2. 新たな援助主体との協調

これまでの国際社会においては、経済開発協力機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の加盟国が中心となって援助を行ってきましたが、近年、東欧諸国、中東諸国、ロシア、シンガポールやマレーシアなどの東南アジア諸国、中国などのDAC加盟国以外の援助主体の活動が顕著になっています。これらの新たな援助主体は、援助の受取側から援助を行う側として、国際社会での存在感を示していますが、日本を含む旧来からの援助国は、これらの新たな援助主体と連携しながら、必要に応じてこれまでの援助経験を共有し、ともに協力していくことが、ドナー全体の開発成果向上のために極めて大切です。 日本はこうした新たな援助主体に対し、(1)援助政策に関する情報交換、政策対話、(2)援助実施面での経験の共有・支援(例:統計整備、評価・モニタリング、環境・社会配慮、債務持続性への配慮などの能力強化など)、(3)南南協力および三角協力の強化など、様々な側面でパートナーシップを強化することが重要と考え、働きかけを行っています。

日本はこうした新たな援助主体に対し、(1)援助政策に関する情報交換、政策対話、(2)援助実施面での経験の共有・支援(例:統計整備、評価・モニタリング、環境・社会配慮、債務持続性への配慮などの能力強化など)、(3)南南協力および三角協力の強化など、様々な側面でパートナーシップを強化することが重要と考え、働きかけを行っています。

例えば、中国とは、2007年度に援助政策に関する情報共有や対外援助に関する日中協力の可能性をテーマに日中間で第三国援助に関する対話を初めて開催しました。2008年度の動きとしては、同年5月、胡錦濤国家主席が訪日した折に実施された日中首脳会談では、第三国援助について日中での実務レベルでの対話の継続が確認されました。

また、韓国については、旧JBICと韓国での有償資金協力を担当する対外経済協力基金(EDCF注215))との間で、持続可能な都市開発にかかる共同イニシアティブ、債務持続性に関する共同イニシアティブなどを進めてきました。2008年度の動きとして、同年4月の日韓首脳会議で開発分野における対話の緊密化が合意されたことを受け、同年6月、日韓援助政策協議が開催されました。協議では、2010年の韓国のDAC加盟を念頭に、成長を重視するアジアの視点をDACなどの活動に反映させるための協力について議論がなされたほか、アジアやアフリカにおける協調案件の実現についても引き続き現地での検討を進めることが合意されました。

欧州の新興ドナーとの関係では、日本は2008年2月にチェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの局長級の経済協力担当部局責任者を招き、援助協力ワークショップを実施しました。外務省やJICA、さらには国際開発高等教育機構(FASID)や政策研究大学院大学(GRIPS注216))において日本の開発協力についての講義や意見交換、各種施設の見学などのプログラムを実施しました。

なお、日本はこれまで、シンガポールやインドネシアなどの13か国との間で開発パートナーとして連携し、特にアフリカやASEAN、南西太平洋諸国などの途上国の経済・社会開発支援するための枠組みを定めており、両国政府の費用負担による第三国研修や第三国専門家派遣、合同セミナーの実施などを行なうことで新たなドナーによる南南協力のための支援をおこなっています。