- (3)多様化する売春事犯
- 売春事犯の形態は、依然としてピンクビラ等を公衆電話等に貼り付けたりして、客を誘引しているデートクラブ等の派遣型売春が全国的にみられるほか、風俗営業店等における各種接待業を仮装して行う売春、さらに外国人女性等が飲食店等においてホステスとして稼働しながら売春に従事したり路上において通行人を売春の相手方として勧誘して売春する事犯がある。
- 最近は、インターネットのホームページで宣伝したり、携帯電話いわゆる「出会い系サイト」で売春の相手方を募り、売春をしたりする事犯もみられる。
- また、いわゆる「援助交際」とはもともと金銭的対価を受けることを目的とした性的な交際を意味していたが、最近では、特に少女によるこうした行為を指す言葉として使用されており、いわゆる「援助交際」は近年急速に拡大し、少女の側の低年齢化の傾向もみられる。
- 最近5年間のわいせつ物頒布等事犯及びコンピュータネットワークを利用したわいせつ物頒布等事犯の検挙状況は、統計資料52、53のとおりである。
- わいせつ物頒布等事犯については、ビデオ販売店におけるわいせつビデオ販売事犯やチラシ等で宣伝し、郵便局の代金引換制度等の配達方式による販売事犯が目立っているが、最近では、インターネットを利用してわいせつな画像を送信したり、ネットオークションを利用してわいせつビデオを販売したりする事犯が新たな形態の事犯として増加傾向にある。
- 2. 売春及び性的搾取の問題の範囲、及び売春に従事した女性又は売買及びその他の形態の性的搾取を受けた女性を保護するためにとられた措置(刑罰規定、防止及び社会復帰措置を含む)とこれらの措置の効果について
- (1)児童買春等の防止
- ア)児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
- 1994年に批准された児童の権利に関する条約では、児童はあらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から保護されることが定められている。同条約の精神を踏まえ、より一層児童の保護を図るため、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)が1999年5月に成立し、同年11月から施行されている。同法においては、児童を18歳に満たないものと定義し、児童買春、その周旋・勧誘、児童ポルノの販売、頒布、公然陳列等、児童買春の相手方とする目的での児童の売買などを処罰するとともに、これらの行為により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等について定めている。少女を相手方とする買春行為および児童ポルノについては、少女のその後の健全育成に悪影響を与えるおそれがあることから、同法をはじめ、現行の関係法令(条例を含む)を最大限に活用した取締りに努めている。
- 児童買春等の国外犯の取締りについては、外国の捜査機関との緊密な捜査協力等により積極的な事件化に努めており、同法施行後2001年末までに3事件9人を検挙した。さらに、事件の摘発を実効あるものとするため、2001年12月、横浜市で開催された「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」において、国際捜査協力の強化を目的としたワークショップを開催するとともに、2002年1月、国外犯捜査に関する全国捜査会議を開催した。
- また、インターネットを利用した児童ポルノ事案に対しても外国の捜査機関と連携した取締りを行っている。
- イ)第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議の開催
- 我が国は、児童買春、児童ポルノといった商業的な性的搾取の根絶に向けた国際社会の取組を促進するため、2001年12月17~20日、横浜において「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議(我が国、国連児童基金(UNICEF)、エクパット・インターナショナル及び児童の権利条約NGOグループ共催)」を開催した。
- この会議では、全体会合における各国政府、国際機関等によるステートメント、3つのパネル討論、NGO等の主催による107のワークショップ、「子ども・若者ラウンド・テーブル」などが開催され、136カ国の政府(うち閣僚級52)、国外NGO148団体、我が国NGO135団体及び23の国際機関、国内外の子ども・若者90名等、総計3050人が参加し、6つの主要テーマ(「児童ポルノ」、「児童の性的搾取からの予防、保護及び回復」、「児童の密輸」、「民間セクターの役割と関与」、「立法と法執行」及び「性的搾取者」)について、活発な議論と情報・意見交換が行われた。
- 会議最終日には、児童の商業的性的搾取の根絶に向けた更なる取組を呼びかける宣言「横浜グローバル・コミットメント」がコンセンサスにて採択されたほか、会議に参加した子ども・若者による最終アピールが発表された。
- この会議は、子どもをテーマとする21世紀最初の大規模な国際会議となったことから、子どもたちを性的搾取から保護し、人類の未来の担い手となる子どもたちの尊厳と幸福を確保するための国際社会の取組を一層促進するための重要な機会として、国内外より高い関心が寄せられた。また、会議の開催形態を政府、国際機関及びNGO2団体の共催とすることにより、国際機関及び国内外のNGOの積極的かつ主体的な参加が得られたほか、政府、国際機関、NGOが一同に会することにより、この会議は関係者全ての協力やネットワーク作りを促進する場となった。
- また、日本政府は、2002年5月10日に「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書(仮称)」に署名し、児童の権利の更なる保護及び促進に積極的に取り組む我が国の姿勢を国際社会に示した。
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