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事務次官会見記録 (平成11年12月27日(月)17:00~ 於会見室)(事務次官)今年最後の記者会見ということで、何事もなく年末を迎えてよいお年をという感じにしたいところだが、幾つか申し上げるべきことがある。
一つはハイジャックである。言うまでもなく、日本政府としてはこういうハイジャック事件に対しては、強い遺憾の意を表明するものであり、いかなる理由をもっても正当化できない非人道的な犯罪行為であると思っている。従って、早期に乗員・乗客が無事解放されることを心より思っている。そして、依然として人質になっている方々が多数おられるということで、人質になっておられる方々、家族の置かれた状況を思うと本当に心が痛む次第である。亡くなられた方に対しては心からの哀悼の意を表したいと思っている。
日本政府としては、乗客・乗員の安全を優先とした事件の早期解決に向けての努力をインド政府その他に対して申し入れをしている。インド当局としても、早期解決のためにできることはやりたいということである。
現状を申し上げると、国連の調査団が26日午前にカンダハールに入って、犯人側との連絡を取っているということである。インド側からは非常に緊密にいろいろな連絡がある。ただ、インド側としても現地に交渉団を派遣する用意がないということで、そういう中での対応ということである。事件が長引いていて心配であるが、引き続き緊密にフォローしたいと考えている。(問)まず人質に日本人が含まれているかいないかという点と現地での安全確認の手段について現在どんな体制を取っているのか。
(事務次官)乗客に邦人女性が一人いることは確認しているが、ご家族の強い意向もあって、氏名については公表していないということである。対応がどうなっているかについては、在インド大使館が24時間体制で情報収拾等を行っており、また在パキスタン大使館からも政府およびパキスタンにあるアフガニスタン大使館等に早期無事解放に向けての協力を要請し情報収拾を行っている。それから、アラブ首長国連邦に飛んで行ったときにはいろいろ同じようなことを行った。いまカンダハールという物事がどう動いているかフォローしにくい場所に行っているが、事件対応のための人をだれか派遣できないかということで、条件が整い次第実施したいと考えている。
(問)日本時間の17時ぐらいから、犯人が「人質を殺す」と言っているとの報道もあるがどのように見ているか。
(事務次官)心配しているし断固許されるべきことではないと思う。
テロ「注意喚起情報」
(事務次官)テロの話をもう一つ申し上げる。これはニュース等で既に出ているものでご承知の向きもあろうかと思うが、米国務省は今月11日と21日の二度にわたって「注意喚起情報」を発出し、全世界における米国民を標的としたテロの脅威に関して注意喚起を行った。特に、新年の諸行事にかけてテロリストが米国民を標的にした攻撃を計画しているとの信頼できる情報を得ており、世界中の大規模な行事や式典が開催される場所においてテロ攻撃があり得るとしている。
こういうテロ事件が発生する場合には、当然のことながら日本人が巻き添えに遭う可能性も考えられるので、既に今月16日、海外安全相談センター情報を発出して、年末から年始にかけて海外旅行をされる邦人の皆様、海外に滞在される邦人の皆様に対して安全確保には十分注意されるよう呼び掛け、また念のため、去る24日にも同センター情報を再度発出して改めて注意喚起を行った次第である。わが方が発出したこの海外安全相談センター情報は、席上配布されていると思うが、以上、年末を締めくくるに当たって、若干心配な話ばかり申し上げて残念であるが、そういうことを無事越えて、よいお年をお迎えするよう申し上げる。(問)海外安全相談センター情報に関し、これは安全確保には十分注意するようにということで、「退避勧告」とは種類が違うのか。
(事務次官)「退避勧告」とは違う。実は本件は言うは易くして簡単でないのは、まさに観光でいらっしゃる場合、「人の集まる所には全部行くな」という話なのかとやりだすと難しいところがあるが、そうは言ってもやはり「注意しましょう」という目線がどこかにある方が万一の時に差を分けるかもしれないということで、それ以上に「こういう警報があるから旅行はやめた方がいい」とかいうようにはなり得ないのはご理解いただきたいと思う。
沖縄サミット関連
(問)来年沖縄で、東京以外では初めてのサミットが開かれるということで、大ざっぱで結構だが現状ではどういったテーマについて議論されるのか、見通しは如何。
