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10 シニア海外ボランティアの活躍-タイ・環境順応型農業-



 タイの北部には、現在山岳民族が9部族、約74万5千人が暮らしています。その山岳民族の自活を促進するため、93年以降村落開発、野菜、畜産、果樹、手工芸等の分野で青年海外協力隊員が北部の14県で活動しています。こうした活動の経験を踏まえ、より有機的に進めるため、98年から2年間、これら14県での活動を発展させるための技術と経験が豊かな方をシニア海外ボランティアとして派遣しました。
 一般のタイ人が足を踏み入れることがほとんどない標高1千メートル以上の山岳地帯で、環境を破壊せずに自立できるよう土壌保全技術や天然農薬の利用(有機農業の促進)などの技術の普及、ビデオなどの視聴覚教材を用いた環境教育の実施に努めました。現地住民の評判も良かったようです。
 この案件は、「ODA民間モニター制度」(99年度)の視察対象となりました。モニターからは、山岳地帯という特殊な地域における農業開発の難しさを感じた一方で、「ODAの問題点や私たちの生活についても助言してもらい、非常に考えさせられる時間が過ごせた」など、高い評価を頂きました。
 また、タイの日本大使館は、JICA・JBICと共同で、現地の報道関係者にプロジェクトサイトを視察する機会を提供する「経済協力プレスツアー」を実施しています。対象となった事業を視察して、「日本からの援助が何の代償も求めず、真に善意から行われていること知るに至った。」「タイ社会に大きな貢献をしている外国人として賞賛に値する。」などと評価された記事が各紙に掲載されました。


タイ北部の山岳地帯で活動するシニア海外ボランティア(写真提供:国際協力事業団)



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