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地球的展望に立った協力のための共通課題
(コモン・アジェンダ)

 橋本総理大臣及びクリントン大統領への共同報告書(本文)
1996年6月


 宮沢総理大臣とクリントン大統領は、1993年7月に日米包括経済協議の一環として「地球的展望に立った協力のための共通課題」(コモン・アジェンダ)を打ち出した。創設以来、コモン・アジェンダは、保健及び人口、環境、麻薬取引、技術、経済発展など様々な分野における地球的規模の重大な課題に取り組んできており、世界で最も成功を収めている二国間協力の一つとなっている。
 日米両国政府は、以下の5つの柱に分かれるコモン・アジェンダの下、協力活動を実施してきた。

 (1)保健と人間開発の促進
 (2)人類社会の安定に対する挑戦への対応
 (3)地球環境の保護
 (4)科学技術の進歩
 (5)相互理解のための交流の助長


 1995年6月15日に共同報告書が発表されて以来、日米両国政府は、既存の協力分野の実施につき進展をみた。また、4月17日に東京で開かれた日米首脳会談において、コモン・アジェンダに新しく6つの協力分野を追加するとともに、21世紀における自然及び環境の保全と両立する経済・社会開発との考え方に立ったコモン・アジェンダの下での新たな協力分野を探求することを決定した。6つの新しいイニシアティブの詳細と既存の協力分野の進展の概要は以下のとおりである。


I. 保健と人間開発の促進

子どもの健康

 ポリオ根絶は、引き続き日米両国政府が輝かしい成果をあげている共同取組である。両国政府はともに、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、ロータリー・インターナショナルなどの組織と共同して、西太平洋地域でポリオを事実上駆逐し、南東アジア地域ではポリオ根絶の努力において大きな前進をみており、サハラ以南のアフリカ諸国にもこのプログラムを拡大しつつある。両国政府は、西暦2000年までに全世界からポリオを根絶するという大きな目標に向かってともに努力を続けている。この分野での努力を補う活動としては、「ポリオ・ワクチン一斉投与日」の支援、サーベイランス能力の強化、ワクチンとその保存のために必要な冷蔵設備を提供することに焦点が置かれている。 また、日米両国政府は、開発途上国におけるワクチンの利用を高めること及び子ども向けワクチンの研究を促進することにより、地球的規模の「子どもワクチン構想」の前進に貢献した。両国政府は、さらに、開発途上国におけるヨウ素欠乏症対策及び微量栄養素プログラムにおける協力の可能性を探求する。

人口・エイズ

 人口増加を抑制し、エイズと闘うための協力は、コモン・アジェンダの下での最大のプログラムの一つである。このイニシアティブの下、日米両国政府は、1995年にフィリピン、インドネシア、バングラデシュ及びインドに合同のプロジェクト形成調査団を派遣した。ケニアにおいては、現地の日米両国の担当者により、合同の人口・保健分野のプロジェクト形成調査が実施された。
 日米両国の協力プロジェクトには、基礎的な医療機器の提供、家族計画及び母子保健活動の支援、エイズ研究支援、HIV感染テスト・キットの供与、血液銀行の活動強化、保健要員の訓練、エイズ・サーべイランス・システムへの支援等が含まれている。各国のプログラムは、合同プロジェクト形成調査団並びに被援助国政府、国際組織及び非政府団体(NGO)との協議により特定される実際のニーズ及び協力のための機会に基づいて異なったものとなっている。
 フィリピン、インドネシア及びバングラデシュにプロジェクト形成調査団を派遣した結果、人口・エイズに関する多くの新しい協力活動が策定され、予算措置が講じられ、現在、実施に移されている。また、質的に高くかつ時宜を得た実施を確保するため、プロジェクトの合同評価及び合同モニタリングが実施されている。最近の他の活動としては、ザンビア及びガーナにおいて進行中の保健分野における活動の合同評価がある。日本国政府は、「人口・エイズに関する地球的規模問題イニシアティブ(GII)」の下、米国国際開発庁(USAID)の中心的なエイズ・プログラムの改定に関して米国政府と協力する予定である。米国政府は、将来のプロジェクト形成を検討する日本国政府の研究グループに積極的に参加している。日米両国政府は、技術的なレベルでの人的な交流の重要性に留意しつつ、これをさらに促進することとし、この観点から、日本国際開発事業団(JICA)は、USAIDの専門家を研修員として受け入れた。
 日本国政府は、草の根無償資金協力を通じて、人口・エイズ分野で活動するNGOに対する世界的な支援を増加させてきた。USAIDは、より強い協力関係を育成するため、日米両国のNGOの相互の接触及び協力を支援した。日米両国のNGOによるエイズ・人口に関する一連のセミナー及びワークショップが、東京及びワシントンで開催さた。日本国政府は、米国のNGOの協力を得て、この分野におけるNGOのための人材養成コースをタイ及び東京で開始した。