(事務次官)議題といっても、これから来年議長国になって関係参加国の意向を踏まえつつ練り上げていくもので、いまの段階で「これとこれだ」というような話ではないことはご理解いただきたい。ただ、何回か申し上げている通り、2000年というある意味で節目の年であるし、サミット・プロセスが始まってちょうど25周年でもある。こだわるわけではないが、それなりにいろいろな意味で節目の年だし、それからアジアでのサミットであるということ、何と言っても21世紀を迎えてグローバルに主要8カ国(G8)が協調して取り組むべき課題はいろいろある中で、21世紀のキックオフというか、そういったサミットになればいいのではないかという気がしている。その辺はこれから関係各国シェルパを呼んで詰めていく話だろうと思う。また、サミットの特殊性として、その直前に何か大きな話があると自ずから関心は振れていくから、来年の7月までには何かそんなことがあるのではという気が個人的にはしている。
普天間移設問題
(問)きょう名護市長が移転問題について受諾を表明した。その中で15年期限を条件としているが、外務省としてはどういう対応をされるのか。
(事務次官)15年の問題は従来から一つの関心を集めている項目であるが、今般の市長の表明を受けて閣議で立場を表明するよう調整中であるので、いまの段階では日本政府としての表明はお待ちいただきたいと思う。
Y2K問題
(問)米はロシアの2000年問題に関係してロシア、モルドバ、ウクライナからの退避勧告のようなものを出したと思うが、こうした国を含めて外務省として「この辺は危ない」というようなことをまとめて出すような考えはないか。
(事務次官)「退避勧告」を出したというのは自分(次官)は承知していない。原課から後で返答させてもらう。ただ、Y2Kに関して「どこそこの国は危ないから行くのはやめなさい」みたいなことは確かやっていないのではないかと思う。
(後刻、主管課よりY2K問題による退避勧告等「海外危険情報」は発出していない旨の貼り出しを行った。)
事務次官会見記録 (平成11年12月20日(月)16:20~ 於会見室)(事務次官)日朝の赤十字会談については、北京でどのように締めくくるかという感じで協議が続いていると承知しているが、まだどういう内容か等は聞いていないし、それ以上現段階で申し上げられる状況にはない。
先ほど予算案の内示があった。年に1度の最重要行事というか、やはりそれによって明年度に何ができるかなどが決まっていく話であり、いま精査をいろいろして、これからどんなメリハリをつけた形で復活折衝をやっていくか、作業中である。具体的な話は別途担当課長から申し上げるべきものだろうと思っている。
マカオの返還が終わり、考えてみると、これでアジアにおける植民地がなくなったわけで、ちょうど2000年を前に一区切りついたというか、それなりの感慨がある。日朝会談関連
(問)赤十字の協議がまだ始まっていないようだが、現状認識如何。
(事務次官)いつ始まっていつ中断してなど、その辺はまだ知らないが、どうやって締めくくっていくかの段階だと承知している。いずれにしても、いままで「水面下」とかずいぶんいろいろなことを申し上げたが、「水面上」で始まったこと自体やはり意味があると思っている。
(問)成果は出てきそうか。
(事務次官)その辺までは報告を受けていない。
(問)日朝政府間の予備会談の方は今日開かれるのか。
(事務次官)その辺の今後の段取り等については聞いていない。
(問)開かれない場合もあるのか。
(事務次官)承知しない。
ロシア下院選
(問)ロシア下院選の結果はまだ確定していないがどう見ているか。
(事務次官)これは夕刊にもみな出ているが、1位が「統一」、2位が「共産党」で数党が(議席獲得に必要な)5%を超えそうだということだが、ご承知の通り国内選挙は内政問題なのでああだこうだとあまり立ち入ったコメントはすべき話ではないと思っている。ただ、日本にとって大変重要な隣国であるロシアがこの選挙を経てどういうふうに一層改革路線が動いていくのか、それは一層安定の方向に動くのかを、期待を込めて見守るというところで、言ってみればそういう感じではないかと思う。
1月の大臣外遊日程
(問)来年1月の大臣の外遊日程が一部で報道されており、欧州とか米国とか伝えられているが、現時点での事実関係如何。
(事務次官)現時点では、先ほど大臣が帰国されたばかりで、これから詰めていかなければならないと思っているが、結論を申せば、全く決まっていない。
(問)防衛庁の方では「2+2」を1月にやりたいということで話を進めているやにも聞いているが、外務省としてはこの「2+2」については如何。
(事務次官)今年中にも何回か日程をセットしなければと思っていたが、なかなかうまくいかなかったし、どこかでやった方がいい日程であることは間違いないが、これまたいつ頃とか決めていくところまでには至っていない。
事務次官会見記録 (平成11年12月13日(月)17:00~ 於会見室)(事務次官)日朝間のやり取りについて、交渉の段取りとか日にちがいろいろ出ているが、事実関係としてはまだ確定するに至っていない。
