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事務次官会見記録 (平成12年12月25日(月) 17:00~ 於会見室)(事務次官)個別案件で特に申し上げることはないが、年を締めくくるということで、若干展望を申し上げる。
国際情勢全般に、ITやグローバリゼーションという言葉が定番になってきているが、実際仕事をやっている上での実感として、ITであり、グローバリゼーションであり、物事の動きがものすごく速くなり、かつ振幅が大きいというのが特徴であろうと思う。そういう中で新年あるいは新しい世紀に入って、とにかく出来る限り的確に国際情勢の流れを読んで、日本の国益という観点からベストを尽くすというチャレンジが更に大変になってきた、なるであろうというのが実感である。
年明けからの予定を眺めると、総理のアフリカ訪問、あるいは外務大臣の湾岸訪問が控えている。アフリカについては、すでにいろいろな機会に申し上げていると思うが、やはり21世紀において、人類にとって、グローバルに考えても、アフリカがどういうふうになっていくかというのは非常に重要な課題である。開発問題、南北問題、難民問題、失業問題等々いろいろあるが、日本としても、アフリカの人々といろいろな問題や困難を分かち合っていく姿勢というのが重要になるであろうという気がする。何と言っても、今回の(サハラ以南のアフリカへの)訪問は日本の総理として初めてということで、今いろいろと準備をしているところである。
湾岸地域については、言うまでもなく日本にとって大変重要な地域であるが、湾岸各国との交流、協力関係の深みや幅を広げるということが、今の時期重要であろうと思う。
主要外交課題について申し上げると、日米関係については、新政権を立ち上げる作業が恐らくかなり遅れて、その中で今全力を挙げての大車輪でワシントンでいろいろなことが動いているのだと思う。日本にしてみれば、ブッシュ新政権との関係をどのように強化していくか、強固な同盟関係をどういうふうに改めて確認し築き上げていくか、そのためのやりとりをどうするかというのは、当然のことながら年初から考えていかなければならない話であろう。
日中関係については、今年の9月以降ほぼ毎月首脳会談を行い、かなりのテンポでやりとりがあった。就中、朱鎔基総理の訪日で、21世紀に向けた日中関係の協力の緊密化の道筋は作ったと思うし、その中で前に動かしていくべきことであろうと思う。中国の場合は、年明けにはWTO加盟の最後のいろいろな作業があり、これは決着を見ると思うし、そうなれば、中国にとっても、われわれにとっても、非常に意味のあることだろうと思っている。
言うまでもなく、朝鮮半島はこれからである。今年6月の南北首脳会談の際の興奮は未だに記憶に新しい。ここから動き出した南北の和解、前向きの好ましい流れがどういうふうに引き続き動いていくか、その中で本当に意味のある緊張緩和がどう進むかという意味で、非常に重要な年になるであろうと思っている。そういう中で、日本としても日朝国交正常化交渉を動かしていかなければならないが、その過程で、どうやって日本としても朝鮮半島の緊張緩和、この地域の安定にお手伝いしていくか、というのはなかなかやりがいのある話であろうと思うが、そう簡単な作業ではない。
また、クリントン大統領の任期満了まで1ヶ月を切ってしまったわけであるが、正に中東和平と北朝鮮問題をどこまでできるかということで、いろいろやっておられるようである。中東和平については、少なくとも死者が引き続き出るような事態の悪化は止めたいと思うし、もしかして和平合意の姿が見えてくれば素晴らしいと思うが、なかなか大変な状況だという気はしている。
突発事故でこのほかに何が起こるかというのは、やってみなければわからない話であるが、21世紀に入って、不透明感もある中で、いろいろなものをどうやって好ましい方向に動かしていくかというのがますます問われてくるのが、年の初め以降数ヶ月間ではないかという気がしている。
以上、展望と印象を簡単に申し上げた。
事務次官会見記録 (平成12年12月18日(月) 17:15~ 於会見室)(事務次官)目下、明年1月のいろいろな外交日程についてはいわば仕込みの最中であり、いろいろ報道も出ているが、個々の案件について今の段階で申し上げられるのは、調整中、検討中であるということである。
外務省の来年度予算
(事務次官)今週は申すまでもなく予算の1週間ということで、20日の内示待ちという段階である。逐次、関係部局からブリーフ申し上げるつもりである。今の時点で申し上げると、いよいよ21世紀に入っていくということでいろいろ充実させなくてはならないと思うが、外交の諸施策の目玉として、IT革命や人間の安全保障等、21世紀的な課題を1つの柱にしたいと思っている。
