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事務次官会見記録 (平成13年1月29日(月) 17:00~ 於会見室)(事務次官)外交日程について2つ申し上げる。どちらもペンディングという状況である。日米首脳会談については、「双方にとって都合の良い早い時期に」ということで意見は一致しているが、「何月何日という具体的日程は柳井駐米大使とライス補佐官との間で詰めましょう」ということになったのが河野大臣の訪米の結果である。
日露首脳会談の日程
(事務次官)森総理の訪露、イルクーツクの件であるが、これもロシア側と引き続き協議を行っているが、日程調整が詰まりつつあるという状況ではない。日本側としても、いろいろな都合や関連情報等を考えながら、総合的に判断していきたいと思っている。
(問)自民党の鈴木総務局長が、「この際2、3ヶ月冷却期間を置いた方が良い」とある会合で発言し、4月以降に先送りしたらどうかという見解を示しているが、現段階ではまだ2月か3月に行うというのが外務省の方針であるか。
(事務次官)「何月ならだめ」「何月なら良い」というところまでは詰まっていない。要は、いろいろなことを考えながら詰めていきたいと思う。「むしろ先にした方が良いのではないか」という見解を(鈴木総務局長が)述べられたということであれば、自分は聞いていないが、どういう考えなのかを伺ってみたいと思う。まだ若干時間がかかる気がする。
(問)ロシア側からのオファー自体には変更はないか。
(事務次官)具体的にどのオファーならだめで、どのオファーなら良いのではないかというやりとりについては、勘弁していただきたい。
(問)外相会談の後に示されたオファーについてはどうか。
(事務次官)どの辺のオファーが来て、それに対して日本側についてはこうであるという日取りのやりとりの詳細については、あまりにふわふわしているので、申し上げるのは差し控えさせていただきたい。
公金流用疑惑
(問)公金流用疑惑に関連して、衛藤副大臣が「外務省の外交機密費についても、適正な使い方が行われているかどうか調査したい」という見解を述べられたが、事務方にそのような指示はあったか。
(事務次官)正に松尾事件が始まった時に私も申し上げたが、要は報償費が適正に使われているかどうかという疑問を持たれること自体、外務省システムの名誉と信頼に関わる話なので、いろいろ知恵を絞って何ができるのか、どう点検するかというのは非常に大きな課題だと思っている。ただ、報償費というものは、透明性というのがなかなか難しい性質のカネであることはご理解いただきたいと思う。
(問)衛藤副大臣は外務省の報償費について、「機密性の低いものについてはできるだけ公開したい」というような見解を示しているが、情報公開のあり方についての次官の見解如何。
(事務次官)どういうふうに整理するかということは、なかなか難しいのではないかという気がする。組織として、何をすることによって信頼をもう1度回復できるかというのは大きな課題であるということは認識している。ただ、実感を申せば、自分も在外に何回もいて、報償費というもののをそれなりに知っているが、今回の事件のような規模を見ると本当に耳を疑いたくなる。例えば、いろいろなオペレーションで、「あと20万円あったら本当にいろいろなことができるのに」というような世界で皆苦労しているわけである。少し品目が違うので仕方ないが、在外で仕事をしていると本当に「もう少しカネがあったらいろいろなことができるのに」と思いつつ、皆ぎりぎりで頑張っているというのが実態であるということはご理解を得たいと自分は思う。
(問)一部報道で、調査報告書に載っていた口座以外に、内部調査で別の口座があることを外務省は確認しているとのことであるが、事実関係如何。
(事務次官)どの報道か知らないが、調査委員会がきちんと調べることができたのはあの報告書に載っている口座で、それ以外にあるであろうが、それは任意の調査であるので、全部の口座を精査するということはできなかったということである。その辺は、正に強制調査でカネの「出」と「入り」が全部明らかになるプロセスを待つしかないであろうという気がしている。
