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第2節 国民各層の幅広い参加(パーティシペーション)



 人、物、資金、情報の交流がグローバル化し、地域社会の国際化や市民レベルの交流が進む中、地球温暖化や感染症対策など地球規模の課題に対する国民の関心が高まっています。また、社会の変化や価値観の多様化にともない、NGOなどによる市民の国際ボランティア活動への関心も高まりつつあります。因みに、姉妹都市交流などを通じた海外との友好・提携関係や海外移住者などを接点としてODAを活用した地方自治体による研修員受入れや専門家派遣、青年交流などはすでに30年前から実施されており、「地方公共団体補助金制度」に基づき、2000年度には、47都道府県と5政令指定都市が実施した事業に約8.4億円の補助金交付を行いました。
 このように、国際協力に関心をもち、また、開発援助に参加しようとする国民の裾野が、地域や世代をこえて広がりつつあります。
 こうした国民参加型援助の典型として挙げられるのが、国際協力事業団(JICA)を通じて派遣される青年海外協力隊(JOCV:Japan Overseas Cooperation Volunteers)やシニア海外ボランティアです。青年海外協力隊は、日本の青年男女が途上国の地域住民と一体となり、その地域の経済・社会の発展に協力するものであり、現地ニーズを踏まえたきめ細かな技術移転を行い、わが国と途上国との友好親善の増進や日本青年の国際的視野の涵養にも寄与するなど、内外から高い評価を得ています。
 また、多岐にわたるすぐれた技術と豊富な実務・社会経験を備えた日本の中高年層に、途上国の開発に貢献して頂くシニア海外ボランティア制度は、途上国における多様化・複雑化するニーズに応えるものであり、今後その一層の活用が期待されています。
 さらに、国民参加型援助の代表的なものとしてのNGOには、紛争や自然災害における難民・避災民に対して緊急人道支援を行うNGOや、途上国の地域社会における保健・医療サービスの提供や教育水準の向上、農村開発支援などの開発協力に取り組むNGO、さらには政策提言や啓発活動、NGO間のネットワーク化に取り組むNGOなどさまざまな組織と活動形態があります。

(トピックス10参照)


 援助に関わる人材の拡がりにおいて、学界の関係者の関与も顕著になっています。上述の知的支援の分野での例に加えて、例えば、ODA評価の担い手となるべき人材の発掘と育成のため、2000年9月に「日本評価学会」が設立されました。(詳細は第4章第2節(3)参照)
 政府としても、こうした国民参加型援助のより一層の拡充に向け、これら青年海外協力隊、シニア海外ボランティア事業の強化やNGOによる事業実施に対する支援を拡充していくとともに、これらの活動に進んで参加する有為の人材の育成や帰国後の就職問題、わが国NGOの組織運営能力や専門性の向上等のキャパシティー・ビルディング支援にも取り組んでいます(詳細は第II部第2章参照)。



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