識している。なお、私(大臣)としては、もし訪韓し本件会合に出席することとなれば、その機会をとらえて、日米外相会談も行いたいと考えている。これは朝鮮半島情勢をはじめとして、日米間で共通な関心事項に関して忌憚のない意見交換をしたいと考えている。
(問)オルブライト米国国務長官との三国会談に出席するにあたり、大臣として現時点で一番伺いたいことは何であるか。
(外務大臣)米朝間の話し合いの中で、日朝関係を進める上で当然問題となる安全保障の問題あるいは拉致問題を含む人権、人道的な問題等について話し合いが行われていれば、そういった事については是非伺ってみたいと考えている。
大臣のロシア訪問
(外務大臣)国会の了承を得た上で、11月1日~4日まで私(大臣)としてはロシアを訪問したいと考えている。9月の日露首脳会談において両首脳は、両国外務大臣に対し①交渉を加速化させるための新たな方策の策定。②領土問題の歴史に関する共同作成資料の改訂版の準備。③平和条項、平和条約締結の重要性を世論に説明するための努力・活発化。以上の3項目の措置をとるよう指示がなされた。昨日行われた次官級分科会では、この3つの措置を具体化させるための話し合いが行われた訳である。私(大臣)の訪露の際には、これらの措置について先方イワノフ外務大臣と実質的話し合いを行いたいと考えている。
北朝鮮の拉致問題に関する森総理の発言、官房長官の会見及び官房副長官のブリーフィング内容
(問)森総理が先般の日英首脳会談において、拉致問題について言及されたが、それは中山議員の個人的発言だったとされているが「周知の事実」と説明は難しいと思うが、この発言についての是非等について大臣の考えを伺いたい。
(外務大臣)日英首脳会談における両首脳のやりとりについては、会談後に報告は皆様(報道関係者)にもあったと思うが、その件については色々な角度からの見解があるが、昨日、官房長官が会見で皆様(報道関係者)には報告が出来ていると理解している。私(大臣)は、官房長官の説明にこの問題は尽きていると考えている。
(問)官房副長官がブリーフした内容については、外務省としては出さない方が良いのではと進言した由であるが、官邸と意見が分かれた場合には官邸側の意見が優先されるのか。
(外務大臣)このケースについて回答するには、私(大臣)は直接会談の場に同席していたわけでもなく、直接やりとりを聞いていた訳でもないが、当然打ち合わせはあったと思う。その然るべく打ち合わせの後、ブリーフがされたことについて、私(大臣)は、その内容を素直に受け止めて頂ければ良いと思う。
(問)発言自体の今後の日朝交渉に当たる影響についてはどのように考えるか。
(外務大臣)私(大臣)はこれから色々な交渉が進んでいくとは思うが、少なくとも今の時点は「これはやらない」、「これはやる」、「これは排除され」、「これは排除されない」と言うことは申し上げるべきではないと考える。色々な考え方、やりとりがあるわけで、我々(外務省)としては、ベストな答えを出す努力をするとしか今の段階では答えられない。
(問)これまでの取材の中で、交渉中のことついてはコメントできないということを何度も聞いている。今回のブリーフィングの内容についてはきちんと調整がとれていると伺ったが、あの様な発言を総理がしたということを述べられたということで、今後、事件や交渉に関してのブリーフィングの方針、内容が変わるということであるのか。
(外務大臣)そうは思わない。従来から二国間の会談が行われれば、その後出来るだけお知らせをするということになっており、出来るだけというのは二国間の会談の場合は先方の立場というものがある訳であり、そういった配慮も時には行わなければならない訳であるから、そうしたことを考えて我々としては正確にお伝えをするという努力をするということが重要であると考える。
(問)2国間首脳会談の中で誤解を招く発言をしたことは、外務大臣として適当であったと考えているのか。また、官房副長官がブリーフィングした内容自体を外務省としては当然であると受け止めているのか。
(外務大臣)このブリーフィングについての評価、受け止め方については、官房長官が政府として昨日申し上げているので、その官房長官の発言に尽きていると申し上げる。我々はこうした状況下で政府として整理された官房長官からの発表は、報道関係者からの質問に対する答えというものに沿って当然仕事はしていくべきものと考えている。