(問)ひとつの口座で5400万円を重点的に調査したということについて伺うが、報告書に載っていた口座以外にもほかの口座を持っていたということは認識していたか。
(事務次官)口座がいくつかあるということは、確か本人の陳述でわかっていたと思う。ただ、その口座を全部提出されなかったし、入手していないから見ていないという口座の方が多かったのだと思う。ただ、少なくとも5400万円というのは、これで全貌が解明されたとは全く思っていないわけで、少なくとも「これだけでも告発できるはずだ」ということで踏み切ったわけである。だから、「不十分ではないか」と言われれば、不十分は承知の上で、ただ「これだけでも告発できるだろう」という性質のものである。従って、報告書にも書いてあると思うが、まだ1億なんぼとかいろいろわからないことがあるし、更にほかの口座に何が入っているかわからない。その辺は、任意調査であるということは、それぞれの銀行に提出を求めるということは多分できないであろうと思うし、そこが強制捜査との差なのだろうと思っている。言い訳では決してなくて、ぎりぎり本人が任意に持って来た公金を出し入れしている口座というもので、少なくともそれを精査しただけで、「出」と「入り」から「これくらいは横領ではないか」ということであり、「ほかは横領していない」ということは全く言っていないわけで、そういう性質のものとしての5400万円である。あとは、いろいろな口座を調べていただいて、強制捜査の中で全貌が明らかになるのを期待したいし、すでに刑事的プロセスが始まっているが、その過程で外務省としてそういう刑事事件の解明のために、引き続き新たな情報があれば捜査当局に協力して渡していく。
(問)元室長以外にも、複数の外務省幹部が元室長の口座に振り込まれた機密費を使って海外旅行に行っていたことが警視庁の調べでわかったという報道があるが、そのような事実関係の確認はしているか。
(事務次官)松尾事件に関連していろいろなことがあったのではないかという話が流れているのは承知しているし、そこは調べているところであるが、現在のところ重大な問題というような話は出てきていないというのが実態である。
(問)自民党の外交部会等でも「今の調査では不十分だ」と納得していないということもあって、外務省として今後新たな調査チームを作って調査する予定はあるか。
(事務次官)調査チームは存続して、組織の点検はあらゆる角度からやらなくてはならないと思っている。ただ、告発が受理されて、強制捜査が動き出すと、「それとは別に外務省の調べたところで、わかったことはこうである」という話ではないのではないかと思う。それは、むしろ捜査当局にお手伝いするというのが、刑事手続上の筋ではないかと思う。ただ、「告発したからうち(外務省)の仕事は終わった」という姿勢の話ではなく、手続の話としてそういうことではないかと思う。
(問)松尾氏の事件についてはそうだとしても、ほかについての調査は行うのか。
(事務次官)もちろんである。組織自体に問題のあることがあるかどうかである。
(問)それは、これまでの調査チームが継続して調査を行うということか。
(事務次官)いろいろなやり方があると思う。
(問)1月4日には「こういう調査チームを作る」とはっきりおっしゃっていたが、それ以外に今形をなしているものはあるのか。
(事務次官)1月4日にスタートした時には、まずは犯罪事件につながる、あるいは犯罪と思しき肝を見つけようということであった。それは全貌解明には程遠いが、少なくとも「これは告発できるのではないか」というのが、この間の報告書である。それとは別に、それに関連していろいろな報道があるし、それは組織の名誉に関わる話であるので、何か問題があることは糾弾しなくてはならない。そういう中で調査委員会は存続しているし、組織としていろいろなことをやらなくてはならないと思っている。ただ、方法論で1、2、3、4という話ではないと思う。
(問)改めて確認するが、調査の発表の際、官房長が「松尾が水増しした請求をする等の不正な経理操作をしていたようであるが、そのことについては外務省のスタッフは一切わからなかった」ということを発言していたが、それは調査をして、松尾氏に関わり得る外務省関係の職員からも話を聞いた上でそれだけ言い切ったわけであるから、それはなかったということか。
