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I.虐待及び放置(第19条) 虐待等からの児童の保護
151.児童を虐待等から保護するために、次のような措置がとられている。
児童福祉法に基づき、児童虐待の場合等、保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、児童相談所へ通告しなければならないこととなっている。 児童相談所では、児童福祉法に基づき、保護者たる親権者又は後見人が児童を虐待し、著しく監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しくその児童の福祉を害する場合において、その児童を乳児院、養護施設に入所させる等の措置をとることができる。また、都道府県知事は、事後措置として施設長等に対し、児童の保護について、必要な指示をし、又は必要な報告をさせることができることとされている。なお、施設への入所措置等をとることが保護者の意に反する場合は、家庭裁判所の承認を得た上でかかる措置をとることができるとされている。我が国は、民法の規定により、親権の濫用等があった場合には家庭裁判所が親権の喪失を宣告することができ(児童相談所長も親権喪失の宣告の請求を行うことができる)、また、後見人に不正な行為等があった場合には家庭裁判所が後見人を解任することができることとなっている。152.法務省の人権擁護機関では、児童が暴力、虐待等を受け、その人権を侵害されている疑いを認知した場合、人権侵犯事件として調査を開始する。そして、人権侵犯の事実が認められた場合は、関係者に対する説得活動によって、自ら人権侵犯の非を悟らせ、それによって、現存する人権侵犯を排除するとともに、将来の再発を防いでいる。また、必要な場合には、児童相談所等関係機関へ通報し、連携して児童の保護に取り組んでいる。1995年における人権侵犯事件数16,296件のうち、親の子に対する酷使虐待は615件、強制圧迫は356件であった。
153.警察では、少年の非行防止又は少年の福祉を図るための活動の一つとして、少年又は保護者その他関係者から少年相談を受けている。1995年中は、児童虐待に関し178件の少年相談を受理している。この少年相談又は他の警察活動により把握した児童虐待については、事件化による解決を図っているほか、事件化できない場合においても、その児童を保護者に監護させることが不適当であると認められる場合には、速やかに児童相談所に通告し、その委託を受けて一時保護を行うなど、関係機関との連携による虐待児童等の保護に努めている。
児童の虐待等の防止
154.近年、我が国においては、都市化、核家族化の進行等によって、家庭をとりまく環境が変化し、その結果、家庭の養育機能の弱化など複雑な問題が生じている。児童相談所に相談のあった父母等による児童の虐待等の事例も、1990年には1,001件であったのが、1994年度は1,961件と急激に増加している。児童の虐待の発生要因の1つとして、家庭を取り巻く環境の変化に伴い家庭における子育てが孤立化し、子育てに当たる親が不安感なりストレスを持つということがあげられる。このような状況に鑑み、児童の虐待の防止のための効果的な手続として、主なものとして以下のような措置がとられている。
(a)児童相談所(1995年度現在、175ヶ所)
155.都道府県に児童相談所の設置が義務づけられており、児童相談所は、児童に関する各般の問題につき、家庭その他からの相談に応じているほか、実際に児童相談所に訪問できない場合でも、電話相談、児童家庭専門家チームによる高度な援助活動の展開を中心とする「子ども・家庭100番」等を実施し、巡回相談、家庭支援電話相談等を行っている。
(b)家庭児童相談室(1994年度現在、1,044ヶ所)
156.住民にとって身近な福祉行政機関である福祉事務所に設置されたもので、家庭相談員及び社会福祉主事が配置され、一般家庭における児童の育成上の種々の問題について相談指導を行い、問題を持つ児童等の早期発見、早期指導に努めている。
(c)児童委員(1994年度現在約21万人)
157.市町村の区域に置かれており、児童について、常にその生活及び環境の状態を把握し、その保護、保健その他福祉に関し援助活動を行っている。
158.しかし、上記のとおり、虐待の件数は増加傾向にあり、従来、むしろ家庭の私的な領域の問題という形でとらえられてきた児童の虐待は、昨今、一般の家庭の問題として社会問題化し始めている。政府では、一層の強化策として、都市家庭在宅支援事業(17.参照)や児童虐待ケースマネージメント事業(18.参照)を新たに導入した。今後は、虐待等の防止に向け、このような各種措置の充実を図っていくとともに、虐待防止の啓発活動についても一層促進させていくことが重要である。
虐待等を受けた児童の回復及び社会復帰
159.我が国は、児童福祉法に基づき、児童相談所において、児童福祉施設や家庭復帰に至るまでの間一時保護等の対応を行っている。児童相談所には、一時保護に携わる児童相談所長、児童福祉司、心理判定員等が置かれている。これらの者が、個々の児童及び家庭の状況に応じて、乳児院、養護施設への入所措置等をとり、虐待等からの保護を図っている。
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