- (3)地方公共団体における施策
- 「男女共同参画社会基本法」では、都道府県は「男女共同参画基本計画」を勘案して都道府県男女共同参画計画を定めることを、また、市町村は「男女共同参画基本計画」及び都道府県男女共同参画計画を勘案して市町村男女共同参画計画を定めるよう努めることを規定している。2001年4月現在、すべての都道府県が男女共同参画に関する計画を策定しているが、市町村についてはその割合は19.4%にとどまっている。
- 内閣府では、地域において男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進していく上で計画の策定が有効であることから、地方公共団体に対して計画の策定に当たって情報提供を行っているところである。とりわけ、市町村に対しては、計画の策定に資するよう手引を作成、提供し、積極的に支援しているところである。
- また、都道府県、市町村において男女共同参画社会の形成に向けた施策の推進についての基本的事項などを規定した条例の制定が進められており、2002年4月現在、35都道府県・55市町村で条例が制定されている。条例の制定に当たっては、NGO等が協力するなどの面が見られる。
- 地域における男女共同参画に関する情報提供や団体・グループの活動の拠点として、2001年4月現在、35都道府県・190市町村に男女共同参画・女性のための総合的な施設が設置されている。また、地方公共団体においても、民間団体との連携を図るために、民間団体の組織化や情報提供を行うとともに、定例会議や交流イベントの開催や機関誌、パンフレットの発行等民間団体のネットワークを通じた情報交換や交流活動を行っている。
- 3. 差別に対する法的救済手段の有無とその効果
- (1)苦情処理等に対する措置
- ア)男女共同参画社会基本法における規定
- 「男女共同参画社会基本法」の第3条において、男女の人権の尊重について、「男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない」と規定されているとともに、第17条において、「国は、政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情の処理のために必要な措置及び性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された場合における被害者の救済を図るために必要な措置を講じなければならない」と規定されている。
- イ)男女共同参画会議における検討
- 男女共同参画会議の下に置かれた苦情処理・監視専門調査会は、その目的の一つとして、「男女共同参画社会基本法」に規定されている政府の施策についての苦情処理及び人権が侵害された場合における被害者の救済について、調査・検討を行っている。
- 本調査会は、これまで、地方公共団体における苦情処理制度や女性関連施設の相談事業について、また、行政相談制度や人権擁護委員制度についてのヒアリングを行っている。また、地方における苦情処理の実態を把握するため、全国3ヶ所で地方ヒアリングを行い、地方での苦情処理業務に携わっている有識者等からのヒアリングを行った。
- 今後は、これまでの審議結果等を踏まえ、行政相談制度あるいは人権擁護制度等既存制度の積極的な活用を図るほか、必要に応じて我が国の実情に適した新しい苦情処理システムのあり方についての検討を進めていくこととしている。
|