外務大臣会見記録 (平成12年10月17日(火)9:45~ 於:会見室)(外務大臣)本日の閣議で10月18日から20日まで、自分(大臣)の韓国出張が正式に了承された。ご承知のとおりASEM3の会合がソウルで開かれる。その閣僚準備会合出席のため18日の夕刻からソウルに行くものである。
会議そのものはおそらく大変大勢の首脳が集まる、特に今回は金大中大統領のノーベル平和賞受賞などもあるので、そうしたことも兼ねてにぎやかな会合になる可能性があると思う。しかし話の中身について申し上げれば、ヨーロッパとアジアの対話の深化がASEMの会合を始めた一番の目的であり、その目的に沿った話し合いが行われるのは当然であろうと思う。政治対話、これもおそらく朝鮮半島におけるさまざまな動き、ユーゴの問題、そのようなことについて話し合いがなされるだろうと思う。或いはEUの統合についての話し合いがされるかもしれないし、議論が進めば非常に流動的ではあるが、中東の問題に話が進むということもありうると思う。自分(大臣)は閣僚準備会合に出席するのと平行して、バイの会談をいくつか予定している。例えば、英、ベルギー、インドネシア、中国。昨晩仏の外務大臣と電話で少し話をしたが、電話の最後に仏外務大臣にもソウルに来るかと聞いたところ、行くということであったので、時間があったらソウルで会おうかという話をしたら、先方もチャンスがあれば会おうと述べた。これは事務ベースで確定しているわけではないが、日仏外相会談もあるかもしれない。朱鎔基総理訪日(冒頭発言)
(外務大臣)皆さんも関心があると思うが、朱鎔基総理の訪日の成果というか印象について述べたい。
朱総理は、本日神戸での日程を終え関西国際空港からソウルへ向け出発すると承知しているが、今回の訪日では江沢民主席の訪日の際の共同宣言で謳われた、平和と発展のための友好協力パートナーシップの定着のために、首脳間で日中両国間の相互理解の増進及び信頼醸成の重要性を確認する。今後さらに協力関係を確立していくことで意見が一致している。これは今回の訪日の一番太い柱であるが、それ以外にも朱総理は対日関係重視の視点から非常に積極的に、例えばTV番組への出演、あるいは経済界の人たちとの懇談等様々なレベルの方々と接触し日本国民の対中好感度増進に努められたと自分(大臣)は感じた。
日本における対中国への対応振りはいろいろな見方があると思うが、今回の朱総理の訪日により良い方に向けて進んでいると思っている。対中ODAについて我が方から、国民の理解と支持の下に行われるべきであると伝えてあるが、それについて、朱総理より率直的に中国側は日本の対中ODAを高く評価し、今後広報を強化する旨の発言等あったのは一つの例であると思う。
自分(大臣)が特に注目したのは、安保対話、防衛交流の強化、例えば艦船の相互乗り入れ、こういったことについて非常に積極的であったこと。これを自分(大臣)は非常に良い流れだと思う。(問)朱総理の訪日での一連の発言について、対中ODA見直しの流れの中でこうした一連の発言をどう評価されるか、また、中国国内においては今回のODAの謝意表明について報道されていないと聞いているが、これに対する感想はいかがか。
(外務大臣)率直に申し上げて、(朱総理は)非常に素直に感謝をされ、その重要性について説明されたと思う。これまでの中国の経済発展に日本の協力が果たした役割は大きいという認識を持っているということを率直に受け取っていいと思う。ここ数日の中国国内の報道振りについては、承知していないが、北京におけるレセプションをはじめとし、中国の要人、関係者においては、等しくそうした気持ちを持っており、それを表明されたと思っており、従来指摘をされていた問題は改善されてきたと考えている。
(問)そうなるとODAの見直しという問題はあまり考えなくて良いということか。
(外務大臣)対中ODA見直し作業については、いま作業中である。それはそれとして作業を行っている。
(問)今回の朱総理の姿勢が、その作業に与える影響はどうか。
(外務大臣)ある部分については影響があると思う。ただこの作業は自分(大臣)がするわけではなく、ひとつには有識者にお任せしている部分があり、その中の議論でどう受け取られるかについては、自分(大臣)が申し上げることではない。
ASEAN+3
