![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ||||||||||
|
トップページ > 外交政策 > 人権・人道 |
![]() |
D. 意見表明の機会(第12条) 61.憲法第13条が個人の尊厳の尊重について、また、同第19条が思想及び良心の自由、更に同第21条が表現の自由について定めており、児童に対しても自己に影響を及ぼす事項について自由に意見を表明する権利が保障されている。
62.自己に影響を及ぼす司法上及び行政上の決定又は措置に関する手続のうち一般に意見聴取の機会が設けられている事項については、以下のとおり、児童に対しても意見表明の機会が保障されており、また、そのような事項の決定又は措置に当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されている。
司法上の手続
63.我が国では、一般的に、自らが裁判の当事者又は利害関係人となる場合には、自己の意見を述べる機会が保障されている。
(a)民事訴訟及び民事調停
64.未成年者は、民事訴訟においては、訴訟能力を有しないので、訴訟行為をするには、法定代理人の代理を要する(民事訴訟法第49条)。よって、児童が訴訟の当事者となる場合には、法定代理人を通じ、当事者として訴訟行為をし、意見を表明することができる。また、児童が訴訟の当事者とならない場合でも、児童が訴訟の結果につき法律上の利害関係を有するときは、補助参加人として訴訟に参加することが可能であり、参加人である児童は、法定代理人を通じて訴訟行為をし、意見を表明することができる。更に、民事調停においても、未成年者は、当事者又は参加人として、法定代理人を通じ、意見を表明することができる。
(b)人事訴訟並びに家事審判及び家事調停
65.未成年者は、人事訴訟においては、意思能力のある限り、訴訟能力を有するので、児童は、当事者又は補助参加人として、自ら又は法定代理人を通じて意見を表明することができる。
家事審判及び家事調停においても、未成年者は、同様に意思能力のある限り当事者又は参加人として、自ら又は法定代理人を通じて意見を表明することができる。なお、家事審判においては、父母の離婚又は認知等の際の子の監護に関する審判、親権者指定事件、親権者変更事件等に関する審判を行う際には、子が満15歳以上である場合には子の陳述を聴取しなければならないとされている。また、満15歳未満の場合や、その他の事件についても、家庭裁判所は職権で子の意見を聴取することができるほか、子が自発的に意見を述べたいという場合には、これを妨げるものではない。(c)刑事訴訟及び少年審判
66.少年審判については、審判期日には、少年、保護者及び附添人を呼び出さなければならないとされ(少年審判規則第25条第2項)、保護者及び附添人は、審判の席において、裁判官の許可を得て、意見を述べることができるほか(同規則第30条)、審判の席には、少年の親族、教員その他相当と認める者に在席を許すことができるとされ(同規則第29条)、審判は懇切を旨としてなごやかに行うこととされている(少年法第22条第1項)ことから、少年、保護者等が自由な雰囲気の中で意見を陳述することができるような配慮がなされている。また、少年等に意見を陳述する機会が与えられていることを前提として、少年等の陳述要旨の審判調書への記載に関する規定(同規則第12条、第33条)等が置かれており、児童の意見聴取の機会は与えられている。なお、我が国では、少年が罪を犯した場合には、少年法等により、すべての事件について、保護手続を行う家庭裁判所により保護処分が適当か否か検討されるが、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件を犯した者で、かつ、16歳以上の少年のうち、刑事処分に付するのが相当と判断された場合に限り、刑事手続に移行する。そして、刑事手続においても、刑事訴訟法に基づき、冒頭手続で被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならないとされ、証拠調べが終わった後、被告人及び弁護人は、意見を陳述することができるとされている。また、被告人が任意に供述する場合には、裁判長はいつでも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができるとされている。
行政上の手続
67.我が国は、行政処分に至る事前の段階において、不利益処分につき、行政手続法により、原則として聴聞又は弁明の機会を与えており、また、行政処分が行われた後の段階において、行政不服審査法により、不服申立ての手段が認められており(聴聞を経てされた不利益処分についての異議申立ては不可)、意見陳述の機会が保障されている。また、その他にも、個々の行政処分又は措置の手続において、意見聴取の機会を保障している。
(a)教育
68.障害のある児童生徒の教育措置の決定に当たっては、就学指導委員会において、教育的、心理的、医学的な観点から検討が行われ、その結果を踏まえ、教育委員会により、就学相談等を通じ保護者等の意向も聞いた上で判断がなされている。
69.学校において児童に対し懲戒処分を行う際には、当該児童生徒等から事情や意見をよく聞く機会を持つなど児童生徒等の個々の状況に十分留意し、その措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果を持つものとなるよう配慮することについて、教育関係機関に通知したところである。
(b)福祉
70.都道府県による児童福祉施設への入所措置は、原則として親権者又は後見人の意に反して行うことはできないこととされているとともに(児童福祉法第27条第4項)、児童相談所は児童、保護者との面談等により、児童の状況を調査し、また、診断、判定を行うこととされており、具体的な処遇を決定する際には、児童や保護者の意向を十分尊重するよう児童相談所運営指針に定められている。また、都道府県知事、市町村長、福祉事務所長又は児童相談所長は、児童の保育所、精神薄弱児施設等への入所措置の解除の際には、あらかじめ、児童の保護者に対し、措置解除の理由を説明するとともに、その意見を聞かなければならないこととなっている(児童福祉法第33条の4)。
(c)矯正
71.矯正施設においては、児童に影響を与える手続を行う際に、当該児童の意見を聴取する運用を行っている。例えば、実際、懲罰又は懲戒を行う際には、あらかじめ、本人に規律違反行為の容疑事実を告げた上、弁解の機会を与えている。
BACK / FORWARD / 目次 |
| ||||||||||
![]() |