日本の対南西アジア外交

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■
パロパカール産婦人科病院
の再建
位
人間開発指数
ネパール全土から妊産婦を受け入れているパロ
パカール産婦人科病院も大地震により甚大な被
後発開発途上国(LDC)からの脱却へ
害を受け、日本は同病院の再建支援を行いまし
ネパールは、約9,000名の犠牲者が発生した2015
年のネパール大震災や新型コロナウイルス感染症で
影響を受けた社会経済の復興に取り組んでいます。
日本は、経済成長及び貧困削減、防災及び気候変動
対策、ガバナンス及び民主化の強化という3つの重点
分野からネパールを積極的に支援しています。
た。2019年の竣工式の際、ネパール政府より
日本に対して、ネパールが幸せな時期も辛い時
パロパカール産婦人科病院
(写真提供:JICA)
3,300万人
■ 災害に強い国造りのための支援
パキスタンと同じく多くの災害に苦しんできた日本
は、これまでにパキスタンで初の国家防災計画の
策定、防災人材の育成、気象レーダーの整備、国
日本の強みを生かして
家洪水防御計画の実施支援等、同国の防災分野
への継続的な協力を行ってきました。死者1700人
パキスタン政府は、国土の3分の1が水没し、被災
16m
以上を出した2022年の大規模洪水に対しては、
日本は緊急援助物資の供与、国家防災計画の改
訂、河川構造物の診断、被災した施設・資機材の
農耕地が洪水の被害を受けた地域で農作物用の種
子を配布する様子(2022年)
(写真提供:JICA)
復旧等を通して、復旧・復興に貢献しています。
■ ベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)
日本政府は、2014年以降、「ベンガル湾産業成長
地帯(BIG-B)」構想の下で、バングラデシュの経済
水深
インフラ整備、投資環境整備、地域連結性強化に
経済成長に伴う深海港開発
バングラデシュでは、近年の高い経済成長に伴い、
貨物の貿易額が過去10年間で年平均約8%の伸びを
記録しています。同国最大のチョットグラム港は、貨
物取扱容量を越える状況にあり、また中・大型船の
受入れも困難な状況にあるため、深海港の建設が急
務となっています。
資する支援を行い、同国の後発開発途上国からの
卒業を後押ししています。同国南東部では、水深
16mとなるマタバリ深海港や首都ダッカへと繋が
マタバリ港に到着した初の大型外航船
(写真提供:JICA)
2023
後発開発途上国(LDC)卒業
より自立的な成長へ
べられました。現在も同病院は拠点病院として
ネパールの医療・保健衛生向上に寄与しています。
2022年大洪水被災者総数
者総数は約3,300万人に上ると発表しています。被害
総額は300億ドル以上、最低限の復旧には163億ド
ルが必要とされており、国際社会による支援が求めら
れています。
期もネパールと共にあり感謝するとの謝意が述
1.5m
国土消滅の危機
モルディブは平均海抜が1.5mという平坦な地形の
ため、サイクロンによる高波や地震による津波の被害を
受けやすい地形です。また、地球温暖化を原因とする
海面上昇とサンゴ礁の死滅に対応するため、モルディ
ブは国際社会に環境保護を訴えています。
太平洋」の実現に向けた協力を行っています。
日本政 府は、保 健・医 療 分 野においてもブー
タンを支援しています。新型コロナの影響を受
けたブータンに対して、同国の保健・医療体制
を強化するために、山 間部の多いブータン国
内でも移動に優れたSUV小型救急車を提供し
ブータンは、国内経済が新型コロナの深刻な影響を
平均海抜
改善に取り組むとともに、「自由で開かれたインド
■ 保健・医療関連機材の供与
年
受けつつも2021年以降は回復し、高い経済成長率を
維持しているものの、引き続き国内の失業率や都市と
農村の格差などの課題を抱えています。ブータンは
2023年にLDCを卒業する予定で、これらの課題に取
り組みながらさらに発展していくことが期待されます。
る橋梁や道路の整備を支援しており、輸送環境の
ました。
ブータン国内を走る移動に優れたSUV小型救急車
■ マレ島の護岸工事
日本 の 無 償 資 金 協 力により1987年から15年
間にわたってマレ島を取り囲む防波堤を設置。
2004年のインド洋大地震及び津波で、モルディ
ブ国内は死者82人、被災者15,000人以上とい
う大きな被害を受けたものの、
マレ島は壊滅的被
害を免れ、政府の機能も維持されました。2006
年、モルディブ政府は日本の経済協力への感謝
として、日本国民に対し「グリーン・リーフ」モル
ディブ環境賞を授与しました。
Ministry of Foreign Affairs of Japan
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