途上国の女性支援(WID)

 日米両国政府は、北京で開催された第4回世界女性会議で掲げた目標を念頭において、途上国における女性の役割を促進するために緊密に協力している。1995年1月11日の日米首脳会談で「途上国における女性支援」(WID)が、コモン・アジェンダに追加された。両国政府は、合同のプロジェクト形成調査団を1995年にグアテマラに派遣した結果を踏まえ、同国の女子教育の機会を向上するための協力を実施している。また、両国政府は、開発途上国における女性による小規模起業活動の育成を支援するためのプログラムを作成している。グァテマラでの協力に続き、両国政府は、これらの分野での協力を推進するための他の対象国を検討している。

新興・再興感染症

 6つの新しいコモン・アジェンダ・イニシアティブの1つとして、この新たな協力分野は、強力な抗性物質に対する抵抗力を強め、変異を起こして危険で新しい変種になっている感染症の地球全体での復活に対応するために打ち出された。このイニシアティブは、結核、コレラ及びマラリアのような一旦征服されたと考えられたが再発生している感染症並びにインフルエンザの新種及び抗性物質に耐性を持った感染症の蔓延の予防及び抑制を地球的規模で推進することを目的としている。
 サーベイランス・ネットワーク及び対応能力の強化、生物医学分野での研究及び訓練の向上と拡大において日米両国が地球的規模で協力を推進するための協議が現在行われている。両国の感染症の専門家による研究及び訓練に関する最初の会合は、1996年7月に京都で日米医学協力計画の主催で開催される予定である。

地球的な食料供給

 日米両国政府は、飢餓及び栄養不良に直面する国々における確固たる食料供給の欠如がもたらす重大な問題及び将来の地球的規模での食料供給力を確保することの重要性を認識している。このイニシアティブの下、両国政府は、食料生産力の向上のための科学技術研究及び持続可能な農業発展の推進等の分野における協力を検討する。このイニシアティブに関する共同計画の目標は、1996年11月に開催される世界食料サミットの目的と一致する。

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II. 人類社会の安定に対する挑戦への対応

麻薬対策

 日米両国政府は、近年アジアにおいて見られる不法な麻薬取引の急速な増加を含む国際的な麻薬取引問題の増加に対する懸念を共有する。コモン・アジェンダの下での麻薬作業部会は、1994年11月及び1995年5月に麻薬管理における協力分野を探るために会合を行った。この作業部会は、薬品管理及び法執行における協力の強化、並びに、アジアにおける薬物に対する問題意識の向上及びその濫用防止に対する共同取組の調整に資している。また、両国政府は、ペルーにおいて代替作物プログラムを実施し、東南アジア及び他の南米諸国において同様のプログラムを支援することを協議している。両国政府は国連薬物統制計画(UNDCP)を通じた多国間の努力を強く支援することを確認している。

テロリズム対策

 4月17日に東京で開催された日米首脳会談に際し、日米両国政府は、現在行われているテロリズム対策における協力をコモン・アジェンダに取り入れることを決定した。両国政府は、日米両国間の外交、情報及び法執行関係者の定期的な二国間協議を通じて、テロリズム対策に関する政策及び運用上の措置の調整を行っている。日米両国政府のテロリズム対策に関する協力は、化学・生物・核の使用によるテロリズムの脅威に対抗するための多国間メカニズムを強化する努力をすることを含む。
 両国政府は、P-8テロリズム対策専門家会合の枠組を通じて取組の調整を行う。両国政府は、他のP-8諸国とともに、1995年12月12日付けのオタワ閣僚宣言に述べられている指針に関して協力を強化する。同宣言においては、8カ国政府は、法執行協力、情報共有、テロリストの移動及び資金調達の禁止などの手段を通じて、国際的なテロリズム対策に関する協力を向上させることを決定した。
 両国政府は、19カ国の代表がテロリズムとの対決について一丸となって決意を表明した、1996年2月にフィリピンで開催されたテロリズム対策に関する国際会議に参加した。両国政府は、法執行に関する諸国間の協力を支援するよう努力する。両国政府は、すべての国々に対してテロリズム対策関連の国際的な条約及び協定を締結し、またこれらを遵守するよう努力することを奨励する。加えて、両国政府は、テロリストを抑止し、発見し、また逮捕するための技術の研究・開発を強化する。

