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外務大臣会見記録 (平成12年9月26日(火)9:20~9:30 於:院内控室)(外務大臣)本日の閣議では予定の案件が了承された。また宮沢大蔵大臣のG7蔵相会議の出張の御報告もあった。
ユーゴ選挙
(外務大臣)24日に投票が行われたユーゴ選挙に関しては、現在、集計作業が続いており、まだ最終結果は公表されていないが、政府としては、選挙が自由かつ公正に実施され、民意が正確に反映されることを強く望んでいる。
情報によると各地で当局側による種々の不正が行われたというような情報があり、選挙が自由かつ公正に実施されていないのではないかとの指摘もあるが、こうしたことに懸念しているところである。
わが国としては、こういう状況にもかかわらず、今回の選挙を通じて、多くのユーゴ国民が民主的な変革を求めて野党のコシュトゥーニッツァ大統領候補を支持したという情報に特に注目している。
わが国は、九州・沖縄サミット或いは先般NYでのG8外相会合の場等を通じ、ユーゴにおける早期の民主化を強く促してきている。そのほかにも公正な選挙の実施が重要だということを求めている。ユーゴ内の全ての民主派勢力がユーゴの民主化と安定のために一層重要な役割を担えるよう、G8議長国として他のG8メンバー或いはOSCE等国際社会とも現在連携しつつある。
わが国は、ユーゴ当局が、民主的な変革を求める有権者の声と国際世論を厳粛に受け止めて、国際社会と協調して早急に国内の民主化に着手すると共に、緊張を高め民主化に逆行する如何なる措置も取らないように強く要請する。(問)野党の候補者が支持されたとの情報を注目しているとおっしゃったが、日本政府としてはミロシェビッチではなく、野党の候補者が勝利したとの見方に傾いているのか。
(外務大臣)これは色々な情報がある。政府側は政府側でミロシェビッチ大統領候補が優勢であるとの情報も出しているし、しかし一方でコシュトゥーニッツァ大統領候補が非常に優勢だとの情報も出ているので、我々としては政府側の様々な情報があるにも関わらず、野党側にもそういう情報があるということに注目しているということである。野党側というのは我々から言えば民主化勢力と思っている。
日中関係
(問)昨日の中国の王毅中国部長助理との会談の中で、大臣は対日の前向きなメッセージを出してほしい、具体的な解決策を目に見える形で示してほしいとおっしゃっているが、具体的には何の項目を想定しているのか。
(外務大臣)特別なことをこちらが言うべきではないので、中国側が十分注意を払っていただければ、より日中関係は信頼を強めることに役立つだろうということを申し上げたのである。
(問)それは調査船や軍事技術のことか。
(外務大臣)特別明示的に例としてあげたわけでもない。それは朱鎔基首相の訪日にあたって日本側から言うまでもなく中国側が色々考えることになると思う。
(問)野中幹事長がODAの20周年記念行事を含めて来月訪中されるということであるが、この訪中は政府側の要人は同行されるのか、それとも党独自で訪中されるということか。
(外務大臣)中国側から記念のレセプションを行うのであるが、日本からも是非出席して下さいとの御要請があるので、日本側も国会開会中という状況もあるが、それには然るべき人が出席をするべきであると自分(大臣)は思う。
対北朝鮮食料支援
(問)先の日韓首脳会談でも金大中大統領から、今北朝鮮に対して支援を行うことの意義について話されたが、WFPのアピールから10日余りが経って、支援の検討状況はどうなっているのか。
(外務大臣)首脳会談で金大中大統領からは食料支援及びエネルギーのインフラ支援について言及があった。これについて総理からはエネルギーのインフラ支援等については国交正常化前にはなかなか難しい旨の発言があったと承知しているが、食料支援については色々な意見を聞き、情勢を分析して総合的に判断をするとの発言があった。現在、わが国としても最終的な判断をする前に色々分析をしているという状況である。
外務大臣会見記録 (平成12年9月19日(火)11:05~11:10 於:本省会見)(外務大臣)本日の閣議には予定の案件が処理されたが、その予定の案件の中には2005年国際博覧会を行うということについての閣議決定もあった。
中国共産党中央党校の学生に対する研修(冒頭発言)