(外務大臣)今年の11月にシンガポールでASEAN+3の会合が行われるが、その折に日中韓首脳会談をやろうということが合意されている。この日中韓首脳会談は昨年に引き続き行われるもので、自分(大臣)はこの日中韓首脳会談があたりまえのように行われるようになることが非常に重要であると思っている。1回目の日中韓首脳会談を行うには、正直言って我々もずいぶんと苦心したが、今回は非常に中国が積極的にというかスムーズに是非やろうという状況であった。
こうした動きを残して(朱鎔基総理は日本を)たたれるが、自分(大臣)としては、日中の友好協力関係の推進のために努力していきたいと考えている。(問)ASEAN+3で日中韓首脳会談が行われる見通しとなったが、今回の会談では、政治問題について話し合われる予定があるのか。日本側としては、朝鮮半島情勢についても議論したいと考えているか。
(外務大臣)それについてはまだそこまで考えていない。そこでどういう話し合いをするかといった議論をしているのではなく、出来る限りこの3首脳が会うという機会が重ねられるということに意味があると思っている。
日朝国交正常化交渉
(外務大臣)日朝の国交正常化交渉の第11回本会談について、これまでの北朝鮮側との日程調整の結果、次回の第11回本会談を10月30日及び31日、北京において開催することが決まった。この会談における日本側代表は引き続き高野幸ニ郎日朝国交正常化交渉担当大使、先方はチョン・テファ巡回大使の予定である。
(問)10月30日、31日の日朝国交正常化交渉については、オルブライト米国務長官の訪朝日程に影響されないと理解して良いか。
(外務大臣)結構だと思う。
(問)この交渉次第では、大臣ご自身の訪朝の可能性はどうか。
(外務大臣)そういう予定はいまは持っていない。
(問)今回はコメ50万トンの食料支援を決めているわけだが、どのような考え方で望むということになるか。
(外務大臣)第9回、10回の交渉において、双方の言い分はテーブルに全部のったと理解している。従って自分(大臣)としては、今回は核心に近い議論をしてほしいと考えている。しかしそれは我が方の希望であるので、どのような議論になるかについては、ここでしかと申し上げることは出来ない。
ソラナ欧州理事会事務総長兼共通外交・安全保障政策上級代表来日
(外務大臣)外国からのお客であるが、ハビエル・ソラナ・マダリアーガ欧州理事会事務総長兼共通外交・安全保障政策上級代表が10月23日から25日ま外務省賓客として来日する。ソラナ上級代表は、滞在中自分(大臣)と会談を行う他、EU情勢や日・EU関係に関する講演等を行う予定である。ソラナ上級代表はEUの共通安全保障政策を国際的に代表する立ち場にあり、就任以来様々な機会に自分(大臣)と意見交換を行ってきた。今次訪日は日・EU間のこうした友好・協力関係を一層強化し、緊密化することを目的としている。
外務大臣会見記録 (平成12年10月10日(火)10:00~ 於:会見室)(外務大臣)2つご報告申し上げる。一つは、中東について。現在のイスラエル・パレスチナ状況は大変重要な局面にさしかかっていると言わなければならない。我が国はイスラエルとパレスチナの衝突が既に2週間近く継続して、死傷者が増大しているのみならず、衝突の発生地域が拡大していることを大変憂慮している。我が国は挑発やあらゆる形態の暴力と、過剰な武器の使用を非難し、すべての関係当局者に対して、直ちに暴力を停止し、最大限の自制をもって対応するよう強くあらためて求めたい。我が国は交渉を通じた和平のみが唯一現実的な選択枝であることを再度強調し、その第一歩として一刻も早く停戦を実現することを期待する。我が国としては当事者による事態沈静化と交渉を通じた和平実現のために、あらゆる支援を行う用意がある。我が国は今回の衝突の結果、一般市民を含むパレスチナ人に多数の負傷者が発生している事態に鑑み、5日、パレスチナ暫定自治政府に対し緊急医療支援を行うことを決めたが、我が国政府はこうした支援が負傷者の治療に役立つことを期待している。
日・シンガポール経済連携協定