市民社会と民主化

 新しいコモン・アジェンダ・プログラムとして、日米両国政府は、新しい民主主義国家における市民社会の発展を促進するために協力することを決定した。この分野における両国政府の協力は、被援助国政府の要望に従って行われ、また、可能な範囲において、他の国々並びに民間及びボランティアの団体の参加を得る予定である。両国政府は、新しい民主主義国家における被援助国政府と協力して、選挙の準備及び監視、司法制度の強化などの分野において支援を調整するための方途を模索する。
 両国政府は、近年、完全な民主主義の実現に向けてめざましい発展を遂げつつあるエルサルヴァドルにおいて、この協力を開始することを決定した。日米両国政府は、エルサルヴァドル政府と緊密に協力しつつ、可能な限り早い時期に、出来ればエルサルヴァドルにおいて第一回作業部会を開催する。

自然災害の軽減

 日米両国政府は、自然災害によって引き起こされる被害を軽減するための協力を促進することを目的とした新しいイニシアティブを打ち出すことを決定した。両国政府は、災害に対する予防、応急及び管理を強化し、これらの分野における第三国への援助を共同で実施する。
 この目標に従って、両国政府は、地域社会が地震により受ける被害を軽減するための科学技術の発展を加速するための協力を行うことを決定した。両国政府は、「地震被害軽減パートナーシップ」プロジェクトを打ち出し、日米両国の関係政府機関は大学と協力することにより、地震による脅威を定量化し、被害を軽減し、また、緊急対応を改善するためのより良い方法等の研究開発を行うにあたっての重点分野を特定した。両国政府は、天然資源に関する日米協力計画(UJNR)及び日米科学技術協力協定(UJSTA)を通じて、このプロジェクトに協力する。
 1996年秋、日米両国政府は、緊急地震対策の強化方法を討議するために両国から政府関係者及び科学者を集めて地震シンポジウムを開催する。参加者は、地震災害の軽減とそのための実践方法に関する政府の政策について意見交換を行う。
 さらに、日米両国政府は、太平洋地域において、より強力な監視及び災害の予知のためのシステムである総合的な太平洋自然災害監視ネットワークの開発の可能性を探求する。

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III. 地球環境の保護

環境政策対話

 日米環境政策対話は、引き続き日米両国政府が主要な地球環境問題及び環境関連の国際機関についての協議を行うための有益な場となる。日米両国政府は、広範囲に亘る環境に関する多国間条約の実施及び持続可能な開発委員会(CSD)及び国連環境計画(UNEP)の活動に関連した一般的な問題に協議の焦点を当てている。
 日米両国政府は、1995年9月に行われた前回の環境政策対話会議において、生物の多様性に関する条約及び気候変動機構条約についての共通戦略を探求し、有害廃棄物の移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約を含む他の重要な多国間の環境問題のための戦略について意見交換を行い、CSD及びUNEPをより効果的なものとする方途を探求し、さらに、1997年の国連総会によるレビューの準備として、リオ地球環境サミットで策定されたアジェンダ21の実施をレビューした。

珊瑚礁

 日米両国政府は、他の国際社会のパートナーと共に、1995年にフィリピンで国際珊瑚礁ワークショップを主催した。ワークショップにおいて作成された文書(「行動の呼びかけ」及び「行動の枠組」)は、現在、生物の多様性に関する条約、UNEP、世界銀行などの重要な国際フォーラムで扱われる地球的規模の問題に影響を与えている。
 1995年の国際珊瑚礁イニシアティブワークショップの成果を踏まえ、日米両国政府は、地域的な珊瑚礁ワークショップを支援し、地球的規模の珊瑚礁監視ネットワークに参加する予定である。さらに、両国政府は、アジア・太平洋地域において珊瑚礁保全研究センターの設立を支援する。この研究所は、珊瑚礁の保護のための調査を支援するほか、環境学習のための施設となる。両国政府は、現在、パラオに研究所を設置することを支持しており、パラオ政府に対し、その可能性を積極的に探っている。