また、朝鮮半島への対応として、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への拠出等いろいろある。
ODA関係では、政府・与党内で前年比3%以内の削減が決まっていおり、具体的に外務省の予算をどのようにしていくかというのは鋭意検討中であるが、NGOとの連帯や、ODAの評価・実施体制等を強化しようというのが、1つの施策の柱である。
また、実施体制として、定員の増強、組織体制として、アフリカ審議官、在スロヴァキア大使館およびチェンマイ総領事館の設置等をお願いしていきたい。
本日は、ペルー日本大使公邸占拠事件からちょうど4年である。やはりこれを一つの教訓として、在外公館の危機管理体制という観点から、邦人の安全に一層遺漏なきを図るため、特に在外公館の機能強化を引き続き重点的に取り組んでいきたい。
また、毎年やっていることではあるが、情報革命と言われる中で、外務省としても情報通信、連絡体制に更に力を入れていきたい。
予算の季節に当たって、以上のようなことを実質の施策として考えている。中国の対日本製品ダンピング判定
(問)中国が日本製品に対してダンピングの「クロ」の判定を出したが、この案件にはかねてから日本企業は反論してきているが、WTO加盟を目前に控えたタイミングで中国がこのような行動に出たことへの見解如何。
(事務次官)前からあった話ではあるが、おっしゃる通りこれから年が明ければ中国のWTO加盟が見えてくるわけであり、日中貿易問題というのは、これからこの種の話がいろいろ出ると思われるし、要はルールに則った形で粛々と解決をしていくということである。基本的には、日中貿易関係は双方にとって重要な関係であり、個々の案件についてはいろいろな主張があるとは思うが、そういう時こそルールに則って処理すべきことだと思っている。
事務次官会見記録 (平成12年12月11日(月) 17:00~ 於会見室)(事務次官)国連分担金の分担率の交渉について報道等もあるので、状況を申し上げる。目下、国連総会の第5委員会で交渉が進んでおり、本年末までに国連総会で決定しないと2001年からどうするのかという話になってしまう。いろいろな主張がなされており、要は自分の負担をなるべく減らしたいという交渉であるので、そう簡単ではない。
例えば、先進諸国側は、「分担率が各国の経済規模をより反映するようにしよう」と主張している。また、1番の争点であるが、今まで所得の低い開発途上国に対しては割引率が認められており、「これをそろそろ見直そうではないか」という話もある。従って、割り引いてもらっていた側にしてみれば、これは「とんでもない」ということで、やりとりが行われている。
日本としては、「経済規模の大きい途上国は、やはりもう少し割引率を減らすべきではないか」、また「安保理常任理事国は地位と責任が大きいので、財政上も特別な負担を負うべきであろう」という立場である。
また、米側は「25%という分担率は負担できない。22%にしてほしい」という立場を断固として打ち出しているが、米国の分担率が減ることによって他の国の負担が増えるということになっては、これはとんでもない話である。
日本としては、とにかく日本の分担率が今以上に上昇することは受け入れられないとしつつ、抽象的に言えば、あくまでも「経済規模や国連における地位と責任をより忠実に反映した公平な分担率を実現すべきである」という主張であり、そのようなやりとりをしている。
どこの国にとっても、自分だけで決められるという話ではないので、当然のことながら、最終的には皆が納得する然るべきフォーミュラに到達しなければならない。最初に申し上げた通り、自分の国の分担率を減らしたいという話と、今まで割引率を受けていたのが負担増になるという話のやりとりなので、そう簡単ではないというのが現状である。(問)米中への働きかけはさておき、日本側としてある程度の分担率の目安を設けるものでもないということか。
(事務次官)「この辺で行きましょう」という数字ではなく、必ずそういう数字を導き出すためのフォーミュラつまり公式の話である。「こういうのデータをベースにして、こう算定するとこうなる」というのでなければ、恣意的な話になってしまうので、そのフォーミュラについての話である。また、割引率については、例えば「8割引を3割引にしよう」というような数字の勝負になるであろう。逆に言えば、それぞれの国が「あなたは何%にしなさい」というようなやりとりではないということである。
ODA予算