(外務大臣)閣議の後、日・シンガポール経済連携協定に関する関係閣僚の会議を開いた。先週、私(大臣)からあらかじめ関係閣僚に申し上げていたもので、7閣僚が参加された。ご承知の通り、日本はこれまでWTOのルールに従って国際社会の中において貿易を行っている。しかし世界各地で地域的な貿易協定が結ばれるケースが多くなってきた。こうした状況を見て、日本としてもシンガポールとの間に貿易上の問題について協議を行ってきたわけである。共同検討報告書がその結果とりまとめられた。この共同報告書は、物品及びサービスの貿易の更なる自由化をはかり、投資・競争政策、相互承認などの分野ではWTOなどでもモデルとなるルールを二国間でつくり、その他の分野では積極的な連携を二国間ですすめようということを提言している。この共同検討報告書に基づき、日本とシガポールの首脳間での話し合いが行われることになろうと思っており、本日関係閣僚にそのことを改めて申し上げた。先ほど申し上げたように、これまで我が国はWTOという国際的なルールのなかでマルチの貿易協定、貿易ルールに則って仕事をしてきた。バイの協定を作ると言うことは今まではなかった。日本の通商貿易協定の一つの新しい政策と言ってもいいと思う。こうした新しい政策へ踏み込むに当たって関係閣僚と意見の調整をしたということである。関係閣僚とのご相談の結果は、各閣僚ともに前向きであった。一部大臣からはシンガポールとの間には非常にいいことで、すすめていくことは賛成だ。このことが他の国、例えば農業問題その他を抱える国との間でこうしたことをやるときは十分注意をし、慎重に考えなければならないという指摘があったが、シンガポールとの間でのこうした協定については異存はないということであった。この件は、後ほど総理にご報告申し上げる。
(問)シンガポールとのFTAであるが、具体的に協定が発効する時期はいつ頃か。
(外務大臣)まだ少し先だろう。何年も先と言うことではないが、おそらくこれからの段取りとしては、我が方で問題の整理がなされて、問題がないということになれば、総理にあげて、総理はシンガポールの首脳との間で会談があって、その会談の席上でもしこの話が議題となれば、そこから正式な協議を始めようと言う事になるわけであるから、それから正式な協議がどのくらいでまとまるかということになる。従って、今月中とか言う話ではない。しかしそんなに何年もかかるという話でもない。
(問)先ほど農産物について言及したのは、農林水産大臣か。
(外務大臣)もちろんそうである。
米朝協議
(問)米朝協議の結果、声明が出たり、今後大統領との協議が始まるが、よど号を含め現時点での大臣の考えを伺いたい。
(外務大臣)米朝の協議は、北朝鮮から首脳がワシントンに行かれて協議するのはこれからであり、協議の結果何が決まった、何が出たかということで、判断をするのは早すぎる。これから協議で色々な話をされるということで、米朝間の問題については十分注目するというのが現時点の心境である。
(問)反テロ声明について大臣の考えを伺いたい。
(外務大臣)これまで出た声明はいわゆる一般的な声明だとうけとめ、一般的な声明から個々具体の話に入るか、あるいはどういう話し合いに入っていくかは、まさにこれからハイレベルの協議になるということだと思う。
(問)テロ指定国の解除は米朝の大きな課題だと思うが、日本側からは拉致疑惑の解明、よど号犯の国外追放の2点をどうしてもクリアしてくれないと困ると言うことを米に伝えてあるのか。
(外務大臣)困るとか困らないとか言う話ではなくて、日米韓で政策協議をやっている中で、それぞれが抱えている問題については、三国はそれぞれ十分理解をし、承知している話であるから、そうした理解の下にそれぞれが話し合いをしているということである。
(問)よど号の犯人を国外に追放する用意があると北朝鮮が米に伝えたという報道が昨日なされているが、事実関係について大臣の見解はいかがか。
(外務大臣)よど号の犯人をうんぬんとは言ってはいない。そうではなくて、テロリストをかくまったり何かするというということはしないと、そういうことではないか。
(問)それは声明の中か。それとも別途か。
(外務大臣)声明の中である。先ほどから申し上げているが、話し合いはこれからおこなわれるので、具体的な話はこれからである。
(問)よど号の犯人を国外追放する可能性は高まっているとお考えか。
(外務大臣)これはやってみないと分からない。
外務大臣会見記録 (平成12年10月6日(金)10:21~10:45 於:会見室)(外務大臣)閣議では、1つは10月31日から11月3日まで公賓としてイランのハタミ大統領をご招待することが閣議で了解された。ご承知のとおり、ハタミ大統領はイラン国内の政治経済改革に取りくんでおられるほか、「文明間の対話」の提唱者として国際的にも非常に著名な人物である。このハタミ大統領をお迎えすることが決まった。
野中幹事長の訪中