(外務大臣)先般の訪中した時に、曽慶紅中国共産党中央組織部長とお目にかかり、いろいろ話をした折に、先方より「中国の将来を担う若手党幹部が中央党校で勉強している。これら若手幹部に国際的視野を身に付けさせるためにも、日本を視察をさせ、勉強させたい」という話があった。ご承知のとおり、自分(大臣)は、中央党校で講演をさせて頂き、その折にいろいろと先方の意見あるいはポジションについてもよく確かめてきたつもりであり、自分(大臣)としては、曽組織部長が言われるように、中国若手幹部の日本に対する理解を一層深めることは、日中関係を更に前進させる上で極めて有意義なことではないかということを感じており、帰国後この問題については検討しようと思っていた。
帰国後直ちに、どういう形でこうした人たちを日本に呼ぶか、そして研修してもらうかということを検討した結果、国際協力事業団(JICA)の研修事業の一環として、中国共産党中央党校の学生を対象に訪日研修を実施することにしたので、本日、この場を借りて、皆様にお知らせしたいと思う。
先方との話の中で、本件の交流は一方的なものではない、つまり中国側から日本側から勉強に来るというだけではなくて、日本からも中国側に研修に行くということもまた必要ではないかと考え、いわゆる双方向でこうした若手人材の研修を官民合わせて行うということを今計画することとした。具体的な事項については、中国側とこれから調整して確定していくわけであるが、今考えていることは、おそらく研修期間は10日から2週間程度、人数にして20人前後というふうに考えている。できれば今年度中から実施したいというふうに考えている。
ご報告はこれ1件である。外国人参政権問題
(問)昨18日、与党三党の幹事長が韓国を訪問され、金大中大統領から定住外国人への地方参政権付与について期待感が表明されたが、この問題についての大臣のお考えをお聞きしたい。
(外務大臣)かねてから韓国側からはそうしたことが言われていた。小渕内閣時代から、この問題については日本側として前向きに検討し取り組んでいく、という日本側の気持ちは先方に伝えてある。しかし、これは国会において法律審議を要するわけであるから、国会の審議等の状況を見なければ政府の一存で決められることではない。従って、政府もさることながら、党の幹部に先方から更にこうした要請があった、と思っている。党の状況については、皆様がよくご存知の状況である。
対北朝鮮コメ支援問題
(問)先週末、世界食料計画(WFP)から北朝鮮への食糧支援要請があったが、日本としてはどのように対応していくつもりか。
(外務大臣)WFPのアピールは、以前自分(大臣)から申し上げたかと思うが、この時点における客観的な評価というようなものだと思っている。9月から12月までの間、約19万5千トンという数字だったと思うが、我々として一体何ができるか、するべきかするべきでないかを含めて、内容等を精査したいと思っている。
(問)関連だが、検討にかかる時期の目処というのはいつ頃までか。
(外務大臣)なるべく早い方がいいのではないかと思う。
(問)更に関連だが、政府内にWFPのアピール19万5千トンを上回るコメ支援をしたらどうかという考えがあるやに聞いているが、大臣として今回のアピールを上回るコメ支援をすることを検討するおつもりがあるのか。
(外務大臣)今申し上げたとおり、WFPのアピールは国際的に見て客観性があるものというふうに自分(大臣)は承知している。ただ、そういうご意見があるということは二つあると思う。一つは9月から12月の数字に対応して考えるべきか、あるいは半年間とかもう少し中期的なことを考えようというご意見もあるいはあるかもしれないし、いずれにせよこれはいろんな視点があるだろうと思うから、それは考えなければならないと思う。
(問)つまり、国際機関の求めに応じて、というのがこれまでの基本的な方針だったと思うが、それを変えても構わないというご発言だったのか。
(外務大臣)国際機関の求めに応じて、というよりは、自分(大臣)がこれまで申し上げてきたのは国際機関のアピールは一つの客観性があるということを申し上げてきているわけで、これまでの支援その他が全てこれが出たからすぐこうするということであったかどうか、それも少し検討してみたいと思う。
外務大臣会見記録 (平成12年9月8日(金)10:30~ 於:本省会見)(外務大臣)閣議は非常に短時間に終わった。外務省関係で特にご報告することは、9月15日と9月16日にパプアニューギニア独立25周年記念式典があり、その記念式典に政府特使として、伊藤公介衆議院議員を派遣するということで、閣議で了解された。他に特にご報告することはない。
中国(調査船・特別円借款)