(事務次官)過去2週間程ODA予算について論議があったが、8日に与党3党によるプロジェクト・チームで見解がまとまり、与党責任者会議でもこれが了承されたことを受けて、今の時点での考え方を申し上げる。
外務省としては、従来からもそうであるが、今後ともODAがわが国の外交にとって最も重要な手段であるという認識、つまりわが国の安全と繁栄の維持を可能とするような国際環境をどう作り出すかという観点から、やはりODAというのは非常に重要であるという認識を過去数十年持ってきており、その認識はやはり変わることはないと思っている。
具体的に言うと、ODAが就中アジア経済の発展に非常に重要な役割を果たしてきたということが背景にある。ODAは60年代からアジアの経済発展のお手伝いをしてきており、今東アジアの経済というのは概ね非常にダイナミックな姿になっている。それは、やはりそのプロセスで日本がお手伝いをしてきたという自負はあり、それはつまるところ、東アジア全体が良い姿になるという意味で、日本の利益にもなっていたのであろうと思う。
また、より最近の話であるが、九州・沖縄サミットにおいて、開発や貧困削減というテーマが非常に大きな課題として打ち出されていたので、それを考えると、今回のプロジェクト・チームの見解が具体化される過程でも、できるだけ今述べた外務省の考え方が踏まえられる形で、近くは来年度予算の編成に当たっても各方面の理解を得たいと思っている。
与党のプロジェクト・チームは、引き続きODAのあり方について検討を続けると承知しており、もとより外務省としても、国内においてODAに対する厳しい見方が存在し、その背景として苦しい財政事情や困難な経済状況があることも承知しているので、当然のことながらODAの効果的・効率的な実施等について今まで以上の努力を払っていきたいという考えである。河野大臣の訪露
(問)河野大臣の訪露の日程について、ロシア側から非公式な形で「来年1月中旬」というメッセージが流れてきているようであるが、日本政府の見通し如何。
(事務次官)正に日程を調整中であるので、「この辺になる」ということをまだ申し上げる段階ではない。
フジモリ前大統領の国籍問題
(問)フジモリ前大統領の国籍について、法務省から確認の報告は来たか。
(事務次官)まだ来ていない。近々決着が付くのではないかという感触は得ているが、まだペンディングである。いろいろペンディングなことが多い週の初めである。
(問)法務省から正式に連絡があった場合、外務省としてそれを発表する予定はあるか。
(事務次官)どのように対応するかは、連絡が来た時点で考えたいと思う。一般論としては、国籍というのは「断固秘密であろうか」という気もするが、プロセスとしてどうするかは少し考えたい。
(問)今次官は「断固秘密であろうか」とおっしゃったが、それ程、国籍を持っているか、持っていないかというのが、日本とペルーの二国間関係や、フジモリ前大統領個人の今後の政治的立場に影響があるとお考えか。
(事務次官)それについては、仮定の話になってしまう。目下のところ、法務省が取り組んでいる話であるので、今の段階でその結果を「外務省としてこうする」というのを申し上げるのは早い、という程度のことである。今「フジモリ氏の政治的立場」とおっしゃったが、どのみちこの種の話はそのような政治的配慮で対応すべきではないと思う。
事務次官会見記録 (平成12年12月4日(月) 17:00~ 於会見室)(事務次官)日露平和条約問題に関する専門家協議が先週行われ、東郷欧亜局長および谷内条約局長がモスクワを訪問した。現地でもすでにブリーフ申し上げているようであるが、一つのポイントとしては、ロシュコフ露外務次官と平和条約交渉を加速するための新たな方策についていろいろ議論した。概括すれば、今後の交渉過程のあるべき方向性について話し合い、この交渉を継続していく意向を確認した。その中で、相互の理解は深まった。内容としては、川奈提案や56年の日ソ共同宣言等について触れられた。
今後のプロセスとしては、河野外務大臣の訪露をどうするかであるが、これについてはこれから大臣の判断を得てどうするか考える。また、12月にでもイルクーツクで日露首脳会談を行うことを、先のブルネイで行われた日露首脳会談において合意されたが、これはまだ生きており、これからどう動かしていくか考えていきたい。いずれにしても、大臣の訪露も日露首脳会談も、これから詰めていく状況である。話し合いの内容自体については、正に今交渉の段階であるので、詳細に申し上げるべきことではないと思っている。
