- 第11条2(c)
- 1. 育児・介護期における条件整備の充実
- (1)男女共同参画社会基本法における規定
- 「男女共同参画社会基本法」の第6条において、「男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない」と規定されている。
- (2)育児・介護休業法の改正
- 「育児休業等に関する法律の一部を改正する法律」(1995年法律第107号)が1999年4月から全面施行され、介護休業制度等が一律に事業主の義務となった。これにより家族の介護を行う男女労働者は事業主に申し出ることにより、3ヶ月間を限度として希望する期間、休業することができるようになっている。
- また、1997年に、女性労働者に対する深夜業の規制の解消とあわせ、育児や介護を行う男女労働者を対象として深夜業を制限する制度を新たに育児・介護休業法に創設することを盛り込んだ法改正がなされ、1999年4月から施行されている。
- さらに、育児休業等を理由とした不利益取扱いの禁止や時間外労働の免除請求権の創設等を内容とする「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律」が、2001年11月9日に成立し、同年11月16日に公布された。
- この法律の概要は、以下のとおりである。
- (A)育児休業等を理由とした不利益取扱いの禁止
- 事業主は、労働者が育児休業や介護休業の申出をしたこと、又は育児休業や介護休業をしたことを理由として、当該労働者に関して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。
- (B)時間外労働の制限
- 小学校就学前の子の養育又は要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者は、1か月当たり24時間、1年当たり150時間を超える時間外労働の免除を請求できる。
- (C)勤務時間の短縮等の措置の対象となる子の年齢の引上げ
- 勤務時間の短縮等の措置に係る事業主の義務の対象となる子の年齢を1歳未満から3歳未満に引き上げる。
- (D)子の看護のための休暇の努力義務
- 事業主は、その雇用する労働者のうち、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、子の看護のための休暇を与えるための措置を講ずるよう努めなければならない。
- (E)転勤の配慮について
- 事業主は、就業の場所の変更を伴う転勤をさせようとする場合において、労働者の育児や介護の状況を把握することや労働者本人の意向を斟酌することなど、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。
- (F)国による意識啓発等
- 国は、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立について、事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置を講ずる。
- (G)施行期日
- 2002年4月1日。ただし、(A)及び(F)については、公布の日(2001年11月16日)。
- なお、厚生労働省(労働省)が1999年に実施した「女性雇用管理基本調査」によると、出産者に占める育児休業取得者の割合は、56.4%(女性)、配偶者が出産した者に占める育児休業取得者の割合は、0.42%(男性)であり、1996年度の49.1%(女性)、0.12%(男性)に比べ(1996年度については育児休業規定がある事業所の労働者)、男女とも育児休業取得者は着実に増加しているものとみられる。また、1999年度の育児休業取得者の男女比は女性97.6%、男性2.4%であり、1996年度の女性99.4%、男性0.6%と比較して、男性の取得率は上昇しているものの低い水準にとどまっている。
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