(事務次官)あの報告書は、まず第1に推論は省いている。推論というのは報告にならないわけである。しかし、少なくとも「チェックがなかった」というのは明確な事実であり、そこはいろいろな関係者等の事情聴取から出した結論である。
(問)「チェックがなかった」ということは、知り得なかったということか。
(事務次官)チェックをする体制になかったということである。
(問)処分を受けた過去の総務課長経験者、官房長経験者、事務次官経験者等、その方々には何らかの形で話を聞いているのか。
(事務次官)やっていたはずである。
(問)チェックの体制について聞いたのか。
(事務次官)そうである。特に、このシステムがスタートした時点についてである。
(問)報告書の中の口座について、「元室長が有していたとされる」という書き方になっているが、本人名義の口座であるか。
(事務次官)本人名義だと思う。全部本人が持ってきた口座であるので、本人のものだと思う。仮名とか偽名という話ではないと思う。
(問)先日の発表では、銀行8口座と郵便貯金1口座の計9口座とのことであるが、これ以外にも外務省が把握している松尾氏関連の口座はあるか。
(事務次官)把握していたら書いていたと思う。
(問)昨日のテレビでも副大臣が「横領した金額についてはきちんと返還請求は当然する」と述べているが、返還請求の額は基本的には当局が認定した額になるのか。それとも外務省なり官邸なりが独自に調査して、どれだけ流用していたか認定して、それを請求することになるのか。
(事務次官)その辺になるとわからない。正にこれから捜査当局がいろいろやっていく強制捜査の中で、われわれが把握し得なかったカネの出入りがあるのだと思う。その中で「こういう額であろう」というのが確定し、そこで刑事手続がどうなるかというのとは別に、どういうような法的手段で誰からどうなるかというのは、今の段階で「その場合にはこういう訴訟になります」ということは申し上げられない。
(問)損害の額の調査は行うのか。それとも、全面的に当局に任せるのか。
(事務次官)別途ということではなくて、それは捜査を通じて額が明らかになると思う。「出」と「入り」の確認というものは、われわれの任意調査では、どうしてもふわふわしたものでしかないし、向こうが「これは私金だ」と言われれれば不完全燃焼になってしまう。ただ、今の時点で申し上げているのは多分に推論であって、今後司法の手続が始まるわけであるので、その中で見えてくる話であろうと思う。今の段階で「こういうふうにやる」ということは到底言えないということはご理解いただきたい。
(問)官邸分のお金を外務省がどう請求するのか。
(事務次官)それは誰がやるのかという話なので、それを含めて整理しなければならない。それは、どういう事実関係が見えてくるのかによる。
(問)つまり、官邸分を外務省が請求することもあり得るということか。
(事務次官)今は全く予断できない。
(問)調査発表の時に、官邸側では誰が担当したのかという話があったが、「それについては松尾氏から内閣の事務官からとは聞いているが、誰かはわからない」という話であったが、その後進展はないか。
(事務次官)わが方としてというよりも、官邸の中の手続に関わる話であるので、自分自身は承知していない。
(問)夕刊の報道で、各国大使館に裏帳簿があったということであるが、事実関係如何。
(事務次官)要するに、「これで食事でもして下さい」と言って3万円等を置いていく人は時たまいるわけである。それをまとめて「皆で食べよう」ということはどこでもあるわけで、それは裏帳簿とかそういうおどろおどろしい話とは全く違うと思うし、そういう認識である。
(問)ノーチェックで何億というお金が使えたということであるが、そういうシステムを最初認めた上司は誰か。
(事務次官)システムを認めたというか、結果としてそういうことになっていた。その当時、つまりこのシステムがスタートした時の上司は処分に出ていると思う。その中に出ている初代の直属の上司は官房総務課長であり、官房長である。ただ、「このシステムで良い」というふうにそもそも明確に認めたのかどうか、そこは正に「このシステムで行きましょう」という感じで皆で詰めたというわけではないというところが、正にチェックが不足していたということではないかと思う。
