3. 教育

(1)現状

教育はすべての人々、国々にとって自立と発展の基礎をなすものです。国連教育科学文化機関(UNESCOユネスコ)の報告によれば、1999年から2005年までに、世界全体の未就学児童数は9,600万人から7,200万人へと25%減少し、特にサブ・サハラ・アフリカと南・西アジアで顕著な改善が見られましたが、サブ・サハラ・アフリカには3,300万人の未就学児童が存在しています。また、すべての子どもの就学のためには、世界中で1,800万人、サブ・サハラ・アフリカで380万人の新たな教員が必要とされています。

国際社会は、「万人のための教育(Educationfor All:EFA)」(注6)およびミレニアム開発目標(MDGs)の目標2「初等教育の完全普及の達成」および目標3「ジェンダー平等推進と女性の地位向上」の達成に向けて取り組んでいます。

(2)日本の基本的な考え方と具体的支援策

2008年4月、高村外務大臣(当時)は政策演説「万人のための教育-自立と成長を支える人材育成のために-」において、EFAおよびMDGs達成のためには、①質・量両面における基礎教育のさらなる充実、②基礎教育を超えた多様な教育段階の支援強化、③教育と他分野との連携、④内外を通じた全員参加型の取組の重要性―につき言及しました。また、特に、基礎教育について、アフリカに対する今後5年間での具体的な支援策として、①約1,000校、約5,500教室の建設、②10万人(全世界で約30万人)の理数科教員の能力向上、③コミュニティの学校運営参画による1万校の学校運営改善(「みんなの学校」モデル)―に取り組むことを表明しました。

(3)TICAD IVおよびG8北海道洞爺湖サミット

日本の基本的な考え方は、2008年5月のTICAD IVの「横浜宣言」および「横浜行動計画」にも反映され、基礎教育へのアクセスと質の改善、基礎教育を超えた多様な教育段階の支援、学校給食や安全な水・トイレなどの分野横断的な取組などが盛り込まれました。

同年7月のG8北海道洞爺湖サミットにおいても、主要議題の一つであった「開発・アフリカ」の下で教育が取り上げられ、初等教育の完全普及推進を引き続き重視しつつ、初等教育と初等教育以降の教育にバランスよく取り組む必要性に言及しました。また、「ファスト・トラック・イニシアティブ(FTI)(注7)」については、外部評価を通じてその有益性の改善を支援しつつ、10億ドルと見積もられるFTI承認国における資源不足に対処すべく、ほかの援助国とともに努力することが確認され、FTI支援の取組の進捗に関する報告書を次回サミットに提出することになりました。なお、日本は2008年1月から、G8代表としてFTI共同議長国を務め、FTIの議論に深く関与してきており、同年4月には、東京においてFTI実務者会合および関連会合を開催しました。また、FTI承認国に対して、二国間・多国間援助を通じて多くの支援を行ってきています。