ヤンキース松井選手からの便り 部屋の窓から見えるエンパイアステートビルもイーストリバーもすっかり日常の風景になりました。僕のニューヨーク生活も今年で3年目に突入。はじめは不安だった英語力も、米国メディアから取材を受けたり、DVDで観る映画などから学んだりした結果、だいぶ向上しました。  巨人時代と比べ、私生活でもっとも変化したのが「食」。遠征先ではおいしい和食にめぐり会えないことも多々あり、その際は評判の店を仲間から聞きだして出かけます。日本ではイタリア料理ですらほとんど口にしなかったのですが、背に腹はかえられません。  ステーキなどの米国らしい食事はもちろん、ベトナム、インド、タイなど日本では食べたことのない各国料理を経験しました。そこで料理以上に楽しみなのがさまざまな国籍の方々との交流。従業員やほかのお客さんから「一緒に写真を撮ってもいいかい?」と記念撮影やサインを求められたり、「アメリカは慣れたかい?」と聞かれたり。積極的に言葉を交わそうと努力しています。  日本で暮らしていたときにはわからなかった、日本への関心の高さも感じます。監督のお気に入りはコーヒーではなく緑茶。ヤンキースタジアムのロッカールームには、日本のアニメの人形を飾っているチームメートもいます。同い年のチームメートの一人は日本語に興味津々。僕の方が10日ほど早く生まれただけなのに日本語で「トシヨリー」とからかってきます。2004年の開幕戦が東京で行われたこともあり、みんなさらに日本を気に入ってくれたようです。  1年目のシーズン終了後の2003年11月、ニューヨークの日本総領事館を訪れた際、安藤総領事から「(米国では)どこに行っても松井さんの話から始まる。われわれ職業外交官にはとてもできないような友好関係を築かれた」と言われました。普段、自分では意識しませんが、プレーや私生活での振る舞いが結果として日本のイメージアップにつながるのであれば、これほどうれしいことはありません。今後も、世界のさまざまな方々との触れ合いを楽しみにプレーを続けていきたいです。 ▲安藤ニューヨーク総領事を表敬訪問し、ユニフォームをプレゼントする松井選手 copyright NEW YORK YANKEES