昨今の世界的な食料価格高騰問題を受けて、農業・農村開発にかかる問題を真剣に議論する必要性がこれまでになく高まっています。食料価格高騰問題が深刻さの度合いを増す中、2008年に開催されたTICAD IVおよびG8北海道洞爺湖サミットでも、この問題に対し国際社会としてとるべき対策について議論が行われました。
開発途上国の貧困層は4人のうち3人が農村部に居住しており、そのほとんどが生活を農業に依存しています。こうした状況を踏まえると、持続可能な経済成長を通じた貧困削減のためには、農業・農村開発を通じ、農民の所得向上、農村の生活環境の整備や雇用機会の確保を図ることが不可欠です。世界銀行の「世界開発報告2008」は、「農業は21世紀においても、引き続き持続可能な開発と貧困削減の基本的な手段である」(注9)として農業の重要性について指摘しています。
ミレニアム開発目標(MDGs)は、「2015年までに飢餓に苦しむ人口の割合を1990年の水準の半数に減少させる」など貧困削減および飢餓の撲滅を主要目標に掲げています。特に、アフリカ地域の状況は深刻で、サブ・サハラ・アフリカの人口の3分の1に当たる約2億人が飢餓に苦しんでいるといわれています(注10)。昨今の食料の価格高騰は、開発途上国、特にアフリカに深刻な問題を引き起こしています。