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(5)アジア通貨・経済危機への対応等経済構造改革支援
97年夏にタイに端を発したアジア通貨・経済危機から5年が経過しました。多くのアジア諸国は危機を克服し、成長軌道への復帰と経済・社会システムの強化が進められています。
アジア通貨・経済危機発生以降、今までにわが国が表明したアジア諸国に対する支援総額は約800億ドルに上ります。具体的なわが国の支援策としては、98年10月に表明した「新宮澤構想」をはじめ、「経済構造改革支援のための特別円借款」、「小渕イニシアティブ」等の方策を通じてアジア諸国の開発分野における課題への取組を支援しています。そのうちODAは経済構造改革、社会的弱者救済、人材育成、留学生支援を柱としてアジア諸国の努力を積極的に支援してきました。
これらの支援に併せ、経済政策支援を行い、経済社会基盤の一層の強化を図っています。インドネシアは、アジア通貨・経済危機の影響が最も深刻化し、経済的・社会的な混乱に陥りました。その後、同国の経済は回復傾向にありますが、依然として膨大な債務や経済・金融の再建、グローバル化への対応などさまざまな課題を抱えており、インドネシア政府は経済的・政治的安定に向けた改革努力を行っています。わが国は、そのようなインドネシアの努力を支援すべく、小泉総理とメガワティ大統領の首脳合意に基づき、[1]マクロ経済運営、[2]金融セクター改革、[3]中小企業振興、[4]民間投資拡大、[5]地方分権化、[6]民主化の6分野において、わが国の6人の学識経験者とインドネシア政府高官との対話を通じた政策アドバイスを実施しています。
また、2002年1月、小泉総理大臣は東南アジア5か国を訪問し、改めてわが国のASEAN重視の姿勢を確認し、ASEAN諸国と「率直なパートナー」として「共に歩み共に進む」との基本理念の下、改革推進支援と「繁栄」のための協力、「国境を越える問題」等への共同の取組を通じた「安定」の確保のための協力、幅広い分野での経済連携を強化する「日・ASEAN包括的経済連携構想」、「東アジア開発イニシアティブ(IDEA)」閣僚会合の開催、大学間交流推進を含む教育・人材育成分野での協力などを提案し、今後の日・ASEAN協力関係のあり方に関するわが国の考えを幅広く内外に示しました。