(問)中国調査船についてまた登場した、一方特別円借款については昨日自民党が了承したが、このような状況の中で今後政府としてどのように考えているのか。
(外務大臣)調査船の話は、私(大臣)が北京で先方外相との間で、大枠を決めてきたから、その大枠の中で実務的な内容については事務レベルで決めていくということであり、その方針に変更はない。
(問)特別円借款については自民党は了承し、また今後大臣はニューヨークに行かれるわけだが、中国側にどういうタイミングで伝え、いかなるタイミングで決定するというふうに考えておられるか。
(外務大臣)特別円借款は(自民党)部会で了承をいただいたので、手続きをさらにきちっと進めて、中国側ともやっていきたいと思っている。
(問)その関係でいうと、昨日部会でも了承する時に、実質的に調査船に関して大臣訪中時の合意に基づいて、早く事務レベルで協議を進めるべきだという話があったが、そのことについて、どのくらいの目標で早く進めるつもりか。
(外務大臣)できるだけ早くやりたいと思う。多少技術的な問題もあるだろうから、それらをきちっとする前に若干時間がかかるかもしれないが、できるだけ早くやりたいと思う。
(問)同じ関連だが、部会の方では枠組みについて、早く進展させるようにという要望を付けた上で円借款を了承したわけだが、この2点は大臣として関連させていくのか、それとも別の問題として扱うのか。
(外務大臣)特別円借款は特別円借款で了承された。しかし一方でこの枠組みは、当然部会もおっしゃるとおり、できるだけ早くきちっとしたものにしていかなければならないと、それは私どももそのように言ってきたものであるが、本件は中国が提案してきたことだから、作業を急ぐということは言いたいと思う。
(問)基本なことだが、外相会談で合意した後、事前通告なしに我が国のEEZ内(排他的経済水域)に入ってくるという事態をどのように大臣は受け止めているか?
(外務大臣)これから決める枠組みの中の事前通報ルール、おそらくこれからのやりとりになるが、6ヶ月ぐらいの事前通報ということを考えているわけで、これは先方があることであるから最終決着がどうなるか分からないが、そんなに一日か二日前に言うとか言わないとかという話ではなくて、少なくても何ヶ月前に言うかという、そういうレンジの事前通報を考えている。今度の場合、我が方で分かったのは五日であり、五日に調査船がいると海上保安庁の方から指摘をされ、その翌日にはもう外に出ているから、それがどこかに行って帰る途中に出会ったのか、あるいは新たに来たものだったのか、それについては事実関係が少しよく分かっていない部分があるが、これらについても少なくても我々は中国側に対して外相会談で決めた友好親善を目的としてルールを作ろうではないか、という考え方とこうした事実は違う、極めて遺憾である、ということを相当強くハイレベルで言わなければいけないし、もう既に北京では大使レベルで行っているが、場合によればもっと高いレベルでしていこうと思う。
(問)大臣が場合によったらもっとハイレベルで遺憾の意を示す、とこれは今回の調査船の問題について大臣ご自身としてどこかで言うということか。
(外務大臣)ハイレベルで申し入れをしようと思っているが、そのハイレベルは事務次官レベルになるか、そのへんはすでに北京において谷野大使からこうしたことが起こったのは極めて遺憾ではあるという話をしているし、東京でもやっている。ただ東京の場合には現在中国大使や公使がおられないので、参事官レベルのものに話をしているから、それをもう少しレベルを上げて話をするということは考えている。
日露関係
(問)日露首脳会談のことだが、日ソ共同宣言にプーチン大統領が言及した、ということから、2島返還という話がでたが、大臣の参加されたセッションの中でその二島の扱いについて話し合われたということはあるか。
(外務大臣)全くない。
(問)例えば色丹や歯舞という言葉自体出なかったのか。
(外務大臣)全くない。
(問)言及があったのは、日ソ共同宣言のみということか。
(外務大臣)1956年の日ソ共同宣言の有効性などということは言われた。
(問)日本側からは実際本件を持ち出したのか?
(外務大臣)日本側から持ち出したということはない。
(問)ロシア側から歯舞や色丹という言葉は出たのか。
(外務大臣)一切ない。全くない。
海上自衛幹部の機密漏えい容疑
(問)海上自衛隊の幹部がロシアへの機密漏えい容疑で逮捕されたが、日露首脳会談終了後、このことが日露関係に与える影響と今後外務省しては武官に対して事情聴取に応じるような要請はされるのか?
