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復興・人道支援

平成15年2月24日


人道支援

 米国同時多発テロ事件以降、急速に増大する人道支援ニーズに対応すべく、日本は約9200万ドルの緊急人道支援を実施しました。大部分を、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による生活関連物資供与などの国連機関の活動に対し拠出した他、ジャパン・プラット・フォーム傘下NGOによる緊急人道支援初動活動に対し約5.2億円を拠出するなどしました。


難民・避難民支援、地域総合開発支援

 日本は、タリバーン統治下で難民の帰還が困難な時にも、UNHCRなどの国際機関が実施するアズラ計画に積極的に協力しました(98年~99年)。この計画は、ある特定の地域に難民が自活できる生活環境を整備した共同体を再建して、難民を受け入れたもので、10万人以上の難民の自発的な帰還に成功しました。
 2001年の時点でアフガニスタンの周辺国には350万人にのぼる難民がいましたが、内戦が終結したことで、170万人という予想を遙かに越えた数の難民が帰還しつつある一方、民族の対立や干魃の影響により100万人以上と言われる国内避難民が発生していました。こうした人々を新しい国造りの一員とするためには、生活手段の確保が必要です。特に、地方支援を拡充し大量の難民、避難民を受け入れる環境を整備することは急務となっています。
 この分野の活動の中心はUNHCR、UNICEF、WFPなどの国際機関です。また、沢山のNGOも参加しています。現在、難民・避難民に対する支援の中心は、救援事業から再定住支援に移りつつあります。それは、個々人のレベルで今故郷に戻れるかどうか、そのために何が必要なのかを調べ、必要な援助を行うという、骨の折れる仕事です。日本は彼らの活動を今後も支援していきます。

<REAP(アフガニスタンの復旧及び雇用に係るプログラム)>

 2002年1月、日本は、アフガニスタン難民・避難民向けの雇用の創出を目的に、国連開発計画(UNDP)と共にカブールを対象とした「復旧及び雇用に係るプログラム」(REAP)を策定し、これに300万ドルを拠出しました。プロジェクトの内容は道路・公的インフラの修復や瓦礫・残骸の除去などであり、カブールにおいて初めて民衆の目に見える形で実施されたプロジェクトとして高い評価を受け、西側のマスメディアでも大きく紹介されました。7月には、以前のタリバーンの拠点であり、地域全体の荒廃が酷いカンダハルで同プロジェクトを実施することにつき要請があり、さらに300万ドルの拠出を行っています。同地域にはあまり支援が実施されてこなかった経緯から、大きな効果があったと報告されています。

<緒方イニシアティブ(地域総合開発支援計画)>

 緒方貞子総理特別代表が、2度のアフガニスタン訪問の際行った難民・避難民の現状視察等を踏まえ、日本による今後のアフガニスタン支援の方向性について示唆・提案した内容を具体化する地域総合開発支援です。優先3地域として南部のカンダハル、東部のジャララバード、北部のマザリシャリフという地方都市を中心とした地域を選定し、REAP等他のプロジェクトと連携することにより、地域の復興に結びつく総合的開発のあり方を追求すると共に、人道支援から復旧・復興支援へ継ぎ目なく移行していくこと、しかもこれを早期に達成することを目指しています。更に、単に地域の復旧・復興ばかりでなく、移行政権の能力強化及び中央政府と地方当局の連携強化、そしてコミュニティーの自立促進を目標としています。
 第1弾として難民・避難民を対象とする再定住化支援に焦点を当て、国連機関等を通じ、仮設住居機材の供与、水供給システムの改善、農業再興、児童・教員用教材の配布、仮設教育施設の供与等を実施する他、NGOを通じたコミュニティー復興支援等を行っています。同プロジェクトによって約150万人が受益すると想定されており、7月に発表して以来着々と実施中です。
 2002年10月には、より大規模で包括的な地域総合開発支援計画、緒方イニシアティブ・フェイズ2を発表しました。想定受益者数は300万人であり、緊急所得創出事業をはじめ、労働の対価としての食糧配布、基礎的なインフラ整備、母子健康保全、教育実施能力強化、地雷対策事業等を優先3地域に対し行います。このプロジェクトは後述のカブール・カンダハル間幹線道路整備計画、JICAを通じた日本の二国間支援、REAPプロジェクト、世銀やアジア開発銀行が実施を予定している地域開発プロジェクト等との連携を図ることで、日本による総合的な地域開発計画のモデル・ケースとなるべく意図されています。

<農業復興支援>

 アフガニスタンは、伝統的に小麦、果物等を主要作物とする農業国で、乾燥果実の輸出は重要な外貨獲得源となっていました。しかし、20年以上にわたる内戦により灌漑農地、施設は放置され、農村は疲弊し、特にカンダハルを中心とする南部・南西部においては、過去3年間にわたる干魃によって農業生産が相当深刻な被害を受けています。日本は、避難民対策、生産部門の復旧・復興、及び地域コミュニティーの自立促進という観点から、アフガニスタンの基幹産業である農業分野に焦点をあてた地域総合開発に対する支援策を検討するべく、2002年8月~9月にプロジェクト形成調査団をカブールとカンダハルに派遣しました。その結果を受け、カンダハルにおける農業分野での緊急支援を実施している他、農業・牧畜省、灌漑・水資源省への農業政策アドバイザー等の専門家派遣をおこなっています。また、前述の麻薬対策の観点から、UNDCP等の国際機関とともに、麻薬代替作物栽培の促進を支援することを検討しています。