(問)再発防止策であるが、この間の報告書では今月いっぱいで支援室を廃止し、官房総務課長の元で(機密費を)扱うということであるが、以前は総理の外遊の都度それぞれの部局の会計担当者が受け取ったという話であるが、その仕組みを今後どうするかという最後の詰めは今月末をメドに決めるのか。
(事務次官)あの支援室は単に現金だけではなく、飛行機や宿舎のアレンジ等全部あるわけである。殊現金に関する限りは、このダボス会議の時から一切現金には触らなくなったとは聞いている。いずれにせよ、およそカネに関する話は正にチェックがなかったというのが大問題なわけであるから、本当にシステムを再点検しなければならないと思っている。
(問)具体的には、今まで松尾氏がそのお金を現金で受け取っていたようなことを、代わりに行うのを誰にするのかということもまだ決まっていないのか。
(事務次官)確かダボス会議の時の現金は(支援室は)一切扱っていないはずである。全部官邸サイドで行っており、その意味でそもそも現金やカードを持っていくという話ではなくなったと聞いている。ただ、それとは別にして、やはりこういう組織に猛烈に穴があいている、つまりチェック・システムがないということは、この際見直した方がいいとは思っている。
(問)何億というかなり多額のお金を横領したということであるが、ということは機密費をそれだけ減らしてもやっていけるということであるか。
(事務次官)報償費のあり方についていろいろな厳しい目があるということは、それはそれでわかるし、そういう中でどうやってシステムを点検していくかという話だろうと思う。他方、先程申し上げた通り、在外にいる頃は4桁違う話で皆苦労しているのに、本当に悔しいし、残念である。「その1億をこっちに回してくれれば」という話とは別であるが、そうやって皆が苦労している時にこういう事件が起こったということは、本当に残念である。
(問)報償費の転用の問題があって、官邸も否定しているが、報償費の中に在外公館分と本省分というのがあると思うが、本省分というのはどういうことに使っているのか。
(事務次官)いろいろな外交工作は本省でもあるということに尽きる。
(問)先程「これで食事でも」ということで3万円なりを置いていかれるのをまとめ上げて皆で行くという話であったが、ポケットマネーの3万円であればわかるが、これを総理の外遊の際に関係者が内閣官房費から出しているということはないか。
(事務次官)自分の知っている限り、そんなに大きな額が来たことはない。大体1桁万円とかである。それでも結構大きな額であり、年に何回か皆で中華料理に行くという類の話である。それは裏帳簿とかいう話とは全く違って、イメージが非常におどろおどろしくなったのは自分自身若干驚いている。
(問)報道されているように、総理の外国訪問の際に、訪問先の大使館員に対して相当額の何らかの現金が渡されるという事実はないのか。
(事務次官)自分は承知していない。ないと思う。
事務次官会見記録 (平成13年1月22日(月) 17:00~ 於会見室)(事務次官)週末にいろいろなことがあったが、ひとつにはブッシュ大統領の就任式があった。すでに報道され尽くした観もあるが、自分の個人的な感想を言えば、やはり米国は理念で国を作ってきた国であり、節目節目でどういう理念を求心力とするかというのがポイントになる国であるなと演説を聞いて思った。礼節、勇気、思いやり、品性という理念であるが、考え方によっては、非常に接戦で対立の雰囲気が高まった大統領選の最後の段階を超えるために、そのように国をまとめていくというのは非常に重要であろうということがあったのだと思う。ある意味当然であるが、施政方針演説とは少し違うということを実感として感じた次第である。
アロヨ・フィリピン新大統領の就任
(事務次官)フィリピンについても、ご承知の通り、アロヨ新大統領が就任した。エストラダ前大統領の弾劾のプロセスが進んでおり、それが中断した時点でどういうことになるのであろうかと、率直に申して事態の流動化や流血を心配していたが、ぎりぎりのところで憲法上の規定に沿った形で収拾された。ピープルズ・パワーと言われているが、良かったという気がしている。
金正日総書記の訪中