その過程で、いわゆる56年の日ソ共同宣言についていろいろ報道等があったので、一言申し上げたい。ご存じのことと思うが、56年の宣言では、第9項が焦点である。9項の前段には、日ソは両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約に関する交渉を継続する旨書いてあり、その結果平和条約交渉をずっとやってきたわけである。その過程で、56年の当時から今日に至るまで、日本政府は一貫して4島の帰属についての交渉だという立場で交渉を行ってきた。また、9項の後段には、「ソ連邦は日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞・色丹を日本国に引き渡すことに同意する。ただしこれらの諸島は、日本国とソ連との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」と書かれている。そうすると、平和条約交渉をずっとやってきたわけであるが、この56年宣言が有効であるということであれば、歯舞・色丹は引き渡す旨書かれているので、これから日露間で合意を見出さなければならないのは国後・択捉の帰属の問題である。今の段階では、この問題について日露間の立場は一致しないので、正にいろいろ知恵を出さなければならない状況にある。
すでにご承知の方も多いと思うが、改めて若干整理させていただいた。(問)今のご説明で、「56年の宣言で歯舞・色丹の引渡は書いてあるから、国後・択捉が問題である」ということは、歯舞・色丹の問題は解決済みだということか。
(事務次官)この宣言が有効であるということは、そうである。
(問)「歯舞・色丹については解決済み」ということは、ロシア側は明言しているのか。
(事務次官)ロシア側の立場については、正にやりとりの過程にあり、日本と全く同じであるということであればそもそも条約交渉は終わってしまうわけで、そこはいろいろニュアンスがあるわけである。
(問)そうすると、「歯舞・色丹については解決済み」というのは、あくまで日本の立場であるか。
(事務次官)今申し上げたのは、日本の立場である。
(問)「国後・択捉の問題である」というのは、あくまで日本の立場であって、合意しているという意味ではないということか。
(事務次官)それが日本の立場、日本の整理である。と言うのは、「(返還するのは)2島だけか」という質問を受けるので、「そうではない。日本の立場は4島一括返還の立場でやってきた」ということを申し上げるために先程そう申し上げた。
(問)わざわざこの場で次官がこの問題について言及されたということは、今回の交渉でも日本の立場は伝えたが、ニュアンスの違いが残ったままであるという意味か。
(事務次官)これは、「その通りです」と言ったら終わってしまう話なので、これからどうやって平和条約交渉を動かしていくかという知恵を出す過程でのやりとりとして、先程申し上げた通り川奈提案や56年の共同宣言の意味合いについていろいろ意見交換を行ったということである。自分が先程申し上げたのは、その過程で若干誤解に基づく解釈をする動きが一部あるのではないかと危惧したので、この問題についての日本がずっと取ってきた基本的立場を改めて申し上げた。その意味で、新しいことではなくて、56年以来の立場を繰り返しただけだと理解していただきたい。
(問)今回の協議では、歯舞・色丹の2島を先に返してもらうという「2島先行返還論」については、日本側からは言及していないという理解でよろしいか。
(事務次官)2島先行ということではなくて、あくまでも今申し上げた立場に沿ってやりとりをしていると理解していただければ結構である。
フジモリ前大統領の国会召還および国籍問題
(問)フジモリ前大統領が、ペルー国会で参考人として証言するよう求められるようであるが、現在日本政府にはどのような連絡が来ているのか。また、フジモリ前大統領からはどのような要望があるのか。
(事務次官)今のところ、政府間では何の連絡も来ていない。日本政府として対応を必要とする話については、連絡が来た時点で考える。今のところ、何もない。
(問)法務省がフジモリ前大統領の国籍を確認中であるかと思うが、それについて回答はあったか。
(事務次官)引き続き確認中である。若干時間がかかるプロセスのようである。
拉致被害者の離散家族訪問
(問)一昨日、北朝鮮に拉致されたとされている韓国の船員が、離散家族の一員として平壌で肉親と再会されたが、これについて如何お考えか。
(事務次官)それは韓国から行った方であろうが、同じ拉致であっても、南北間の拉致問題と日本の拉致問題とは違う気がするが、いろいろなやりとりを関心を持って眺めている。
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