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経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第16条
及び第17条に基づく第2回報告
(仮訳文)
- (1) 初等教育及び前期中等教育
- 我が国においては、初等教育及び前期中等教育は義務制である。すなわち、憲法第26条、教育基本法第4条及び学校教育法第6条、第22条、第39条により、はじめの9年間(6年間の初等教育と3年間の前期中等教育)の普通教育が義務づけられている。国公立の学校における義務教育は無償である。
国の教育水準を維持するため、学校教育の各段階の目標が学校教育法において定められており、また、小・中学校における教育内容の基準が国により設けられている(学校教育法施行規則及び学習指導要領)。小・中学校における授業時間については、学校教育法施行規則の中で、各教科ごとの標準の年間授業時数が定められている。
義務教育において使用される教科書は、国公立のみならず、私立の小・中学校の児童・生徒に対しても、国が無償で給与している(義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律)。
家庭の経済状況等により義務教育の履修に困難を生ずる恐れのある者に対しては、市町村は学用品・通学費・修学旅行費・学校給食費等の必要な就学援助を行い、国はこれに対して補助を行うことにより、児童生徒の就学を保障し義務教育の円滑な実施を図っているところである。
また、全国すべての公立義務教育諸学校に必要な教職員を確保するとともに、都道府県の教職員配置や給与水準の不均衡をなくすため、国は、公立義務教育諸学校の学級編成の標準とこれに基づく教職員数の標準を法律で定めるとともに、教職員の給与費について、国が原則としてその2分の1を負担し、教育の機会均等と全国的な教育水準の維持向上を図っているところである。
これらの措置の結果、初等教育及び前期中等教育を受けている者は、該当年齢人口の99.98パーセント(1997年5月現在)である。
また、我が国に居住するすべての外国人の児童も、日本人と同様に初等教育及び前期中等教育を受ける機会を有し、国公立学校の場合には無償である。1997年5月現在、全国の小・中学校に在籍する外国人児童・生徒の数は76,260人であり、このうち73,607人が公立の学校で教育を受けている。
外国人の子女が我が国の学校教育を受ける場合には、日本語教育を充実することが重要である。1997年9月の調査によると、全国の公立小・中・高等学校において日本語教育が必要な外国人児童・生徒の数は17,296人であるが、これらの者に対しては、特別な日本語指導などの強化措置を講じているところである。なお、外国人の母国語の学習等は、小・中学校における正規の教科としては認められていないが、任意の課外活動として行われることは差し支えなく、実際に行われている例もある。
- (2) 後期中等教育
- 我が国において、後期中等教育(技術的及び職業的教育を含む)は、すべての者に一般的に利用可能であり、かつ、機会が与えられている。
学校教育法の下、中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者又は監督庁の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者は、すべて性、人種、国籍等によるいかなる差別もなく、高等学校への入学資格が認められている。1997年の中学校から高等学校への進学率は、96.8パーセントに達している。なお、高等学校における教育内容の基準は、小・中学校と同様に国より定められている。
高等学校においては、生徒の能力、適性、関心、進路等の多様な分化に適合するよう、教育内容についても工夫が払われている。一部の高等学校においては、中等の技術、職業教育を実施している。また、年齢を問わず働く青少年のために、定時制及び通信制の課程も提供されている。
後期中等教育の無償化については、下記2を参照されたい。
- (3) 高等教育
- 我が国において、高等教育を利用する機会は、すべての者に対して均等に与えられている。
高等教育機関である大学への入学資格は、学校教育法により、高等学校を卒業した者、若しくは、通常の課程による12年の学校教育を終了した者又は監督庁の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者に対して、性、人種、国籍等いかなる差別もなく認められている。