(外務大臣)私は事実関係の詳細が分からないので、もう少し事実関係がはっきりしてからお答えする。
(問)その関連だが、今日虎島防衛庁長官が大臣の所へ来られると思うがそこでそれについて話をされる気持ちはあるか。
(外務大臣)こちら側ではどういう話をするか考えている。防衛長官とアメリカに一緒に行くということになっているので、私に対して礼をつくしたいとおっしゃっており、私はわざわざおいでいただくことはと思っていたが、一度とにかく挨拶をしたいということで、今日おいでになるものである。そう長い時間予定してないものだから、主として2+2の話をするということになると思う。
(問)事実関係が判明されれば、当然ロシア大使館の責任者を呼んで抗議するということになるのか。
(外務大臣)いや、そこは事実関係がはっきるするまでは、どういう事になるのかは、ちょっと申し上げるのは控えたいと思う。
外務大臣会見記録 (平成12年9月6日(火)15:12~ 於:本省記者会見室)(外務大臣)日ロ首脳会談は大変お疲れ様でございました。皆さんもさぞかしお疲れだろうと思う。しかし、一応終わり、両首脳は既にニュー・ヨークへ出発している。ということになると、こちらも来週の国連総会の準備が当面の課題である。10日に日本を出るが、11日(月)の10時30分、日米安保協議委員会、所謂2プラス2を行うことで調整がついている。虎島防衛庁長官の御出席を頂き、我が方二人、先方はオルブライト国務長官、コーエン国防長官の二人が出席する。日程を決めて、場所もニュー・ヨークのホテルの宴会場を借りて行うことが大体決まったが、2プラス2とは言うものの、出席者を全員入れると20対20のような相当数になる。自分の記憶をたどれば、5年ほど前の2プラス2での印象では相当な人数が両側にざっと揃っていた。どの位の話が出るか、或いは話ができるような方式を考えるか、いずれにしてもどういう話をするか、最終的な詰めを行っている。国連演説は13日の午後に順番が来る。今原稿を一生懸命作っている状況である。原稿はいろいろな案があるので、どういうところで落ち着くか、いろいろなことを言いたいが、何を言うか、どういう言い方をするかでまだちょっと考えがまとまらない状況である。総理が非常に総論的な話をされるので、それをどういうふうにフォローするかもある。やはり、考えてみれば20世紀の締め括りであり、また考えようによっては21世紀のドアをたたくという演説ということもあろうし、両方をやるということも考えられる。"Mister,last one minutes."と言われて、最後の1分まで直すと言われ、誠に評判が悪い。結果、一枚飛ばしたことがずっと前にある。今度はうまくやりたいと思う。
もう余り、昨日、一昨日のことをしゃべるよりも来週のことを言いたいと思うが。(問)バイの会談はどことセットされたのか。
(外務大臣)バイは、まだ今作業中で、これも割合とグループとの話がかなり定例化してしまったものがあり、定例化したものはやらないとやはり具合が悪い。それがずっと入ってしまうので、バイの会談はごく絞られる。そしてまた場合によれば、どうしてもやろうというところは短時間でということがある。大変有り難いことに、大分いろいろ申し込みがあって、今お詫びをしながら時間を短縮させてもらっている。例えば、仏の外務大臣からも「どうしてもやろう」と言ってきており、これらについてはEUとの会議があって、そこは仏が議長で、仏とスウェーデンが来られるので、そこで本当はある程度話ができるはずであるが、二国間の問題ということになるとそうはいかないであろうから、EUの会合の前にやるとか、そのようなことになろう。
昨日、飛行場でもそうであるが、イワノフ外相とはもう一回ニュー・ヨークで会談をやることになろう。これはよくわからないが、米国も2プラス2はやるけれども、それ以外に場合よればあるかもしれない。しかし、向こうは忙しくて、ちょうど、例のまた中東の期限にぶつかるわけである。13日は中東の期限ということで、それにまたぶつかるので、今から言っていても「ちょっと中東があるから」と言われるかもしれない。
アジアの国は割合とここまでASEANの会議から大分やっているし、これから先もすぐ10月はASEMがあって、韓国でまたアジアの外務大臣と会う。今は余り、会ってもしょうがないと思う。日露首脳会談
(問)昨日、一昨日のことを敢えて思い出して頂きたい。大臣は沖縄でも日ロ首脳会談に同席されているが、その時と比べて何か大統領に変化はあったか。印象で結構であるが、何か感じられたか。
