経済協力開発機構開発援助委員会(OECD-DAC)における最近の議論としては、援助効果向上に関する課題やDAC加盟国以外の援助供与国との協力関係の構築などが挙げられます。2007年4月、OECD-DACは、閣僚級のハイレベル会合を開催しました。この会合では、国家のガバナンス(ぜい弱性や汚職防止など)や援助効果の向上、安全保障活動への政府開発援助資金の活用などについて討議されました。また、同ハイレベル会合の前日には、開発に関するグローバルフォーラムが開催され、開発に関係する主体の増加とそれに伴う複雑化への対応について議論されました。なお、このフォーラムでは、ブラジルやロシア、インド、中国、南アフリカといった新興経済国を招いた意見交換会も実施され、伝統的な援助国とこれら諸国との開発協調の歩みに大きな道筋を与えました。
また、2007年、OECD-DACでは、前年に引き続いて、2008年9月の援助効果向上に関する第3回ハイレベル・フォーラム(アクラ・ハイレベル・フォーラム)に向けた準備が進められました。日本は、伝統的な援助国や途上国のみならず、近年援助量を増加させている新興経済国の意見や経験も反映されるべきであると考え、同フォーラムの準備段階において、DAC加盟国ではないロシアと共に、新興経済国との対話に関する非公式作業部会の議長を務めました。また、日本が重視しているインフラ分野における援助効果や開発途上国の能力強化に有効な技術協力の在り方の国際共同調査を実施してきましたが、これらの調査結果は、アクラ・ハイレベル・フォーラムにおいても紹介されました。