(外務大臣)もう1件、野中幹事長の訪中に際し、政府特使として中国に行っていただくということが閣議で決まった。野中幹事長は、日中経済協力20周年の記念式典に出席されるわけであるが、この記念式典には政府特使として出席して頂くことになる。
ユーゴ情勢
(外務大臣)ユーゴの問題について、現在大変流動的であるが、今時点における我が国の立場について申し上げたい。
我が国はこれまでミロシェヴィッチ大統領は民意を真剣に受け止めるべきであると表明してきた。9月24日にユーゴスラビアで実施された大統領選挙の結果や、ベオグラードで昨夜から行われている大規模なデモに示された多数のユーゴ国民の意思はミロシェヴィッチ政権に終止符を打とうとしているようである。我が国は民主的変化を望むユーゴ国民の強い意思に敬意を表すともに、コシュトニッツァ氏の下で早期に民主的なユーゴが実現することを期待している。
我が国はG8議長国としての役割を積極的に果たしていく用意があり、欧米主要国と緊密に連絡をとりつつある。9月27日にソラナEU共通外交安保政策上級代表と電話でかなり長時間の会談を行ったほか、昨日もEU議長国であるフランスのヴェドリーヌ外相とユーゴ情勢等について電話で意見交換を行った。また、現地ベオグラードには、我が国は大和田大使がいるが、現地にはEUの大使は確かおられない、代理大使や臨時代理大使がおられる国もあるとは思うが、日本のように大使がそのままベオグラードにずっと居るというのはG8の中ではおそらく日本とロシアだけだと思う。この大和田大使を通じて、ベオグラードの情勢等について我々も出来るだけ正確に把握することが重要であるが、大使からG8各国代表、大使に代わる各国代表と緊密に連絡をとるということも必要だと考え、そうした指示もしている。(問)ユーゴに関して、ミロシェヴィッチ大統領の政治的去就・物理的な居所について大きな焦点となっているが、日本政府はどう受け止めているか。
(外務大臣)物理的な居所については今の時点ではわからないというのが正直な答である。政治的にはこれが最終的にどういう収まり方になるかによってお答えをする方がいいと思う。今の時点では大変なせめぎあいになっているという状況としかお答えできない。
シンガポールとの自由貿易協定
(外務大臣)閣議後の閣僚懇談会において、2件自分(大臣)から発言をした。1つはシンガポールとの間に自由貿易協定(FTA)について協議をずっと重ねてきたが、この協議がほぼ終わった。そこで10月22日にはゴー・チョクトン・シンガポール首相が日本に来られるとの情報もある。おそらくその折に日・シンガポール首脳会談が行われれば、このFTAについては重要な議題になることだろうと思う。そこで日本とシンガポールとの自由貿易協定を実行するということになるという可能性を前提として、自分(大臣)から関係閣僚に10月10日に行われる閣議の後お集まりいただいて、協議をしていただきたいということを閣僚懇で申し上げた。ご案内のとおり、我が国の貿易通商政策は、世界の貿易は世界貿易機関(WTO)のルールに従って行ってきているわけであり、世界あちこちでリージョナルな貿易協定が結ばれているのに対して、我が国はそうしたことは行わずに、これまでWTOのルールの上でやってきたわけであるが、今回のシンガポールとの間での協議に新しい考え方を盛り込むというような研究の成果等もあって、二国間のFTAを結ぶという可能性が強くなってきた。これは言って見れば我が国の通商政策の新しい考え方を実施に移すということになるわけで、そのために関係閣僚には特にお集まりいただき、協議をしていただき確認をしたいと思ったわけである。
(問)シンガポールのゴー・チョクトン首相の来日は確定していないのか。
(外務大臣)(まだ確定していない、可能性の問題である。)おそらくASEMの会議に出席されることから、その前後にという話が漏れ伝わってきているわけで正確ではない。
北朝鮮へのコメ支援
(外務大臣)もう一件閣僚懇談会では、北朝鮮に対するコメ支援について、自分(大臣)から考え方の説明と報告をした。自分(大臣)からの説明・報告は、先般自民党の部会等で行ったことがそのあらすじである。これに対して、扇建設大臣からご注意があった。つまり「十分注意をしてやるべきだ」という非常に強いご注意があった。これに対しては、自分(大臣)からお答え申し上げたが、その後、平沼通産大臣からも扇大臣に近い意見があった。他方、谷農水大臣からは、50万トンの支援は余剰米をそちらに出すということではなくて、明確な人道的支援だということをはっきりさせてやって欲しいとのご発言があった。これらについてそれぞれ自分(大臣)からご説明とご返事をしたが、最終的に総理から「閣僚からの発言はそれぞれ重く受け止めて、しかし外交責任者として外務大臣の判断を了とされたい。外務大臣としてはこうした発言をしっかりと受け止めて、その実施に向けて努力されたい」というとりまとめがあった。