(外務大臣)とにかく非常に正面からまともに話をされる。沖縄の時には前にも言ったように、あの沖縄のG8がプーチン大統領にしてみれば、国際的な会議に出てくるデビューであるので相当構えて来られたと思う。中国に行ったり北朝鮮に行ったりして、非常に構えてきたなという感じを自分(大臣)は持っていた。昨日、一昨日を見ると、やはり非常にまともに話を正面からされるという感じはした。昨日、閣議後の話でもしたと思うが、やはり森総理と「プ」大統領という人は、見ていてケミストリーが割と合うのである。割合と合って、朝食を二人でというのも、あれは余り知らないうちに二人で決めて、本当はテタテを午後の会議の前にやろうということをたしか計画をしていたように思うが、その時のテタテはまるっきり二人ではなく、もう少し少人数でというふうに自分は思っていた。そうではなく、完全に二人でやろうということになった。それだけ(ケミストリーが)合うということである。何かこの二人で話が詰まるかもしれないという、これからのことも考えて、そんな感じもしている。やはり誰でも、大統領になったり総理大臣になったりすると、一番最初に会って話をするというのは印象も非常に強いであろうし、「プ」大統領にとっても森総理というのは非常に印象が強いだろうと思う。森総理にとってもあの時とりあえず一番最初にサンクト・ペテルブルグへ行って会って、その時の印象が非常に強い。従って、我々が思っている以上に森総理は「プ」大統領に対しての思い入れも強いし、それから親近感も強い。他の国の首脳に比べると、やはりかなりそういう意味ではストレートに物を言うし、その代わり非常な気遣いをされる。何と言っても、飛行場まで迎えに行くというのは、他の国のリーダーであったらないのではないか。そこまでやられると外務大臣が失業する。それは、従ってあの二人はそれぞれの関係を大事にしているという感じがした。
(問)「プ」大統領は北方領土を返還できない理由として内政問題を挙げていたが、この問題を日本政府としては今後どうやって克服していくことが考えられるのか。
(外務大臣)「内政についての国内世論」という言い方をしていたが、それは「プ」大統領の努力が必要であろう。それから勿論、我が方は経済協力や、それから四島の島民或いは極東の人達との話の中で、日本がどういう友好的な関係を作るか協力関係を作るか、そういうやり方はあると思う。従って、あのように二人の知事を連れてきて横に座らせて「プ」大統領はやった。経済問題などもやった。それはあの二人にはやはり聞かせておこうという気があったと思う。
(問)「プ」大統領が来日前に極東で話していた領土問題のことと日本で話したことは使い分けていたように思うが、先程国内世論の話も出たが、「プ」大統領は北方四島を返還しても良いが色々事情があるので返還できないということか、また返還する気は全くなく国内世論を言い訳に返還しないのか、大臣の印象はどっちか。
(外務大臣)どっちかといわれてどっちというのも難しいが、強いてどっちかといえば、「プ」大統領はこれまでの合意・約束事項は全部自分(「プ」大統領)は認めると言っている訳なので、歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島の帰属を解決して平和条約を締結するという考え方であろうと思う。自分(大臣)は繰り返し言っているが、日本側は四島返還について原則は変わらないと一貫している。今朝、新聞を読んでいると評論する方は時に難しいことを言っている。社説では「原則は守れ、そして2000年に締結」と書いている。原則を変えずに2000年までに締結を目指しているわけであるが、我々はそれしか考えていないのであるが、しかし新聞の1、2面では「2000年までには無理だ」と書いている。これはどっちが本当なのかと思ってしまう。
(問)一方、ロシア側は次の期限を設ける意志はないのか。
(外務大臣)まだ2000年という期限の中である、例えば7回表に攻撃をしているときに、延長は15回にしますか16回にしますかと聞いているようなものである。9回までに決着をつけようとしているのであるので、期限が終了してから考えることであると思う。
(問)日ソ共同宣言の時の歯舞、色丹等の行は日本の世論等色々声があったと言われているが、父親である故河野一郎議員から何か聞いたことはないか。相当な決断だったと思うが。