本13日、東京で朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の理事会が開催されており軽水炉本体工事の主契約を行う方向で話がついたと聞いている。KEDOの作業も朝鮮半島の安定、地域の緊張緩和の一環として従前より重視してきたが一歩動いたのはよかったと思っている。日朝関係
(問)KEDOの主契約について、いつになるか等具体的に説明をお願いしたい。
(事務次官)主契約をして本体工事がそれによって動き出すというのが第一歩なわけである。主契約をしなければそもそも工事主体が決まらないわけである。政府で構成される主体が物事を動かすには主契約によって工事主体を決めていかなければならないが、それがようやく動きだしたということである。
私もKEDOの立ち上がりの時点では担当していた。当時想定していたのに比べると時間がたってしまったが、朝鮮半島で北朝鮮を巻き込んだ動きとしては、もともと北朝鮮の核開発の可能性をどう封ずるかがスタートであった。今から考えると、あれが朝鮮半島で長きにわたった硬着状態を動かすひとつのよすがになったし、あのころに比べるといろいろな人が行ったり来たりして、過去形で言うのは早すぎるが、それなりに意味のあるプロセスだった。
逆に言うと、KEDOができなくてあのまま核兵器開発が続いているのではないかという状況が続いていたら、それはそれで大変由々しいというか、日本にとって深刻な状況であったと思うし、その可能性をとにかく封じる方向で物事を動かしたという意味合いがあると思う。ペリー・プロセスというのは、要するに北朝鮮が大量破壊兵器なり、核開発なり、ミサイルなり、そういうものを入手し始めると、長きにわたって戦火の再勃発を抑えられてきた朝鮮半島が急速に不安定化すると危険であるということで始まったプロセスであるので、そういう意味で利用されることは、作るとか作らないということ以前の話である。(問)日朝の予備交渉の段取りはまだ確定していないということだが、見通し如何。
(事務次官)確定していないのでまだ見通しが申せないということで、日付がいろいろ報道されているのを関心をもって読ませていただいている。報道で「(なんとか)か」という感じに間違いはないと思う。先方といろいろ連絡をしなければならないこともあるし、「これでいきましょう」と決まっているのに、それを発表しないという状況とは少し違うことをご理解いただきたい。
(問)年を越すことはないのか。
(事務次官)年を越すということは今のところ想定しないで、何とか段取りをつけようと思っている。
(問)政府間交渉の予備交渉と赤十字の方の人道問題の予備交渉は別か。
(事務次官)名前をどうつけるかについて言えば、赤十字は赤十字ではないかと思う。最初からその二つということを想定している。
(問)政府間の予備交渉でも当然人道問題について言及はされるのか。
(事務次官)今後どうやって対話を動かしていくかという話であるから、そこでいろいろな段取りを相談していかなければならない。その上で段取りをいろいろ付けていかなければならないと思っている。
(問)予備交渉そのものは何週間も続く可能性はあるのか。
(事務次官)何週間も続くと正月になってしまう。まじめな話、そんなに延々とということは想定していない。まだ段取りも付いていないので、そこをご理解して頂ければと思う。
中露関係関連
(問)先日行われた中国とロシアの首脳会談について、会談結果についての日本政府の考え方如何。
(事務次官)エリツィン大統領は、以前より訪中、訪日が外交課題だと言っていたわけであるが、まず中国へ行ったということである。ときまさにチェチェンで非常に厳しい状況に置かれているエリツィン大統領であるが、チェチェンについてのロシア側の立場に対する中国側の理解は、エリツィン大統領にとっては一つの助け船のような感じがあったのではないかという気がする。基本的には中露関係がどのように安定化していくか(不安定化していたわけではないが)、大変重要なアジアの安定という観点からも、重要な両国のやり取りを関心をもって見ていた次第である。今後とも、中露関係がどのように中長期的に動いていくかは、いろいろな角度からこの地域の安定にとって一つの大きなファクターだという気がしている。ご承知の通り、中ソの時代から両大国の関係には相当アップ・アンド・ダウンというか、いろいろなことがあったわけである。
(問)19日にロシアの下院選挙があるが、ショイグ非常事態相の「統一」が非常に伸びているなどと伝えられている。日本として、同下院選の動向でどの点を一番注目しているか。
