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人権・人道

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第16条
及び第17条に基づく第2回報告

(仮訳文)

第12条

1.国民の健康状況に関するデータ

 WHO Regional Office for the Western Pacific, "Western Pacific Region Data Bank on Socioeconomic and Health Indicators Dec.1995"を参照されたい。

2.我が国の保健政策

(1) 疾病の予防、治療及び抑制
(a) 感染症対策
 感染症の予防のため、伝染病予防法により医師の患者発生の届出義務、健康診断、収容、汚染物件の消毒・処分等の感染源対策及び感染経路対策が行われている。また、予防接種法により、急性灰白髄炎、ジフテリア等7種の伝染病について、定期、臨時の予防接種を実施している。
 これらの対策の結果、腸チフス、パラチフス等の疾病は1950年以降で最も発生の多かった年に比べて20分の1以下に減少した。特に急性灰白髄炎の発生は、ほぼ制圧されている。
 国内に常住しない伝染病の病原体が、わが国に侵入することを防止するため、検疫法に基づき検疫を実施している。
 結核について、政府は、健康診断、予防接種、特定業種への従業禁止、命令による療養所への収容等により、その防止を図っている。その結果、新規の患者数は年間4万2千人程度に減少している。
 エイズについては、我が国における感染はなお少数にとどまってはいるが、感染者数は着実に増加している。政府は、「エイズ問題総合対策大綱」(1987年2月24日関係閣僚会議決定(1992年3月19日改正))に基づき、正しい知識の普及等の対策を講じ、感染拡大防止に努めている。

(b) 成人病対策
 循環器疾患、がん、糖尿病等の予防のため、1983年2月に施行された老人保健法により、保健事業を行っている。この保健事業においては、健康教育、健康相談、健康診査その他種々の事業を行っている。

(c) 職業病の予防のための措置
  職業性疾病防止のため、1953年以来、労働災害防止計画を策定し、職業性疾病防止のため種々の対策を推進してきたところである。第8次労働災害防止計画(1993年度から1997年度まで)においては、
(i) 化学物質等の有害物による健康障害の防止対策
(ii) 電離放射線等の物理的因子及び作業態様による健康障害の防止対策 の諸施策を講じることとしている。

(2) 適切な医療サービスの保障
(a) 医療供給体制
 我が国の医療供給体制については、患者の心身の状況に応じた良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう、その整備が進められ、全国的にみると、病床数、医師数等の量的な面では必要な整備がなされている。
 また、1986年度より、都道府県において、医療関係者等の協力の下に地域の実情に応じた医療計画を作成することとし、その具体的な推進を図っているところである。
 なお、医師、看護婦をはじめとする医療関係職種については、その資格制度を定めることなどを通じてその養成・確保を進めている。また、医師については、全人的な診療のできる資質の高い医師の養成を図るべく、医師免許取得者の臨床研修の充実にも努めている。
 へき地・救急・がん・小児医療等の不採算医療または高度な医療を提供している病院に対しては、必要な助成を行っている。
 へき地における医療の確保を図るため1956年度以来、年次計画により、へき地中核病院、へき地医療支援病院及びへき地診療所の整備、へき地巡回診療の実施、へき地勤務医師の確保、患者搬送体制の整備等の各種施策を推進している。
 休日・夜間における地域住民の救急医療を確保するため、1977年度から初期救急医療体制、第二次救急医療体制及び第三次救急医療体制並びに救急医療情報センターの計画的かつ体系的整備を推進するとともに、1991年度には、救急救命士制度を創設するなど、救急現場及び搬送途上における医療の確保に努めている。
 我が国における医師、病院及びベッド数の推移は、第19表のとおり。

(b) 医療保障制度
 我が国の医療保険制度の概要については、本報告書中第9条に関する部分を参照されたい。国民のすべてが何らかの医療保険制度により給付を受けることになっている。ここでは、我が国の医療保障制度のもう一つの柱である公費医療について述べる。
(i) 生活保護法の医療扶助
 我が国の公的扶助法である生活保護法の医療扶助により、財政的事情により扶助を要する者に対し、入院、診察、投薬、注射、手術等の給付を行っている。医療扶助による医療給付は、国民健康保険法、老人保健法の診療方針によることとなっており、医療保険による給付内容とほぼ同等の医療が保障されている。

(ii) 難病に対する医療扶助
 政府は、1972年に定められた難病対策要綱に基づき、現時点で効果的な治療法の発見されていないベーチェット病、重症筋無力症等の難病に関し、広範な調査研究を推進している。
 このほか、難病患者の医療費については、自己負担の軽減を図っている。また、児童については、治療が長期にわたり、医療費の負担も高額となるなど、児童の健全な育成を阻害する特定の慢性疾患について、治療研究事業として医療費を援助し、医療の確立と普及を図っている。