閣僚懇談会が終わった後、保守党の扇党首、野田幹事長、二階国対策委員長の三幹部がおいでになり、総理・官房長官と自分(大臣)と6人で、この問題についての保守党としての考えが開陳された。保守党としての考えは閣僚懇談会で扇建設大臣が述べられたことに概ね尽きている。十分よく伺って参りたいということで、保守党からのご意見もよく伺って、最終的に保守党も了承されたということであった。(問)北朝鮮へのコメ支援については、扇建設大臣の反対の理由は、どのような趣旨だったのか。
(外務大臣)拉致問題をはじめとして問題は解決していないではないか、それなのになぜコメを出すのか。人道的問題といえば、日本人の人道はどうなのか、ということが一つ。もう一つは、なぜ50万トンなのか、WFPからのアピールは19.5万トンではないか。こういったことである。それから、春に10万トンの支援をしたときには、これによって何らかの好転的な変化が望まれるような説明をしたではないか、それは一体どうなったのか。こういったことであった。
(問)平沼通産大臣はどのような発言であったか。
(外務大臣)「私は扇大臣と同意見です」とだけ言われた。
(問)それに対する大臣の答はどのようなものだったのか。
(外務大臣)自分(大臣)は、「この半年間に朝鮮半島を巡る状況は大変大きく変わってきている。南北首脳会談で緊張緩和、つまり好ましい方向に動き始めている。それに対して、例えばG8における森議長の特別声明により、この好ましい動きを後押ししようという声明も出ているではないか。それからさらに日米韓の政策調整の中でも、例えば金大中大統領からも、「時にはインフラ支援、食糧支援といったことはどうですか」といった話が熱海の首脳会談で出ている。インフラ支援については非常に慎重であったけれども、コメ支援については総理はよく聞かれたということもある。アメリカも日本の北朝鮮に対する何らかの積極的な動きというものが必要になっているということを考えているということもある。北朝鮮の積極的な外交の展開というこの場面を、自分(大臣)は一つの重要な場面ととらえて、外務大臣として重要な場面という認識と判断をして、ここで踏み込みたいという判断を自分(大臣)はしたということを申し上げた。
それから数量については、これは事務方から何度も皆様にご説明をしていると思うが、年末までの19.5万トン、今年のこれまでの未達成分の10万トン、それから更にWFPが言っている、来年もおそらく今年と同じような状況になるだろうというアピール、これらを踏まえておよそ100万トンを超える不足分があるだろうということは分かっているわけで、その分は我々として人道的に考える必要がある。その範囲内で我々がどの時期にどのくらいするかという判断を自分(大臣)としてこの時期に50万トンという判断をした、ということを申し上げた。(問)基本的な話で恐縮だが、閣僚懇談会で発言されたということは政府の手続きとしてどのような意味があるのか。
(外務大臣)意味はない。閣僚懇談会であるから、閣僚が懇談をする場であるから、そこで自分(大臣)から、やはり相当大きな問題であるから、いつか申し上げておいた方がいいということで申し上げた。
(問)政府の手続きはこの後また別途あるのか。
(外務大臣)補正をはじめとして予算上の手続きはあるが、これを出すか出さないかということについての手続きはない。
(問)自民党の方は、外務大臣が責任をとると明言したから了承したと受け止めているが、一方で内閣改造が年内にあるという状況の中で、大臣としては今後どのようにその責任を果たしていこうとお考えか。
(外務大臣)自分(大臣)は、我が国の外交政策全般について、全てに自分(大臣)は責任を負っていると考えている。別にこの問題だけ開き直って「責任をとります」などと言ったわけではない。もちろんこの問題について特別重要な問題だという認識は自分(大臣)にはもちろんある。しかし、外交問題全てにわたって、自分(大臣)は外交担当者としての責任というものは当然あるというふうに思っており、自分の判断をしたわけである。