(外務大臣)東京駅の前を車に乗って親父と二人で走っていたときに「モスクワに行って来る、帰らないかもしれない。帰れないときは後はしっかりやれ」と言われた。それで羽田空港からロンドン、ストックホルムを経由してモスクワに向かったと思う。羽田空港から出発する時は、ターミナルは登り旗を持った人が何百人も押し掛けていた。自分(大臣)は3、4回目の漁業交渉でモスクワに向かう時、昭和37、8年だったと思うが、親父に呼ばれて「漁業交渉でモスクワに行くのは今度が最後になりそうだからお前を連れていく」と言われた、この時も羽田空港には登り旗を持った人が何百人もいたが、飛行機の調子が悪く羽田に引き返してしまったが、帰ってきたときには、何百人もいた見送りの人達が家族を残して全員帰ってしまっていた。その翌日の朝にモスクワに向けて空港を出発したことを思い出す。
(問)帰ってきたときの故河野一郎議員の印象はどうか。
(外務大臣)4回目の時はずっと一緒に同行したが、2回目は抑留されている人の施設に行った時は自分(故河野一郎議員)で感動していた。その頃は交渉の相手はフルシチョフだったが、割合と気性が似ていたので相当ざっくばらんな話し合いをしていた。
日朝関係等
(問)北朝鮮の金永南氏の訪米が中止になったが、日朝への影響や、森総理との会談は予定していたというような話もあるが、その辺の影響は如何。
(外務大臣)日朝関係への影響はそうストレートにあるとは思わない。日朝関係にどういう影響があるかあったかと言われれば、うまくやればチャンスはあったかもしれない場面であっただけに、ちょっと残念という気がするが。本当にNYへ行ってできたかどうかという問題もあるわけであるので、本当は行って会えれば一つの風通しになっていたであろう。こちらのトップの考えというか気持ちが伝わるチャンスであったかもしれない。そこはそうなったかどうかはわからないわけであるので、残念がる必要もあるかどうかということも若干ある。
(問)あのような偉い人というのは通常空港はフリーパスであろう。今回は何故だったのであろうか。
(大臣)よくわからない。しかも、飛行機は米国の飛行機かもしれないが、飛行場はフランクフルトの飛行場であろう。従って、何かどうであったのかがちょっとまだよくわからない。
(問)米朝関係が悪くなると結果的に対北朝鮮外交は足並みを揃えるという基本方針があるので、日朝関係に何らかの影響があると思われるが。
(外務大臣)米朝関係がどの位悪くなるかまだわからない。従ってこのことだけで米朝関係がどうなるというところまで考える必要はまだないと思う。もう少しやってみるとやっぱりこういうことから事態がこうなると思うかもしれないが、まだそこまではわからない。それで、例によって米、韓国、日本の3カ国の政策調整を勿論緊密に行っていき、色々な問題があるので、これから非常に重要な作業になると思う。
(問)NYでは白南淳外相と出来れば会いたいとおっしゃっていたが、大臣の考えはどうか。
(外務大臣)両方がNYにいれば自分(大臣)は会いたいと思う。しかしこれはわからない。
(問)今回金永南最高人民会議常任委委員長がNYに行かないことによって、白南淳外相の予定はどのようになるのか。
(外務大臣)そこもわからない。
外務大臣会見記録 (平成12年9月5日(火)12:30~ 於:本省会見室)(外務大臣)本日の閣議において総理の国連ミレニアム・サミット出席のための出張が了解されたが、自分(大臣)は8日の閣議において了解が得られれば、第55回国連総会(ミレニアム総会)へ出席のため9月10日から16日までニュー・ヨークへ出張したいと考えている。
今後若干変更があり得るとの前提で申し上げれば、13日の午後には一般討論演説を行い、21世紀の国際社会が直面する諸課題への対応や、それら課題への取組のための国連の機能強化に関する我が国の考えを訴えるつもりにしている。また、各国外相等が集うこの機会にいくつかの会合に出席するつもりである。G8、リオ・グループ、EUトロイカ会合及び湾岸協力理事会(GCC)等との多国間会談がある。並びにアフリカ諸国との昼食会、さらに、日米間でいわゆる「2プラス2」会合が開催される可能性があり、目下調整中であり、いくつかの二国間会談を行いたいと考えている。日・露首脳会談