教育

 日本は「人造りは国造りの基礎である」との考えから、明治維新以来、教育に力を入れ今日の発展の礎を築いてきました。その意味で、教育こそが開発の基礎であると考えています。
 日本は、国連児童基金(UNICEF)の「Back to School」キャンペーンに支援国中最大の拠出を行いました。これは、破壊された学校や教室を修復し、生徒に教科書やノートを与え、先生を集め、授業を再開するという全国規模のプログラムです。日本ユニセフ協会を通じて届けられた日本国民の募金の多くがこのキャンペーン実施に役立っているほか、日本のNGO6団体11人が現地で活動しています。これにより、この3月には150万人の子どもの就学が実現しました。
 さらに、日本は学校建設や壊れた学校の緊急修復を支援しています。日本が修復支援した学校の開校式ではたくさんの笑顔が見られ、日本の援助に対する感謝の言葉が聞かれています。更に、前述の緒方イニシアティブ・フェイズ1、「難民・避難民の再定住化支援総合プロジェクト」では、児童・教員用の教材等配布、仮設教育施設の整備、および教員・管理事務の研修等が実施されています。また、教育政策アドバイザーなどの専門家の派遣、女子教育等の分野を中心とした研修員の受け入れも行っています。また、スポーツの振興及び体育教師育成のため、アフガニスタンで唯一の体育学部を有する教育大学に対し、草の根文化無償協力によりスポーツ器材を供与します。
 アフガニスタンには、地べたに座り勉強する生徒や、1日3~4交代制で授業を行っている学校がいまだ沢山あります。学校の数はまだ絶対的に足りないのです。生徒たちは目を輝かせて勉強しています。親たちも貰った教科書やノートに大切にする余り、ぼろ紙で表紙をつける程熱心です。アフガニスタンのより良い明日を心から願って、日本はこれからも、教育分野の支援に重点を置いていきます。


保健・医療

 医療も深刻な状況です。アフガニスタンでは、医療施設が破壊され、医療機材や医薬品も欠乏しています。医師や看護婦も不足しており、安全な水の確保もままならない状態です。また、国連児童基金(UNICEF)・世界保健機構(WHO)のポリオ撲滅重点国にもなっています。
 日本は2002年3月、暫定政権の要請に応じて、基礎的な医療機材や医薬品などの購入に必要な資金として16億700万円の無償資金協力を実施しました。また、アフガニスタンでは4人に1人の子どもが5歳までに死亡しており、子どもの死因の上位を占める麻疹やポリオの感染症対策が急がれています。そのため、2月にはUNICEFの「小児感染症予防計画」の麻疹とポリオの予防接種を行うために必要なワクチン、注射器などを調達する資金として無償資金協力を実施し、約800万人の子どもに麻疹の、500万人以上の子どもにポリオの予防接種を行うに十分な量のワクチンを供与しました。2003年2月には、両感染症対策を更に進めるため、5歳未満の子供延べ1,100万人に対し麻疹、ポリオの予防接種を実施するために必要なワクチン、注射器等の調達を支援することを発表しています。また、全面的な破壊を受けていた結核研究所兼病院も、2002年日本により修復事業が実施されました。
 このほか、カブール市内で給水施設が完備されていない地区や水源に問題がある地区に給水車を配置する「カブール市給水計画」、そして女性の健康改善および研究産科ケアの普及を目的として母子保健病院の機材整備を行う「母子保健病院機材整備計画」を現在実施しているところです。また、上述の緒方イニシアティブ・フェーズ2の一環として、ICRCを通じた基礎医薬品の供与等も行っています。更に、世銀の日本社会開発基金、アジア開発銀行の貧困削減日本基金を通じて、NGOを活用した基礎的保健サービス提供の枠組み作りおよび同サービスの試験的実施を支援しています。専門家派遣(保健・医療政策アドバイザー等)などの技術協力と連携することで、アフガニスタンの保健衛生の向上への貢献を果たしていきます。


インフラの整備

 アフガニスタンでは、長い戦禍によって道路、電力、通信、水道などの経済・社会基盤が破壊されました。まさに「ゼロからの出発」(カルザイ議長)なのです。目に見える支援の実施、そして経済活性化の基盤作りという観点から、移行政権は当初から幹線道路整備の重要性を強く主張していました。
 2003年9月、国連総会の場において、小泉総理、ブッシュ米大統領及びサウード・サウディアラビア外相が共同で、カブール・カンダハル・ヘラートを結ぶ幹線道路整備に関する声明を発出しました。日本は、2002年来、カンダハル市街地で補修工事を実施し、2003年1月よりカブールに向けた市郊外での補修工事を開始しています。さらに、アジア開発銀行が行うカンダハルからパキスタンへ続く道路の主要部分を修復する計画に、ADBに設けられている貧困削減日本基金が使用されています。
 また、2003年2月には、カブール市内のバス路線の苛酷な乗車状況を改善するため、暫定政権(当時)の要請に基づき、市内路線用バス111台を供与する他、カブール国際空港支援の一環として、空港バス4台を供与します。


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