(事務次官)金正日総書記が15日から20日まで訪中したということが、ようやく発表された。それに先立って、訪中が動いているらしいといういろいろな報道や憶測が先行しており、われわれもいろいろな情報は聞いていたが、ようやく発表が行われたということである。金正日総書記が上海を訪問し、中国の改革・開放路線の成果を自ら見聞し、かつ非常に前向きに評価したということは、要するに金正日総書記が今後北朝鮮という国をどういう路線に導いていくかという観点から、当然関係している話であり、注目している。
当然のことながら、日本政府としては、北朝鮮が国際社会との関係をさらに進めて、ゆくゆく北東アジアの平和と安定に良い方向に動くことを期待している。以前から北朝鮮については、「ゆくゆくトウ小平がやっていたような中国の改革・開放路線に何とか踏み切らないと局面の打開が非常に難しいのではないか」「しかし、それには踏み切れないのではないか」等、いろいろな分析がされていたが、実際に現場を見て、その上でこれからどういう方向が打ち出されるかというのは、今後注意していかなければならない。その中で、日本も日朝国交正常化交渉等のいろいろな日本自身の行動において、朝鮮半島の状況が少しでも安定し、緊張緩和、南北和解、平和と安定等の好ましい方向に動かしていくべくチャンスと捉えて、いろいろやらなければならないと思っている。(問)「今回のことをチャンスと捉えて、いろいろと日本としてもやっていかなければならない」ということであれば、日朝国交正常化交渉がずっと止まったままであるが、ひとつの区切りになり得るということか。
(事務次官)(今回のことが日朝国交正常化交渉の)チャンスだと捉えられたとしたら自分が舌足らずで、要は仮に北朝鮮がこういうことで中国のやってきたような改革・開放路線に方向に行こうと本格的に動き出すのであれば、それはたぶん従来よりも朝鮮半島で物事が前に動き出すのにつながり得るし、そういうふうに動くかもしれないという中でチャンスを逃すべきではないということである。朝鮮半島で緊張緩和が進むということであれば、日本の安全保障にとって非常に重要な話であり、そういう中で日本は北朝鮮との国交正常化交渉を継続中であるが、どうやってそういう前向きの方向に動くのを日本なりに押していくかという意識で臨むということは重要であろうということである。日朝国交正常化交渉をこれからどうするかと言うと、交渉方針の話になってしまうが、今のところはこれからどう立ち上げるかということはまだ動き出してはいない。
外交機密費流用疑惑
(事務次官)いわゆる外交機密費の事件であるが、引き続き外務省としての調査をやっており、大分詰まってきたという感じであるが、まだ具体的に今の段階でいつ発表をするという日取り等は申し上げる状況にない。
(問)まだ調査が残っているということか。
(事務次官)いろいろと詰めなければならないことがあり、まだ作業はあるということである。
(問)外務省として、警察に被害届を出す予定はあるのか。
(事務次官)それはどう締めくくるかの話であり、どう締めくくるかはすでに警察とも緊密にいろいろやりとりしているが、それは正に報告書自体の話にもつながるので、そこだけ切り取って「こんな感じである」と言える段階ではない。
(問)河野大臣は、リヤドやモスクワで御自身の責任の話に言及していたが、次官の見解如何。
(事務次官)河野大臣とお話した時に、「責任というものは、ひとつは外務省の責任者として知らん顔という話ではなくて、まずは1月4日に指令したように徹底的に真相を明らかにするということである。そして、何が起こったのかを明らかにした上で、どういうふうにそれを体制を直すということが自分の仕事である」というラインのことを述べていた。これは、具体的には報告の内容に関わる話であるので、それを見た上で考えるべきことであろう。
(問)現時点では次官としての責任如何。
(事務次官)事務の責任者であるので、自分の責任はいろいろあると思う。しかし、それだけ先行するという話ではなくて、事実関係がどういうことで、何故そういうことが起こったのかということを明らかにする中で考えていく話だと思う。
(問)26日の期限が早まって、早ければ23日にも発表されるという話もあるが、事実関係如何。