(問)保守党のお三方との話をされたのは、保守党側が希望したのか、大臣が希望したのか。
(外務大臣)保守党側の希望である。
(問)50万トンの支援の理由について、「重要な場面と判断した。ここで踏み込みたい」という判断と、一方で「これは人道的支援である」というのがどうもどっちなのかよく分からないが。
(外務大臣)両方である。つまり人道的支援、相当量が不足するということはWFPのアピールその他で分かっているわけで、その人道的に必要な部分をどの場面で日本が実施するかということを考えたときに、自分(大臣)はこの場面と考えた。
(問)しかし、食糧の不足自体は、別に北朝鮮の積極的な外交があって今がタイミングというのとは別次元と思う。それがいけないという意味ではなくて、もっと政策的な支援であるともっと言わないのが疑問なのだが。
(外務大臣)政策的支援というなら、まだ他の方法があると思う。
(問)2日前に、いわゆる北朝鮮に拉致されたといわれる家族の方が来られて、予定を上回る時間をかけてお話されたが、家族の方は大臣の説明に納得されたと思われるか。
(外務大臣)なかなか納得はいただけていないと思う。しかし、お気持ちは自分(大臣)はよく分かっている。むしろご家族の皆さんのお気持ちを自分(大臣)は十分受け止めたつもりである。自分(大臣)は繰り返し「正常化交渉を前進させることがこの問題を解決する上で非常に重要である」ということを自分なりの考え方を申し上げたが、それは納得をされたかどうかは自信がない。
(問)今のいわゆる拉致家族との懇談の中で、家族の方からの「今回コメ支援を行わなければ正常化交渉が立ち行かなくなるのか、中断するのか」という質問に対して、そうだと思うとの趣旨のお答えをなされたとされているが、この時点で50万トンのコメ支援を決めていなければ11回目の交渉が開けないという経緯があったのか。
(外務大臣)自分(大臣)はそういう意味で申し上げたのではない。正常化交渉がスムーズに進むかどうかという意味をこめて申し上げたのであり、これが別に開くための条件になっているとか、そういう意味ではない。
(問)前回もコメ支援を行うことで交渉が再開され、この間東京で正常化交渉が行われたが、今回も50万トンのコメ支援によって正常化交渉を前進させたいというお話だが、今後結局、前進させるために、あるいは交渉を開くために毎回毎回コメ支援みたいなことを行っていくことになるのではないかという感じがするが、大臣の見解は。
(外務大臣)そのようなことはないと思う。春に支援をしてから、もう既に2回交渉を行っているわけである。その都度その都度コメの支援をしているわけではない。
(問)閣僚懇談会での話で、先ほどは扇建設大臣からご注意という話があったが、これは反対意見の表明ではなかったのか。
(外務大臣)閣僚であるから、「こういうことでいいんですか」ということであるが、最終的に総理からおまとめがあって、自分(大臣)も十分ご発言は重く受け止め、ご注意、あるいは最後の保守党との話のときは「叱咤激励と受け止めさせていただいています」と自分(大臣)は申し上げた。
(問)これでもうこういった類の支援というものは当面は必要ないということか。
(外務大臣)分からない。分からないというのは「やります」という意味ではない。
外務大臣会見記録 (平成12年10月3日(火)09:38~09:53 於:会見室)(外務大臣)本日の閣議においてホストネーション・サポートについて閣議決定がなされた。同じく閣議においてパキスタンの干ばつ災害に対する緊急援助について報告を行った。パキスタン政府に対し4億8,100万円の緊急援助を行うものである。
イスラエル・パレスチナ間の衝突(冒頭発言)
(外務大臣)最近のエルサレムやその他の都市におけるパレスチナ人とイスラエル治安当局との衝突により、一般市民を中心として40名以上の死者を含む多数の死傷者が発生する事態となっていることに大変な憂慮をいたしている。我が国は犠牲者のご遺族に対し弔意を示し、負傷者にお見舞いを申し上げたい。今後衝突の継続によりこれ以上の犠牲者が発生するようなことが決してあってはならず、中東地域の公正かつ永続的な和平をもたらす貴重な機会全体を逸してしまうことがあってはならないと思う。我が国は当事者に対し挑発と暴力を差し控え、一刻も早い事態の鎮静化に向けて最大限の自制を持って対応するよう強く求めたい。
対北朝鮮食糧支援
(問)北朝鮮へのコメ支援の問題に対する大臣の考え方はどうか。