(事務次官)どこの国の選挙であっても、最も国内的な政治の動きであるので、「あれが出るといい、これが出るとまずい」とかいう話はなじまない性質のものだと思っている。ただ、そういう中で、ロシアの内政を目するものとしては非常に注目していることは事実である。
沖縄サミット関連
(問)今日フォーリー米大使が都内の講演で、来年の沖縄サミットに中国のオブザーバー参加に理解を示した発言があったが、現時点での政府の対応は如何。
(事務次官)これは日本だけで決められる話ではないし、メンバー間の考え方もあろうし、中国側自身の受け止め方等あろうかと思うので、相当いろいろ考えなければならないとは思っているが、フォーリー大使が何を言われたのか承知していないので、いまの時点では従来の立場以上のコメントはできない。
事務次官会見記録 (平成11年12月6日(月)17:00~ 於会見室)(事務次官)二つ申し上げたい。一つはシアトルの世界貿易機関(WTO)閣僚会議。ご承知の通り、世界中で、各紙あるいは放送等で、論点が出尽くした気がする。なかなかバランスの取れた分析が多いと思うので、あまり付け加える点もないが、始まるに先だって「根の多い連立方程式」みたいな感じで、これは短期間に全部解け切れるかという気がしていたが、あのような形で、大臣の表現によれば「水入り」ということになった。私個人の雑駁な印象論としては、「これだけはぜひ取りたい」というベクトルの総和よりも、「これだけは絶対譲りたくない」というベクトルの総和の方が大きかったのかという気がしないでもない。いずれにしても、これからどうするかということである。
昔、大先輩に聞いたのであるが、ああいうGATT(関税貿易一般貿易協定)、WTOのシステムというものはやはり折に触れて「ラウンド」で大幅な前進を図ることをやっていないと、すぐズルズルと自由貿易体制が侵食されるというのが事の性質で、そういう意味でラウンドを動かすのが重要なんだという「そもそも論」を説教されたことがある。やはり、こういう多角的な自由な貿易体制の維持にバイタルな利害関係をもつ日本としては、これをどうやって立ち上げるかが今後の課題になるだろうと思う。そこはいろいろ知恵を出さねばならないし、単純に「またもう一遍すぐ会えば」という話でないことはお分かりの通りであり、一つの課題として残っていくものだろうとう思う。日朝関係(冒頭発言)
(事務次官)日朝関係だが、訪朝団がお帰りになって、河野大臣も昨日夕方帰って来られたという状況の下で、大臣自身訪朝団の主だった方々といろいろお会いになって、詳細・感触を得るプロセスにあるわけである。
そういうことで、今後の具体的段取り、タイミングなどその辺については、まさにいま鋭意検討しようというか、あるいはしているという段階で、「これからどうします」と決めて申し上げる状況にはまだない。いずれにしても、非常に大きな成果を上げた訪朝団であったし、これをどうフォローアップしていくかが今度は政府サイドの話になることは論を待たないことである。日朝関係
(問)青木官房長官は午前中の記者会見で、1回目の予備交渉を今年中に開くことが前提であると言われたが、そういう方針でよろしいか。
(事務次官)なるべくそういう方向に持っていきたいと思っている。ただ、具体的に日取り、段取り、だれが、いつなどその辺はまだ整備されていない。
(問)いま日本政府は昨年のミサイルの対抗措置として国交正常化交渉の凍結を出し、まだ続いているが、これを解除する場合には予備交渉をもって解除なのかそれとも本交渉なのか、どちらと理解すればよいか。
(事務次官)まさにその辺も含めて、それは優れて最初のコンタクトがどういうものかにも関わるわけで、ご指摘の点も含めてこれからいろいろ詰めていかなければならないと思っている。
(問)制裁措置に食糧支援の凍結もあったが、この解除は国交正常化交渉の凍結解除と同時なのか、それとも解除のタイミングは一緒でなくても構わないのか。
(事務次官)「当分見合わせる」ということで二つあるわけで、それが当然に同時でなければならないという話ではないと思うが、逆にどこかの時点で食糧援助が動いているとか、本格的交渉がどんどん進んでいるとかいうことになっていれば、その時点では既にその前のどこかで解除されているはずなわけで、今の時点でそれをどういうふうに整理するか、食糧の支援がどうなるか、そもそもの話としていろいろこれから政府サイドとしてこの訪朝の結果を受け止め、方針を熟慮していかなければならないという段階で、「これからああやります、こうやります」と申し上げる段階にはなっていないということである。
(問)人道問題については「赤十字社と政府間の協議で」と聞いているが、外務省としてこれをどう受け止めているか。
(事務次官)そういう方向で、ということを訪朝団の方からお話があったと承知している。そういう中で具体的にどう動かしていくかはいろいろ考え、整理しなければならない。いまのところまだ大臣が感触をつかんでいる段階で、その上で事務当局を含めてどうやっていくか。段取り、整理いろいろあるんだろうと思う。過去の経緯もいろいろあり、まだ「こうこうこうである」というところまでは行っていない。