(事務次官)早ければ23日にもという話が流れていたのは知っているが、23日ということは今の段階では難しいのではないかと思う。なるべく早くしたいとは思っている。
アナン国連事務総長の訪日
(問)アナン国連事務総長が今日来日するが、去年はミレニアム・サミットがあったが、国連改革に向けた今年の日本としての取り組み如何。
(事務次官)毎年同じ抱負を述べても仕方ないが、去年ひとつ大きな成果があったのは、喉にささったトゲというべきなのか、分担金の話をそれなりに片づけたことである。米国の分担金を減らし、しかつ日本の分もそこそこ減らした。これは、よその国にどう負担してもらうかという話であったが、ぎりぎりのところでうまくできた流れの中で、いよいよ21世紀に入って安保理改革の話をどう動かしていくかというのは、いろいろイマジネーション等がいるであろうと思っている。これはそう楽観視する話ではないが、そう悲観する話でもないというスタンスでやっていきたいと思っている。ただ、アナン事務総長自身は安保理改革を仕切るわけではないので、それは若干別の話であろうと思う。
事務次官会見記録 (平成13年1月15日(月) 17:00~ 於会見室)(事務次官)先程森総理がアフリカ訪問から帰国した。すでに皆様の報道で語り尽くされた観はあるが、現職総理として初めてのサブサハラ・アフリカ訪問というのは、やはり日本外交にとって意味があったということが1つである。
また、昨年の九州・沖縄サミットの準備プロセスにおいてアフリカ諸国との一連の議論を行ってきたわけであるが、そのフォローアップができたというのが2つ目である。
それから、グローバルな意味での外交という観点から、アフリカ問題に正面から取り組むということで、やはりその決意を示すということは重要であったし、その意味でも意義があった。
最初の南アフリカで政策スピーチを行って、その際アフリカ外交の基本的な考え方を発信できた。それぞれ非常に意味があったと思っている。エル・サルヴァドルにおける地震
(事務次官)エル・サルヴァドルで地震があったことを受けて、国際緊急援助隊医療チームを派遣し、今日夕刻に本邦を出発する。医師、看護婦、JICA職員等、計7名のチームである。第2陣として明日にも派遣すべく、準備中である。そのほかに、緊急無償資金援助50万ドル、緊急援助物資(テント、毛布、医療品、発電器等)2500万円相当を供与するということで、準備を行っている。
日露首脳会談の見通し
(事務次官)ロシアとの首脳会談の日取りをめぐって一部報道があったが、要はモスクワに赴く河野大臣の日露外相レベルでのやりとりで、それが決まるかどうかがである。
外交機密費流用疑惑
(事務次官)いわゆる外交機密費流用疑惑については、先週以来官房長の下で調査チームを作って本人からの事情聴取を行っている。その状況がどうであるかということについては、途中段階では「こうである」というコメントはご容赦いただきたいと思う。ただ、先週のこの場でも申し上げたと思うが、外務省自身の信頼と名誉に関わる話であるので、本当に一所懸命やっているということはご理解いただきたい。
(問)機密費が外務省の中で使われていたのではないか、つまり省内の方の飲食のために使われていたのではないかという指摘も出ているが、事実関係如何。
(事務次官)「そこはある」とか「そこはない」というふうに一つ一つという話ではなくて、全貌をきちんと解明したいと思う。
(問)今の質問について、次官御自身の認識如何。
(事務次官)今初めて聞いた。
(問)御本人はいつ警視庁から事情聴取を受けたのか。
(事務次官)自分自身は承知していない。ちなみに、わが方と警察当局とは、もちろんいろいろと連絡を取っている。
(問)調査はいつ終了する予定か。
(事務次官)一応26日というデッドラインを作っており、ベストを尽くして調査を進める。デッドラインを26日と見て、その中で何が可能かということは今しばらくやってみないとわからない。「何日頃できる」という話には到底熟していない。
(問)懲戒処分を決めたという報道もあるが、事実関係如何。
(事務次官)まずは何が起こったのか、そして何故起こったのかという話なので、そこが固まらないとその後のいろいろな対応は出てこないと思うし、そこは予断を持ってする話ではないと思う。