また、放送等を効果的に活用した新しい教育システムの大学教育を推進することによって、レベルの高い教育、学習の機会を広く国民に提供することを目的として、1983年に放送大学が設立され、テレビ・ラジオを中心とした多様なメディアを効果的に利用した高等教育を実施している。
さらに、大学の定期的な公開講座等により、すべての人に対して広く教育の機会が認められている。
能力を有しながら経済的理由により修学困難な者のために、日本育英会法に基づき、日本育英会が奨学金の貸与を行っている。また、日本育英会のほか、地方公共団体、公益法人等が奨学事業を行っている。さらに、国公私立の大学では、学生の経済的状況等により、授業料の減免が行われている。
高等教育の無償化については、下記2を参照されたい。
- (4) 基礎教育
- 我が国では、通常の学校に通うことのできないごく少数の病弱者を除くすべての者が普通教育を受けているので、基礎教育の分野での特別の措置は特段必要とされていない。通常の課程を完了しなかった者が病気の快復等により上級の学校に入学することを希望する場合には、認定試験制度によりその機会を保障している。
なお、我が国においては、非識字人口を全国的に直接把握した数字はないが、極めて低いものと予想される。後期中等教育及び高等教育について私立学校の占める割合の大きい我が国においては、負担衡平の観点から、公立学校進学者についても相当程度の負担を求めることとしている。私学を含めた無償教育の導入は、私学制度の根本原則にも関わる問題であり、我が国としては、第13条2(b)及び(c)にある「特に、無償教育の漸進的な導入により」との規定に拘束されない旨留保したところである。
しかしながら、教育を受ける機会の確保を図るため、経済的な理由により修学困難の者に対しては、日本育英会及び地方公共団体において奨学金の支給事業が行われるとともに、授業料減免措置が講じられているところである。
なお、1995年の我が国における国と地方の歳出合計のうちの16.55パーセントが教育に費やされている。学校教育が十分その機能を発揮するためには、最終的には一人一人の教員の力によるところが大きいとの普遍的な認識の下に、教職に魅力をもたせ、優れた人材を確保するため、1974年に「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」が制定され、義務教育諸学校の教員の給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置を講じることとされ、この法律に基づき、1974年から1979年までに計画的な改善を行い、その後も、所要の改善を行っている。
また、交通条件及び自然的・経済的・文化的諸条件に恵まれない山間地・離島・その他の地域に所在するへき地学校に勤務する教職員については、へき地教育振興法により、地方公共団体がへき地における教育の振興を図るために必要な措置を講ずることとされており、国はこれらに必要な経費の一部について補助を行っている。学校教育法は、私立の大学等の設置を認めている。我が国の4年制大学のうち、私立学校の占める割合は、73.7パーセント(1994年現在)である。私立学校は、学校法人が設置することとされており、学校法人の設立と大学の設置は、文部大臣の認可が必要とされている。上記1で述べたとおり、公立・私立を通じて高等教育機関への入学資格は、高等学校を卒業した者等に対して性、人種、国籍等いかなる差別もなく認められている。また、能力を有しながら経済的理由により修学困難な者のために、日本育英会をはじめとして、地方公共団体、公益法人等においても奨学事業を行っている。さらに、私立の大学では、学生の経済状況等により、授業料の減免が行われている。このほか、国は、1970年以降、私立大学(短大を含む)に対する経費補助を行っており、これらの学校の水準向上に役立ち、授業料の高騰を抑えるものとなっている。
教育分野における国際協力の推進は、我が国と諸外国相互の教育・研究水準の向上、国際理解・国際協調の精神の醸成、諸外国の人材育成に資する等、極めて重要な意義を有する。
我が国では、教育分野における国際協力を進めるために、開発途上国の人的資源の育成に資するべく我が国高等教育機関への留学生の受け入れを積極的に推進するとともに、ユネスコの事業への協力、無償資金協力及び有償資金協力によるハード面中心の支援のほか、JICA(国際協力事業団)や国際交流基金事業を通じて、大学教官等の派遣、外国人研究員の受け入れ、女性の教育行政担当官を対象とした研修などを実施しているところである。
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