(問)そういうことを含めて予備的な協議なり折衝、会談が必要であろうということでよろしいか。
(事務次官)政府間でどういうふうに対話を立ち上げていくかという話も「水面下」というのもあり、これはちょっとある意味で新たな段階と言えば言えないこともないわけで、その辺をどうするかはいろいろまさに北朝鮮政府サイドの話もあろうし、いろいろ考えて方針を詰めるという段階である。何しろ大臣が帰ってきてまだ24時間だから。
(問)米国の場合だとペリー調整官が上にいて、下にミサイル担当とか担当官が分かれており多重構造という感じだが、わが国の場合交渉全体のイメージとしてそのような多重構造というか包括化を図るということはあり得るか。
(事務次官)米国のイメージを日本に持ってくるとどうなるかよく分からないが、国交正常化交渉が止まる前は何が起きたかというと、最初に予備交渉を何回かやって、それから正常化交渉担当大使のシニアな方がおられ、大使が一人でやるのではなく人を連れて行っていろいろやり取りをやるというのが92年ごろである。今度どうするか、先方とのやり取りとかいろいろなことを踏まえて決めていくということだと思う。
WTO関連
(問)放っておけばBIAだけで来年から交渉が始まることが決まっているが、日本が主唱されたより広い範囲で立ち上げるために具体的にいまどうされるお考えか。
(事務次官)まだ必ずしも明確なものはない。いろいろ知恵を出さなければならないし、既にあのプロセスで明らかになった通り、いかに効率的に意思決定を行うかということと透明性は相反する話になっていることは分かっているわけで、みなそれぞれ大変に思いがあるので、それを何かの知恵を出せば一刀両断で全部済むということでないことは明らかである。しかし、最初に申した通り、新しい世紀に入ると言えば大げさに聞こえるかもしれないが、基本的に自由な多角的な貿易体制を維持することは日本にとって引き続きバイタルであろうし、その中で関係各国と接触をして、自ずから分かち合う利益を持つ国々はいろいろあるわけで、いろいろやっていくべきだろうと考えている。
(問)必ずしも今後の見通しが明確でないということだが、場合によってはBIAだけで交渉が始まることを日本政府として呑まざるを得ないということもあり得るということか。
(事務次官)そこのところは決まっている話だから、決まっている話を決まっていないと言うのは難しかろうと思う。さはさりながら、そういう中で全体として物事をどう動かすかについていろいろ努力をすることは、これまた別の話だと思う。
日本赤軍関連
(問)青木官房長官のきょう午前中の会見で、登外政審議室長がレバノン、シリアに行って日本赤軍の受刑者の身柄引き渡しを公式に求め、認められたが、これに関して外務省の見解は如何。
(事務次官)事実関係を申すと、3日から5日にかけてレバノン、シリアを訪問した。レバノンではラフード大統領、ホッス首相と、シリアではシャラ外相ほかとそれぞれ会談した。赤軍の話だけでなく2国間関係、中東和平など非常に幅広く意見交換を行っている。その中で、レバノン政府首脳に対しては、同地にて服役中の赤軍メンバーについて改めて「司法手続き終了後の速やかな身柄引き渡し」を要請したということである。また、シリア政府首脳に対しては、本件に関するレバノン政府との会談内容に基づき現状を説明して先方の理解を得たということである。それ以上の具体的な協議内容については外交上のやり取りであり、この程度申し上げるということである。
(問)「先方の理解を得た」ということは、日本の希望を受け入れてくれたということか。
(事務次官)「理解」とは要するに「言っていることは分かった」ということで、「分かりました。渡しましょう」という話にまでなったかどうか、そういう意味で使っている言葉ではない。私は、本件は隣のイスラエルに居て、ある意味で事件発生地国だったものだから、若干いろいろ思いがある案件である。
(問)どういう思いか。
(事務次官)やっぱりオモイですよ。オモイっていうのはヘビーの方の重い事件だったという気がする。ここで乱射が始まってとか。もうイスラエルの中では記憶が薄れているが、やはりああいう時期があったと、あれは何だったのかとか。イスラエルは確か自分の兵士の釈放を得るために捕まえていた人を全部釈放した。その中で日本赤軍メンバーもみんな釈放されるのだが、テロとか国のサバイバルをやっている当事者間のギリギリのやり取りはなかなかシビアだなとあの当時も思ったし、今度現場にいていろいろ感じた次第である。
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