事務次官会見記録 (平成13年1月9日(火) 17:00~ 於会見室)(事務次官)明けましておめでとうございます。年の初めの総理のアフリカ訪問と首脳外交、外務大臣の湾岸訪問、また各省大臣にお願いしている外国訪問等が動き出している。
目下やっているのは、今年の第1四半期の外交日程を仕込まなくてはならないので、あれこれ考えている次第である。ダボス会議については、すでに報道されているが、仮に総理が参加できるということであれば、日本経済について心配する動きが多いので、力強い何らかのメッセージを出していただくと大変いいと思っているが、これはまだ決まっている話ではない。
また、訪米については、1月20日が新大統領の就任式ということで、その後予算等でブッシュ新政権としても相当忙しい時期が続くのであろうと思うが、速やかな日米両首脳の出会いをいつ頃できるかというのは、引き続きやっていかなければならないと思っている。
それから、総理の訪露については、河野大臣の日露外相会談を踏まえて、時期や、そもそもどういう形の首脳会談かということを考えていかなければならない。
米国の新政権とのやりとりについては、当然擦り合わせしており、その後になるが、実際問題として政治任命の方々が揃うのには結構時間がかかるであろうと思う。前のケースを調べたら、東アジア担当次官補が仕事を始めたのが9月であった。それでは、それまでの間空白かと言うとそうではなくて、生え抜きの方々が次官補代理レベルにいるので、それはそれでできるのであろうと思う。調査等いろいろあるので、揃うのに時間がかかるかもしれないという感じはしている。
そうは言っても、国際情勢待ったなしで、年頭からやはり朝鮮半島は今年どのように動くのか、金正日総書記の訪韓のシナリオはどうなるのか等、本当に目が離せないという気がしている。
中国は、WTO加盟が動く年であろうと思うので、その辺が新しいやりとりになるであろう。
目下大変気にしているのが中東和平であり、時間との闘いでどうも悲観論が強くなっているのはご承知の通りであるが、何としても事態の悪化を止めたいと思うし、大臣の湾岸訪問においても、正にアラブの世界においては中東和平の話に大変危機感を持っていると思うので、それがポイントになるであろう。
また、1月下旬にアナン国連事務総長が訪日する。
それから、いろいろ選挙のある年である。タイの選挙はご覧の通りであるが、正に先程申し上げた中東和平でイスラエルの選挙が2月早々、イランやペルー等においても選挙が行われる。また、解散権の話なのでどうなるかわからないが、英国やイタリアでも選挙の動きがあるので、結構いろいろなことがある3、4ヶ月になるであろうという気がしている。外交機密費流用疑惑
(事務次官)年頭から、いわゆる外交機密費云々という報道が出ており、これは大臣が今年初めの記者会見で述べたことに尽きている。自分らとしては、これは外務省の名誉と信頼に関わる話であると思っているので、厳正かつ徹底的な調査を行いたいと思っているし、官房長の下でチームを作って目下調査を行っているところである。決して言い訳で申し上げるわけではないが、外務省自身は強制力を持った捜査権を持っているわけではないので、今後の進展によっては捜査当局の協力を求めることもあると思う。今のところ調査を開始したところなので、「こういう感じである」といった説明はご容赦いただきたいと思う。
(問)御本人とは直接お話できたのか。
(事務次官)やっている。
(問)いつからか。
(事務次官)その辺は承知していない。
(問)次官が直接お会いになるのか。
(事務次官)会っていない。これは、正に官房長の下で作ったチームがやる。
(問)官房長は直接お話を聞いているのか。
(事務次官)承知していない。
(問)報告は受けているのか。
(事務次官)報告は受けている。
(問)話は御本人から直接聞いているのか。
(事務次官)本格的な聴取等はこれからだと聞いているが、具体的なやりとりは自分はまだ聞いていない。
(問)正月以降、御本人にお会いになったのか。
(事務次官)その辺もよくわからない。官房に聞いていただければいいと思う。
(問)古傷のようで申し訳ないが、3、4年前に週刊誌上で似たような外交機密費のことが騒がれ、あの時は問題なかったということで調査チームといった具体的な形にはならなかったと思うが、今回との違いは何か。
