外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 人権・人道
人権・人道

H. 薬物乱用(第33条)

290. 我が国は、この分野における国際条約である1961年の麻薬に関する単一条約、1961年の麻薬に関する単一条約を改正する議定書、向精神薬に関する条約、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約を締結しており、国際的なレベルにおける薬物の乱用、不正取引の防止に積極的に取り組んでいる。また、日米包括経済協議のひとつの柱として設立された地球的規模の課題に日米共同で対処するための枠組みである「コモン・アジェンダ」においても、麻薬問題に対する取組みが協力分野として取り上げられており、法執行、需要削減、薬品管理及び代替開発プログラムに関する協力を行っている。

291. 国内では、刑法にあへん煙に関する罪が規定されているほか、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、覚せい剤取締法、あへん法及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例に関する法律(以下「麻薬特例法」という)の薬物五法により、医療や学術研究目的での正規の麻薬、向精神薬や原料物質の流通規制や不正取引等の規制が行われており、これに違反した者を罰することにより不正事犯を防止している。
 麻薬特例法は、マネーローンダリング罪等の新たな処罰、不法収益の没収、国際共助、コントロールド・デリバリーの実施等のために1991年に新たに制定したものであり、また、麻薬、向精神薬原料の規制、既存の薬物犯罪の国外犯処罰等のために従前の薬物四法を改正し、いずれも1992年から施行している。これらの規定の適正な運用により、薬物犯罪に対して効果的な取締りを行い、児童への薬物の浸透を防いでいる。

292. しかしながら、現状としては、覚せい剤、大麻等の薬物乱用非行が多発しており、また、暴力団が活動資金獲得のため、これら乱用少年に対して薬物を密売するなど、非行を助長している状況にある。また、我が国においては、国際条約に定義された麻薬等のほか、特にシンナー等有機溶剤の乱用による非行が多発しており、これについても、暴力団の活動資金獲得を目的とした密売行為等が少年の乱用を助長している。1995年に覚せい剤事犯で補導された犯罪少年は1,079人、大麻事犯で補導された犯罪少年は189人、シンナー等の乱用で補導された犯罪少年は5,456人で、覚せい剤事犯による補導人員は、1989年以降で最高を記録した。

(資料30:薬物乱用等で補導された少年)        (1995年)

                         (警察庁調べ)

293. このため、警察では、薬物乱用少年の補導活動と密売事犯の取締りを徹底するとともに、(i)諸外国の薬物取締機関等と密接に連携した薬物密輸取締りによる供給ルートの遮断対策、(ii)シンナー等取扱業者に対する販売の自主規制等の要請による供給遮断対策、(iii)専門の相談担当職員による乱用少年への適切な指導・助言、(iv)補導した乱用少年に対する薬物乱用の有害性・危険性の教示等による再非行防止、(v)地域・学校での「薬物乱用防止教室」の実施やパンフレット、テレビ、ラジオ等の各種媒体を活用した広報啓発など、薬物乱用防止対策を積極的に推進している。
 また、薬物の乱用を許さない社会づくりのために、各都道府県の覚せい剤乱用防止推進員や(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター、防犯協会等を通じた啓発活動の推進に取り組んでいる。特に青少年を中心に予防啓発の徹底を図るため、啓発用キャラバン・カーにより中学校等に出向き、積極的に啓発活動を行うこととしている。

294. 更に、中学校、高等学校においては、従来より、教科「保健体育」や特別活動において、麻薬・覚せい剤を含む薬物乱用の防止にかかる指導を行ってきているほか、1989年に改訂した学習指導要領においては、この問題の重要性にかんがみ、中学校及び高等学校の教科「保健体育」において、薬物乱用と健康に関する内容を項目として取り上げるなど指導の充実を図っている。この他にも、教師用指導資料を作成・配布するとともに、学校保健担当者に対する研修会等でこれらの問題について取り上げ、教職員の意識の啓発を通じて児童生徒への指導の徹底を図っている。


BACK / FORWARD / 目次

外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省