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人権・人道


第16条

1. 民法改正の検討
 法務大臣の諮問機関である法制審議会は、1991年1月から、民法の婚姻制度等に関する規定の見直し作業を進めてきた結果、1996年2月、同大臣に対し、「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申した。この要綱に掲げられた改正事項のうち、男女の平等に関連するものは、下記のとおりである。
 これらの改正事項については、国民の意見が分かれており、1996年6月に総理府が実施した「家族法に関する世論調査」の結果をみると、民法の改正についてはいまだ大方の支持が得られたとは言い難く、現在国民の意見の動向を注視している状況にある。ただし、(3)夫婦の氏については、2001年5月に内閣府が実施した「選択的夫婦別氏制度に関する世論調査」で、同制度の導入に賛成する者の割合が反対する者の割合を上回り、同制度に対する国民の理解が進んでいる状況が示され、また、男女共同参画会議の下に置かれた基本問題専門調査会が、同制度の導入を期待する旨の中間的なとりまとめを行った。そこで、この問題については、制度の導入に向けて努力が続けられている。

(1) 婚姻最低年齢
 現行法が男子については満18歳、女子については満16歳としているのを改め、男女とも満18歳とする。

(2) 婚姻の解消又は取消し後の女性の再婚が禁止される期間
 現行法が6箇月間としているのを改め、再婚後に生まれる子の父性の混乱を回避するために必要な最低限の期間である100日間とする。

(3) 夫婦の氏
 現行法が夫婦は婚姻の際に定めるところにより夫婦のいずれかの婚姻前の氏を夫婦共通の氏として称するものとしているのを改め、夫婦は、婚姻の際に、夫婦のいずれかの氏を夫婦共通の氏として称するか、又は各自の婚姻前の氏を引き続き称するか選択することができるものとする。

2. 家庭内暴力

(1)現行法制
 家庭内の暴力や性的虐待であっても、殺人罪、傷害致死罪、傷害罪、暴行罪、逮捕監禁罪、強制わいせつ罪及び強姦罪等の処罰規定の適用が排除されるものではなく、これらの処罰規定を的確に運用しているところであり、配偶者間の暴力については、これらに加えて、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」において、保護命令違反に対する処罰規定を置いている(同法第29条、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
 さらに、2000年5月24日に公布された「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号)において、「児童虐待」の定義を明らかにするとともに、「児童の親権を行う者は児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなければならない。」としている。

(2)配偶者からの暴力

 ア)現状
 2000年中、夫から妻への暴力の検挙件数は、殺人が134件、傷害が838件、暴行が124件と、これらの合計は1,096件と前年の516件に比べ約2倍と大幅に増加している。

 イ)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
 2001年4月「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が成立した。この法律は、我が国において、配偶者からの暴力の問題を総合的に規定した最初の法律である。被害者の相談、カウンセリング、一時保護、各種情報提供などの業務を行う配偶者暴力相談支援センターについて規定するとともに、被害者の申立てにより、裁判所が加害者に対し発する保護命令について規定している。この保護命令には加害者に対し、6か月間、被害者の身辺につきまとうことなどを禁止する「接近禁止命令」と、加害者に対し、2週間、被害者と生活の本拠を共にしている住居から退去することを命ずる「退去命令」の2つの類型が用意されている。保護命令に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。私人の申立てにより裁判所が発する命令が罰則で担保されるというのは、これまで我が国になかった新たな制度である。
 このほか、
  (1)配偶者からの暴力の発見者による通報等
  (2)職務関係者に対する研修及び啓発
  (3)広報・啓発
  (4)調査研究の推進
  (5)民間の団体に対する援助、などについて規定している。

 ウ)暴力根絶に向けた活動
 政府においては、「男女共同参画基本計画」に基づき、夫・パートナーからの暴力を含む女性に対する暴力に関し、幅広い取組を推進している。また、内閣府に置かれている男女共同参画会議は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の円滑な施行に向けた検討を行い、2001年10月と2002年4月には関係省庁に対し、法律の円滑な施行に向けた意見を述べている。関係府省庁においては、この意見なども踏まえ、各種取組が進められている。
 内閣府の主な取組は次のとおり。
  (1)職務関係者に対する研修の実施及び研修教材の作成
  (2)「女性に対する暴力をなくす運動」の実施及びその一環としてのシンポジウムの開催
  (3)広報ビデオ等の作成及び新聞、テレビなどの各種メディアを通じた広報啓発活動の推進
  (4)配偶者からの暴力に関する実態調査の実施
 また、夫・パートナーからの暴力について、被害者の対応に当たる職務関係者が必要な情報を入手し関係各機関の連携が円滑に進むよう、被害者に対応する関係機関の情報等を収集し、インターネット等により提供する「配偶者からの暴力被害支援情報」を立ち上げた。

 エ)配偶者暴力相談支援センター等
 2000年度における、婦人相談所(全国47か所)及び婦人相談員への来所による相談において、「夫等の暴力」が9,176件と相談件数の約17%を占め、相談主訴の第1位となっている。従来より、婦人保護事業の中で、婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設等において、配偶者からの暴力を受けた被害者の保護を実施してきたが、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が成立し、法の中で都道府県が設置する配偶者暴力相談支援センター、民間シェルターも委託先に含めた一時保護委託等が規定された。
 なお、配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所等)においては、相談、相談機関の紹介、医学的心理学的指導、被害者及び同伴家族の一時保護、自立生活の情報提供、保護命令制度の情報提供、シェルター利用の情報提供その他の援助を行う。

 オ)女性・子どもを守る施策実施要綱等
 警察では、「女性・子どもを守る施策実施要綱」に沿って、刑罰法令に抵触する事案については検挙その他の適切な措置を講じ、刑罰法令に抵触しない事案についても、防犯指導、関係機関の紹介や事案に応じて必要なら加害者に対して指導・警告するなどしている。
 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が成立したため、今後は同法の趣旨も踏まえ、被害者の心身の状況等に十分に配慮し、引き続き被害者の立場に立った適切な対応を推進するとともに、関係機関との緊密な連携に努めている。

 カ)法務省の人権擁護機関
 法務省の人権擁護機関では、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が施行されたことに伴い、関係機関との連携を一層強化し、被害者の救済に努めているところである。特に、夫による妻への暴力等の家庭内暴力については潜在化しやすいので、配偶者暴力について申告があったときはもちろんのこと、夫婦間の問題等についても、女性をめぐる各種の人権問題専用の電話相談窓口である「女性の人権ホットライン」などを通じて相談があれば、積極的に、指導、助言を行っている。
 また、2001年度にドメスティック・バイオレンスをテーマとした人権啓発特別番組を作成し、全国にテレビ放映した。

 キ)民事法律扶助制度
 2001年10月から施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」において規定されている裁判所に対する保護命令の申立てについて、民事法律扶助制度を利用することができるほか、離婚調停や離婚訴訟にまで発展した場合の離婚事件についても援助が行われている。2000年度に(財)法律扶助協会が援助開始決定した民事法律扶助事件は、全体で20,261件あり、そのうち離婚事件は2,873件である。この離婚事件のうち、夫の暴力がその主な原因になっている事件が相当数に上るものと考えられ、民事法律扶助制度は、このような夫の家庭内暴力が深刻化したような事案に対して、法的に有効な解決手段を提供する役割も果たしている。

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