(事務次官)あの時は担当していなかったのでよくわからないが、あの時もきちんとした調査は全部行ったはずであるし、いい加減にいろいろ支出できるというようなシステムになっていないということは断言できる。今回については、ちょっと信じ難いような話が報道されているので、先程申し上げた通りこれは名誉と信頼に関わる話だと思うので、きちんと公正かつ徹底的に調査を行うということである。
(問)その疑いについて、ある程度信憑性があるということを、外務省としても掴んでいるということか。
(事務次官)この種の話は何だかんだ予断をもってやるという話ではなくて、どんな聴取もそうであろうと思うが、きちんとありとあらゆることを調べるということである。ただ、調べると申しても捜査権があるわけではないので、そこは限界はあるかもしれない。しかし、まずやってみようということである。
(問)御本人から直接話を聞いているかいないのか、よくわからないのか。
(事務次官)本格的な調査はこれからと聞いている。接触はあるということである。
(問)現時点で、報道の中身について御本人は否定しているのか、認めているのか。
(事務次官)その辺は、正にこれからの調査の中身の話になるので、中途の段階で「こんな感じのやりとりでした」と申し上げるのは控えたいと思う。ただし、いつまでも引き延ばすということではなくて、何かわかったら透明性を持ってご説明する話だと思う。
(問)「強制力を持った捜査権を持っているわけではないので、捜査当局に協力を求める」というのは、具体的にはどういうことか。
(事務次官)まだやってみなくてはわからないが、仮に強制力がない捜査で全貌が明らかになって全くゆるぎなければ、その必要はないかもしれないが、それは正にこれからの話だと思う。
(問)調査チームを4日に立ち上げたと思うが、本格的な御本人からの聴取がまだだというのは、どういうことが原因か。
(事務次官)正に本格的な聴取はこれからだと自分はチームから聞いている。それ以上は、自分自身がやっていないので承知していない。
(問)御本人は、調査が終わるまで来庁しないのか。
(事務次官)承知していない。
フジモリ前大統領の処遇
(問)先程次官もおっしゃられたが、ペルーのフジモリ前大統領について、ペルー政府から捜査上の協力を呼び掛けるようであるが、これについての見解如何。
(事務次官)自分は聞いていないが、いずれにしても司法上のやりとりはきちんとそれなりの法的なプロセスがあるので、それに則ってやるということだと思う。
(問)外務省として何か対応すべきことはないのか。
(事務次官)今のところ対応を迫られているという認識ではない。ただ、今まで正月の休みの期間であった。
KEDO(米朝枠組み合意の見直し)
(問)一部韓国の新聞等の報道で、KEDOの関係で、(米朝)枠組み合意の見直しの話が報じられているが、軽水炉2基についてはどうなるのか。
(事務次官)これは事実無根ではないかと思う。そういう方向でKEDOの場でいろいろなことをやったということは一度もないと思う。
(問)昨年の3月と6月にそれぞれこの話が出たようであるが、事実関係如何。
(事務次官)それは記憶にない。
(問)軽水炉2基を建設すること自体を方向転換しようという、計画の見直しの必要性についてはどうお考えか。
(事務次官)ようやく動き出した話であるので、それを変えるという必然性はあまりないと思う。もっとも、KEDOができた頃に「電力が足りないのであれば、何も原子炉はいらないのではないか」という話は93、4年頃にあったが、これは基本的には(北朝鮮の)核疑惑を消す代わりに、先方の欲しい軽水炉を作るというひとつのディールであったわけで、時間はかかったけれどもやっているということである。
インドネシアの味の素事件
(問)インドネシアにある味の素の現地の経営者が逮捕されたことについて、外務省の見解如何。
(事務次官)関心を持って見守っている。邦人保護の観点から連絡は取れるようになっているが、まずはそれ以上コメントする立場にない。ただ、逮捕された方とは連絡が取れるようになっているし、連絡を取っている。それは、邦人保護という脈絡からである。
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