森林

 日米両国政府は、国際熱帯木材機関(ITTO)の下、熱帯林を山火事から保護するためのITTOのガイドラインを含め、森林保全のための多くのプロジェクトについて協力を進めており、インドネシアにおける森林の健全性の監視、西アフリカにおける遺伝的に病虫害に抵抗性のある樹種の開発、ペルーにおける有用樹種による植林など、多くのプロジェクトに共同出資している。また、両国政府は、1994年の国際熱帯木材協定の下、熱帯林の持続可能な経営を促進することに焦点を当てている。
 1995年4月のCSDの第3回会合において、日米両国政府は、森林に関する政府間パネル(IPF)の設立に貢献した。IPFは、第1回会合を1995年9月にニューヨークで、第2回会合を1996年3月にジュネーブでそれぞれ開催した。
 1995年11月に横浜で開催された第3回森林作業部会において、日米両国政府は、CSD、IPF等の多国間対話及び両国の二国間援助における協力の可能性について対話を行った。

環境関連開発援助

 日米両国政府は、「危機に瀕する公園」プログラムを通じて、中南米及びカリブ諸国のいくつかの国々における自然公園を基本とした生物多様性の保全に共同で財政的支援を行っている。この援助は、それらの地域を単なる「紙上の公園」から真の保護地域に変えることに資する。
 米国政府は、インドネシア生物多様性基金(Yayasan Kehati)の初期助成金、整備資金及び運営費用として1,900万ドルを供与する協定をインドネシアとの間で署名した。日本国政府は、生物多様性の保全、研究及びデーターベースのための施設の改善を目的として、インドネシアに2,300万ドルの援助を提供している。

保全

 両国政府は、それぞれの地域の湿地専門家の研修を引き続き調整する。1994年、日本国政府は、アジアの開発途上国の湿地管理者のための研修コースを開始した。1995年6月、米国政府は、西半球の湿地管理者に対して研修のための助成金を供与する用意があることを表明した。
1996年3月、日本国政府は、豪州政府と共同で「東アジア~オーストリア地域シギ・チドリ類保護区ネットワーク」を打ち出した。これらの計画は、ともに「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)」と密接に調整されている。また、日本国政府は、世界遺産であるフィリピンのツバタハ・リーフ海中国立公園の保全協力事業を開始した。

海洋

 1996年3月、UJNRにより実施されている太平洋総合観測研究イニシアティブの下、合同会合が開催され、海洋観測・研究に関する21の協力プロジェクトが確認された。

地球観測情報ネットワーク(GOIN)

 1995年6月、コンピュータ・ネットワークを通じて容易に地球観測に関する情報を交換できることを示すデモンストレーションを実施した後、日米両国の関係機関は、太平洋間ネットワークを通じた地球観測データベースへのアクセス性を更に増加させることに着手した。両国政府は、両国の機関間のネットワークをより広く活用するために地球観測情報ネットワーク(GOIN)行動計画(注:1995年6月)を2年間延長することを決定した。1996年6月4日及び5日には日本側技術専門家グループのホストにより、日米両国の科学者、技術専門家及び政策担当者などを対象に地球観測情報ネットワーク(GOIN)日米共同技術ワークショップを開催した。

地域的地球変動研究ネットワーク

 日米両国政府は、アジア・太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)及び米州地球変動研究機関(IAI)を通じて、地域的な地球変動研究を促進するために関心を有する他の国々と緊密に協力している。APN及びIAIは、1996年3月に初めて開催される科学ワークショップ及び第1回の多国間会合で、特に気候変動と予測に関係する大洋と大気の相互作用に焦点を当てている。

環境・エネルギー技術

 1995年10月の二酸化炭素隔離についての通商産業省及び米国エネルギー省(DOE)第二回合同技術会合において、日米科学技術協力協定の下、1996年の実施計画を策定した。この計画を基に、通産省とエネルギー省は、排出された二酸化炭素の回収及び廃棄の技術について研究協力を行う。
 通産省及び米国環境保護庁(EPA)が参加する共同研究は順調に進展している。最近、通産省の研究者がノース・カロライナにあるEPAの研究所を訪問した際、この作業の方針見直しと新しい活動の可能性について討議された。両国政府は、確立された日米二国間協力を基礎として、気候技術イニシアティブ(CTI)及び第一回締約国会合において策定された共同実施活動などの多国間における取組に貢献する決意である。
 1995年5月にワシントンで開催された第2回作業部会において、日本国国土地理院(GSI)と米国地質調査所(USGS)は、地球地図のための国際運営委員会の設立に向けて協力し、1996年2月に日本のつくば市で第1回会合が成功裡に開催された。

