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第3節 援助手法・実施・運用上の留意に関する取組の現況
1.ODAの政府全体を通じた調整及び各種協力形態・機関間の連携

 1府12省庁がODA予算を有している中、ODA事業が全体として整合性を保つためにも、府省間の連携は不可欠です。
 1998年6月に制定された「中央省庁等改革基本法」で外務省がODAに関する全体的な企画等について政府全体を通ずる調整の中核としての機能を担うことが決定されています。外務省は、これを受けて、「技術協力関係府省連絡会議(2003年2月より「技術協力連絡会議」に名称変更)」及び「ODA関係府省評価部門連絡会議」を開催し、関係府省間の連携強化に努めています。また、無償資金協力、有償資金協力、国際機関経由の資金協力、OOF、貿易保険といった資金協力を横断的に把握し、被援助国への資金の流れ全体を見ていく枠組みはこれまで存在しませんでしたが、2002年11月、外務省、財務省、経済産業省、JICAJBIC、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)との間で資金協力連絡会議が発足しました。
 また、日本は、ODAにおける資金・技術協力の各種協力形態の特性を最大限に活かした援助を実施してきています。例えば、第I部2章3節1-(1)で紹介している「人材開発センター(通称日本センター)」は、無償資金協力及び技術協力プロジェクトによって、ハード及びソフトの連携により実施されているほか、「円借款連携実施設計調査」(注1)、「セクタープログラム開発調査」(注2)、資金協力に付随した技術協力を実施する「資金協力連携専門家派遣」及び「資金協力連携研修員受入」などソフト及びハードの連携をより有機的に活用するための協力形態を整備しています。その他、草の根・人間の安全保障無償を通じたNGO等が実施する活動に対する支援等は被援助国国民に直接届く協力であり、他の援助形態との相乗効果に留意しつつ一層効果的な活用を図っています。このような連携のモデルケースの1つをあげると、第I部2章1節3-(4)-(ロ)で述べられているアフガニスタンの「緒方イニシアティブ」による支援は、資金協力、NGOを通じた支援、さらには日本が実施しているカンダハル・カブール間道路整備や、日本がアジア開発銀行(ADB)を通じて支援しているカンダハル・スピン・ボルダック間道路整備などその他のプロジェクトとの連携を図ることで地域の総合的な開発を行っています。
 さらに、技術協力をはじめとする二国間ODAについては、近年の多様化する援助需要などに鑑みても、関係省庁が有する知見、ノウハウ及び人材を十分に活用しつつ実施していくことが重要です。この観点からも、日本は、二国間ODAの実施に際し、JICAをはじめとする援助実施機関及び関係省庁の効果的・効率的な連携・調整に努めています。例えば、JICAの事業であるカンボジアの法整備支援(第III部2章1節3-(3)参照)では外務省・法務省が協調し、また、教育分野であれば外務省・文部科学省が協調しつつ、援助を実施してきています。


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