(外務大臣)北朝鮮に対するコメ支援については、(1)一つはWFPから出されたアピール、9月から12月までの間19万5千トンを必要としているとしていること、(2)また、より中期的な北朝鮮の食糧事情についても考える必要がある、(3)それから、先般の日韓首脳会談において韓国大統領から北朝鮮に対する支援について、エネルギー関係のインフラ及び食糧に対する支援について言及があり、我が方総理からはインフラ関係の支援については非常に慎重な話がなされたが、食糧支援については考える余地があると含みのある話であったと私(大臣)は承知している、(4)更にG8の首脳会議において今日の朝鮮半島における緊張緩和など好ましい動きを後押しするということが重要だとの考え方が出されていることなどに鑑み、総合的な観点から判断する必要がある。北朝鮮の食糧事情については相当逼迫しているとの情報もあり、我が国のコメ支援については早急に判断する必要があると考えている。現在党内の手続き、政府関係における協議等が進められている状況である。
(問)より中期的な食糧事情とは具体的にはどのようなスパンなのか。
(外務大臣)WFPのアピールが9月から12月までとなっているが、我が国からコメを仮に支援するとしても、それに要する期間を考えればもうすこし中期的なことを含めて判断する必要があるのではないかと考える。
森総理の金総書記宛て親書
(問)森総理が北朝鮮の金総書記に外交ルートを通さずに親書を送ったとの報道ががあるが大臣の考えはいかがか。
(外務大臣)報道は拝見しているが、私(大臣)は承知していいない。
(問)この点について総理に質問したのか。
(外務大臣)していない。
(問)なぜ確認しないのか。
(外務大臣)我々は外交ルートを使って現在日朝間の国交正常化に向けての作業をしており、その作業を懸命にしている状況である。総理ご自身の判断かどうか分からないが、総理なりの判断があるいはあったかもしれないが、それについてどうこう言う状況ではないと思う。
(問)外交ルートの作業を進めるにあたって二元外交、三元外交となるのは好ましくないのではないか。
(外務大臣)そうは思わない。私どもの日朝国交正常化に向けての作業も総理を頂点とした、相談の上での作業であり、全く違った人が違ったことをやっているわけではない。
朱鎔基中国首相訪日
(問)朱鎔基中国首相の来日に向けての準備及び姿勢如何。
(外務大臣)朱鎔基首相の訪日は日中関係にとって大変重要な事柄である。この訪日を成功させて日中関係の信頼をより深めていかなければならない。これが基本的な考え方である。朱首相自身も日本について関心事もお持ちのようであるので、そうした点についていろいろな人と会って話を聞いていただく、あるいは首相自身の話を直接多くの人に聞いてもらうということも大事だと思う。また、直接体験をしていただくこともあるかもしれない。そうしたことを通じて朱首相自身にも日本の現状をよく知っていただくことが大切である。
河野外務大臣就任1年
(問)10月5日で就任1年であるが2年目に向けての抱負を聞かせて頂きたい。
(外務大臣)この1年大変な1年であった。総理が替わられる、そしてサミットを議長国として取り仕切るなど、そういったことは私(大臣)にとって大変な仕事であった。その間に選挙もあったわけで、大きな出来事をいくつも越えてきたなとの思いがある。それと同時に外務大臣として日本とヨーロッパの関係が非常によくなってきたとの実感がある。現在でもユーゴーの選挙の問題について直接ヨーロッパのリーダーたちと電話で話をしており、彼らもG8の議長国である日本の外務大臣の意見をよく聞いてくれるようになっていることは大変うれしいことである。これは1月の訪欧以来積み重ねてきた日欧関係を深めていくとの努力がかなり進んだとの実感がある。同時にアジアとの関係は日中、日韓と同時に日朝が大きく動くという予感のする場面におり、日朝の外相会談というかつてない会談を行う場面に遭遇したことは私(大臣)にとって忘れられないことである。日米関係は非常にいい関係であると同時に非常にいい関係であるがためにいろいろな問題についてお互いが率直に話し合うという場面がしばしばあった。それはそれで率直な会話は私にとっては大変好ましいことであると考える。1日1日大変な仕事を背負って進んでいるという感じであり、これからも毎日毎日国のために些かでも努力したい。
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