(iii) 精神保健福祉対策
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、措置入院患者及び通院患者の医療費の全額又は一部を公費で負担している。
 我が国の精神保健福祉対策は、「精神病院における入院中心の治療体制から地域におけるケア体制へ」という流れに沿って展開されている。1988年には、精神障害者の一層の擁護とその社会復帰を目的として、従来の精神衛生法に代えて精神保健法が施行され、また、1995年には、精神障害者の福祉施策や地域精神保健の施策の充実、適正な精神医療の確保等を図るための法改正を行い、法律の題名を「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に改めたところである。
 精神障害者の社会復帰対策については、精神障害者社会復帰施設の整備、保健 所及び精神保健福祉センターにおける相談事業等により推進されている。

(iv) 結核医療
 結核予防法に基づき、健康診断、予防接種、患者管理、結核医療の実施を中心に結核予防及び治療のための対策を講じている。わが国の結核患者は、新規患者登録制度を実施した1961年以来、年々減少している。

(v) 身体障害者医療等
 身体機能に障害を持つ人に対しては、身体障害者福祉法に基づき、その障害を除去し、又は軽減して職業能力を増進し、又は、日常生活を容易にするために更生医療が給付されている。また、身体に障害を持っている児童や放置すると将来障害を残すような疾患を持つ児童に対して、治療によって障害の除去又は軽減といった治療効果が期待できる場合は、児童福祉法に基づき、育成医療の給付を行っている。

(vi) その他
 上記の他、公費による医療保障制度として、原子爆弾被爆者に対する擁護に関する法律による被爆者医療、伝染病予防法による伝染病治療等がある。

(3) 健康増進

(a) 国民健康づくり運動
 1988年度から、従来の施策に、健康づくりのための運動を日常生活上習慣化するための施策や休養対策などを加え、栄養、運動、休養の各方面で健康的な生活習慣の確立をめざした国民健康づくり運動(アクティブ80ヘルスプラン)を推進してきたところである。

(b) 健康増進疾病対策中長期計画
 健康寿命の延長及びQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目指した健康増進疾病対策中長期計画を、1998、1999年度において策定することとしている。

(c) 老人保健法による保健事業
 国民の老後の健康を保障するため、1983年2月に施行された老人保健法により、40才以上の者を対象に、予防から治療、機能訓練に至る保健事業を総合的に実施しているところである。
 この保健事業は、第1次及び第2次5ヶ年計画に基づいて実施されてきたところであり、1992年よりは、がん、心臓病、脳卒中の三大成人病による死亡率の大幅な低減と寝たきり老人を大幅に減少させることを目指した保健事業第3次計画を策定し、保健事業を一層効果的に実施している。

(d) 医療保険の保険者による保健事業
 健康保険をはじめとする医療保険の各保険者は、健康教育、健康相談、健康診査その他被保険者等の健康の保持増進に必要な事業(保健事業)を積極的に実施している。

(4) 環境衛生の向上
(a) 廃棄物処理
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、放射性廃棄物を除いたすべての固形状及び液状の廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物の2つに分類されている。
 し尿を含む一般廃棄物については、市町村がその管理と処理につき責任を有し、当該地域内における一般廃棄物処理計画を策定している。
 産業廃棄物の処理と適正な管理は原則として排出者の責任であるが、各都道府県知事は産業廃棄物処理計画を策定して、その処理の適正を期している。
 廃棄物の収集、運搬、中間処理及び最終処分といったすべての処理は、法によって定められた基準に適合しなければならない。政府は地方自治体に対し、一般廃棄物処理施設の整備につき財政的援助・技術的援助を行っている。

(b) 水道整備
 水道法に基づく認可等を受けた者により、同法の水質基準に合致した水道水の供給が行われている。1991年には「ふれっしゅ水道計画」を策定したところであるが、同計画の中で、21世紀には、全国民に飲用に適する清浄な水道水が確保されることを目標として掲げている。
 また、政府は、広域水道事業のように、その性格上若しくはその規模から料金が高くなりがちな事業等の建設について財政上の援助を与えている。

(c)下水道整備
 下水道法において、下水道の建設及び維持管理は市町村及び都道府県等の地方自治体が行うこととされている。
 下水道は生活、産業活動に伴って生じる汚水を速やかに排除し、環境衛生の確保を図っている。また、全ての下水は下水処理場により処理することが義務づけられており、公共用水域の水質の保全を図っている。
 また、下水道は内水の排除という役割を持っており、浸水による被害から都市を守る役割を果たしている。
 下水道の建設には多額の費用を要することから、政府として下水道の建設を行う地方自治体に対し財政的・技術的援助を行っている。

(5) 産業衛生の向上
 労働安全衛生法、作業環境測定法、じん肺法等の法律及びこれらの法律に基づく労働安全衛生規則、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則、酸素欠乏症等予防規則等の関係規則により、職場における労働者の健康を確保し、快適な職場環境の形成を図っている。

3.国際支援

 保健医療分野における国際協力は、開発途上国の基本的生活要件に対する援助であり、我が国の国際協力の重要な柱として位置づけられている。我が国としては、専門家の派遣、研修員の受け入れ等技術協力を中心に相手国の人づくりに貢献し、無償資金協力、有償資金協力を通じてハード面を主とした支援を行っているほか、WHOなど国際機関との連携により、多国間協力においても積極的な役割を果たしている。


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