- (4)暴力の根絶に向けた活動
- ア)国内本部機構における検討
- (i)「女性に対する暴力に関する専門調査会」の設置
- 男女共同参画会議の下に置かれた女性に対する暴力に関する専門調査会は、「男女共同参画基本計画」で対象としている、夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等の各分野を念頭に置きつつ、今後の施策の在り方などについて調査検討を行うことを目的としている。
- 2001年10月3日と2002年4月2日、同調査会では、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の円滑な施行に向けた意見を取りまとめ、男女共同参画会議に報告した。
- (ii)「女性に対する暴力に関する関係省庁課長会議」の設置
- 2000年8月8日、男女共同参画推進本部に「女性に対する暴力に関する関係省庁課長会議」が設置された。関係行政機関相互が緊密に連携して、女性に対する暴力に関する施策を積極的に推進していくこととしている。
- イ)社会啓発
- (i)「女性に対する暴力をなくす運動」
- 夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害するものであることから、毎年11月12日から国連の定めた「女性に対する暴力撤廃国際日」である25日までの2週間を「女性に対する暴力をなくす運動」期間と定めた(2001年6月5日、男女共同参画推進本部決定)。
- この運動は、地方公共団体、女性団体その他の関係団体との連携、協力し、社会の意識啓発など、女性に対する暴力の問題に関する取組を一層強化するとともに、女性の人権尊重のための意識啓発や教育の充実を図ることを目的としている。
- (ii)「女性に対する暴力に関するシンポジウム」の開催
- 内閣府では、1998年より毎年、専門家や有識者等による基調講演やパネルディスカッションを通して、女性に対する暴力についての社会の意識啓発を図ることを目的として、女性に対する暴力に関するシンポジウムを開催している。
- ウ)調査研究
- 1999年9月~10月、国の調査としては初めて、全国20歳以上の男女4,500人を対象に、男女間における暴力に関する国民の意識、被害の経験の態様、程度及び被害の潜在化の程度、理由などについてアンケート調査を実施したところ、これまでに夫や妻から、命の危険を感じるくらいの暴行を受けたことが一度でもあると回答した人は、男性が0.5%(約200人に1人)であるのに対し、女性は4.6%(約20人に1人)であることが明らかになった。
- (5)ストーカー行為等の防止
- ア)ストーカー行為等の規制等に関する法律(2000年5月24日公布)
- 「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われたつきまとい、押し掛け、交際の要求、無言電話等の行為を「つきまとい等」と、「つきまとい等」を反復等して行うことを「ストーカー行為」と定義し、「ストーカー行為」について罰則を設けるとともに、「つきまとい等」について警察が警告、禁止命令等の行政上の措置を講じることとしている。また、ストーカー行為等の被害者に対し、警察が被害防止のための援助を行うこととしている。
- イ)現状
- ストーカー行為等の規制等に関する法律の施行後約1年1ヶ月の運用状況は、警告が988件、禁止命令が38件、援助が799件であり、同法違反の検挙が164件となっている。また、ストーカー事案について他法令を適用した検挙は、傷害190件、脅迫163件、住居侵入140件、器物損壊110件等となっており、合計1,025件である。
- ウ)被害者への支援
- ストーカー行為等の規制等に関する法律には、被害者が自ら被害を防止しようとするとき、一定の要件を満たせば、警察本部長等が必要な援助措置を講ずることができる旨規定されている。具体的には、自衛措置の教示や防犯ブザーの貸与、携帯用自動通報装置の整備等のほか、関係行政機関・団体との連携を強化して、効果的な被害者支援を推進している。
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