- 第6条
- 1. 売買春の実態
- (1)売春関係事犯
- ア)検挙状況
- 売春関係事犯については、売春防止法、児童福祉法、職業安定法、児童買春・児童ポルノ禁止法等を適用し取締まっている。最近5年間における売春関係事犯の検挙状況は、統計資料47のとおりである。法令別の検挙状況をみると売春防止法違反が検挙件数の84.3%、検挙人員の76.4%を占めている。違反態様別では、検挙件数では「周旋等」が最も多く、次いで「契約」、「勧誘等」の順、検挙人員では「周旋等」、「勧誘等」、「場所提供等」の順となっている。
- イ)検察庁における受理処理状況
- 売春事犯、児童買春事犯の検察庁における受理処理状況は、統計資料48、49のとおり。
- (2)外国人女性の売買・売春事犯
- ア)不法入国女性の状況
- 最近5年間における売春事犯に関与した外国人女性の状況は、統計資料50のとおりである。これら外国人女性は、短期滞在、興行等の在留資格で入国したり偽造旅券を使用して不法入国したりして飲食店等において売春を行っている。国籍別では、中国人が最も多く、次いでタイ、台湾、韓国・朝鮮の順となっている。稼働先別では、風俗営業店(料理店、バー等)が217人と全体の45.9%となっている。
- これら女性の中には、ブローカーや風俗営業店経営者等から入国費用等の名目で高額な債務を背負わされた上、旅券を取り上げられ、売春を強要されるなどの性的搾取の被害に遭っている女性もいる。2001年中の被害女性は、5カ国65人で、国籍別ではタイの39人(対象女性総数の60.0%)が最も多く、フィリピン、台湾、インドネシア、コロンビアの順となっている。2001年中に売春等の風俗関係事犯に関与(従事)した外国人女性で性的搾取や強制労働等をさせられていたものとして19事件を摘発し、ブローカー、風俗営業店経営者等40人を検挙、65人の対象女性を確認している。
- イ)入国管理局で処理した不法就労女性の状況
- 2001年中に我が国が退去強制手続を執った不法就労外国人女性のうち、売春に従事していた者の数は347人である(統計資料51参照)。
- <事例1>2001年3月4日、成田空港から偽造A国旅券で不法入国したB国女性は、B国内で友人から「給料の高い日本でベビーシッターや工場で仕事をしてみないか。」と誘われて来日したが、不法入国直後から埼玉県内のマンションの一室に連れて行かれ、暴力団関係者の管理下で売春を強要された。同女は、体調不良を理由に病院へ行く途中、監視の隙を見て逃げ出し、在京B国大使館に助けを求め、帰国用臨時旅券の発給を受け、同大使館職員に付き添われて東京入国管理局成田空港支局に出頭した。
- <事例2>2001年6月7日、C国から成田空港に到着したC国女性は、他人名義のC国旅券を行使し上陸申請に及んだが、入国審査官に顔写真が異なることを看破され不法入国容疑で警備部門に引き渡された。
- 同人の供述から東京入国管理局成田空港支局が以前から不法入国ブローカーとして注目していた日本人男性の関与が明らかとなり、同支局が千葉県新東京空港警察署に情報提供し、千葉県警察本部及び新東京空港警察署が捜査を進め、同年8月23日、引率ブローカーの日本人男性を入管法違反(営利目的の不法入国援助罪)容疑により通常逮捕した。同日本人男性は調べに対し、C国女性の引率を行い、入国後、茨城県内のスナックに230万円で売り渡し、成功報酬20万円及び交通費として3万円を受け取り、店側はC国女性に450万円の借金を負わせ、売春で返済を迫ることになっていたと供述していたものである。
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