* 又、「地球環境の保護」の章の下で、両国政府は、北極圏の重要性に鑑み、近い将来設立される国際北極圏研究センターにおいて北極圏研究に関する協力を行う予定である。

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IV. 科学技術の進歩

民需産業技術

 米国商務省技術局(TA)と通産省工業技術院は、1994年7月に日米科学技術協定下の民需産業技術における調査開発協力のための実施取決めに基づく民需産業技術協力計画にを作成した。これは科学技術データベース、生物を利用した処理、機能性材料とセラミックの特殊処理などの分野における協力研究を実行するために民間及び国立研究所からの日米両国の研究者を集めるものである。工業技術院は、TAと協力して日本の筑波学園研究都市に「テクノ・グロース・ハウス」を設立し、これは外国人研究者に研究設備と短期の宿泊設備を提供している。テクノ・グロース・ハウスは、運営を1995年7月10日から開始し、その設備を利用した米国の科学者と研究者から非常に高い評価を受けている。

運輸技術

 1994年に、日米両国政府は、運輸関連科学技術において協力することを決定した。1995年10月、米国運輸省は日米運輸技術協力第2回専門家会合を主催した。協力する優先分野には、タンカーからの油流出防止、船舶からの排気ガス抑制、高速鉄道、運輸分野における高齢者・障害者に関する新しい対策が含まれている。1995年の会合においては、新たな優先項目として鉄道の地震対策、臨海部施設の地震対策、スマート・カード技術などについてさらに討議を行うことが決定された。

道路技術・防災

 日本国建設省及び米国運輸省連邦道路庁は、1995年10月に米国ジョージア州アトランタにおいて、先端技術を活用した次世代道路技術に関する第4回ワークショップを開催した。高度交通システム、道路のための災害防止、陸橋の設計及びメンテナンス、耐風設計、輸送需要管理などの問題について技術的な討議が行われた。第5回ワークショップは、現在のところ1996年秋に開催される予定である。

情報インフラ

 日米両国政府は、引き続き二国間及び多国間フォーラムにおける情報インフラに関する政策対話と協力を促進する。二国間において、米国国立科学財団(NSF)と日本国郵政省は、G-7広帯域ネットワークのグローバルな相互運用性イニシアティブを通じ、高速ネットワーク間の国際接続及び相互運用性を引き続き確立するようにし、また遠隔医療実験を1996年9月に開始する。地域内においては、両国政府とも1996年9月のAPEC閣僚会合の際にアジア太平洋情報インフラの状況をモニターするための会合を持つ。多国間においては、1996年5月に両国政府とも他の 40か国の政府とともに情報インフラ政策・原則及びそれらの開発途上国への拡大を支持した。

21世紀のための教育工学

 コモン・アジェンダの下での新しいイニシアティブとして、日米両国政府は、教育の現場で利用する技術に関する可能性についての方法を模索することにつき協力することを決定した。両国政府は、教育はいずれの社会においても幸福の基本であり、技術は、教育分野を大きく変革すると認識している。日米両国政府は、両国の教育工学専門家及び政府関係者を集め、教育者と学校関係者にカリキュラム、方法論及び学習のために技術を利用した経験について討議してもらう考えである。

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V. 相互理解のための交流の助長

製造技術者交流

 本計画の下、日本側の受入企業の協力を得て、発足以来3年間に、50名の米国人技術者が来日し、日本の工場において日本人技術者とともに研修を行い、将来の製造技術についての意見交換を行ってきた。現在、日本の受け入れ企業の協力の下、第4期研修生受入企業のためのマッチングを行っている。


労働交流

 1995年4月、日本国労働省及び米国労働省は、「若年者の就職活動・離転職・失業について~その能力発揮のために」と題するシンポジウムを東京で共催した。シンポジウムには約100名の日本人及び米国人が参加し、両国政府の労働政策及びプログラムに関する有益な情報交換が行われた。

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