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D.あらゆる形態の抑留、拘禁又は保護の下における収容を含む自由を奪われた児童(第37条(b),(c),(d)) 274. 我が国は、憲法第31条が、法律の定める手続によらなければ生命、自由を奪われない旨、適正手続の保障一般について規定しているほか、同第33条は、現行犯逮捕の場合を除き、令状によらなければ逮捕されない旨、また、同第34条は、正当な理由を直ちに告げられなければ拘禁されない旨、それぞれ規定している。これを受けて刑事訴訟法は、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある場合に、裁判官があらかじめ発した逮捕状により行う通常逮捕、現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を逮捕する現行犯逮捕、一定の重罪事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、急速を要し事前に逮捕状を求めることができない場合に認められる緊急逮捕の手続を規定している。
275. 特に、少年(刑事責任を認められる14~19歳)の逮捕権の運用に関しては、犯罪捜査規範や少年警察活動要綱上、なるべく身柄拘束を避け、やむを得ず逮捕、連行又は護送する場合には、その時期及び方法について特に慎重な注意をしなければならない旨を規定し、罪を犯した少年の年齢、性格、非行歴、犯罪の態様等に配慮して、逮捕権を運用している。
276. また、捜査段階の少年の身柄の拘束については、やむを得ない場合でなければ勾留することはできず、勾留する場合には少年鑑別所を勾留場所とすることができ、勾留に代えて観護措置をとることができるなど、少年の特質が考慮されている。また、少年の保護手続において、少年を少年鑑別所に送致する場合は、家庭裁判所の決定によることとされ、その収容期間は通じて4週間を越えることはできず、また、その間の変更・取消が可能となっている。
277. 我が国では、少年の身体の自由が奪われる場合については、例えば少年法上、少年の被疑者又は被告人は、他の被疑者又は被告人と分離して、なるべく、その接触を避けなければならない。また、拘置監においては、20歳末満の少年を成人(20歳以上)と分離しなければならないこととなっており、懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年に対しては、特に設けた監獄又は監獄内の特に分界を設けた場所において刑を執行することとされている。
また、警察が逮捕等した少年の留置については、少年警察活動要綱において、成人被疑者との分離収容を規定し、構造上も少年と成人の留置室を隔壁等で分離して設けることとしているほか、留置場内の処遇についても、入浴、運動、出し入れ等の時間を別にするなど、少年と成人が互いに接触しないように配慮している。278. 自由を奪われた児童の家族との接触する権利については、128.参照。
279. 刑事訴訟法は、被疑者又は被告人の弁護人選任権と、身体を拘束されている被疑者又は被告人の弁護人との面会の権利を保障している。また、少年法第10条第1項は、児童及びその保護者に附添人選任権を認めており、少年審判手続の過程で児童の自由がはく奪される場合においても、附添人を選任し、附添人と連絡をとることが認められている。少年鑑別所においては、父母との接見が保障されているのみならず、附添人又は附添人となろうとする弁護士と立会人なくして接見することができる。
280.自由のはく奪の合法性を争い、その決定を速やかに受ける権利については、268.で言及したほか、刑事訴訟法上、裁判官あるいは裁判所が勾留に関して行った裁判に対しては、不服申立手段がそれぞれ認められ、更に、その結果に対して不服がある者は、憲法違反、判例違反を理由として最高裁判所に対し特別抗告できる。
なお、観護措置には抗告が認められていないが、これは、刑事手続における勾留とは異なり、家庭裁判所において保護処分を行う前提としての少年の鑑別の必要性という側面を有する中間処分であることを理由とする。しかし、観護措置にあっても、職権による取消し、変更が規定され、実務上、観護措置を取り消すよう職権発動を促す申立てに対しては、速やかに決定がなされる取扱いであることから、実質的には、他の自由のはく奪に対するのと同様の権利が保障されている。
また、この他にも、人身保護法が、法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている者は、同法の定めるところによりその救済を請求することができる旨規定している。
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