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人権・人道

C.父母からの分離(第9条)

123.我が国においては、民法第818条第1項により「成年に達しない子は、父母の親権に服する」とともに、同法第821条により「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない」と規定されていることにより、児童にその父母の意思に従ってその指定した場所に居住する義務が課され、更に法律上根拠がない限り第三者が児童と父母とを分離することはできないこととなっており、児童が父母から分離されないよう確保されている。

124.この条約第9条1にいう「権限のある当局が・・・ 分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合」に関し、我が国においては、保護者の児童虐待等の場合の措置(児童福祉法第28条)として、都道府県により児童の里親、若しくは保護受託者への委託又は児童福祉施設への入所を行う場合(児童福祉法第27条第1項第3号)等があるほか、父母の協議上の離婚及び裁判上の離婚における家庭裁判所による子の親権者又は監護者の指定(民法第819条等)、子の監護者の変更(民法第766号第2項)、親権者の変更(民法第819条第6項)、父母の親権喪失の宣告(民法第834条)がある。

125.父母の意思に反して児童を里親若しくは保護受託者へ委託し、又は児童福祉施設に入所させることについては、児童福祉法に基づき、都道府県が家庭裁判所の承認を得ることが必要であり、その際の手続は、家事審判法及び特別家事審判規則に従って、家庭裁判所によって行われる。その際、現に監護する者及び親権者(親権のないときは後見人)、被保護者の親権者又は後見人の陳述を、それぞれ聴かなければならないとされている(特別家事審判規則第19条第1項)ほか、満15歳以上の子の陳述も聴かなければならないとされている(同規則第19条第2項)。 

126.また、子の親権者又は監護者の指定・変更及び親権喪失宣告についても、民法、家事審判法及び家事審判規則に従って、家庭裁判所で行われる。その際、家事審判規則では、利害関係人からの任意の参加を規定しており(家事審判規則第14条及び第131条)、事件に関して利害関係を有すると認められた者は、家庭裁判所の許可を受けて各手続に参加することができることとなっている。更に、家庭裁判所が親権者の指定・変更や子の監護者の指定等の審判を行う場合に、子が満15歳以上であるときは、家事審判規則により、その子の陳述を聴かなければならないとされている(家事審判規則第54条及び第70条)。

127.なお、上記の場合の15歳未満の児童の陳述聴取については、いずれの場合も明文の規定はないが、家庭裁判所は、職権により(家事審判規則第7条)、家裁調査官に調査を命じるなど適切な方法により児童の意見を聴取しており、また、児童が任意に意見表明する場合はこれを妨げることはない。

父母の一方又は双方から分離されている児童の父母との人的な関係等の維持の権利

128.この条約第9条3に関し、父母の一方又は双方から分離されている児童とは、具体的には父母の一方若しくは双方又は児童自身が少年院、少年鑑別所、監獄、入国者収容所、精神病院等に収容され又は入所している児童を指すと考えられる。各施設については、各関係法令により次のように規定されており、これらの規定に基づいた措置がとられている。

(i)少年院においては、面会、通信、小包の発受は矯正教育に害があると認める場合を除き、許可しなければならないとされている(少年院処遇規則第52条、第55条)。

(ii)少年鑑別所における面会については近親者、保護者の他、附添人その他必要と認める者につき許すとされ、また、通信の発受も規律に反しない限り許すとされている(少年鑑別所処遇規則第38条、第40条)。

(iii)監獄においては、在監者とその親族との接見及び信書の発受を許すとされている(監獄法第45条、第46条)。

(iv)入国者収容所においては、収容所(又は収容場)の保安上支障がない範囲内においてできる限りの自由が与えられており(出入国管理及び難民認定法第61条7)、面会、信書の発受等も基本的に認められている(被収容者処遇規則第34条、第37条)。

(v)精神病院においては通信、面会ともに原則自由である(精神保健法及び精神障害者福祉に関する法律第37条、1988年厚生省告示第130号)。

129.この条約第9条4に規定する家族の不在になっている者の所在に関する重要な情報の提供については、次のような措置をとっている。

(i)矯正施設に収容されている者の所在については、本人から親族あてに信書を発送させることにより、その所在について親族に連絡させており、字が書けない者については、職員が代筆する等の配慮をしているほか、少年院及び少年鑑別所においては、入所(院)通知及び移送通知を送付することにより、その所在を遅滞なく親族に連絡している。

(ii)矯正施設に収容されている者が死亡した場合には、電話等適当な方法で病名、死因及び死亡日等をその近親者に速やかに通知している。

(iii)入管法上の収容施設における特定の外国人の収容事実について、その家族から照会があったときは、調査の上、その事実の有無について回答している。

(iv)外国人が入管法上の収容施設に収容されている間に死亡したときは、死亡の日時、病名、死因等を速やかにその親族又は同居者等に通知することとしている。

(v)外国人の退去強制に関しては、特定の外国人について、その家族から退去強制事実について照会があった時は、調査の結果該当者が確認された場合、送還先、送還日時、航空機便名などを回答している。


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