(外務大臣)日・露首脳会談が昨日、今朝と行われた。自分(大臣)も昨日の会合には参加した。今朝は首脳同士に通訳のみの一対一の会談のため同席はしていないが、終了後の双方メンバーの話を聞くと、今朝も予定時間を大幅に超えての有意義な会談であったようだ。同席していないため内容についての詳細は説明できないが、自分(大臣)の感想を申し上げる。森総理とプーチン大統領の間の人間関係は非常に深まってきていると思う。2人とも非常に率直かつ互いに先方の考え方を十分理解していると感じた。こうした率直な対話、信頼関係というのは問題解決に大いに役立つと感じた。首脳会談の中でこうした正面から真面目に問題に取り組むという姿勢は横から見ていて非常に好ましいと感じたし、特に今回は最初から平和条約の問題について話をしようと、双方が率直な話し合いをし、クラスノヤルスク合意について双方とも重要性について十分理解をしていたので、クラスノヤルスク合意を受けて双方が肯定的にさまざまな問題解決、両国の友好関係を作り上げる努力、また両国の協力によって、意味のある互いの潜在的な能力を引き出す努力が行われた。また、この2000年末を目標に、全力をあげて目的を達成しようと言う合意はプーチン大統領、森総理の2人の首脳に引き継がれていると感じられたことが非常に印象的であった。先方から総理に対してはロシア公式訪問の招待があり、総理は直ちに感謝をもって招待を受け入れた。何時頃どういう形かについては事務的に相談し外交ルートで合意されることとなるが、そのやりとりは非常に気持ちのいいものであった。双方が日露関係というものを新しく作っていこう、という気持ちが非常にはっきりと示されて、そういうやりとりが随所にあり印象的であった。
(問)プーチン大統領の会見では、クラスノヤルスク合意については「努力する」と書いてあるだけであるという発言があったが、これは努力は事実上すでに達成しているとの発言ともとれるが、大臣のお考え如何。
(外務大臣)2000年末までに目的を達成するために、全力をあげていこうという双方それぞれの気持ちであると考える。
外務大臣会見記録 (平成12年9月1日(金)10:30~ 於:会見室)(外務大臣)今日は9月1日ということで、地震災害防災会議が行われ、引き続き公共事業関係閣僚会議があった。閣議についてもとりたてて申し上げることはない。自分からは総理の南西アジアご訪問と、これは総理がおられるところで外務大臣が報告するのも変であるが、そういう憶測であるから、外務大臣として行った。また自分(大臣)の中国訪問の報告をした。閣議については以上である。自分から申し上げることは以上である。
日露交渉
(問)今日のフリステンスコ・ロシア副首相との会談の中で、今日の会談は経済問題が中心と聞いているが、領土問題について大臣の方からふれることはあるのか?
(外務大臣)それはないと思う。
(問)森総理が民放テレビのインタビューで平和条約について言及されたが、大臣(外相)はそれについて何かお聞きになったりお読みになったりしたか。
(外務大臣)読んだ。
(問)その内容について、総理は中間条約については中身は国民に理解できるものであればあってもよいと述べられていたが、大臣はそれついてどのようにお受け止めか?
(外務大臣)しかし、それは前半では「そのようなこと(中間条約)は考えてない」というふうに述べられているので、そうだと自分(大臣)は思う。
(問)領土問題の取り扱い次第では、中間的な取り決めはありうるのか?
(外務大臣)自分(大臣)は中間的云々というのは、内容についても全くわからないし、今そういうことがあるというふうな想定は一切していない。
日朝国交正常化
(問)同じテレビ番組についてだが、日朝国交正常化について森総理が日韓方式でやらなければならないと思っているということもおっしゃっていたが、取りようによっては請求権の主張を取り下げるのではないかと聞こえたがその点はどう思われるか?
(外務大臣)自分(大臣)はテレビを直接見ていないが、それもそういうふうに言われたようだが、やはり一つの例ということで言われたと思う。まだ総理の頭の中に具体的に方式その他があるというふうには自分(大臣)は聞いていない。
国連ミレニアムサミット(日朝関係)
(問)国連ミレニアムサミットにおいて森総理と各国首脳との会談がだいぶ模索されつつあるようだが、金永南最高人民会議常任委員長については日本側からは首脳級会談の打診はなされているのか。
(外務大臣) 総理は意欲があるということを自分(大臣)はバンコクでも少し申したし、先方には日本側の気持ちは伝わっているだろうと自分(大臣)は思っているが。
(問)それに対して、打ち返しはまだ来ていないのか。
(外務大臣)まだきていない。
捕鯨問題
(問)捕鯨問題でアメリカ側がESCAP環境・開発大臣会議をボイコットするような話がきているが、それについてどう思われるか。
(外務大臣)捕鯨問題の話はIWC(国際捕鯨委員会)の会合で日本側の意見はきちっと述べているはずである。特に環境の会議でもあり、アメリカにもぜひ会議には出席していただきたい。
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