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4.アフリカ(サブ・サハラ)

 日本のアフリカに対する2004年の二国間ODAは、約6億4,697万ドルで、二国間ODA全体に占める割合は10.9%です。
 アフリカは、深刻な貧困、紛争、飢餓、HIV/エイズなどの感染症、累積債務などの課題が集中している地域です。近年、アフリカ開発問題の重要性が改めて認識され、国際社会の関心が集まっています。2000年の国連ミレニアム・サミット以降の各種国際会議における開発に関する議論の多くは、アフリカの開発問題やアフリカが抱える諸問題をテーマとして取り上げたものとなっています。日本は、このような潮流に先駆け1990年代初頭から国際社会で積極的に対アフリカ開発協力のイニシアティブをとってきました。東西冷戦終焉に伴い国際社会のアフリカへの関心が低下する中で、日本は国際社会の関心を再喚起すべく、1993年にTICADI、1998年にTICADIIを開催し、アフリカ諸国のオーナーシップとそれを支援する国際社会のパートナーシップの重要性を提唱してきました。このような日本のアフリカ問題に対するイニシアティブは、アフリカ開発に対する国際社会の取組の強化へとつながりました。また、G8サミットにおいても、日本が議長国であった2000年のG8九州・沖縄サミットの機会に南アフリカ、ナイジェリア、アルジェリアの大統領を東京に招待し、G8首脳との対話を実現させました。これをきっかけに、G8サミットにおけるアフリカ首脳との対話が毎回行われるようになりました。なお、それ以降、アフリカ問題は毎回のG8サミットの主要議題の一つとなり、2002年のG8カナナスキス・サミットでは「G8アフリカ行動計画」が採択されるなど具体的な協力が拡大しています。また、2005年7月のG8グレンイーグルズ・サミットでは、それまでのG8のコミットメントやアフリカ自身の努力を基に、一連の新たなアフリカ支援策が合意されました。さらに、アフリカ自身もオーナーシップの重要性を認識し、NEPADの策定やアフリカ連合(AU)の成立など、具体的な取組を始めています。
 2003年9月に開催されたTICADIIIでは、小泉総理大臣が「人間中心の開発」、「経済成長を通じた貧困削減」、「平和の定着」を3本柱とする日本の対アフリカ支援方針を表明するとともに、HIV/エイズ対策を含む保健医療、教育、水や食糧支援などの基礎生活分野で、5年間に10億ドルの無償資金協力を実施する旨表明しました。同時に日本の対アフリカ支援において「人間の安全保障」の視点や「南南協力」を重視していくことも明らかにしました。2004年11月には、TICADアジア・アフリカ貿易投資会議を開催し、近年成長が著しいアジア・アフリカ間の貿易・投資の現状に着目して、貿易・投資の拡大を通じたアフリカ開発の具体的な方法などにつき議論を行いました。(注)アフリカ側より、10年にわたるTICADプロセスの貢献を高く評価し、その継続を求める強い声が出されたことを背景に、小泉総理大臣は2005年4月に開催されたアジア・アフリカ首脳会議において、2008年にTICADIVを開催することを発表しました。
 日本は、TICADプロセスを通じて、アフリカの経済成長に不可欠な農業開発、社会・経済インフラ整備、貿易・投資の促進、紛争地域における人道・復興支援などアフリカ諸国に対し様々な協力を行ってきています。MDGsとの関係においても、日本はMDGsに先んじてTICADII(1998年)の際に、水・教育・保健医療の分野で900億円の協力を表明し、TICADIII(2003年)までの5年間で、人間の安全保障の観点を重視しつつ、460万人の人々に衛生的な水へのアクセスを、260万人の子供に教育へのアクセスを、2億4,000万人の人々に保健医療サービスを提供しました。南南協力については、アフリカ域内の協力の拠点を活用して周辺国を対象とした第三国研修を実施しているほか、アジア諸国と協力して技術協力を実施する南南協力を推進しています。特に日本の経済協力によって成長を遂げたアジア諸国の経験をアフリカにおいて活用するアジア・アフリカ協力は日本ならではの協力として高い評価を得ており、ネリカ稲の開発・普及事業やアフリカ・アジア・ビジネス・フォーラムなどを通じた民間貿易投資の促進など具体的かつ特色あるプロジェクトが実施されています。

日本が無償資金協力を行ったサンメリマ小学校を訪問した小野寺外務政務官(カメルーン)
日本が無償資金協力を行ったサンメリマ小学校を訪問した小野寺外務政務官(カメルーン)

 また、アフリカにおいては、紛争が開発の大きな障害となっており、平和の定着に向けた支援が極めて重要であることから、日本は、同分野の支援を積極的に実施しています(アフリカに対する平和の構築支援は、第II部第2章第2節4.(4)を参照して下さい)。
 さらに、アフリカ地域には、世界でHIPCとして認定されている42か国のうち34か国が集中しており、日本はこれらの国々に対して債務削減問題でも、拡大HIPCイニシアティブの枠組みにおいて最大級の貢献を行っています(債務問題への取組については、第II部第2章第2節2.(7)を参照して下さい)。

図表II-29 アフリカにおける日本の援助実績

図表II-29 アフリカにおける日本の援助実績


囲み II-7 一般財政支援に対する日本の取組 ~タンザニアにおける経験を通じて~

column II-17 在外公館で経済協力を担当して~在タンザニア大使館横林経済協力・経済班長


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