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14 第16条
(1)民法改正の検討
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法務大臣の諮問機関である法制審議会は、1991年1月から、民法の婚姻制度等に関する規定の見直し作業を進めてきた結果、1996年2月、同大臣に対し、「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申した。この要綱に掲げられた改正事項のうち、男女の平等に関連するものは、次のとおりである。
この問題については、国民の意見が分かれており、1996年6月に総理府が実施した「家族法に関する世論調査」の結果をみると、民法の改正についてはいまだ大方の支持が得られたとは、言い難い状況にあるが、従前の調査に比べると、例えば3)の選択的夫婦別氏制度の導入を支持する意見が比較的若い世代を中心に増えているなどの特色もみられるところであるので、今後の世論の動向等も見据えつつ、政府において引き続き検討することとしている。
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1)婚姻最低年齢
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現行法が男子については満18歳、女子については満16歳としているのを改め、男女とも満18歳とする。
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2)婚姻の解消又は取消し後の女性の再婚が禁止される期間
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現行法が6箇月間としているのを改め、再婚後に生まれる子の父性の混乱を回避するために必要な最低限の期間である100日間とする。
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3)夫婦の氏
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現行法が夫婦は婚姻の際に定めるところにより夫婦のいずれかの婚姻前の氏を夫婦共通の氏として称するものとしているのを改め、夫婦は、婚姻の際に、夫婦のいずれかの氏を夫婦共通の氏として称するか、又は各自の婚姻前の氏を引き続き称するか選択することができるものとする。
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(2)家庭内暴力
1)夫婦間暴力
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夫による妻への暴力等の家庭内暴力については潜在化しやすいので、警察では、当該暴力についてはもちろんのこと、暴力に至る前の夫婦間の問題についても相談があれば、指導、助言等を行っている。
家庭内の暴力であっても、暴行罪、傷害罪、逮捕監禁罪、強制わいせつ罪、強姦罪等の処罰規定の適用が排除されるものではなく、これらの処罰規定を的確に運用している。
なお、夫婦間暴力などにより、危機に陥った女性を緊急に一時保護する目的で、民間の女性団体がシェルターを開設している例が全国で約20ヶ所見受けられる。
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2)児童虐待
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少女に対する児童虐待については、警察において相談や被害申告の受理を女性職員に担当させる体制を充実するなど、相談や被害申告を行いやすい環境整備を図っている。さらに、事案を把握した場合には、事件化を含め適切な対処を行うとともに、関係機関と連携を図りながら、被害少女の救出に努めている。