第3章 分野別に見た外交 |
【日本理解促進のための具体的プログラム】
<海外広報>
海外の広報活動を展開するにあたり、在外公館では、講演会、シンポジウム等の広報事業を実施している。特に、日本の政治経済事情及び政府の政策に関する広報が重要との観点から、日本の有識者等を海外に派遣し、講演を行う講師派遣事業を重視している。また、青少年層に対する広報も重点分野としている。さらに、諸外国のテレビ局関係者を日本に招待し、日本関連番組の放映のための取材を支援しているほか、世論の形成に大きな影響力を有する有識者(オピニオン・リーダー)や報道関係者を招待し、日本の実情を紹介している。
外国の報道機関への情報提供や働きかけについては、日本駐在の特派員に対して随時行っているほか、政府要人の外国訪問や外国要人の日本訪問等の機会にも幅広く行っている。また、日本に関する誤解や偏見に基づく海外の報道に対する反論も然るべく行っている。
外務省は、効果的な広報を実施するために、日本の国際貢献やイラク復興支援に関するパンフレット等の印刷物資料や、日本を多様な切り口で紹介する「ジャパン・ビデオ・トピックス」といった映像資料等、様々な広報媒体を活用してきている。また、インターネットも海外広報の主要な媒体となってきている(注4)。
<諸外国における日本についての論調>
最近の顕著な日本の国際貢献について、日本で大きな変化が進行中であるとの分析報道がなされている。例えば、イラクに関しては、ニューヨーク・タイムズ紙等の米国主要紙や中東地域諸国メディアにおいて、イラクにおける自衛隊の活動や派遣期間の延長の決定について報じられた。CNNは12月、小泉総理大臣によるインタビューを放映し、この中で、小泉総理大臣は、イラクをテロリストの温床にするわけにはいかないとの認識を示した。イラクにおける日本人人質事件に際しては、ワシントン・ポスト紙やアル・ジャジーラ衛星TV局ほかが、テロリストの要求に応じて自衛隊を撤退させることはないとする小泉総理大臣の発言等をとり上げて報じた。
北朝鮮の核問題及び日本の対北朝鮮外交についても、引き続き高い関心が払われ、例えば、5月の小泉総理大臣訪朝について、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が日本の北朝鮮に対する姿勢は拉致被害者の家族5人の解放という肯定的な結果をもたらした、と報じた。また、日朝実務者協議における北朝鮮側の対応が日本の世論の怒りを生んでいることや、安否不明の拉致被害者の真相究明につき北朝鮮に誠意ある対応を求める小泉総理大臣、町村孝外務大臣の発言等も米国や韓国のメディアを中心に広く報じられた。
サッカー・アジアカップや中国原子力潜水艦による日本の領海内潜没航行事案等の日中間の諸問題も、海外メディアの注目を集め、欧米主要紙が報じた。同時に、アジア紙の一部においては、日中関係改善を期待する論調も見られた。日中経済関係については、中国経済の成長は日本経済・産業にとっても有益であるとされた。
台風や大地震など立て続けに日本を襲った自然災害についても、地震災害での官民の対応について、欧米・アジアのメディアで評価する報道が見られるなど、大きく取り上げられた。スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害に際しては、日本からの緊急支援について伝えられるとともに、日本の津波警報への取組についても報じられた。
また、2004年10月13日~14日、イラク復興信託基金ドナー委員会会合及び拡大会合が日本の議長の下、東京で開催され、海外メディアの注目を集めた。このほかにも、政府の経済改革と日本の景気の動向、皇室関係、若い世代を中心に日本のポップ・カルチャーに対する人気の高まりや、「日韓友情年2005」を控え、日本においていわゆる「韓流ブーム」が到来していることについて報じられるなど、政治・経済・文化の多岐にわたって日本の現状が伝えられた。
<ニッポン・プロモーション>
日本の魅力をブランドとして海外に積極的に発信することは、海外のより多くの人々を日本に惹きつけるだけでなく、対日投資の拡大や訪日外国人観光客の増大を通じて、日本の経済、社会、文化の活性化にもつながることが期待されている。特に、近年、日本のアニメ、映画、漫画、日本食といったいわゆるサブ・カルチャーも、欧米やアジアにおいて好まれるようになってきている。(対日投資促進に関しては3章2節参照。)
(1)主要国における大型文化キャンペーン
日本の対外イメージを重点的に向上させる企画として、外交関係樹立50年といった外交関係上の節目等の特別な機会を迎える国や地域との間で、文化交流事業を集中的に行う「周年事業」を行っている。官民一体で相手国国民に日本の魅力を印象づけ、親日感を飛躍的に向上させる機会となっているほか、現地の日本企業と連携することで進出企業のイメージ向上にも繋がり得る。また、首脳を含め要人の参加を得る機会が多く、日本への関心を高め、観光を促す効果も極めて高いといえる。
2004年は、日米和親条約調印150周年を記念し「日米交流150周年」として、日米両国国民間の理解と友好を更に促進させるため、歌舞伎や能・狂言など伝統的なものから、アニメを含む映画祭、米国で活躍する音楽家による演奏会や各種講演会など様々な分野において日米間で交流事業を行った。
2005年には、主な周年事業として日韓国交樹立40周年を記念した「日韓友情年2005」や、EU25か国を対象にした「日・EU市民交流年」が実施されている。また、2006年には日豪友好基本条約締結30周年を記念した「日豪交流年」が主要な周年事業として予定されている。
(2)観光振興(「魅力的な日本」の発信)
外務省は、関係省庁、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)実施本部事務局、国際観光振興機構(JNTO)、地方自治体と協力しつつ、特に在外公館を活用して日本の魅力を発信する活動を実施するなど、観光客誘致のために積極的に取り組んでいる。
具体的には、米国、韓国、中国、欧州等の重点市場において在外公館長を長とする現地推進会を立ち上げ、観光誘致推進のための方策を検討しているほか、在外公館施設を活用して観光誘致のための「プロモーション・パーティ」を実施している。2004年6月のフランス、ドイツにおけるVJC現地推進会の発足に際しては、それぞれ大使公邸にてファッションショー等を含む「観光の夕べ」を開催した。また、海外における観光展等の行事に関係機関とも協力しつつ在外公館が出展し、日本の魅力のアピールに努めている。通常の広報活動においても、日本の地方の魅力を発信するなど、観光誘致につながる内容を積極的に取り上げている。
(3)愛・地球博の推進
2005年3月から愛知県で開催される「愛・地球博」(正式名称:2005年日本国際博覧会)は、21世紀最初に開催される国際博覧会であり、「自然の叡智」をテーマに人類が直面する諸問題に対して地球規模で知恵を出し合うことにより、自然と共生する新たな社会のあり方を提示する試みである。同博覧会では、日本と世界各国とが「地球大交流」を通じて相互理解を図ることを目指しており、国際交流の上で非常に重要な国際イベントと位置付けられる。
多くの国々の参加を得るため、日本の在外公館をはじめとして、日本全体として積極的な参加招請活動を行った結果、日本で開催される国際博覧会としては最多の120を超える国・国際機関から参加の意向が表明されている。
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